(2708)株式会社久世 コロナ禍の影響大きく減収

2021/07/29

 

久世 真也 社長

株式会社久世(2708)

 

 

企業情報

市場

JASDAQ

業種

卸売業(商業)

代表者

久世 真也

所在地

東京都豊島区東池袋2-29-7

決算月

3月

HP

https://www.kuze.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

710円

3,701,382株

2,627百万円

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

944.79円

0.8倍

*株価は7/16終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2018年3月(実)

62,865

429

545

415

112.20

12.00

2019年3月(実)

66,006

223

372

209

56.67

12.00

2020年3月(実)

64,356

-55

69

-290

-78.55

6.00

2021年3月(実)

37,854

-2,336

-2,076

-1,861

-502.79

0.00

2022年3月(予)

未定

未定

未定

未定

未定

未定

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。

 

(株)久世の2021年3月期決算の概要と2022年3月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年3月期決算概要
3.2022年3月期業績予想
4.中期経営計画
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 21/3期は前期比41.2%の減収、23.3億円の営業損失(前期は55百万円の営業損失)。外食・中食市場では、特に外食市場について感染症拡大防止を目的に飲食店の皆様をはじめとした「人が集まる業態」に対する休業や時短要請が長期化し、顧客の経営や運営に大きな影響が出た。四半期ベースでは最も厳しかったのが1Q。2Q、3Qと回復したものの、4Qは緊急事態宣言再発令の影響を受けた。

     

  • 22/3期の業績予想については、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を現段階において算定することが困難なことから未定とした。業績予想の開示が可能となった時点で速やかに公表する方針。新たな中期計画を掲げた。24/3期に売上高610億円、営業利益8.4億円を目指す。収益改善、業務改善を進めるとともに、販売先拡大に向けたプラスオン戦略、加えてEC戦略、DX化推進、海外事業拡大といった成長戦略も打ち出している。

     

  • 同社は大都市圏に強みを持つだけに、コロナ禍の影響が大きかった。2Q、3Qは盛り返し、営業損失抑えられたたものの、4Qは緊急事態宣言の再発令の影響を受けた形となった。22/3期会社予想は未定だが、5月に3回目の緊急事態宣言が発令されておりスタートの苦戦はやむを得ないだろう。ただし、時を同じくしてワクチン接種が急速に進んでいる。下期には相当の改善が見込めそうだ。第5次中期計画では、効率化を進めるとともに販路の拡大も進める考え。DX化やEC戦略も進めながら、コロナ禍後には収益体質は強靭化されていることだろう。中期計画達成を前提とすれば、EPSは130円程度が想定される。PBRは1倍を大きく割り込んでおり、中期計画に掲げる利益水準も加味すると株価の割安感は強い。

     

1.会社概要

外食産業や中食産業向けの食材卸を中心に、グループで食材の製造・販売を手掛けている。取扱品目は約40,000アイテムに上り、冷凍・常温品はもちろん生鮮品から消耗品等のノンフードまで幅広い。グループは、同社の他、ソース・スープ類の製造・販売を手掛けるキスコフーズ(株)、ニュージーランドでソース類の製造を手掛けるキスコフーズ・インターナショナル・リミテッド、生鮮野菜など農産品の仕入・販売を行う(株)久世フレッシュ・ワン、豊洲市場に基盤を持つ水産物仲卸大手の旭水産(株)、海外子会社・関連会社向け金融と情報収集の役割を担う久世(香港)有限公司、及び中国で業務用食材卸を手掛ける上海日生食品物流有限公司の連結子会社6社、水産物売買業の豊洲フーズ(株)及び中国で業務用食材卸売事業を手掛ける久華世(成都)商貿有限公司の非連結子会社2社。また、中京地区強化の一環として同地区に6,000店の取引先を有する酒類販売大手(株)サカツコーポレーションと、首都圏で病院・老人福祉施設向けの食材販売に強みを持つ東京中央食品(株)と、それぞれ業務提携をしている。さらに、2019年4月に業務用卸売協業体である日本外食流通サービス協会(JFSA)に加盟し、全国各地域の同業者と購買等で協業体制を構築していくこととした。

 

