6050)イー・ガーディアン 増収増益 最高益更新が続く見込

2020/11/26

 

高谷 康久 社長

イー・ガーディアン株式会社(6050)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

サービス業

代表者

高谷 康久

所在地

東京都港区虎ノ門1-2-8 虎ノ門琴平タワー8F

決算月

9月

HP

https://www.e-guardian.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

3,195円

10,127,443株

32,357百万円

25.3%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

103.00円

31.0倍

427.02円

7.5倍

*株価は11/16終値。各数値は20年9月期決算短信より。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2017年9月(実)

5,067

811

840

572

56.57

6.00

2018年9月(実)

5,902

1,039

1,049

736

72.05

8.00

2019年9月(実)

6,535

1,167

1,201

840

82.60

9.00

2020年9月(実)

7,845

1,339

1,380

980

96.77

10.00

2021年9月(予)

8,862

1,526

1,557

1,043

103.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。

 

イー・ガーディアン(株)の2020年9月決算の概要と2021年9月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年9月期決算概要
3.2021年9月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 20/9期は前期比20.0%の増収、同14.7%の営業増益。動画領域に注力したソーシャルサポートが同37.4%増と伸びた他、幅広く広告関連の需要を取り込んだアド・プロセスが同20.2%、サイバーセキュリティ分野でのM&A効果でその他が同34.7%、それぞれ増加。子会社の増加や新宿サテライト及び広島センターの開設等で営業費用が増加したものの、売上の増加で吸収して6期連続で最高益を更新した。配当は1円増配の10円を予定している(予想配当性向10.3%)。

     

  • 21/9期予想は前期比13.0%の増収、同14.0%の営業増益。監視及びカスタマーサポートを中心に売上の増加が見込まれる。総合ネットセキュリティ企業としての更なる飛躍に向けた既存・新規の両分野で戦略的投資を計画しているが、これを吸収して最高益更新が続く見込み。戦略的投資として、既存事業において規模拡大に応じた拠点拡大を、育成中のクラウド型サイバーセキュリティ分野において製品開発をそれぞれ進める。

     

  • インターネット関連市場は拡大が続いており、技術革新を背景にサービスの多様化も進んでいる。ただ、その一方で、リモートワークの拡大に伴うセキュリティへの不安の高まりや、IoTによりあらゆるものがリスクにさらされる等、インターネットセキュリティの課題は年々深刻化している。同社は投稿監視業務やカスタマーサポート等のサービスを通してインターネット世界の安心に、ファイアウォールをはじめとしたセキュリティ分野での商品・サービスの提供を通してインターネット世界の安全に貢献していく考え。今後の展開に期待したい。

     

1.会社概要

経営理念として「We Guard All」を掲げ、グループでサイバーセキュリティからデバッグ、運用まで、上流から下流までを、ネットセキュリティのワンストップサービスを提供している。20年以上にわたる運用実績を誇り、国内外に拠点を展開。顧客数は1,000社を超える。グループは、投稿監視・カスタマーサポート・広告審査等を手掛ける同社の他、連結子会社6社。サイバーセキュリティ・脆弱性診断等のEGセキュアソリューションズ(株)、クラウド型セキュリティ製品の開発・販売を行う(株)グレスアベイル、ソフトウェア型Web Application Firewall(WAF)の開発・販売を行う(株)ジェイピー・セキュア、Webシステム・IoTのデバッグ(第三者検証)を手掛けるEGテスティングサービス(株)、投稿監視を中心に展開し、ローコストオペレーションを強みに低単価案件の収益化能力に優れるイー・ガーディアン東北(株)、及びグローバル展開の拠点であるE-Guardian Philippines Inc.。

 

(同社資料より)

 

1-1 事業区分と成長戦略

事業は、ソーシャルサポート、ゲームサポート、アド・プロセス、その他の4業務に区分され、いずれも件数に応じた課金体系を採用しており(一部サービスを除く)、高品質なサービスをリーズナブルな価格で提供している。

 

ソーシャルサポート
ソーシャルネットワークサービス(SNS)やECメディア等のソーシャルメディアへの投稿を監視する投稿監視や問い合わせ対応を24時間365日体制で提供しており、多様なニーズを取り込むべく、風評調査、多言語対応、サイト運用、分析等にサービスの幅を広げている。人による目視監視(ヒューマンリソース)に加え、投稿監視システム「E-Trident」や人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」の活用で対応している。低単価案件等には、ローコストオペレーションを強みとするイー・ガーディアン東北(株)が対応している。
決済事業者の加盟店審査を代行する「加盟店審査・登録申請サポートサービス」やリアルタイムAI動画監視フィルタの開発等も行っている。

