(4847)株式会社インテリジェント ウェイブ 増収増益 配当性向も引き上げ
佐藤 邦光 社長 |
株式会社インテリジェント ウェイブ(4847) |
|
企業情報
市場 |
東証1部 |
業種 |
情報・通信 |
代表者 |
佐藤 邦光 |
所在地 |
東京都中央区新川1-21-2 茅場町タワー |
決算月 |
6月 |
HP |
株式情報
株価 |
発行済株式数(期末) |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
616円 |
26,340,000株 |
16,225百万円 |
11.6% |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
14.00円 |
2.3% |
35.76円 |
17.2倍 |
287.85円 |
2.1倍 |
*株価は8/24終値。各数値は2021年6月期決算短信より。
非連結業績推移
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期純利益 |
EPS |
DPS |
2018年6月(実) |
10,603 |
547 |
573 |
377 |
14.36 |
7.00 |
2019年6月(実) |
10,443 |
921 |
953 |
683 |
25.99 |
9.00 |
2020年6月(実) |
10,920 |
1,036 |
1,074 |
762 |
29.00 |
10.00 |
2021年6月(実) |
11,187 |
1,130 |
1,171 |
840 |
31.98 |
13.00 |
2022年6月(予) |
12,000 |
1,320 |
1,360 |
940 |
35.76 |
14.00 |
* 予想は会社予想。単位:百万円、円。
(株)インテリジェント ウェイブの2021年6月期決算概要などについてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2021年6月期決算概要
3.2022年6月期業績予想
4.新中期事業計画(22/6期~24/6期)
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 2021年6月期の売上高は前期比2.4%増の111億87百万円。キャッシュレスの進展に伴い、金融業界向けの事業が堅調に推移した。開発案件やリプレイスによるハードウェア、他社製品の販売が好調。クラウドサービスも堅調に推移した。システム開発は減収だったものの計画通り。営業利益は同9.1%増の11億30百万円。増収に加え、開発案件の品質向上や、情報セキュリティの収益改善が寄与。同事業は黒字転換した。不採算案件も発生していない。営業利益率は同0.6ポイント上昇し10.1%と2ケタ台に乗った。配当性向基準を30%から40%に引き上げることとしたため、配当を10.00円/株から13.00円/株に引き上げた。配当性向は40.6%。
- 22年6月期の売上高は前期比7.3%増の120億円、営業利益は同16.8%増の13億20百万円の予想。キャッシュレス化の進展、セキュリティ市場の拡大に支えられ引き続き、売上・利益の伸長を見込んでいる。今期も更に収益性の向上に注力し、営業利益率 11%を目指している。上期は新規案件の受注が若干弱く、前年同期比で減収見込みだが、下期は売上・利益とも2ケタの伸長を予想。配当は前期比1.00円/株増配の14.00円/株の予定。予想配当性向は39.8%。
- 新中期事業計画(22/6期~24/6期)の目標は、最終24年6月期 売上高 150 億円、営業利益率 15%。「15ALL」を標語とする。急速に変革する市場に対して、「決済市場のハイブリッド IT 基盤」、「決済、金融、セキュリティ分野以外の領域拡大」、「DNP グループシナジー」の3戦略により、15ALL を目指す。カテゴリー別には、クラウドサービスの本格的な収益貢献、新規事業の成長を見込んでいる。
- 第3四半期終了時点では営業利益の進捗がやや低水準であったが、第4四半期(4-6月)に保守、ハードウェア、セキュリティ対策製品などが予想を上回り、売上、利益ともほぼ期初計画通りの着地となった。キャッシュレス化の進展、セキュリティ市場の拡大のトレンドに変化はなく、今期含め以降も良好な事業環境が期待できる。加えて、利益率の着実な向上も目を引く。24年6月期の売上高営業利益率15%達成に向けたクラウドサービスを中心としたストック売上高の拡大も注目していきたい。
