(6914)オプテックスグループ コロナ禍の需要を取込めるか注目

2020/11/26

 

 

 

小國 勇 代表取締役社長兼CEO

オプテックスグループ株式会社(6914)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

電気機器(製造業)

代表取締役社長兼CEO

小國 勇

所在地

滋賀県大津市におの浜4-7-5

決算月

12月

HP

https://www.optexgroup.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,707円

37,735,784株

64,414百万円

6.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

30.00円

1.8%

33.19円

51.4倍

891.06円

1.9倍

*株価は11/9終値。発行済株式数、DPS、EPSは2020年12月期第3四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年12月

31,027

3,015

3,086

1,809

54.67

22.50

2017年12月

37,504

4,885

5,036

3,386

97.63

27.50

2018年12月

40,113

4,989

5,038

3,775

104.85

30.00

2019年12月

37,517

2,856

2,876

2,197

60.02

32.50

2020年12月(予)

34,500

1,800

2,000

1,200

33.19

30.00

*当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。18年4月1日付で1:2の株式分割を実施。EPS、DPSは遡及修正。

 

オプテックスグループ株式会社の2020年12月期第3四半期決算概要などをお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年12月期第3四半期決算概要
3.2020年12月期業績予想
4.成長戦略
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 20年12月期第3四半期の売上高は前年同期比8.7%減の251億78百万円。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で経済活動が抑制された。全セグメント減収。国内事業は同8.9%減収の111億96百万円、海外事業は同8.7%減収の139億82百万円だった。第2四半期累計に比較すると、国内の減益幅は拡大した一方、海外は縮小した。営業利益は同32.2%減の12億66百万円。販管費は同5.9%減少したが、減収の影響を吸収できなかった。

     

  • 20年12月期通期業績予想に変更は無い。売上高は前期比8.0%減の345億円、営業利益は同37.0%減の18億円の予想。配当は普通配当ベースでは前期と同じく30.00円/株を予定。予想配当性向は90.4%。四半期ベースでは、第4四半期は第3四半期に対し海外が減収となる一方、国内が回復する。また、第3四半期比で、3セグメントとも増収。FA事業は対前年同期比でも増収となる見込みである。

     

  • 第4四半期(10‐12月)については、海外売上が一服する一方で、国内が底入れし、3セグメントとも第3四半期比増収で、全社でも順調な回復を見込んでいる。中でもFA事業はコロナ禍前の2019年12月期第4四半期比でも増収の予想である。

     

  • 一方、成長の牽引役であった屋外警戒用センサーを中心とした欧州事業は、第2四半期に大きく落ち込んだ後、第3四半期は急回復したが、現時点では第4四半期は再び低迷すると会社側は見ている。欧州では新型コロナウイルスの感染者が急拡大していることから、この点は今後ともリスクを意識せざるを得ないだろう。

     

  • ただ同社では今回のコロナ禍において、「防犯システムの重要性」「非接触ニーズの拡大」「外出自粛、在宅時間の増加」といった社会現象を、事業機会の拡大及び創出のチャンスと捉えて積極的に事業を展開する考えだ。今期および来期にかけ各需要を確実に取り込んでいけるかを注目していきたい。

     

1.会社概要

世界シェア40%を誇る屋外用防犯センサーや世界シェア30%・国内シェア50%の自動ドアセンサーを中心に、環境関連製品等の製造・販売も手掛けるオプテックス株式会社を中心とした持株会社。産業機器用センサー事業を手掛けるオプテックス・エフエー(株)、画像処理用LED照明事業で世界シェアトップのシーシーエス(株)、各種システム及びアプリケーション・デジタルコンテンツ開発等を得意とする(株)スリーエース、グループ製品の製造を担うオプテックス・エムエフジー(株)、光ファイバー侵入検知システムを手掛けるファイバーセンシス社(米国)、カメラ補助照明で50%の世界トップシェアを有するレイテック社(英国)等の有力子会社を有する。
2019年12月末現在、海外26社を含む世界80拠点で事業を展開している。

 

オプテックス(株)

防犯・自動ドア等、各種センサーの開発・販売

オプテックス・エフエー(株)

光電センサー、変位センサー、産業用画像検査・計測装置の開発、販売

シーシーエス(株) 

画像処理用LED照明装置やシステムの開発、製造、販売

(株)スリーエース

各種システム及びアプリケーション・デジタルコンテンツの開発

オプテックス・エムエフジー(株)