 

ゲームサポート
ゲームの開発から運用までをワンストップでサポートしている。デバッグを手掛けるEGテスティングサービス(株)と連携したサービス、プロモーション、ソーシャルアプリやオンラインゲーム等のカスタマーサポート、更にはフィリピン現地法人E-Guardian Philippines Inc.が海外企業の日本進出支援(ローカライズ、デバッグ、脆弱性診断、運用等)と日本企業の第3国への進出支援を行っている。カスタマーサポートでは、バグ(苦情)、機能の使い方(質問)、更にはゲーム内での不正行為の通報等について、チャットボット(「チャット」と「ロボット」を組み合わせた自動会話プログラム)、メール、電話で対応している。

 

アド・プロセス
広告審査業務に加え、広告枠管理、入稿管理、広告ライティング及び広告運用代行等の業務受託を行っており、顧客のもとに常駐して業務を実施する常駐型のサービスも提供している。また、画像内物体検知システム「Kiducoo AI(キヅコウ エーアイ)」を活用し、マーケティング支援及び著作権侵害のパトロール等のサービスも提供している。

 

その他
EGセキュアソリューションズ(株)が提供する、ウェブアプリケーション等の脆弱性診断(脆弱性検査)や各種サイバーセキュリティに関するコンサル・支援、(株)グレスアベイルが提供するクラウドセキュリティやサイバー攻撃対策に関するソリューション、(株)ジェイピー・セキュアが提供するソフトウェア型WAF「SiteGuard(サイトガード)シリーズ」によるWebサイトの脆弱性を悪用した攻撃を防御するソリューション、及びEGテスティングサービス(株)によるWebシステム・IoTのデバッグ(第三者検証)等の収益が計上されている。

 

1-2 強み - 人とシステムによる低コスト・高品質の実現、リスク高度化とサービス多様化への対応力 ―

TVゲーム・携帯ゲームがソーシャルゲーム・クラウドゲームに、電話問い合わせがメール・チャットに、現金決済・クレジットカード決済が電子決済・仮想通貨・Fintechにそれぞれ代わり、SNSやブログ等のソーシャルWebサービスが、CtoC、シェアリングサービス、VR、ARと多様化している。これに伴い、標的型攻撃、ランサムウェアによる被害、脆弱性対策情報の悪用、インターネットバンキングの不正利用、スマートフォンへの攻撃、個人情報の窃取、更にはサービスの妨害を目的とした攻撃等、リスクも高度化しており、セキュリティ侵害は年々深刻化している。

 

こうした中、同社は、セキュリティのワンストップサービスを構築し、ネットの安心・安全に必要なものを全て提供している。強みは、「①人とシステムによる低コスト・高品質の実現と②リスク高度化とサービス多様化への対応力」。①人とシステムによる低コスト・高品質の実現では、人による目視監視(ヒューマンリソース)と、人工知能型テキスト監視システム、人工知能型画像認識システム、画像内物体検知システム、及びRPAによる低コスト・高品質なサービスを24時間・365日提供している。②リスク高度化とサービス多様化への対応力では、18/9期に、IoTセキュリティ・コンサルティング、セキュリティ診断サービス、及びスマホ脆弱性診断を導入した。また、仮想通貨の広告パトロール、シェアリングエコノミー本人認証、IoTセキュリティ・コンサルティング、ゲームコンシェルジュ、e-Sports、インフルエンサーパトロール、ライブコマースパトロールといった新領域に参入した。

 

2.2020年9月期決算概要

2-1 連結業績

 

19/9期

構成比

20/9期

構成比

前期比

期初予想

予想比

売上高

6,535

100.0%

7,845

100.0%

+20.0%

7,400

+6.0%

売上総利益

2,260

34.6%

2,672

34.1%

+18.2%

 -

販管費

1,092

16.7%

1,332

17.0%

+22.0%

 -

営業利益

1,167

17.9%

1,339

17.1%

+14.7%

1,201

+11.5%

経常利益

1,201

18.4%

1,380

17.6%

+14.9%

1,221

+13.1%

親会社株主帰属利益

840

12.9%

980

12.5%

+16.6%

850

+15.3%

* 単位:百万円

 

6期連続の最高益を更新
売上高は前期比20.0%増の78.4億円。動画領域に注力したソーシャルサポートが同37.4%増と伸びた他、幅広く広告関連の需要を取り込んだアド・プロセスが同20.2%、クラウド型のファイアウォールやセキュリティ診断ツールを自社開発する(株)グレスアベイル(前期第4四半期に子会社化)の寄与等でその他が同34.7%、それぞれ増加した。