1.会社概要
クレジットカード決済等のオンラインシステムに利用される金融フロントシステムで国内シェアNo.1のソフトウエア開発会社。
金融フロントシステムは、店舗の端末や銀行の店外CD/ATM・海外ATM等をクレジットカード会社や銀行等のネットワークに接続して取引データの受渡しを行う。“リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術”、“システムを止めないためのノンストップ技術”、及び“高度なセキュリティ技術”を技術基盤とし、カード不正利用検知システムや証券関連の情報集配信システムでも豊富な実績を有する。
地銀やノンバンク等向けに金融フロントシステムやカード不正利用検知システムのクラウドサービスも伸びている。営業面では、筆頭株主として議決権の50.70%を保有する大日本印刷(株)及びそのグループ企業との連携が強みとなっている。
【経営理念 : 次代の情報化社会の安全性と利便性を創出する】
ネットワークゲートウェイ専門会社として、社員一人ひとりが、進取の気性を持った技術者集団としてあり続ける事で、次世代の新たなキラーシステムを創出し、次の30年を見据えた成長の軌跡を描いていく。そのためには、性別や国境にとらわれない多様な価値観が生み出すエネルギーが必要不可欠というのが同社の考え。また、常に新しい事に挑戦し、働きがいのある企業風土を作りあげる事で、社会における同社の企業価値も高めていく。
カード決済に不可欠な機能を提供するシステムの開発や運用を担う同社は、どのような事業環境になっても業務の継続が求められる。同社に受け継がれている「止まらないシステム」を追求する思想は、IT基盤の構築やセキュリティ機能の向上を支える技術と深く結びついており、今後、あらゆる業界に幅広く浸透していく、というのが同社の考え。
企業は、社会に貢献する事がなければ存在価値がない。同社は、これまでに培ってきた技術力を進化させ、安全でストレスなく情報を取得できる仕組みを築きあげる事で、ユーザーを通じて社会全体から信頼される会社を目指している。
1-1 事業内容
金融業界を中心とした全業種の企業を主要顧客対として、決済を中心に、様々なデータの受渡しに必要なシステム(ITインフラ)を開発するほか、保守、クラウドサービスなどのサービス提供、製品およびハードウェアの販売、データの利活用に係る情報セキュリティ対策、サイバーセキュリティ対策の製品の開発・販売などを手掛けている。
システム開発は、クレジットカードの決済処理を完遂するために必要なネットワーク接続やカードの使用認証等の機能をもつFEP(Front End Processing)システムの開発業務などが中心。
なお、これまではクレジットカード会社を主な顧客として、カード決済に不可欠なシステムの開発や関連するサービスを提供する金融システムソリューション事業と一般の事業会社を主な顧客として、情報セキュリティ対策、サイバーセキュリティ対策の製品を販売するプロダクトソリューション事業の二つを報告セグメントとしてきたが、両事業で個別に管理していた顧客の情報を共有し営業活動を強化すると共に、セキュリティ対策技術の開発体制を強化し、新製品、新サービスの開発を促進するために、今期より金融業界を中心とした全業種の企業を顧客とする単一セグメントに変更した。
◎カテゴリー別売上高
|
21/6期 |
備考 |
事業形態 |
システム開発 |
5,272 |
システムの受託開発業務に係る売上 |
フロー |
保守 |
1,357 |
同社が開発したシステムの保守業務に係る売上 |
ストック |
同社製品 |
335 |
同社製品の販売業務に係る売上 |
フロー |
クラウドサービス |
942 |
同社製システムの期間貸し業務に係る売上 |
ストック |
ハードウェア |
1,638 |
サーバー等ハードウェアの販売業務に係る売上 |
フロー |
他社製品 |
509 |
他社製品の販売業務に係る売上 |
フロー |
セキュリティ対策製品 |
1,131 |
同社製、他社製のセキュリティ対策製品の販売業務に係る売上 |
フロー |
* 単位:百万円
同社では、定常的に一定規模の売上を計上できる契約形態のものをストック、契約の規模や成立時期が定常的ではないカテゴリーをフローとして表示している。
◎主要製品およびサービス
*「NET+1」