グループ製品の製造・電子機器受託生産サービス

ジックオプテックス(株)

汎用型光電センサーの開発、独SICK AG社とオプテックス・エフエー(株)の合弁会社

技研トラステム(株)

客数情報システム、来場者計数装置等の開発、製造、販売

(株)ジーニック

画像処理関連のIC、LSIの受託開発ならびにFAシステムの設計、販売

オーパルオプテックス(株)

会員制スポーツクラブおよび環境体験学習プログラムの運営

FIBER SENSYS INC.(米国)

光ファイバー侵入検知システム等の開発、製造、販売

FARSIGHT SECURITY SERVICES LTD.(英国)

遠隔画像監視による警備会社

RAYTEC LIMITED.(英国)

監視カメラ用補助照明の開発、製造、販売

Gardasoft Vision Limited(英国)

マシンビジョン用LED照明コントローラの開発、製造、販売

 

 

【1-1. 事業内容】

事業は、主力の防犯関連および自動ドア関連などからなる「SS(センシングソリューション)事業」、産業機器用センサーを手掛ける「FA(ファクトリーオートメーション)事業」、画像処理用LED照明装置及びシステムを提供する「MVL(マシンビジョンライティング)事業」、前期まではSS事業に含まれていた中国で電子機器受託生産サービスを提供する「EMS事業」、スポーツクラブ運営及びアプリケーション・デジタルコンテンツの開発を手掛ける「その他事業」に分かれる。

 

事業セグメント

事業内容

SS事業

防犯関連

主な製品は、屋内外で使われる各種センサー、ワイヤレスセキュリティシステム、LED照明制御システム等。屋外用センサーでは、世界でもトップクラスのシェアを有している。近年では、マイクロウエーブ技術を活用した車両検知センサーの開発にも取り組んでいる。

自動ドア関連

世界で初めて遠赤外線式自動ドア用センサーを開発した。

主な製品は、自動ドア開閉用センサー、工場向けシャッター用センサー、ワイヤレスタッチスイッチ等。

その他

水質計測機器、交通機器(安全運転支援ツール)、客数情報システム、画像処理関連等の開発・販売

FA事業

主な製品は、工場での生産ラインに使用される品質管理及び自動化のための光電センサー、変位センサー、画像センサー、LED照明等。国内では食品・医薬品業界を中心とした幅広い業界における生産ラインの品質管理に、海外では産業用センサーのトップシェアを誇るSICK AG社(独)との技術提携により、ヨーロッパ全域でOEM販売、自社ブランドでは国内・アジア・北米と幅広い地域で販売されている。

MVL事業

画像処理用LED照明事業で世界でもトップクラスのシェアを有している。周辺機器、ソフトウエア関連企業などと連携し、「ベストソリューション」を提供。

EMS関連

中国工場で展開する電子機器受託生産サービス

その他

スポーツクラブ運営、アプリケーション・デジタルコンテンツの開発

 

【1-2 .強みと特長:センシングに関する多様な技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズム】

確実で安定したセンシングの実現には、複数の要素技術とノウハウ、そして物理的変化を制御する「アルゴリズム」が不可欠。同社は用途に適した技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズムを強みに世界トップクラスのシェアを有している。

 

ノイズ対策技術

・数々のノイズを極小化するハードウエア設計

・独自に定めた幾多の環境評価を行ない、クリアしたもののみ製品化

緻密な光学設計

・光学シミュレーションを駆使し、抜けの無い高密度エリアを実現

・小型化を追求するためのパッケージング化技術

信頼性公的規格遵守

・あらゆるグローバルスタンダードに適合、及び準拠

・各業界で定めた規格、ガイドラインへの適合、及び準拠

(CEマーキング、EN規格[TUV認定]、ANSI規格、JIS規格等)

環境配慮設計

・使用制限物質15種、自主管理物質10種を定め、全構成部品の無害化を実現

・RoHS指令適合、無鉛はんだ化

・使用時のCO2の影響を最小化する設計

安心、安全制御

・システムの機能をダウンさせない為のセンサーの異常時や故障時の自己診断、及びフェールセーフ機能の採用

・機能を維持する為の、予防保全策の提案

独自のセンシングアルゴリズム

・ハードウエアで抑えきれないノイズの影響をカット、意図した事象のみの検出、精査、解析を図る為の独自のアルゴリズム

・フィールドでの性能を維持する為の各種自動補正機能

 

 