 

営業利益は同14.7%増の13.3億円。(株)グレスアベイルのコストが期を通して発生したことや新宿サテライト及び広島センターの2拠点開設等で営業費用が増加したものの、売上の増加で吸収した。

 

期末配当は、1株当たり1円増配の10円を予定している(配当性向10.3%)。

 

2-2 業務別動向

 

19/9期

構成比

20/9期

構成比

前期比

ソーシャルサポート

2,472

37.8%

3,396

43.3%

+37.4%

ゲームサポート

2,521

38.6%

2,493

31.8%

-1.1%

アド・プロセス

839

12.8%

1,008

12.9%

+20.2%

その他

702

10.7%

945

12.1%

+34.7%

売上高合計

6,535

100.0%

7,845

100.0%

+20.0%

* 単位:百万円

 

ソーシャルサポート
売上高33.9億円(前期比37.4%増)。新型コロナウイルスの影響によるリモートワークの増加や外出自粛によって、インターネットサービスは需要が増えたものの、様々な影響が出た。こうした中、同社は、これまでに蓄積したノウハウとリアルタイムAI動画監視フィルタの活用による高効率な監視サービスの強みを活かして、コロナ禍においても成長が続く動画領域に注力したことが奏功し、売上が大きく伸びた。

 

リアルタイムAI動画監視フィルタは、動画市場での監視サービスの展開に向け、イー・ガーディアン(株)の画像検知AI・テキスト認識AI関連の技術と、国立研究開発法人産業技術総合研究所発のベンチャー企業であるHmcomm(株)のAI音声認識システムを連携させることで、映像だけではなく、動画ファイル内の音声をテキスト化し、切り出したテキストデータのフィルタリングを可能にする。音声・映像の双方でモニタリングするため、アダルトや問題のある表現を含むコンテンツ検知、誹謗中傷、ユーザー間トラブル、著作権侵害等、多様に対応できる。

 

また、動画市場の拡大に対する生産体制強化のため、新宿サテライト(東京都新宿区)及び広島センター(広島県広島市)の2拠点を2020年4月に開設した。

 

ゲームサポート
売上高24.9億円(前期比1.1%減)。カスタマーサポートにおける新システム「hinagata」を開発し、顧客満足度の向上に努めたものの、国内ゲーム会社向けの減少等で売上がわずかに減少した。

 

「hinagata」は品質向上と業務効率化を実現するメールカスタマーサポートツール。メールのテンプレート管理・編集・コピーの全てを一つのツール上で行うことができる。現在、多くの企業でメールによるカスタマーサポートが行われており、サービス品質の均一化と業務の効率化のため、問い合わせケースに合わせた応対テンプレートの作成や各種効率化ツールが導入されている。ただ、人による手動での対応を完全には排除できず、品質のバラツキやヒューマンエラーが生じてしまう事が課題となっている。「hinagata」は、こうした課題を解決するツールであり、同社は8月にβ版の提供を開始した。

 

アド・プロセス
売上高10.0億円(前期比20.2%増)。広告審査業務、広告枠管理、入稿管理、広告ライティング等のサービスに加え、派遣・常駐型業務と同社センター業務を組み合わせた運用で幅広く広告関連の需要を取り込んだ。また、自社開発したRPA(Robotic Process Automation)の活用により競合他社との差別化を図った他、インターネット広告市場の拡大に伴う人手不足に着目し、2020年4月に(株)サイバー・コミュニケーションズとの合弁会社(株)ビズテーラー・パートナーズを設立した。

 

(株)ビズテーラー・パートナーズは、イー・ガーディアン(株)が培ってきたBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)ノウハウと、(株)サイバー・コミュニケーションズの広告業務オペレーションノウハウを活かすことで、広告業界の課題である人材不足の解消を目指しており、広告・マーケティングに特化したBPO事業を展開する。

 

その他
売上高9.4億円(前期比34.7%増)。クラウドセキュリティやサイバー攻撃対策に関するソリューションを提供する(株)グレスアベイルが通期で寄与したことで売上が大幅に増加した。(株)グレスアベイルが開発した国内初のコンテナ型Web Application Firewall(WAF)「GUARDIAX」は、AIによる自動解析制御や高度ログ分析等の機能を備え、サイバー攻撃被害の最小化に貢献する。

 

サイバーセキュリティ分野では、アプリケーションのセキュリティホール対策を行うEGセキュアソリューションズ(株)とクラウドサービスで情報システムの安全を守る(株)グレスアベイルの知見・技術・サービスを一体化したサイバーセキュリティソリューションを、イー・ガーディアン(株)のブランド力・販売力を活かして幅広く展開していく考え。