店舗の端末や銀行の店外CD/ATM・海外ATM等をクレジットカード会社や銀行等のネットワークに接続して取引データの受渡しを行うためのソフトであり(ネットワーク接続機能、決済の前提となるカード認証機能、加盟店の業務を管理する機能等を有する)、専用ハードと共に提供される。この分野で圧倒的なNo.1ブランドであり、大手クレジットカード会社のネットワークへの接続で7割のシェアを有する。
*「ACE Plus」
偽造カード・盗難カード利用などクレジットカードや銀行口座の不正利用の検知を目的とした自社開発の不正検知システム。シェア6~7割と、豊富な実績を有する。
*クラウドサービス
各種サービスを通して培った技術とノウハウを活かして、アクワイアリング業務(同:IOASIS)、不正検知(サービス名:IFINDS)、スイッチング(同:IGATES)、ポイントシステム(同:IPRETS)などをクラウドサービスとして提供している。
*「CWAT(シーワット)」
「NET+1」や「ACE Plus」等で培ったネットワーク技術やセキュリティ技術をベースとした情報漏洩対策システム。
顧客の業務に使用されるPC 端末(エンドポイント)から、コピー、印刷、ネットワーク経由等による情報の内部からの持ち出しを監視する。
「CWAT(シーワット)」を中心に、内部情報漏洩対策、脆弱性対策、及び外部攻撃対策について、監視・検出・診断・認証と防止・阻止の切り口から各種ソリューションも提供している。
2.2021年6月期決算概要
2-1業績概要
|
20/6期 |
構成比 |
21/6期 |
構成比 |
前期比 |
予想比 |
売上高 |
10,920 |
100.0% |
11,187 |
100.0% |
+2.4% |
+1.7% |
売上総利益 |
2,980 |
27.3% |
3,156 |
28.2% |
+5.9% |
– |
販管費 |
1,944 |
17.8% |
2,026 |
18.1% |
+4.2% |
– |
営業利益 |
1,036 |
9.5% |
1,130 |
10.1% |
+9.1% |
-1.7% |
経常利益 |
1,074 |
9.8% |
1,171 |
10.5% |
+9.0% |
-1.6% |
当期純利益 |
762 |
7.0% |
840 |
7.5% |
+10.4% |
+2.6% |
* 単位:百万円
増収増益。ほぼ予想通りの着地。
売上高は前期比2.4%増の111億87百万円。キャッシュレスの進展に伴い、金融業界向けの事業が堅調に推移した。
開発案件やリプレイスによるハードウェア、他社製品の販売が好調。クラウドサービスも堅調に推移した。システム開発は減収だったものの計画通り。
顧客別にはDNPが減収も、システム開発会社、カード会社、が大幅増収。DNPの減収は決済系のプラットフォームの大型案件がほぼ開発が完了し想定通りの結果。システム開発会社は、新規の参入事業者向けにインテリジェント ウェイブが得意とするFEP、不正検知などが好調だった。
営業利益は同9.1%増の11億30百万円。増収に加え、開発案件の品質向上や、情報セキュリティの収益改善が寄与。同事業は黒字転換した。不採算案件も発生していない。営業利益率は同0.6ポイント上昇し10.1%と2ケタ台に乗った。
配当性向基準を30%から40%に引き上げることとしたため、配当を10.00円/株から13.00円/株に引き上げた。
配当性向は40.6%。
◎カテゴリー別売上高
|
20/6期 |
構成比 |
21/6期 |
構成比 |
前期比 |
予想比 |
システム開発 |
5,791 |
53.0% |
5,272 |
47.1% |
-9.0% |
-1.7% |
保守 |
1,246 |
11.4% |
1,357 |
12.1% |
+8.9% |
+5.7% |
同社製品 |
244 |
2.2% |
335 |
3.0% |
+37.3% |
-15.6% |
クラウドサービス |
828 |
7.6% |
942 |
8.4% |
+13.8% |
+0.2% |
ハードウェア |
1,526 |
14.0% |
1,638 |
14.6% |
+7.3% |
+9.6% |
他社製品 |
220 |
2.0% |
509 |
4.5% |
+131.4% |
+20.3% |
セキュリティ対策製品 |
1,063 |
9.7% |
1,131 |
10.1% |
+6.4% |
+2.8% |
売上高 |
10,920 |
100.0% |
11,187 |
100.0% |
+2.4% |
+1.7% |
* 単位:百万円
*ハードウェア
FEP更改に係る特定の機種のサーバーの置換え案件などによって増収。