【経営理念とC&G活動の取組み】

「フードサービス・ソリューション・カンパニー」として「頼れる食のパートナー」を目指し、次の経営理念を掲げている。
私達は、明るい信頼される会社にします。
私達は、お客様の立場に立ち、最高の商品とサービスを提供します。
私達は、絶えず革新に挑戦し、たくましい会社にします。
私達は、お客様、お取引先の繁栄と株主、社員の幸福に貢献します。
私達は、そのために会社の成長と発展を果たします。

1-1 事業内容

事業は、食材卸売事業、食材製造事業、及びグループ会社向けが大半を占める不動産賃貸事業に分かれ、21/3期の売上構成比(連結調整前)は、それぞれ、89.2%、10.4%、0.4%。

 

食材卸売事業
業務用食材全般に加え、割りばし、テイクアウト容器、洗剤といった消耗品等のノンフードまでを幅広くカバーし、取扱品目は約40,000アイテムを数える。近年、プライベートブランド(PB)商品や生鮮三品の取扱いにも力を入れている。

 

食材製造事業
連結子会社キスコフーズ(株)が食品製造工場を有し、ソース、ブイヨン、スープ及び調理食品等の自社ブランド製品及びOEM製品の製造・販売を行っており、その子会社(久世の孫会社)キスコフーズ インターナショナル リミテッド(KISCO FOODS INTERNATIONAL LIMITED)が、ニュージーランド・クライストチャーチ市において、オリジナルのフォンドヴォー(仔牛骨、牛肉、野菜等を原料としたソース)やベシャメルソース(バターと小麦粉を原料としたホワイトソース)の製造を行っている。

 

1-2 フードサービスソリューションカンパニーを標榜-システムで 運ぶ、つくる、考える 頼れる食のパートナー-

同社は 「頼れる食のパートナー」 として、顧客へ様々な情報を提供し、顧客と共に、納品の方法、店舗経営、商品開発等について考え、問題の解決に取り組んでいる。目指すところは、「運ぶ」、「つくる」、「考える」それぞれの機能を総合的に組み合わせ、より高い付加価値を生み出す提案営業重視の「フードサービス・ソリューション・カンパニー」である。

 

運ぶ多様な要望に応える事の難しさ
同社においては「個店向け配送」と「チェーン店向け配送」の2通りがあり、「個店向け配送」は、幅広い品揃えで様々な業態(洋食、和食、中華、ホテル、居酒屋、バル、カフェ、病院、商業施設等)に対応し、自社の物流センターから配送。一方、「チェーン店向け配送」はチェーン店独自の品揃えに対応し、自社の物流センターと外部倉庫を利用した久世全国ネットワーク(KZN)の併用で、北海道から九州まで全国にチェーン展開している顧客に食材を届けている。

 

 

個店向け配送

 

チェーン店向け配送

 

 

 

「運ぶ」(配送)は食材専門商社としての根幹に関わる業務だが、時間指定、配送頻度、納品場所等、多様な要望に応えつつ、しっかりと収益管理していく事は実に難しい。昨今の店舗運営は生産性の向上を迫られる一方、労務管理に対する指導が強化されているため、店着時間がピンポイントで指定される事が多く、これに対応しようとすると物流コストが跳ね上がる。このため、納入価格、物流フィー、店着時間を総合的に勘案して取引条件を決める必要があり、オペレーションの難易度が上がっている。

 

つくる食材専門商社の枠を超えた事業展開で収益力の強化と顧客満足度の向上を両立
厨房での手間やコスト削減を念頭に新しいメニューやプライベート(PB)商品を開発し、顧客のニーズに合った商品提供を行っている。

 

考える情報提供で顧客のビジネスを側面から支援
「顧客ニーズ」、「メニュートレンド」、「メニューの差別化」等を基本にオリジナルメニューの開発やムリ・ムダのない調理オペレーションの提案、更には同社の商品を使用したメニューレシピやトレンド情報の提供等、日々の顧客支援に加え、プロ向け展示会「FOODSERVICE SOLUTION」の定期開催で「食のヒントとなる情報」の発信も行っている。2020年はコロナ感染症拡大防止の観点から、初めてWEB展示会を開催した。

 