【1-3. 沿革】

1979年に設立され、その翌年には世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサーを開発した。当時の自動ドアはゴムマットの足踏み式が主流であり、遠赤外線利用の自動ドア用センサーは極めて画期的な製品。メンテナンスや施工対応力でも他社の追従を許さず、創業3年目には自動ドアセンサーでトップシェアを有するに至った(現在、国内シェア約50%)。業容の拡大を背景に91年に店頭登録(JASDAQ上場に相当)。2001年の東証2部上場を経て、03年には東証1部に指定替えとなった。
近年では、画像処理技術をコアとしたソリューションやハイエンド防犯システムの強化に取り組んでおり、08年に画像処理関連のIC・LSIの受託開発等を手掛ける(株)ジーニックを子会社化。10年には欧米各国の重要施設向けハイエンド防犯システム(光ファイバー侵入検知システム)で豊富な実績を持つファイバーセンシス社(米国)を、12年には大型重要施設に設置されるハイエンド防犯システム向けのカメラ補助照明を手がけるレイテック社(英国)を、それぞれ子会社化した。 また2016年5月には画像処理用LED照明で世界シェアNO.1のシーシーエス株式会社(6669、JASDAQ)を子会社化(18年7月に完全子会社化)した。次世代経営への移管やグループシナジーの追求を目指し、2017年1月1日付で持株会社体制へ移行した。

 

【1-4. ROE分析】

 

11/12期

12/12期

13/12期

14/12期

15/12期

16/12期

17/12期

18/12期

19/12期

ROE(%)

6.0

4.6

8.2

8.6

8.7

7.4

12.6

12.3

6.8

 売上高当期純利益率(%)

5.58

3.99

6.87

7.39

7.38

5.83

9.03

9.41

5.86

 総資産回転率(回)

0.85

0.91

0.92

0.89

0.91

0.91

0.95

0.95

0.86

 レバレッジ(倍)

1.27

1.28

1.30

1.31

1.30

1.41

1.48

1.38

1.35

 

ROEは「10%以上」を目標としており、来期をスタートとする中期経営計画最終年に10%以上への復活を目指している。

 

【1-5 ESGの取り組み】

多様なステークホルダーとの信頼関係構築が企業価値向上のために不可欠と考える同社は、ESG情報開示を更に充実させる必要があると考えウェブサイトに「ESG情報」( https://www.optexgroup.co.jp/esg/stakeholder.html )を掲載しているほか、(株)インベストメントブリッジを通じ「ESG Bridge Report」を発行した。
持続的な成長のためのマテリアリティを始めて特定したほか、今後の課題と取り組みにも言及している。
https://www.bridge-salon.jp/report_bridge/archives/2020/05/200512_6914.html

 

2.2020年12月期第3四半期決算概要

(1)業績概要

 

19/12期3Q

構成比

20/12期3Q

構成比

前年同期比

売上高

27,591

100.0%

25,178

100.0%

-8.7%

売上総利益

14,868

53.9%

13,495

53.6%

-9.2%

販管費

13,000

47.1%

12,228

48.6%

-5.9%

営業利益

1,868

6.8%

1,266

5.0%

-32.2%

経常利益

1,814

6.6%

1,343

5.3%

-26.0%

四半期純利益

1,355

4.9%

713

2.8%

-47.4%

 *単位:百万円。四半期純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益。以下、同様。

 

減収減益
売上高は前年同期比8.7%減の251億78百万円。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で経済活動が抑制された。FA事業はほぼ横這い、他セグメントは減収。国内事業は同8.9%減収の111億96百万円、海外事業は同8.7%減収の139億82百万円だった。第2四半期累計に比較すると、国内の減益幅は拡大した一方、海外は縮小した。
営業利益は同32.2%減の12億66百万円。販管費は同5.9%減少したが、減収の影響を吸収できなかった。

 

 

◎四半期動向

 

四半期ベースでは対前期比で増収増益。第1四半期に対し売上高で約9割、経常利益で約8割の水準まで回復した。

 

◎地域別動向

 

19/12期3Q

構成比

20/12期3Q

構成比

前年同期比

連結売上高

27,591

100.0%

25,178

100.0%

-8.7%

国内

12,285

44.5%

11,196

44.5%

-8.9%

海外

15,306

55.5%

13,982

55.5%

-8.7%

 米州

3,550

12.9%

3,205

12.7%

-9.7%

 欧州

8,482

30.7%

7,600

30.2%

-10.4%

 アジア

3,274

11.9%

3,177

12.6%

-3.0%

 