*他社製品
新規顧客向けの開発案件に利用される。FEPの更改もあり大幅な増収。予想も上回る。
*クラウドサービス
キャッシュレス化の進展に伴い増収。
売上はほぼ計画通り。売上総利益も第1四半期の経費増により第3四半期までは計画を下回っていたが、第4四半期のリカバリーによりほぼ期初計画通りに着地であった。
*システム開発
減収も、ほぼ期初計画どおり。
*情報セキュリティ事業
増収。営業強化、およびCWATの機能強化を進めた。
2-2 第4四半期(4-6月)業績
|
20/6期 4Q(4-6月) |
構成比 |
21/6期 4Q(4-6月) |
構成比 |
前年同期比 |
予想比 |
売上高 |
3,115 |
100.0% |
3,120 |
100.0% |
+0.2% |
+6.4% |
売上総利益 |
957 |
30.7% |
1,000 |
32.1% |
+4.5% |
– |
販管費 |
507 |
16.3% |
549 |
17.6% |
+8.2% |
– |
営業利益 |
450 |
14.5% |
451 |
14.5% |
+0.3% |
-4.1% |
経常利益 |
473 |
15.2% |
474 |
15.2% |
+0.2% |
-3.8% |
四半期純利益 |
363 |
11.7% |
370 |
11.9% |
+1.8% |
+6.0% |
* 単位:百万円
◎カテゴリー別売上高
|
20/6期 4Q(4-6月) |
構成比 |
21/6期 4Q(4-6月) |
構成比 |
前年同期比 |
予想比 |
システム開発 |
1,409 |
45.2% |
1,562 |
50.1% |
+10.9% |
-5.4% |
保守 |
320 |
10.3% |
365 |
11.7% |
+14.1% |
+25.0% |
同社製品 |
37 |
1.2% |
68 |
2.2% |
+83.8% |
-47.7% |
クラウドサービス |
219 |
7.0% |
240 |
7.7% |
+9.6% |
+0.8% |
ハードウェア |
657 |
21.1% |
299 |
9.6% |
-54.5% |
+92.9% |
他社製品 |
72 |
2.3% |
78 |
2.5% |
+8.3% |
– |
セキュリティ対策製品 |
402 |
12.9% |
509 |
16.3% |
+26.6% |
+6.5% |
売上高 |
3,115 |
100.0% |
3,120 |
100.0% |
+0.2% |
+6.4% |
* 単位:百万円
四半期ベースでは、売上・利益ともほぼ前年同期並み。ほぼ予想通り。
カテゴリー別では、システム開発が増収。同社製品、セキュリティ対策製品が大幅増収。
2-3 受注動向
受注高は前年同期比19.1%減少の26億12百万円。
期末の受注残高は前期末比5.5%減の50億22百万円。受注残高の内訳は、クラウドサービス事業は同8.5%減の18億53百万円、システム開発が同11.1%減の15億40百万円、その他が同4.5%増の16億29百万円だった。
クラウドサービスの受注残高が前年実績を下回ってはいるが、7月に比較的大型の案件を受注した。当初計画では21年6月期中を想定していた。ただ、22年6月期上期中に別の大型案件受注を見込んでいる。
2-4 財政状態とキャッシュ・フロー
◎要約BS
|
20年6月 |
21年6月 |
増減 |
|
20年6月 |
21年6月 |
増減 |
流動資産 |
6,381 |
6,975 |
+594 |
流動負債 |
2,950 |
2,911 |
-39 |
現預金 |
3,641 |
4,307 |
+665 |
買入債務 |
627 |
430 |
-196 |
売上債権 |
1,720 |
1,698 |
-21 |
前受金 |
1,381 |
1,233 |
-148 |
固定資産 |
4,170 |
4,164 |
-6 |
固定負債 |
617 |
660 |
+43 |
有形固定資産 |
537 |
733 |
+195 |
退職関連引当金 |
520 |
567 |
+46 |
無形固定資産 |
1,465 |
1,317 |
-147 |
負債合計 |
3,568 |
3,572 |
+3 |
ソフトウエア |
1,262 |
1,124 |
-137 |
純資産 |
6,983 |
7,567 |
+584 |
投資その他の資産 |
2,167 |
2,113 |
-53 |
利益剰余金 |
5,043 |
5,621 |