 

 

2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

19年9月

20年9月

 

19年9月

20年9月

現預金

2,744

3,479

未払金・未払費用

450

553

売掛金

705

983

未払法人税・未払消費税等

327

477

流動資産

3,519

4,528

賞与・役員株式給付引当金

168

196

有形固定資産

462

517

有利子負債

77

無形固定資産

250

186

負債

1,110

1,314

投資その他

366

409

純資産

3,488

4,327

固定資産

1,079

1,114

負債・純資産合計

4,598

5,642

* 単位:百万円

 

第2四半期末の総資産は前期末との比較で10.4億円増の56.4億円。現金収入の増加で現預金が増加した他、売上の増加で売上債権が、新宿サテライト及び広島センターの2拠点の開設に伴い有形固定資産がそれぞれ増加した。負債・純資産では好業績を反映して利益剰余金が増加した。自己資本比率76.6%(前期末74.5%)。

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

19/9期

20/9期

前期比

営業キャッシュ・フロー(A)

930

1,098

+167

+18.0%

投資キャッシュ・フロー(B)

-238

-195

+43

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

691

902

+210

+30.4%

財務キャッシュ・フロー

-263

-175

+87

現金及び現金同等物期末残高

2,744

3,479

+734

+26.8%

* 単位:百万円

 

税前利益11.9億円(前期13.5億円)、減価償却費0.8億円(同0.6億円)、法人税等の支払い△3.6億円(同△3.1億円)等で10.9億円の営業CFを確保した。投資CFは有形固定資産の取得や差入保証金等によるもので、財務CFは配当金の支払い等による。

 

参考:ROEの推移

 

16/9期

17/9期

18/9期

19/9期

20/9期

ROE

23.32%

29.15%

28.91%

26.80%

25.30%

売上高当期純利益率

9.19%

11.31%

12.47%

12.86%

12.49%

総資産回転率

1.82回

1.83回

1.69回

1.56回

1.39回

レバレッジ

1.40倍

1.41倍

1.37倍

1.34倍

1.32倍

* ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ

 

 

3.2021年9月期業績予想

3-1 連結業績

 

20/9期 実績

構成比

21/9期 予想

構成比

前期比

売上高

7,845

100.0%

8,862

100.0%

+13.0%

営業利益

1,339

17.1%

1,526

17.2%

+14.0%

経常利益

1,380

17.6%

1,557

17.6%

+12.8%

親会社株主帰属利益

980

12.5%

1,043

11.8%

+6.4%

* 単位:百万円

 

前期比13.0%の増収、同14.0%の営業増益予想
監視及びカスタマーサポートを中心に売上の増加が見込まれる。総合ネットセキュリティ企業としての更なる飛躍に向けた既存・新規の両分野での戦略的投資を吸収して最高益更新が続く見込み。

 

戦略投資として、既存事業において規模拡大に応じた拠点拡大を実施すると共に、育成中のクラウド型サイバーセキュリティ分野において製品開発を進める。サイバーセキュリティ分野では、2020年10月に、(株)グレスアベイルを株式の追加取得により完全子会社化した他、(株)ジェイピー・セキュアを株式の新規取得により完全子会社化した。

 

(株)グレスアベイルの株式を株式の追加取得により完全子会社化
2019年8月に、第三者割当増資の引き受けにより子会社化(議決権の64.3%、9,000株)しており、株式の追加取得(0.7億円)により2020年10月1日付で完全子会社化した。

 

尚、サイバーセキュリティ・脆弱性診断等を手掛けるEGセキュアソリューションズ(株)代表であり、Webアプリケーションセキュリティの第一人者でもある徳丸浩氏が(株)グレスアベイルの取締役を兼務している。これまでEGセキュアソリューションズ(株)が顧客毎に提供していた知見を、(株)グレスアベイルの開発力で製品として幅広く提供していくことが目的だ(サイバー攻撃の被害を最小化するために効果的なソリューションの展開)。

 

(株)ジェイピー・セキュアの完全子会社化
サイバーセキュリティ分野でのトータルソリューションの提供と、同分野での事業成長を加速させるため、2020年10月12日に純国産ソフトウェア型WAFを提供する(株)ジェイピー・セキュアを完全子会社した。

 