◎平均為替レート

 

19/12期3Q

20/12期3Q

米ドル

109.15円

107.59円

ユーロ

122.66円

120.90円

 

(2)セグメント別動向

 

①セグメント別売上高・利益動向

 

19/12期3Q

構成比

20/12期3Q

構成比

前年同期比

SS事業

14,518

52.6%

12,831

46.5%

-11.6%

FA事業

5,302

19.2%

5,294

19.2%

-0.2%

MVL事業

6,894

25.0%

6,403

25.4%

-7.1%

EMS事業

444

1.6%

299

1.2%

-32.7%

その他

430

1.6%

349

1.3%

-18.8%

連結売上高

27,591

100.0%

25,178

100.0%

-8.7%

SS事業

1,124

7.7%

712

5.5%

-36.7%

FA事業

424

8.0%

497

9.4%

+17.2%

MVL事業

387

5.6%

120

1.9%

-69.0%

EMS事業

-6

45

15.1%

その他

18

4.2%

-35

調整額

-80

-74

連結営業利益

1,868

6.8%

1,266

5.0%

-32.2%

*単位:百万円。営業利益の構成比は売上高利益率

 

FA事業の第3四半期(7-9月)売上高は前期比、前年同期比とも増収だった。

 

②セグメント・地域別動向

 

19/12期3Q

構成比

20/12期3Q

構成比

前年同期比

SS:防犯

9,686

100.0%

8,659

100.0%

-10.6%

日本

1,704

17.6%

1,613

18.6%

-5.3%

AMERICAs

1,972

20.4%

1,725

19.9%

-12.5%

EMEA

5,034

52.0%

4,387

50.7%

-12.9%

アジア

976

10.1%

934

10.8%

-4.3%

 

 

 

 

 

 

SS:自動ドア

3,272

100.0%

2,886

100.0%

-11.8%

日本

1,631

49.8%

1,492

51.7%

-8.5%

AMERICAs

878

26.8%

749

26.0%

-14.7%

EMEA

670

20.5%

558

19.3%

-16.7%

アジア

93

2.8%

87

3.0%

-6.5%

 

 

 

 

 

 

SS:その他

1,560

100.0%

1,287

100.0%

-17.5%

日本

1,356

86.9%

1,131

87.9%

-16.6%

AMERICAs

1

0.1%

0

0.0%

-100.0%

アジア

203

13.0%

156

12.1%

-23.2%

 

 

 

 

 

 

FA

5,303

100.0%

5,294

100.0%

-0.2%

日本

2,601

49.0%

2,462

46.5%

-5.3%

AMERICAs

81

1.5%

77

1.5%

-4.9%

EMEA

1,704

32.1%

1,691

31.9%

-0.8%

アジア

917

17.3%

1,064

20.1%

+16.0%

 

 

 

 

 

 

MVL

6,895

100.0%

6,403

100.0%

-7.1%

日本

4,367

63.3%

3,941

61.5%

-9.8%

AMERICAs

618

9.0%

654

10.2%

+5.8%

EMEA

1,074

15.6%

964

15.1%

-10.2%

アジア

836

12.1%

844

13.2%

+1.0%

 

 

 

 

 

 

EMS事業

444

100.0%

299

100.0%

-32.7%

日本

195

43.9%

207

69.2%

+6.2%

アジア・オセアニア

249

56.1%

92

30.8%

-63.1%

*単位:百万円。

 

◎SS事業
(防犯関連)
日本 :警備会社向けおよび大型重要施設向け屋外警戒用センサー販売が伸び悩み減収。
AMERICAs :コロナ禍における営業・販売・設置活動の制限により、大型重要施設向け案件が先送りとなり減収。
EMEA :コロナ禍における営業・販売・設置活動の制限により、南欧地域での一般住宅向け屋外警戒用センサーの販売が伸び悩み減収。
アジア :コロナ禍において中国・韓国での販売が伸び悩み減収。

 

(自動ドア関連)
日本 :小売業界の新規出店抑制が影響し、自動ドア用センサー販売が伸び悩み減収。
AMERICAs :コロナ禍の影響で北米大手顧客の営業・販売・設置活動が制限され大幅な減収
EMEA :コロナ禍の影響で欧州大手顧客の営業・販売・設置活動が制限され大幅な減収。

 