+577 |
資産合計 |
10,552 |
11,140 |
+588 |
負債・純資産合計 |
10,552 |
11,140 |
+588 |
* 単位:百万円
現預金の増加などで総資産は前期末比5億88百万円増加し、111億40百万円。
負債合計はほぼ変わらず35億72百万円。
利益剰余金の増加などで純資産は同5億84百万円増加し75億67百万円。
自己資本比率は前期末より1.7ポイント上昇し、67.9%となった。
◎CF
|
20/6期 |
21/6期 |
増減 |
営業CF |
1,547 |
1,700 |
+153 |
投資CF |
-752 |
-742 |
+9 |
フリーCF |
794 |
957 |
+162 |
財務CF |
-407 |
-292 |
+115 |
現金・同等物残高 |
3,641 |
4,307 |
+665 |
* 単位:百万円
税引前当期純利益の増加で営業CF、フリーCFのプラス幅は拡大。
キャッシュポジションは上昇した。
3.2022年6月期業績予想
3-1 業績予想
|
21/6期 |
構成比 |
22/6期(予) |
構成比 |
前期比 |
売上高 |
11,187 |
100.0% |
12,000 |
100.0% |
+7.3% |
営業利益 |
1,130 |
10.1% |
1,320 |
11.0% |
+16.8% |
経常利益 |
1,171 |
10.5% |
1,360 |
11.3% |
+16.1% |
当期純利益 |
840 |
7.5% |
940 |
7.8% |
+11.9% |
* 単位:百万円
*上期比較
|
21/6期(上期) |
構成比 |
22/6期(上期、予) |
構成比 |
前年同期比 |
売上高 |
5,247 |
100.0% |
5,000 |
100.0% |
-4.7% |
営業利益 |
405 |
7.7% |
410 |
8.2% |
+1.1% |
経常利益 |
421 |
8.0% |
430 |
8.6% |
+2.1% |
当期純利益 |
285 |
5.4% |
300 |
6.0% |
+5.0% |
* 単位:百万円
増収増益を予想
売上高は前期比7.3%増の120億円、営業利益は同16.8%増の13億20百万円の予想。
キャッシュレス化の進展、セキュリティ市場の拡大に支えられ引き続き、売上・利益の伸長を見込んでいる。
今期も更に収益性の向上に注力し、営業利益率 11%を目指している。
上期は新規案件の受注が若干弱く、前年同期比で減収見込みだが、下期は売上・利益とも2ケタの伸長を予想。
配当は14.00円/株の予定。予想配当性向は39.8%。
3-2 カテゴリー別売上高予想
|
21/6期 |
構成比 |
22/6期(予) |
構成比 |
前期比 |
システム開発 |
5,272 |
47.1% |
5,850 |
48.8% |
+11.0% |
保守 |
1,357 |
12.1% |
1,440 |
12.0% |
+6.1% |
同社製品 |
335 |
3.0% |
400 |
3.3% |
+19.4% |
クラウドサービス |
942 |
8.4% |
1,130 |
9.4% |
+20.0% |
ハードウェア |
1,638 |
14.6% |
1,730 |
14.4% |
+5.6% |
他社製品 |
509 |
4.5% |
250 |
2.1% |
-50.9% |
セキュリティ対策製品 |
1,131 |
10.1% |
1,200 |
10.0% |
+6.1% |
売上高 |
11,187 |
100.0% |
12,000 |
100.0% |
+7.3% |
* 単位:百万円
*上期比較
|
21/6期(上期) |
構成比 |
22/6期(上期、予) |
構成比 |
前期比 |
システム開発 |
2,437 |
46.4% |
2,713 |
54.3% |
+11.3% |
保守 |
647 |
12.3% |
725 |
14.5% |
+12.1% |
同社製品 |
209 |
4.0% |
265 |
5.3% |
+26.8% |
クラウドサービス |
470 |
9.0% |
489 |
9.8% |
+4.0% |
ハードウェア |
872 |
16.6% |
188 |
3.8% |
-78.4% |
他社製品 |
240 |
4.6% |
120 |
2.4% |
-50.0% |
セキュリティ対策製品 |
369 |
7.0% |
500 |
10.0% |