品質管理商品はもちろん、営業、物流、受発注等のサポート部門を含め、全ての業務で品質向上を推進
1981年に社内に品質管理部門を設け、取引先の品質に関する要望や問い合わせに対し、迅速に対応できる体制を構築しており、細菌検査、生産委託先工場の製造管理、商品規格書の作成・提供、物流センター、各営業拠点の衛生管理チェック等を実施している。また、2010年に「久世グループ品質方針」及びISO22000に基づいた久世グループの品質保証の仕組みである「久世クオス(久世QUALITY SYSTEM)」を策定し、新しい品質への取組みをスタート。13年4月には、キスコフーズ(株)が、同年8月には同社と久世フレッシュ・ワンが、それぞれISO22000の認証を取得した。また、2019年10月には(株)旭水産がFSSC22000の認証を取得している。商品の品質だけでなく、営業、物流、受発注等のサポート部門を含め、全ての業務の品質の向上を推進し、「お客様満足度No.1」を目指している。

 

1-3 食産業のマーケット

食産業のマーケットは約70兆円とされおり、内訳は、内食が約35兆円、中食が約10兆円、外食が約25兆円。このうち、同社が関与するのは、中食及び外食だが、女性の社会進出や単身世帯の増加等の社会環境の変化に伴い、人口が減少する中でも、外食市場は堅調に推移しており、中食市場は軽減税率導入の影響もあり、2017年に10兆円を超えるなど、成長が続いている。

 

外食産業市場規模と食の外部化率
1997年に外食市場は約29兆円とピークを迎え、2011年には23兆円を下回ったが、2015年には再び25兆円を超えた。2019年まで、この水準を維持していたが、2020年は新型コロナウイルスの影響で市場の縮小は避けられない見通し。ただ、中食需要拡大を追い風に、「食の外部化」は進んでおり、2019年は43.1%に達している。

 

(公益財団法人 食の安心・安全財団データを元にインベストメントブリッジ作成)

 

2.2021年3月期決算概要

2-1 連結業績

 

20/3期 

構成比

21/3期 

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

64,356

100.0%

37,854

100.0%

-41.2%

40,500

-6.5%

売上総利益

13,166

20.5%

7,864

20.8%

-40.3%

販管費

13,222

20.5%

10,200

26.9%

-22.8%

営業利益

-55

-2,336

-2,200

経常利益

69

0.1%

-2,076

-2,000

親会社株主帰属利益

-290

-1,861

-2,100

* 単位:百万円

 

前期比41.2%の減収、23.3億円の営業損失(前期は55百万円の損失)
外食・中食市場では、特に外食市場について感染症拡大防止を目的に飲食店の皆様をはじめとした「人が集まる業態」に対する休業や時短要請が長期化し、顧客の経営や運営に大きな影響が出た。

 

こうした中、引き続き事業ミッションである「頼れる食のパートナー」としての役割を全うすべく尽力した。また、中期経営計画の最終年度として、危機をチャンスに事業存続を図るため、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による収益構造の立て直しを図りつつ、サービスの維持継続と未来の創造に向け一丸で取り組んだ。

 

物流面では、庫内業務の内製化やセンターの統廃合、配送効率の向上や不採算ルートの見直し、在庫への対応などの施策を推進した。営業面では、既存業態の深耕を図り、テイクアウトやデリバリー、中食・惣菜、ヘルスケア、セントラルキッチンや郊外型飲食店の顧客など、コロナ後の社会変化を見据えた新規開拓を推進した。また、従来より開拓を推進してきた経済活動の回復が早い海外への輸出を強化してきた。商品面では、商品集約による在庫の効率化や、優位性のある商品や定番商品を提案すべくセールスバイヤー部を立ち上げ、単品毎の配荷件数増加を目的にプラスオン戦略を推進した。また、時代変化に対応すべくウェブ展示会を開催しDX化を推進するとともに、グループシナジーを強化し。さらには、スマホ対応型受注システムの導入、そして「ECで売るECに売る」をテーマに同社インフラを活用したEC物流受託業務を開始した。

 

こうした取り組みにより、上期との比較では3Qは業績に若干の回復が見られた。しかし4Qに入り、1月7日に発出された第2次緊急事態宣言が3月21日まで続き、再び大きな活動自粛を強いられ、業績にも再び大きな影響を受けた。

 

