(9423)株式会社フォーバル・リアルストレート サービス成長 8期連続の増益へ
吉田 浩司 社長 |
株式会社フォーバル・リアルストレート(9423) |
|
企業情報
市場 |
東証JASDAQ |
業種 |
情報・通信 |
代表取締役社長 |
吉田 浩司 |
所在地 |
東京都千代田区神田神保町3-23-2 錦明ビル |
決算月 |
3月 |
HP |
株式情報
株価 |
発行済株式数 |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
100円 |
23,689,800株 |
2,368百万円 |
29.7% |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
2.00円 |
2.0% |
2.53円 |
39.5倍 |
16.77円 |
6.0倍 |
*株価は6/9終値。各数値は21年3月期決算短信より。
業績推移
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期純利益 |
EPS |
DPS |
2018年3月(実) |
1,281 |
56 |
56 |
68 |
2.93 |
1.20 |
2019年3月(実) |
1,517 |
68 |
68 |
100 |
4.29 |
1.40 |
2020年3月(実) |
1,752 |
78 |
78 |
61 |
2.61 |
1.60 |
2021年3月(実) |
1,901 |
85 |
86 |
103 |
4.36 |
1.80 |
2022年3月(予) |
– |
100 |
100 |
60 |
2.53 |
2.00 |
*単位:円、百万円。予想は会社予想。売上高の予想は未定。2021年3月期まで連結。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
2022年3月期より非連結。
フォーバル・リアルストレートの2021年3月期決算概要、今後の取り組み等についてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2021年3月期決算概要
3.2022年3月期業績予想
4.主な取り組み
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>
今回のポイント
- 21年3月期の売上高は前期比8.5%増の19億1百万円(21年3月期から非連結決算へ移行。前期比は連結決算であった20年3月期との比較数値で、株式会社インベストメントブリッジが計算。以下同様)。引き続き顧客企業の移転時における、不動産物件の仲介から内装工事、各種インフラの整備やオフィス機器・什器の手配までをトータルにサポートするソリューション事業を中心に事業活動を進めた。売上の内訳は、不動産仲介等の売上高が同28.8%増の1億94百万円、内装工事及びそれに付随するサービスに関する売上高が同6.6%増の17億7百万円。利益面では、粗利額が同8.0%増加。人件費中心に販管費も同7.9%増加したがこれを吸収し、営業利益は同9.2%増の85百万円となった。完全子会社である株式会社FRSファシリティーズの吸収合併に伴う抱合せ株式消滅差益33百万円を特別利益に計上したため、当期純利益は同68.7%増の1億3百万円。期初に予想した利益を上回っての着地となった。配当は従来予想から0.20円/株増配の1.80円/株とした。配当性向は41.3%。
- 22年3月期の営業利益、経常利益ともに前期比2ケタ増益の1億円の予想。8期連続の増益を見込んでいる。新型コロナウイルスの影響は、今後の動向が不透明であり算定が極めて困難なことから、業績予想には織り込んでいないが、大きな影響はないと見ている。配当は、0.20円/株増配の2.00円/株を予定している。予想配当性向は79.0%。
- 空室率の上昇、賃料の低下は不動産仲介ビジネスにとっては決して好ましい状況ではないものの、現時点では同社の業績に大きな影響は無いようだ。不動産仲介で入った顧客先に、内装やオフィス機器の提供・メンテナンスなどきめ細かくフォローすることで継続的に案件を受注するという同社ビジネスの特長が発揮されているといえよう。
- 東京からの企業転出増、リモートワークの普及によるオフィス面積の縮小・空室率上昇が構造的なものとなっていく場合はマイナス材料とはなるが、それをカバーするべく、内装工事及びそれに付随するサービスの成長性をさらに高めるための施策や、不動産仲介における生産性向上のための取り組みなどを引き続き注目していきたい。
1.会社概要
【1-1 事業内容】