+35.5% |
売上高 |
5,247 |
100.0% |
5,000 |
100.0% |
-4.7% |
* 単位:百万円
クラウドサービスは下期から新規大型案件が収益貢献してくる計画で、開始4年目で初めての黒字化を見込んでおり、以降、大きく収益貢献すると考えている。
セキュリティ事業も現在、新規商談が順調に進んでおり、通期計画を上回る実績を目指す。
ハードウェアは、今期末頃に大型案件の売上を予定しており、確実に売上につなげるように進めていく。
(同社資料より)
売上高の推移
|
17/6期 |
18/6期 |
19/6期 |
20/6期 |
21/6期 |
22/6期(予) |
ストック |
1,098 |
1,427 |
1,761 |
2,074 |
2,299 |
2,570 |
フロー |
7,371 |
9,176 |
8,682 |
8,846 |
8,888 |
9,430 |
ストック比率 |
13.0% |
13.5% |
16.9% |
19.0% |
20.6% |
21.4% |
* 単位:百万円
定常的に一定規模の売上を計上できるストック型ビジネスの比率は、21/6期に20%を超え、22/6期はクラウドサービスの伸長でさらに上昇する見込み。
4.新中期事業計画(22/6期~24/6期)
4-1 前期までの振り返り
売上高は100億円水準で安定的に推移。
営業利益率は、不採算案件による一時的な低下はあったが、開発案件の品質管理の徹底により、21/6期は10%台を達成した。
4-2 ミッションの再定義
次なる成長を目指すため、今回の新中期事業計画策定にあたり、ミッションを再定義した。
ミッション |
ビジネスリライアビリティの実現 |
ビジネスリライアビリティとは、顧客事業の信頼性および同社事業の信頼性を高め続けること(同社の造語)。
クレジット決済システムの開発により成長してきたが、今後の成長を見据え、従来の決済、金融、セキュリティ分野にとどまらず、企業のビジネスリライアビリティを支える IT サービス会社になることを目指す。
従来のオンプレミスでのプロダクト提供に加えて、クラウドを積極活用したITサービスや業務サービスの提供により、「クレジット決済システムの開発会社」から、「決済、金融、セキュリティ分野を含む、企業のビジネスリライアビリティを支えるITサービス会社」となる。
4-3 数値計画:15ALL
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21/6期 実績 |
22/6期 予想 |
23/6期 計画 |
24/6期 計画 |
CAGR |
売上高 |
11,187 |
12,000 |
13,500 |
15,000 |
+10.3% |
営業利益 |
1,130 |
1,320 |
1,750 |
2,250 |
+25.8% |
営業利益率 |
10.1% |
11.0% |
13.0% |
15.0% |
– |
* 単位:百万円
2024年6月期 売上高 150 億円、営業利益率 15%を目指す「15ALL」を標語とする。
ここ数年で次の成長をねらう体制が整備できたため、新たな成長を目指す。
4-4 15ALLに向けたロードマップ
急速に変革する市場に対して、「決済市場のハイブリッド IT 基盤」、「決済、金融、セキュリティ分野以外の領域拡大」、「DNP グループシナジー」の3戦略により、15ALL を目指す。
特にクラウドサービスは 前期売上高約 9 億円から24年6月期25 億円を目指す。
クラウドサービスは既に複数年の大型案件の受注が 2 件見込まれており、今下期から本格的な収益貢献が始まる。
24年6月期には、新規事業の売上15億円を計画している。既に「EoM:放送事業者向けソリューション」が成果を生み始めているが、これに続く新たな挑戦始めており、成長の柱となる事業の創出を目指す。
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21/6期 実績 |
22/6期 予想 |
23/6期 計画 |
24/6期 計画 |
CAGR |
システム開発,ハードウェア、当社製品など |
9,115 |
9,670 |
10,150 |
11,000 |
+6.5% |
クラウドサービス |
942 |
1,130 |
2,000 |
2,500 |
+38.5% |
セキュリティ対策製品 |
1,131 |
1,200 |
1,350 |
1,500 |
+9.9% |
ストック売上高 |