(株)ジェイピー・セキュアは、ソフトウェア型WAF製品「SiteGuard (サイトガード)シリーズ」の開発、販売、サポートを手掛けている。「SiteGuardシリーズ」は、Webサイトの脆弱性を悪用した攻撃を防御するソリューションとして、官公庁、金融機関、大企業、更には個人向けレンタルサーバーまで、幅広い導入実績をもつ国内トップクラスの純国産ソフトウェア型 WAF 製品である。ソフトウェア製品のため、オンプレミスやクラウド等のインフラ環境を問わず多様なシステム環境で利用できる。また、誤検知が少ないにも関わらず優れた防御性能を有することに加え、ユーザビリティにも優れ視認性が高い。これまでの運用で、大きなトラブルなく安定的にサービス提供できていることも特徴の一つ。

 

今回の完全子会社化により、イー・ガーディアングループが提供する WAFは、グレスアベイルのコンテナ型・SaaS型に、(株)ジェイピー・セキュアのホスト型・ゲートウェイ型が加わった計 4 種となり、様々なサイトの環境に適合できるソリューション提供が可能になった。取得価額はアドバイザリー費用等含め約9.4億円。

 

4.今後の注目点

国内のインターネット関連市場は拡大が続いており、インターネットにおける技術革新によりサービスの多様化も進んでいる。ただ、その一方で、リモートワークの拡大に伴うセキュリティへの不安の高まりや、IoTによりあらゆるものがリスクにさらされる等、インターネットセキュリティの課題は年々深刻化している。同社は投稿監視業務やカスタマーサポート等のサービス提供を通してインターネット世界の安心に貢献すると共に、ファイアウォールをはじめとしたセキュリティ分野での商品・サービスの提供を通してインターネット世界の安全に貢献していく考え。
この一環として、21/9期は投稿監視業務やカスタマーサポート等の既存業務において規模拡大に応じた拠点拡大を進め、セキュリティ分野で製品開発を進める。今後の展開に期待したい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

7名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2019年12月25日)
基本的な考え方
当社は、コーポレート・ガバナンスの基本的な目的を企業価値の安定的な増大と株主重視の立場に立って経営の健全性の確保と透明性を高めることであると認識しております。そのために、財務の健全性を追求すること、タイムリーディスクロージャーに対応した開示体制を構築すること、取締役及び独立性の高い社外取締役が経営の最高意思決定機関として法令に定める重要事項の決定機能及び各取締役の業務執行に対しての監督責任を果たすことを経営の最重要方針としております。また、コーポレート・ガバナンスの効果を上げるため、内部統制システム及び管理部門の強化を推進し、徹底したコンプライアンス重視の意識の強化とその定着を全社的に推進してまいります。
また、当社は、以下の5点をコーポレート・ガバナンスの基本方針として掲げております。

 

・全ての株主に対して実質的な平等性を確保するとともに、株主の権利の確保と適切な権利行使に資するための環境整備を行います。
・株主をはじめとする全てのステークホルダーとの適切な協働を実践するため、ステークホルダーの権利・立場や企業倫理を尊重する企業風土の醸成に努めます。
・法令に基づく開示以外にも、株主をはじめとするステークホルダーにとって重要と判断される情報(非財務情報も含む)を、様々な手段により積極的に開示を行います。
・取締役会は、取締役の職務執行に対する独立性の高い監督体制を構築し、経営の健全性の確保と透明性の高い経営の実現に取り組みます。
・最高財務責任者を中心とするIR体制を整備し、株主や投資家との対話の場を設けます。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【補充原則4-1-2 中期経営計画】
当社では、激しく変化するインターネットビジネス分野において、中期的な業績予測を掲げることは、必ずしもステークホルダーの適切な判断に資するものではないとの立場から、数値目標をコミットメントする中期経営計画は公表しておりませんが、経営陣は中期経営計画を定めるとともに、その進捗状況の確認、分析を行っております。取締役会は、その中期経営計画を決議するとともに、進捗状況や分析結果について報告を受け、監視、監督をすることとしております。

 

<開示している主な原則>
【原則1-4 政策保有株式】
当社は、事業戦略、取引関係などを総合的に勘案し、中長期的な観点から当社グループの企業価値の向上に資することを確認したうえで上場株式を新規保有し、また、継続保有する場合は毎年判断することとしております。その議決権行使は、中長期的な視点で企業価値向上につながるか、または当社の株式保有の意義が損なわれないかを判断基準として行うこととしております。なお、現在、当社は政策保有に係る株式は保有しておりません。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社では、最高財務責任者である総務部担当役員が、IR担当部署である総務部を統括し、IR活動を行うこととしております。
株主や投資家に対しては、個別面談に加えて、経営トップが出席する決算説明会を半期に1回行っております。加えてこれらの動画配信及び資料の公開をWebサイト上にて実施し、積極的に情報開示を行うこととしております。なお、株主との対話においては、インサイダー情報の漏洩防止に留意しております。

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