◎FA事業
日本 :食品業界向けに、画像センサーの販売が堅調に推移したものの、自動車関連業界での設備投資需要が伸び悩んだことにより減収。
EMEA :コロナ禍の影響による経済活動の抑制が緩和され、OEM先での販売が回復に転じ横這い。
アジア:中国の設備投資需要の増加により、変位センサー等の販売が順調に推移し大幅増収。

 

◎MVL照明事業
日本 :5G関連投資向けの販売が堅調に推移したものの、第2四半期以降の営業活動制限が影響し減収。
AMERICAs :第3四半期(7-9月)に経済活動の抑制が緩和され、5G関連投資向けの販売が順調に推移したことにより増収。
EMEA :コロナ禍の影響による第2四半期(4-6月)の経済活動抑制で減収。
アジア:中国経済が急回復し、半導体やスマートフォン関連投資が増加したことにより若干の増収。

 

(3)財政状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

19/12末

20/9末

 

19/12末

20/9末

流動資産

30,027

29,451

流動負債

8,066

7,834

現預金

12,396

12,944

仕入債務

1,754

1,706

売上債権

8,700

7,321

短期借入金

3,368

3,521

たな卸資産

7,217

7,258

固定負債

3,528

3,364

固定資産

13,939

13,529

長期借入金

433

397

有形固定資産

5,792

5,984

退職給付に係る負債

1,248

1,269

無形固定資産

3,829

3,620

負債

11,595

11,199

投資その他の資産

4,317

3,924

純資産

32,372

31,781

資産合計

43,967

42,980

負債・純資産合計

43,967

42,980

*単位:百万円

 

売上債権減などで資産合計は前年末比9億87百万円減少の429億80百万円。
負債合計は同3億96百万円減少の111億99百万円。
利益剰余金の減少、為替換算調整勘定のマイナス額拡大などで純資産は同5億91百万円減の317億81百万円。
自己資本比率は前期末比0.3ポイント上昇の73.5%。

 

(4)トピックス

◎国内初の自動ドアデータプラットフォームの提供を開始
2020年10月、オプテックス株式会社が自動ドアから得られるデータ(稼働情報、速度などの各種設定値、エラー情報)を提供できる自動ドアデータプラットフォームを、2021年1月より提供を開始すると発表した。

 

(開発の背景)
日本国内の自動ドアの安全規格として制定されている「JISA4722」は、メーカーをはじめとする関係各社が自動ドアの安全対策として取り組むべき内容が明確化され、CAN通信(※)を用いた機器同士の相互監視を行うなど、これまで以上の安全対策が要求されている。
また、自動ドアなどの保守・メンテナンス業務の効率化、予防保全によるリスクやコスト低減は、グローバルベースで課題となっている。

 

(自動ドアデータプラットフォームの概要)
こうした社会的なニーズに対応し、オプテックスでは、CAN通信を用いた自動ドアシステムにIoT技術を組み合わせ、データを伝送するゲートウェイ、設定アプリ、各種データ保存サーバーで構成された自動ドアデータプラットフォームを開発した。
収集したデータを活用することで、現場から離れた場所でも自動ドアの利用状況がリアルタイムに可視化でき、機器や設備の予防保全や保守サポートの効率化を図ることが可能であり、自動ドア本体やセンサーなどの接続機器の稼働状態、開閉回数などを取得し、リアルタイムに自動ドアの異常や故障を監視することができる国内初のデータサービスである。

 

(サービスの展開)
サービス展開の第一弾として、自動ドア装置の販売、施工、保守メンテナンスを行うフルテック株式会社(東証1部、6546)と共同開発した「遠隔モニタリングシステムによる自動ドア保守契約サービス」にこのデータプラットフォームを活用する。

 

各種自動ドアシステムから取得したデータをオプテックスのサーバーを介しフルテック社のサーバーに送信、そのデータを活用して故障、予兆、保全対応を行う。
現在、自動ドアは継続的な維持管理のために、定期的に担当者が現場に出向き確認・点検を行っているが、今回のシステムを導入することで、遠隔でリアルタイムに現場の状況が把握でき、効率的なメンテナンスを実現できる。

 

「JIS A 4722」においては、自動ドアを構成する要素の商品設計・製造・施工および自動ドアが安全に稼働しているかを運用管理者が保守点検する全行程が対象範囲となるが、オプテックスとフルテック両社の専門的知見を活かし、属人化していた監視・点検の暗黙知を形式知として可視化するデータを活用することにより、効率的かつ高水準な自動ドア保守サービス提供が可能となった。

 