2,299 |
2,570 |
3,560 |
4,180 |
+22.1% |
* 単位:百万円
(1)決済市場のハイブリッド IT 基盤
キャッシュレス社会の進展や決済手段の多様化により同社の事業機会は一段と拡大している。一方で、クレジットカード会社においてはコスト削減が必要なことから、低コストで実現できるクラウドサービスのニーズが高まっている。
こうしたニーズに対応し、以前より得意としているオンプレミスに加え、クラウドサービスを拡大させ、オンプレミスとクラウドのハイブリッドな IT 基盤を提供する。
加えて既に提供している不正検知の夜間モニタリング業務といったBPO サービスも充実させ、ワンストップでサービスの提供を目指す。
新しい技術等を組み合わせて、同社の強みを活かした次世代の BPO サービスを構築する。
(同社資料より)
(2)新分野への領域拡大
DX推進などにより、あらゆる業界で大量データのリアルタイム処理が求められている。
今まで金融業界で培ったアクセラレーション分析技術を活用し、ミッションクリティカルな放送、交通、電力など社会インフラの DX を支える IT 基盤を提供する。
既に取り組んでいる放送業界向けソリューションEoM はテレビ朝日、JDS、QVCジャパンなど国内ユーザーが拡大しているが、フィンランド公共放送「Yle」でも採用された。自社技術が、グローバル基準で評価されたものと考えている。引き続き海外展開を進めるべく、海外ベンダーと協業しながら新たな業界参入に向けた研究開発が進行中である。
(3)DNPグループシナジー
キャッシュレス化というトレンドもあり、従来のグループシナジーは決済領域の活動が主体であったが、今後は「DNPのアセットとインテリジェント ウェイブの技術」を組み合わせて、特定領域に留まらず活動範囲を拡大する。
新たな取り組みとして、スマートファクトリーを意識した OT 領域(Operational Technology:生産ラインやシステムの制御・運用技術)での協業を開始した。
スマートファクトリー化のためには、ネットワーク接続が必要でセキュリティ対策も不可欠である。既にDNPの工場にインテリジェント ウェイブが提供する最先端のセキュリティ製品が導入されており実績、データが蓄積されているため、今後はDNPの顧客への展開を進める。
またセキュリティ環境の強化とともに、インテリジェント ウェイブの得意とするアクセラレーション技術とリアルタイム技術、分析技術を活用して、スマートファクトリーを支える基盤を提供する。
(同社資料より)
4-5 多様性を強みにした組織に変革
同社のビジネスモデルにとって、人的資本への取り組みは重要な要素であり、挑戦、成長のためには、自律、多様性を尊重し、働きやすく、働き甲斐のある環境を構築することが必要であると考えている。
従来のビジネスを確実に進めるだけでなく、新たな事業の創造につなげる組織づくりを進めていく。
(同社資料より)
4-6 プライム市場について
2021年7月、株式会社東京証券取引所より、同社の流通株式時価総額が、プライム市場の上場維持基準を充たしていない旨の通知を受けた。その他の基準については適合している。
今後、定められた方法でプライム市場選択申請の手続きを行う予定であり、中期事業計画の遂行と株主還元の強化により、企業価値向上を目指す。
株主還元に関しては、前述の通り、配当性向基準を30%から40%に引き上げた。
5.今後の注目点
第3四半期終了時点では営業利益の進捗がやや低水準であったが、第4四半期(4-6月)に保守、ハードウェア、セキュリティ対策製品などが予想を上回り、売上、利益ともほぼ期初計画通りの着地となった。キャッシュレス化の進展、セキュリティ市場の拡大のトレンドに変化はなく、今期含め以降も良好な事業環境が期待できる。
加えて、利益率の着実な向上も目を引く。24年6月期の売上高営業利益率15%達成に向けたクラウドサービスを中心としたストック売上高の拡大も注目していきたい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成
組織形態 |
監査役設置会社 |
取締役 |
6名、うち社外2名 |
監査役 |
5名、うち社外3名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2020年9月28日)
基本的な考え方