四半期毎には売上高が57.2(1Q)→104.3(2Q)→125.6(3Q)→91.2(4Q)億円、同期間の営業損益は-12.5→-4.0→-0.3→-6.4億円。最初に緊急事態宣言が発出された1Qが最も厳しく、2Q、3Qと改善したものの、4Qは再び緊急事態宣言が発出されて苦戦した。ただし、1Qとの比較では大きく改善しており、緊急事態宣言の影響も小さくはなっている。

 

2-2 セグメント別動向

 

20/3期

構成比

21/3期

構成比

前期比

食材卸売事業

59,453

92.2%

33,915

89.2%

-43.0%

食材製造事業

4,924

7.6%

3,951

10.4%

-19.7%

不動産賃貸事業

140

0.2%

139

0.4%

-0.7%

調整額

-161

-151

 

 

連結売上高

64,356

100.0%

37,854

100.0%

-41.2%

食材卸売事業

350

37.6%

-1,604

食材製造事業

477

51.2%

89

-81.2%

不動産賃貸事業

103

11.1%

84

-18.1%

調整額

-985

-905

連結営業利益

-55

-2,336

* 単位:百万円

 

食材卸売事業
売上高339.1億円(前期比43.0%減)、セグメント損失(営業損失)16.0億円(前期は3.5億円の利益)。新型コロナウイルス感染症の影響を受けにくい中食・惣菜、老健施設などの深耕・開拓を進めるとともに、センターの統廃合など物流関係費用をはじめとする各種経費の削減を行い、損失抑制に努めた。

 

食材製造事業
売上高39.5億円(前期比19.7%減)、セグメント利益(営業利益)89百万円(前期比81.2%減)。当事業は主に連結子会社キスコフーズ(株)の事業領域である。新型コロナウイルス感染症拡大に伴うホテル・宴会場向け売上の落ち込みを、中食・惣菜、通販向け売上でカバーすべく取り組んだ。

 

2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

20年3月

21年3月

 

20年3月

21年3月

現預金

3,689

4,381

仕入債務

7,232

5,456

売上債権

5,039

4,576

短期有利子負債

1,734

4,872

たな卸資産

2,593

2,382

流動負債

10,619

11,552

流動資産

11,892

11,873

長期有利子負債

1,207

2,056

有形固定資産

2,417

2,454

固定負債

2,106

2,895

無形固定資産

476

475

純資産

5,335

3,497

投資 その他

3,273

3,140

負債・純資産合計

18,060

17,944

固定資産

6,167

6,070

有利子負債合計

2,941

6,928

* 単位:百万円

 

21/3期末の総資産は前期末との比較で1.1億円減の179.4億円。この主な要因は、現預金が6.9億円増加し、受取手形及び売掛金が4.6億円、商品及び製品が2.4億円、投資有価証券が1.5億円減少したこと等によるもの。負債は、前期末との比較で17.2億円増加し、144.4億円となった。この主な要因は、支払手形及び買掛金が17.7億円減少し、短期借入金が28.6億円、長期借入金が8.4億円増加したこと等によるもの。純資産は前期末との比較で18.3億円減少し、34.9億円となった。この主な要因は、利益剰余金が18.8億円減少したこと等によるもの。
自己資本比率19.5%(前期末29.5%)。

 

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

20/3期

21/3期

前期比

営業キャッシュ・フロー(A)

-1,141

-3,072

-1,931

投資キャッシュ・フロー(B)

-523

-88

+435

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

-1,664

-3,160

-1,496

財務キャッシュ・フロー

243

3,907

+3,664

1,507.8%

現金及び現金同等物期末残高

3,103

3,867

764

+24.6%

* 単位:百万円

 

営業CFは30.7億円の支出(前期は11.4億円の支出)となった。これは税金等調整前当期純損失が19.5億円、売上債権の減少額が4.6億円、仕入債務の減少額が17.8億円であったことが主たる要因。
投資CFは88百万円の支出(前期は5.2億円の支出)となった。これは、有形固定資産の取得による支出が2.8億円、投資有価証券の売却による収入が2.6億円であったことが主たる要因。
財務CFは39.7億円の収入(前期は2.4億円の収入)となった。これは、長期借入金の返済による支出17.3億円、短期借入金の増加額が28.6億円、長期借入による収入が28.6億円であったことが主たる要因。

 