「私たちはつねに経営視点でオフィスの成長ストーリーを描き実現するための方法をご提案することでお客様の成長に伴走していきます。」という考えの下、企業のオフィス移転をトータルにサポート。
不動産仲介(物件探し)から、内装・レイアウト設計、ネットワーク環境やOA 環境構築、オフィス機器・什器の手配、引越手配、更には旧オフィスの退去計画までを一貫してサポートしている。
(同社資料より)
【1-2 事業セグメント】
セグメントはソリューション事業の単一セグメント。
売上高は不動産仲介等の売上高および内装工事及びそれに付随するサービスに関する売上高の2つで構成されている。
【1-3 ビジネスモデルと強み】
・不動産情報をドアノックツールとしてオフィス移転需要を掘り起こし、その際に発生するコンサルティングを含めた、内装工事、OA・ネットワーク機器の更新、各種サービスの取次、更には旧オフィスの原状回復等の需要を取り込んでいく。
・通常、不動産仲介を行った顧客とは仲介時限りの取引関係となってしまうのに対し、OA・ネットワーク機器の新規導入や定期的な更新の提案などを行う同社は、仲介後もそうした顧客基盤をベースにストック型収益を上げることが可能である。また、そうした顧客接点を通じて顧客企業の増床・移転ニーズを他社に先駆けて吸い上げることもできる。
・需要の掘り起こしはWeb サイトを中心に、電話によるアウトバンドの営業も展開。引き合いがあれば、営業担当者にIT コンサルタントが同行して、不動産仲介物件だけでなく、オフィス移転後のIT コンサル、内装、各種サービスの取次、引っ越し、退去後の原状回復等の提案を行う。
・オフィスの移転には、通常、不動産会社、運送会社、内装工事会社、更には旧オフィスを管理する不動産会社(退去に伴う敷金の返金等で問題が生じる事が少なくない)等、多くの関係先と関わる必要があるが、同社と契約すれば、窓口を一本化でき、仮にトラブルが発生したとしても、同社が責任をもって対応する。
・不動産仲介の際に、引っ越し業者の紹介や取り次ぎをする不動産会社はあるが、内装工事やオフィス移転に際して更新する情報機器等に関するコンサルから手配・セッティングまで対応できる不動産会社はほとんどない。
・これまでは一人の営業社員が「不動産仲介」および「内装工事等」の両方を担当していたが、2019年3月期より担当をそれぞれに分けることとした。
顧客にとっては窓口が一つの方が利便性は高いという面はあるものの、効率的な成約件数増を図るとともに顧客との関係を深化させるためには担当制を導入し、それぞれの業務に特化することが適切であると判断した。
【1-4 ROE分析】
|
16/3期 |
17/3期 |
18/3期 |
19/3期 |
20/3期 |
21/3期 |
ROE(%) |
38.3 |
51.9 |
33.8 |
38.0 |
19.3 |
29.7 |
売上高当期純利益率(%) |
3.53 |
6.43 |
5.36 |
6.62 |
3.49 |
5.42 |
総資産回転率(回) |
3.32 |
3.14 |
2.76 |
2.66 |
2.59 |
2.65 |
レバレッジ(倍) |
3.27 |
2.57 |
2.29 |
2.16 |
2.14 |
2.07 |
21/3期のROEは上昇。20/3期の低下は法人税等調整額35百万円の計上により売上高当期純利益率が低下したため。基礎的な収益性には大きな変化はなく、引き続き高水準のROEが期待される。
2.2021年3月期決算概要
(1)連結業績
|
20/3期 |
構成比 |
21/3期 |
構成比 |
前期比 |
予想比 |
売上高 |
1,752 |
100.0% |
1,901 |
100.0% |
+8.5% |
– |
売上総利益 |
863 |
49.2% |
932 |
49.0% |
+8.0% |
– |
販管費 |
784 |
44.8% |
846 |
44.5% |
+7.9% |
– |
営業利益 |
78 |
4.5% |
85 |
4.5% |
+9.2% |
+0.7% |
経常利益 |
78 |
4.5% |
86 |
4.6% |
+10.8% |
+2.3% |
当期純利益 |
61 |
3.5% |
103 |
5.4% |
+68.7% |
+61.1% |
*単位:百万円。20/3期は連結、21/3期は非連結。前期比はインベストメントブリッジが計算した参考値。
7期連続の増収増益
(事業環境)