今後3年間で累計3億円の販売を目標としている。

 

CAN通信(※):ISO(国際標準化機構)の規格に準拠した通信技術で、自動車をはじめとして医療機器やFA・産業機器など幅広い分野で採用されている。

 

◎産業用カメラの大手メーカーと画像検査用LED照明を共同開発
2020年10月、シーシーエス株式会社が、産業用カメラの大手メーカーであるBasler AG(本社:ドイツ)と共同開発した画像検査用LED照明「Basler Camera Light」を発売すると発表した。

 

(Basler AG概要)
1988年創業のコンピュータービジョン向けの高品質な画像処理機器を製造する世界的なリーディングカンパニー。
優れた信頼性とコストパフォーマンス、長い供給期間により、ファクトリーオートメーション、医療、輸送、物流、リテール、ロボットをはじめとする幅広い業界に貢献している。

 

(開発の背景)
画像検査システムを構築する場合、照明やカメラ、制御機器などのコンポーネントを統合し、それぞれ個別に設定を行うが、信号入力に、カメラと照明を同期させたり、カメラの露光時間や、照明の発光時間、調光を行ったりするなど、細かな設定が必要である。
その過程では複雑な計算や動作確認が必要となる場合が多く、特に欧米では、これらの工数の削減に対する要望が、多数寄せられていた。

 

(画像検査用LED照明「Basler Camera Light」の概要)
画像検査用LED照明「Basler Camera Light」はこうした課題を解決するもので、以下の特長を有している。

 

*システム設計の工数や費用の削減に貢献
「Basler Camera Light」はBasler社のカメラシリーズ向けに設計しており、カメラとLED照明の間の通信がケーブル一本で可能となり、Baslerカメラのソフトウエアを使って照明の設定を行うことができる。
また、カメラと照明用電源を共通化し、システム構築のための機器数を減らすことで、全体の費用抑制が可能である。

 

*画像検査に適した多様な照明ラインアップ
シーシーエスは、Basler社のカメラ向けに開発した画像検査用LED照明を、国内・海外で販売を開始する。
照明の形状は、バータイプ、リングタイプ、フラットタイプ、大型バータイプの4つで、発光色は赤・白・青をラインアップしており、ユーザーの検査環境に応じて選択することができる。これにより、ユーザーはシンプルかつスピーディーに画像処理検査をスタートさせることが可能である。

 

3.2020年12月期業績予想

(1)業績予想

 

19/12期

構成比

20/12期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

37,517

100.0%

34,500

100.0%

-8.0%

73.0%

営業利益

2,856

7.6%

1,800

5.2%

-37.0%

70.3%

経常利益

2,876

7.7%

2,000

5.8%

-30.5%

67.2%

当期純利益

2,197

5.9%

1,200

3.5%

-45.4%

59.4%

 *単位:百万円

 

業績予想に変更無し。減収減益、
業績予想に変更は無い。売上高は前期比8.0%減の345億円、営業利益は同37.0%減の18億円の予想。
配当は普通配当ベースでは前期と同じく30.00円/株を予定。予想配当性向は90.4%。

 

◎地域別動向

 

19/12期

構成比

20/12期(予)

構成比

前期比

進捗率

連結売上高

37,517

100.0%

34,500

100.0%

-8.0%

73.0%

国内

16,971

45.2%

16,000

46.4%

-5.7%

70.0%

海外

20,546

54.8%

18,500

53.6%

-10.0%

75.6%

 米州

4,766

12.7%

4,420

12.8%

-7.3%

72.5%

 欧州

11,333

30.2%

9,696

28.1%

-14.4%

78.4%

 アジア

4,447

11.9%

4,384

12.7%

-1.4%

72.5%

 

四半期別では、第4四半期は第3四半期に対し海外が減収となる一方、国内が回復する。

 

◎平均為替レート

 

19/12期

20/12期(予)

米ドル

109.05円

106.64円

ユーロ

122.07円

117.15円

 

(2)セグメント別動向

①セグメント別売上高・利益動向

 

19/12期

構成比

20/12期(予)

構成比

前期比

進捗率

SS事業

19,802

52.8%

17,454

50.6%

-11.9%

73.5%

FA事業

7,140

19.0%

7,250

21.0%

+1.5%

73.0%

MVL事業

9,449

25.2%

8,850

25.7%

-6.3%

72.4%

EMS事業

570

1.5%

419

1.2%

-26.5%

71.4%

その他

553

1.5%

527

1.5%

-4.7%

66.4%

連結売上高

37,517

100.0%

34,500

100.0%

-8.0%

73.0%

*単位:百万円。営業利益の構成比は売上高利益率

 