 

3.2022年3月期業績予想

3-1 通期連結業績

 

21/3期 実績

構成比

22/3期 予想

構成比

前期比

売上高

37,854

100.0%

未定

営業利益

-2,336

未定

経常利益

-2,076

未定

親会社株主帰属利益

-1,861

未定

* 単位:百万円

 

22/3期予想は未定
今後の見通しについては、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が国内外の経済に大きな影響を及ぼしている。日本国内においても感染者が増加しており、政府の緊急事態宣言の発出により、外食店を中心に多くの業態に休業要請が出され、収束時期が見通せない状況となっている。このような状況により、22/3期の業績予想については、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を現段階において算定することが困難なことから未定とした。業績予想の開示が可能となった時点で速やかに公表する方針。

 

3-2 株主還元

株主優待制度として、株式保有数に応じて同社PB商品の特選無洗米(山形天童産)の新米を進呈しており、21/3期も昨年10月中旬頃発送した。この特選無洗米は、山形県天童市の契約農家が栽培している。
尚、22/3期の配当については未定としている。

 

 

4.中期経営計画

前中期計画総括

21/3期を最終年度とした第4次中期経営計画では、オリンピック開催に向け、首都圏を中心にエリアを強化し、観光・レジャー業態の拡大を推進。同時に、オリンピック後の変化を見据え、5つの機能強化を推進した。

5つの機能

①物流

②情報システム

③マーケティング

④海外

⑤グループシナジー

➢ エリア強化と、観光・レジャー業態の営業強化 主要顧客の物流を外部委託化

➢ 安定性と戦略強化に向け基幹システムの入替、価格改定システム開発

➢ JFSA加盟による商品力強化

➢ スマホアプリ開発、久世通信などを活用したマーケティング強化

➢ キスコフーズ、旭水産における輸出事業の拡大

➢ 中国での卸売事業の拡大

➢ 老健施設向けの食材卸会社である東京中央食品との業務提携

 

しかし、20年2月以降、新型コロナウイルス感染症拡大に対応し、急激な業績改善と機能強化のスピードアップが急務となった。2年目20/3期には2月以降2ヶ月、21/3期は年を通じて新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けた。

 

長期ビジョン・あるべき姿

『頼れる食のパートナー』
第5次3ヶ年中期経営計画テーマ

One(ワン) Team(チーム) 100(ハンドレッド)

~事業構造改革への挑戦~

100周年へ向けて

(同社資料より)

 

第5次3ヶ年中期経営計画

改善施策

➢ 収益改善損益分岐点低減に向け、庫内業務の内製化、配送センターの統廃合、配送の効率化を推進

➢ 業務改善あらゆる業務の効率化と環境改善

 

プラスオン戦略
➢ コロナに影響を受けにくい業態開拓(5つの業態強化)テイクアウト・デリバリー/中食・惣菜/ヘルスケア/セントラルキッチン/リージョナルチェーン
➢ 定番品の商品力強化と配荷件数増加魅力ある品揃えによるインストアシェアの拡大
➢ 売れる仕組みの構築商品政策と販売政策の連携による素材・汎用品を強化

 

成長戦略
➢ EC戦略「ECで売るECに売る」をテーマに物流受託業務の拡大、国内・越境EC事業の推進
➢ DX化推進ウェブ展示会やスマホ対応型受注システムなどを活用したDX化の推進
➢ 海外事業輸出事業、中国事業、製造事業の強化
➢ グループシナジー卸売事業、製造事業、生鮮事業、海外事業の連携強化による独自性の発揮

 

第5次3ヶ年中期経営計画 【数値目標】

➢ 最終年度24/3期に売上高610億円、営業利益8.4億円を目指す

 

(同社資料より)

 

SDGsの取り組み

➢ 【食品ロス削減】【教育・福祉】【環境への対応】での取り組みを実施
➢ 本社所在地の豊島区は「自治体SDGsモデル事業」に選定されており、ともに地域貢献へ

 

(同社資料より)

 

 