大手不動産会社の調べによると、東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷区)のオフィスビル市場においては、2021年3月末時点の平均空室率は5.42%と、前年同月比3.92%上昇。一方、東京都心5区の2021年3月末時点における平均賃料は21,541円/坪と前年同月比で1,053円(4.66%)低下した。
(業績概要)
売上高は前期比8.5%増の19億1百万円。引き続き顧客企業の移転時における、不動産物件の仲介から内装工事、各種インフラの整備やオフィス機器・什器の手配までをトータルにサポートするソリューション事業を中心に事業活動を進めた。
売上の内訳は、不動産仲介等の売上高が同28.8%増の1億94百万円、内装工事及びそれに付随するサービスに関する売上高が同6.6%増の17億7百万円。
利益面では、粗利額が同8.0%増加。人件費中心に販管費も同7.9%増加したがこれを吸収し、営業利益は同9.2%増の85百万円となった。
完全子会社である株式会社FRSファシリティーズの吸収合併に伴う抱合せ株式消滅差益33百万円を特別利益に計上したため、当期純利益は同68.7%増の1億3百万円。
期初に予想した利益を上回っての着地となった。
配当は従来予想から0.20円/株増配の1.80円/株とした。配当性向は41.3%。
(2)売上高の内訳
|
20/3期 |
21/3期 |
前期比 |
不動産仲介等 |
150 |
194 |
+28.8% |
内装工事及び付随サービス |
1,601 |
1,707 |
+6.6% |
*単位:百万円
◎不動産仲介
件数は前期を上回る。
同社では数年前より人員増を積極的に進めてきたが、比較的経験年数の少ないスタッフが小型物件を、経験豊富なスタッフが中大型物件を手掛ける営業戦略を推進している。スタッフの経験も蓄積され内容は一層良化しているということだ。
前述の通り、コロナ禍の影響で空室率は上昇し、家賃は低下傾向にあるが、以前からオフィスの引っ越しを検討していた企業にとって手頃な物件が出てきたり、リモートワークなど働き方の変化に合わせてオフィス面積の縮小を進めたりするなど、企業の動きが活発化しているという。
◎内装工事やOA機器・什器の販売
件数、単価とも前年並み。新型コロナウイルスの影響から、リモートワークに対応したセキュリティを中心とした機器の導入などが増加している。
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
◎主要BS
|
20年3月 |
21年3月 |
|
20年3月 |
21年3月 |
流動資産 |
642 |
868 |
流動負債 |
319 |
471 |
現預金 |
382 |
534 |
仕入債務 |
161 |
226 |
売上債権 |
240 |
305 |
負債合計 |
319 |
471 |
固定資産 |
57 |
41 |
純資産 |
380 |
438 |
投資その他の資産 |
48 |
31 |
利益剰余金 |
252 |
282 |
資産 |
700 |
909 |
負債純資産 |
700 |
909 |
*単位:百万円。20/3末は連結、21/3末は非連結。
自己資本比率は43.7%。
◎キャッシュ・フロー
|
20/3期 |
21/3期 |
増減 |
営業CF |
24 |
192 |
+168 |
投資CF |
-1 |
27 |
+28 |
フリーCF |
22 |
220 |
+197 |
財務CF |
-30 |
-13 |
+17 |
現金・現金同等物 |
382 |
534 |
+152 |
*単位:百万円。20/3期は連結、21/3期は非連結。増減はインベストメントブリッジが計算した参考値。
税引前当期純利益により営業CFおよびフリーCFは入超。
3.2022年3月期業績予想
◎業績予想
|
21/3期 |
22/3期(予) |
前期比 |
売上高 |
1,752 |
– |
– |
営業利益 |
78 |
100 |
+16.8% |
経常利益 |
78 |
100 |
+15.0% |
当期純利益 |
61 |
60 |
-41.8% |
*単位:百万円
8期連続の増益を予想。
営業利益、経常利益ともに前期比2ケタ増益の1億円の予想。8期連続の増益を見込んでいる。新型コロナウイルスの影響は、今後の動向が不透明であり算定が極めて困難なことから、業績予想には織り込んでいないが、大きな影響はないと見ている。
配当は、0.20円/株増配の2.00円/株を予定している。予想配当性向は79.0%。
◎不動産仲介
前述のように、家賃の低下で引っ越しを検討する企業が増加しているほか、テレワークの進展で既存オフィス面積の必要性について検討する企業も増えており、そうした動きは今期も取扱案件の増加につながると思われる。