 

第4四半期は第3四半期比で、3セグメントとも増収。FA事業は対前年同期比でも増収となる見込みである。

 

 

②セグメント・地域別動向

 

19/12期

構成比

20/12期(予)

構成比

前期比

進捗率

SS:防犯

13,254

100%

11,494

100.0%

-13.3%

75.3%

日本

2,495

18.8%

2,506

21.8%

+0.4%

64.4%

AMERICAs

2,648

20.0%

2,459

21.4%

-7.1%

70.2%

EMEA

6,768

51,1%

5,267

45.8%

-22.2%

83.3%

アジア

1,343

10.1%

1,262

11.0%

-6.0%

74.0%

 

 

 

 

 

 

 

SS:自動ドア

4,439

100.0%

3,990

100.0%

-10.1%

72.3%

日本

2,267

51.1%

2,123

53.2%

-6.4%

70.3%

AMERICAs

1,159

26.1%

1,021

25.6%

-11.9%

73.4%

EMEA

878

19.8%

710

17.8%

-19.1%

78.6%

アジア

135

3.0%

136

3.4%

+0.7%

64.0%

 

 

 

 

 

 

 

SS:その他

2,110

100.0%

1,970

100.0%

-6.6%

65.3%

日本

1,840

87.2%

1,688

85.7%

-8.3%

67.0%

AMERICAs

2

0.1%

1

0.1%

-50.0%

0.0%

アジア

268

12.7%

281

14.3%

+4.9%

55.5%

 

 

 

 

 

 

 

FA

7,140

100.0%

7,250

100.0%

+1.5%

73.0%

日本

3,616

50.6%

3,448

47.6%

-4.6%

71.4%

AMERICAs

113

1.6%

134

1.8%

+18.6%

57.5%

EMEA

2,158

30.2%

2,319

32.0%

+7.5%

72.9%

アジア

1,253

17.5%

1,349

18.6%

+7.7%

78.9%

 

 

 

 

 

 

 

MVL

9,449

100.0%

8,850

100.0%

-6.3%

72.4%

日本

5,947

62.9%

5,491

62.0%

-7.7%

71.8%

AMERICAs

844

8.9%

805

9.1%

-4.6%

81.2%

EMEA

1,529

16.2%

1,400

15.8%

-8.4%

68.9%

アジア

1,129

11.9%

1,154

13.0%

+2.2%

73.1%

 

 

 

 

 

 

 

EMS事業

571

100.0%

419

100.0%

-26.6%

71.4%

日本

252

44.1%

217

51.8%

-13.9%

95.4%

アジア・オセアニア

319

55.9%

202

48.2%

-36.7%

45.5%

*単位:百万円。

 

4.成長戦略

同社では、今後の成長を目指すためには、各セグメントにおいて「モノ売り」から「コト売り」(=ソリューション提供)へのビジネスモデルの変革に挑戦することが必要であると考えている。
これに加え、今回のコロナ禍は各事業における事業機会の拡大や創出につながるものと捉えている。

 

(1)SS事業(防犯)

*今後予想される社会現象「治安の悪化」
*提供するソリューション:「画像確認ソリューション」
コロナ禍に伴う在宅勤務や営業自粛・短縮により不在の事業所、店舗を狙う犯罪件数が増加傾向にある。
アメリカ・ニューヨーク市警の2020年6月末時点の統計によれば、前年に比べ不法侵入が46%、自動車盗難が61%%増加したという。
防犯システムの重要性が再認識されており、同社ではコロナ禍の長期化が予想される欧米で誤報の少ない「画像確認ソリューション」の拡販に注力する。

 

オプテックスグループは、米州及び欧州で同システムを販売する独占的権利を有しており、商業施設・事務所、高級住宅などハイエンド層をターゲットに同システムを提供する。
防犯センサーやゲートウェイを始めとした単品売りだけではなく、システムの提供によるサブスクリプション型課金ビジネスを展開する。
低コストでの取り付けが可能で誤報の可能性の低い同システムはユーザー、モニタリング会社、警察を含むすべての関係者にメリットがあると考えており、WIN-WINなビジネスモデルの普及を目指していく。

 

(同社資料より)

 

(2)SS事業(自動ドア)