5.今後の注目点

同社は、首都圏を中心に、中部圏、関西圏に強みを持つだけに、コロナ禍の影響が大きかった。2Q(7-9月)、及び書き入れ時でもある3Q(10-12月)は盛り返し、営業損失は31百万円に抑えたものの、4Q(1-3月)は緊急事態宣言の再発令の影響を受けた形となった。22/3期会社予想は未定だが、5月に3回目の緊急事態宣言が発令されておりスタートの苦戦はやむを得ないだろう。ただし、時を同じくしてワクチン接種が急速に進んでいる。下期には相当の改善が見込めそうだ。
第5次中期計画を発表した。効率化を進めるとともに販路の拡大も進める考え。DX化やEC戦略も進めながら、コロナ禍後には収益体質は強靭化されていることだろう。中期計画達成を前提とすれば、EPSは130円程度が想定される。PBRは1倍を大きく割り込んでおり、中期計画に掲げる利益水準も加味すると株価の割安感は強い。新型コロナ収束が見えてくれば、業績の回復に伴い大きく見直されそうだ。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

5名、うち社外1名

監査役

3名、うち社外2名

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2020年6月24日)

 

基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスの考え方は、経営理念を基本としております。

経営理念

私達は、明るい信頼される会社にします。

私達は、お客様の立場に立ち、最高の商品とサービスを提供します。

私達は、絶えず革新に挑戦し、たくましい会社にします。

私達は、お客様、お取引先の繁栄と株主、社員の幸福に貢献します。

私達は、そのために会社の成長と発展を果たします。

 

これらの考え方に基づき、当社は企業目的を達成し、企業価値を向上させるために経営の有効性と効率化を高め、変化する経営環境に対して迅速な意思決定や、意思決定に基づく機動性の向上を図っていく必要があると考えております。また、経営の健全性を高めるために、経営の監視機能として、内部統制システム構築による自主点検と内部監査による法令遵守(コンプライアンス)チェックがますます重要性を増してきていると認識しております。その上で、安定的な企業活動を継続していくために、コーポレート・ガバナンスの強化を図ってまいります。

 

<実施しない原則とその理由>
【基本原則1 株主の権利の平等性の確保】
当社は常に株主の権利が実質的に確保されるように適切に対応していくとともに、株主総会の集中日を避けての実施や、情報の適宜開示により株主がその権利を適切に行使できる環境作りに努めております。今後もこの考え方に則り、株主総会招集通知の早期発送やWEB開示の検討を進めるとともに、少数株主にも配慮して株主の実質的な平等性の確保を図ってまいります。

 

【基本原則2 株主以外のステークホルダーとの適切な協働】
当社には「経営理念」、社員の行動基準である「KUZE WAY」、「食品安全方針」とグループの品質保証の仕組み「久世クオス」があり、これらの考え方をベースに様々なステークホルダーの要望に応えるべく活動しております。当社取締役会は、当社の活動が経営理念をはじめとするこれらの考え方に合致しているかを監督し、それが実践されるような企業文化を形成するよう代表取締役を中心に対応しております。

 

【基本原則3 適切な情報開示と透明性の確保】
当社は情報開示担当役員責任の下、経営企画室が中心となって決算情報・経営戦略・経営課題あるいはリスクやガバナンスの状況、報告のための決算説明会や個人投資家説明会を実施しており、非財務情報については当社WEBサイトを通じて積極的に提供するよう努めております。当社取締役会は、こうした情報提供が受け手であるステークホルダーの皆様にとって有益・有用であるよう監督・指導にあたります。
【基本原則4 取締役会等の責務】
当社では取締役会は株主の為に諸施策を示し実行していく最高機関と考えております。当社は業務執行の意思決定の妥当性および適正性を確保し、取締役会が有効に機能するよう独立性を有する社外取締役が取締役会に出席しております。さらに経営監視機能の強化を図るため、社内監査役1名と社外監査役2名の計3名体制で監査役会を組織して監査役相互の情報交換を緊密にするとともに、監査役も取締役会に出席し適宜、意見の表明を行っており、健全性かつ透明性の高い経営を維持する体制になっております。

 

【基本原則5 株主との対話】
当社では株主総会の場以外でも株主との対話の場は必要と考えております。そこで、個人投資家説明会や個別ミーティング等を通じ投資家とのコミュニケーションづくりにも取り組んでおりますが、特定のステークホルダーとの対話については、その都度状況に応じて合理的な配慮の中で対応してまいります。

株式会社インベストメントブリッジ
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