当社は、「次代の情報化社会の安全性と利便性を創出する」ことを経営理念に掲げており、それに則って、「高速、安全、高品質で利便性の高いIT基盤を提供する」事業を推進することによって企業価値を高め、社会に貢献することを経営方針に掲げています。当社が開発するシステムは、社会にとって必要不可欠なIT基盤(インフラストラクチャー)であり、システムの安定性を必須の条件として、高速かつ安全に取引を完遂するために、高い水準の品質が求められています。当社は、多くの開発実績と安定的な運用実績を有しており、この実績によって顧客から得られる信頼が、当社の事業を支え、発展させる基盤になるものと考えています。当社は、今後ともより多くの顧客に信頼されるIT基盤の提供を通じて、当社の事業基盤を拡大、発展させていくことで、当社のステークホルダーの期待に応えることを経営方針にしています。当社は、独立社外取締役、独立社外監査役を選任し、これら独立役員を主要な構成員とする指名・報酬委員会を取締役会の下に設置し、経営監督機能の強化を進めています。また、当社の経営と事業の状況を理解するうえで有益な情報を公正かつ速やかに開示し、市場との対話を促進することで、経営の透明性を確保することを基本方針にしています。併せて、社員のコンプライアンス意識を高めるための教育を徹底し、総合的にコーポレート・ガバナンスの充実に努めています。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
【原則4-11 取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】
当社の取締役会は、主に当社の親会社に主要な業務経歴をもつ者2名と、当社に主要な業務経歴をもつ者2名及び独立社外取締役2名によって構成されています。当社は、国外に重要な事業や取引先がないこともあり、外国籍をもつ取締役はいません。また、女性の取締役もいません。しかし、現在の取締役会の構成と各取締役は、当社の事業に精通し、経営に必要な専門性を有する適任者を選任した結果であり、当社は、規模と実効性の確保について問題ないものと考えています。また、性別や国籍等によって取締役候補者を選別することはしていませんので、今後の事業展開によっては、日本人男性以外の人物が当社の取締役を務めることがあると考えられます。
<開示している主な原則>
【原則3-1 情報開示の充実】
(1)会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画
当社は、「次代の情報化社会の安全性と利便性を創出する」ことを経営理念に掲げており、それに則って、「高速、安全、高品質で利便性の高いIT基盤を提供する」事業を推進することによって企業価値を高め、社会に貢献することを経営方針に掲げています。当社は、クレジットカード決済や証券取引等のオンライン、リアルタイムのネットワーク接続技術を強みとしてシステム開発を行い、顧客企業に提供しています。こうしたシステムは、社会にとって必要不可欠なIT基盤(インフラストラクチャー)であり、システムの安定性を必須の条件として、高速かつ安全に取引を完遂するために、高い水準の品質が求められています。当社は、多くの開発実績と安定的な運用実績を有しており、この実績によって顧客から得られる信頼が、当社の事業を支え、発展させる基盤になるものと考えています。当社は、今後ともより多くの顧客に信頼されるIT基盤の提供を通じて、当社の事業基盤を拡大、発展させていくことで、当社のステークホルダーの期待に応えることを経営方針にしています。
【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
(方針)当社は、株主、投資家のみなさまをはじめ、すべてのステークホルダーに対して、当社の経営方針、事業戦略や財務情報に関する情報を、(1)正確であること(2)公平であること(3)タイムリーであること(4)わかり易いことを原則として、情報発信を行っています。また、開示資料、報告資料の英文翻訳を進めており、決算短信、四半期報告書、株主総会招集通知については、日本文による開示と同時に英語翻訳資料を開示しています。主要な適時開示資料についても、日本文資料に併せて英文資料を開示するほか、決算説明会資料も英訳し開示しています。機関投資家向け決算説明会を毎四半期実施しており、日本語と英語で作成された説明会の講演記録を開示しています。有価証券報告書については、翻訳作業に時間がかかるため、作業の完了後速やかに開示しています。投資家の関心が高いESG課題への当社の取組みについても、日本語と英語による報告書を作成して、当社ウェブサイト等で開示しています。