*今後予想される社会現象「非接触」
*提供するソリューション:「非接触型自動ドア」
エレベーターのボタン、照明ON・OFFスイッチ、タッチパネル、体温計など、生活のあらゆる場面で「タッチレス」ニーズが高まっている。

 

同社の自動ドア事業分野では現在、既存製品から、触る必要のない「クリーンスイッチ」や「光線式タッチレススイッチ」など、「非接触型」自動ドアへの切り替えを促進中である。
また、従来は手動ドアが用いられているシーンでは自動ドアへの切り替えが進んでおり、自動ドア用センサーの需要は確実に拡大すると見込んでいる。

 

(同社資料より)

 

(3)FA事業、MVL事業

*今後予想される社会現象「外出自粛、在宅時間の増加」
*提供するソリューション:「各製造業向け工場用センサー、画像検査照明のラインアップ拡充、ソリューション提案」
外出自粛やリモートワークの定着等で、在宅時間が増加し、中食(惣菜・コンビニ弁当など)の市場規模が拡大している。
また、リモートワーク、オンライン授業、オンライン診療等の増加で5Gの普及が加速すると見込まれている。

 

そうした中、食品業界では冷凍食品や弁当を製造する食品工場への設備投資を積極的に行っており、同社においても検査用画像センサーの販売が拡大している。
また、「5G」のインフラ整備、関連機器分野への設備投資需要の拡大が予想されることから、半導体、電気・電子部品業界向けに変位センサーや画像検査照明、画像検査ソリューションの販売・提案を強化する。

 

(同社資料より)

 

5.今後の注目点

第4四半期(10‐12月)については、海外売上が一服する一方で、国内が底入れし、3セグメントとも第3四半期比増収で、全社でも順調な回復を見込んでいる。中でもFA事業はコロナ禍前の2019年12月期第4四半期比でも増収の予想である。
一方、成長の牽引役であった屋外警戒用センサーを中心とした欧州事業は、第2四半期に大きく落ち込んだ後、第3四半期は急回復したが、現時点では第4四半期は再び低迷すると会社側は見ている。
欧州では新型コロナウイルスの感染者が急拡大していることから、この点は今後ともリスクを意識せざるを得ないだろう。

 

ただ同社では今回のコロナ禍において「防犯システムの重要性」「非接触ニーズの拡大」「外出自粛、在宅時間の増加」といった社会現象を、事業機会の拡大及び創出のチャンスと捉えて積極的に事業を展開する考えだ。今期および来期にかけ各需要を確実に取り込んでいけるかを注目していきたい。

 

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成>

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

11名、うち社外4名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
更新日:2020年3月27日

 

<基本的な考え方>
当社グループは、株主、投資家をはじめ、顧客、社会からの信頼を獲得しつつ、継続的に企業価値を向上させることが最大の使命であると認識しております。その実践のために、コーポレート・ガバナンスの充実を重要な経営課題の一つと位置づけ、経営の透明性向上と、公正かつ迅速な意思決定を伴う経営システムの維持及び経営監視機能の強化を目指しております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
当社は、ガバナンス・コードの各原則を全て実施しております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づいて開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則1-4政策保有株式】

当社は、当社グループの事業戦略上において、取引関係の強化と企業価値向上に資すると判断した場合に限り、取締役会での審議・決議を経て取得し、保有いたします。また、保有する株式につきましては、毎年取締役会においてその意義について検証を行い、目的とする合理的価値が乏しいと判断した場合には、市場動向等を勘案して売却し、縮減に努めております。

 

 現在当社が保有する政策保有上場株式 : 1銘柄 48百万円(貸借対照表計上額)

 

 なお、保有する株式の議決権行使については、当該企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に寄与するか、株主価値が大きく毀損されないかを判断基準として個別に精査し、総合的に判断して賛否を決定します。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

当社は、IR部門を設置しており、株主の皆様との積極的かつ建設的な対話をなし得るよう、当社の経営方針や経営状況について判りやすい説明をするよう努めております。また、IR担当者と担当役員は、機関投資家向け説明会、個人投資家向け説明会を計画的に実施しており、機関投資家からの面談には随時対応しております。

定時株主総会においては、多様な株主様のご出席を賜われるよう会場を設定して、その終了後には、今後の当社方針をご理解いただけるように「株主説明会」「株主懇親会」を実施しております。

※第41回定時株主総会におきましては、「新型コロナウイルス」の感染拡大予防の観点から、「株主懇親会」を中止といたしました。

 

株式会社インベストメントブリッジ
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