一方で、オフィス面積の縮小は成約単価の低下に繋がる可能性もあるため、取扱件数拡大や生産性の向上に務めていく必要があり、既存顧客へのきめ細かいフォローなど、日頃の繋がりを重視した営業活動を展開していく。
◎内装工事及びそれに付随するサービス
テレワークを導入する企業が増加する中、最新のICT機器やセキュリティを始めとした仕組みの導入、一人用テレビ会議スペースやアクリルパネルの設置など感染防止を目的とした設備の充実、ソーシャルディスタンスを確保したオフィスレイアウトなど、既存ニーズの顕在化やこれまでになかったニーズの誕生など、同社にとってのビジネスチャンスが拡大している。
4.主な取り組み
持続的に売上、利益を拡大させるために引く続き以下のような取り組みを進めていく。
①人員の増強・育成
同社では着実な売上増のためには不動産仲介を担当する営業社員の増強が必要と考え、年間6名程度を目途に新卒社員の採用を続けており、2021年4月も6名の新卒社員が入社した。状況に応じて中途採用も行っているが、現在のところ新卒採用は順調に進んでいる。
前述のように、経験の浅い社員は小型物件、経験豊富な社員は中大型物件を手掛けることとした結果、成約件数は着実に増加しており、営業社員増強がこの成果に繋がっている。
また内装に係る設計部門においても内製化を進めている。外注は時間もコストもかかるため、フレキシブルかつスピーディーな対応のために良い人材がいれば採用を行っていく考えだ。
新型コロナウイルスの影響により不透明ではあるが、着実に人員増強を進めていくことを基本方針としている。
こうした人員増強に加え、一人一人の生産性向上に向けた取り組みも進めている。
可能な限り無駄を省き、好案件(大型、高利益率)に集中して時間をかけて取り組んで成約することを重視し、成約率を社内のKPIとして設定している。
著名・強力な競合先に勝つケースも出てきており、着実に育成は進んでいると会社側は考えている。
②WEBを中心とした集客強化・確実な顧客化
不動産仲介を伸長させるには集客数の増大およびその後の確実な顧客化が必要だが、この点でも様々な取り組みを進めている。
Web サイトを中心としたインバウンドにおいては掲載情報量に加え、近年は情報の質の高さも集客の重要な要素となっているため、写真や説明文章の制作については専門のカメラマンやライターを採用するケースを増やしている。
360度カメラを用いてWebサイト来訪者の関心を高めるといった工夫も行っている。
また、集客した見込み先の顧客化確率をアップさせるため、問い合わせ対応や物件情報の収集・整理を担う営業推進部を設置しており、役割分担を明確化することで、成約率向上を図っている。
③人材育成
最も重要な経営資源の一つ、人材の育成について積極的な投資を行っている。
資格手当、受験料の会社負担などのバックアップを行っている。
5.今後の注目点
空室率の上昇、賃料の低下は不動産仲介ビジネスにとっては決して好ましい状況ではないものの、現時点では同社の業績に大きな影響は無いようだ。不動産仲介で入った顧客先に、内装やオフィス機器の提供・メンテナンスなどきめ細かくフォローすることで継続的に案件を受注するという同社ビジネスの特長が発揮されているといえよう。
東京からの企業転出増、リモートワークの普及によるオフィス面積の縮小・空室率上昇が構造的なものとなっていく場合はマイナス材料とはなるが、それをカバーするべく、内装工事及びそれに付随するサービスの成長性をさらに高めるための施策や、不動産仲介における生産性向上のための取り組みなどを引き続き注目していきたい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態、取締役、監査役の構成
組織形態 |
監査役会設置会社 |
取締役 |
4名、うち社外0名 |
監査役 |
3名、うち社外2名 |
◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2020年6月30日
基本的な考え方
当社は、経営の透明性及び健全性の確保、向上に努めることは、企業の当然の責務であると認識しております。企業価値の向上と競争力強化のためには、常に組織の見直し及び職務権限の明確化を図り、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するよう取り組んでおります。また、意思決定の迅速化のために、取締役会の機能充実を図るとともに、監査役及び監査役会による監視、内部統制の体制についても強化しております。
<実施しない原則とその理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。