テー・オー・ダブリュー(4767) 時代変化に対応 予想を上回る

2020/09/17

 

秋本 道弘 社長兼CEO

株式会社テー・オー・ダブリュー(4767)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

サービス業

代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)

秋本 道弘

所在地

東京都港区虎ノ門 4-3-13 ヒューリック神谷町ビル

決算月

6月

HP

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株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

316円

44,936,844株

14,200百万円

16.2%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

227.24円

1.4倍

*株価は8/26終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年6月(実)

15,230

1,678

1,682

1,083

24.17

11.00

2017年6月(実)

16,251

1,811

1,823

1,206

26.87

13.00

2018年6月(実)

16,688

1,825

1,873

1,207

26.87

13.50

2019年6月(実)

16,278

1,995

2,017

1,345

29.94

14.50

2020年6月(実)

19,325

2,316

2,332

1,584

35.26

16.75

2021年6月(予)

未定

未定

未定

未定

未定

*単位:百万円、円。予想は会社予想。2016年3月期より当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下、純利益については同様)。
* 2020年4月1日、1株を2株に分割。EPS、DPSは株式分割を反映。
* 2021年6月期の通期配当予想は未定だが上期は6.10円を予定。

 

 

テー・オー・ダブリューの2020年6月期決算と2021年6月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.今後の戦略
3.2020年6月期決算
4.2021年6月期業績予想
5.今後の注目点
コーポレート・ガバナンスについて

 

今回のポイント

  • 20/6期は前年期比18.7%増収、15.6%経常増益。デジタルプラットフォーム時代に相応しい「新たな体験価値」を生み出していく“日本初の体験デザイン・プロダクション”を目指し推進中。新型コロナの影響による案件の中止や延期及びオリンピック・パラリンピックの延期に伴う案件の中止や延期があった。一方で、官公庁・団体等の扱いの伸長、新型コロナ感染拡大防止に対応した各種オンラインプロモーション施策の実施等が売上高を押し上げた。売上総利益率は低下したものの、一定の収益率を確保した。新型コロナの影響はあったものの、売上高・各利益とも会社予想を大きく上回った。

     

  • 21/6期予想は未定。新型コロナの影響を現時点で合理的に算定することが困難とした。今後の営業拡大及び収益力向上に向けて、①プロダクション力の向上、②既存顧客+αの新たな顧客開拓、③アライアンスを掲げる。オンラインシフトを加速する2つのソリューションを提供。新たに広告番組制作サービスもリリースさせた。配当については、通期予想は未定だが、従来の配当方針のもと、上期末に6.10円を実施する見込み。

     

  • 新型コロナの影響を受けたものの、20/6期は2桁増収増益を確保した。案件単価が大幅に上昇しており、業務がより効率化された印象を持った。21/6期は新型コロナの影響を大きく受けそうだが、興味を引いたのはデジタル化への取組み。ビジネス環境の変化を素早く感知し、新型コロナ感染拡大から約半年でここまで対応を進めていたのは驚きだった。また、サービス形態の変化に伴い、採算性も向上させることができる可能性もある。コロナ禍の影響で株価は大幅に下落したが、むしろ同社にとって好機となる可能性もあり、現状株価の割安感は強い。

     

    ※『体験デザイン』 ブランドとのWow!な体験を起点に、体験者がそのブランドのファンとなり、特にSNSをハブに多様なメディアで体験の拡散・共有を最大化させる、その仕組みを設計すること。

     

1.会社概要

イベント・プロモーション業界で独立系No.1の東証一部上場会社。イベント及びプロモーションの企画・制作・運営や、セールスプロモーションに関するグッズ・印刷物の制作等を手掛ける。インターネットの影響力の拡大を踏まえ、長年培ってきたイベントの制作力とアイディア力にデジタルテクノロジーを加えたインタラクティブプロモーション(IP)に力を入れ、多くの実績を上げている。「世界一の“感動体験”をクリエイトし、笑顔を増やす」を経営理念とし、社名のテー・オー・ダブリューは、「Top Of The World」の頭文字に由来する。

 

グループは同社の他、イベントの制作・運営・演出及び映像制作を手掛ける(株)ティー・ツー・クリエイティブ(以下、T2C)の連結子会社1社(20年6月末現在)。

 

尚、「インタラクティブ・プロモーション(IP)」とは、デジタル技術とアイディアで感動体験を創りだし、その体験を情報拡散・共感させるプロモーションである。

 

 

【事業内容】

イベントの企画から本番実施までの流れ
イベントは、主催者が何らかの目的(対象者に情報を発信したいとの意図)を持った時点で案件が発生する。同社は、主催者よりその目的についての説明を受け、企画の作成に入る。その後、幾度かのミーティングを繰り返す事で、企画書 → 基本計画書 → 実施計画書 → 詳細計画書へと段階的に移行し、最終的には進行台本、施工図面、タイムスケジュール表となり、各種資料に従い舞台作りやリハーサルが行われ、イベント当日を迎える。

 

同社の業務範囲
イベントの場合、同社は、上記の企画からイベント本番までを受注し、「企画」・「制作」・「運営」・「演出」を行うが、実際のイベント現場では多くの業務がある。具体的には、照明、音響、映像、舞台制作、モデル・コンパニオン・警備員の派遣、整理、撤収、清掃等種々雑多の業務があり、これらの専門業者を外注先として業務毎に発注し、イベント全体をトータルにディレクション、プロデュースする事で主催者の意図を来場者に伝える事が同社の業務である。連結子会社については、T2Cがイベントの「制作」・「運営」を専業として行っている。
一方、プロモーションの場合は、「企画」、「デザイン」、「制作」が主な業務だが、印刷、プレミアム、グラフィックデザイン、事務局運営、OOH(Out of Home:交通広告や屋外広告等)、Web制作等の業務もあり、同社は、イベント同様、トータルにディレクション・プロデュースし納品する。

 

2.今後の戦略・・・一つの「転換期」

コロナ禍による業績への影響は不可避となった。しかし、同社のビジネスにとって一つの「転換期」と捉えている。
社員一人一人が新たな環境下での営業活動に取り組み、今までのTOWにはない「新たな事例」が生まれるなど試行錯誤しつつも今後の成長への手ごたえを掴んでいる。

 

Ⅰ..コロナ禍を契機としたビジネス環境の変化とTOWの課題
① 生活行動のデジタル化

 

➡20年1月~5月にかけて、生活者のネット利用時間が全ての年齢層で約1時間増加
➡対面コミュニケーションが減少し、ZoomやLINEなどデジタルツールの利用が拡大
➡ECをはじめ、ネットバンキングや動画視聴の利用率がコロナ禍以前の2倍以上に増加
デジタルを“当たり前に使いこなす”生活スタイルが今後も定着・拡大する

 

② 企業活動のデジタル化
➡コロナ禍をきっかけに、自社のIT戦略(デジタル化)を加速する企業が増加
➡リモートワークやテレカンの定着など、ワークスタイルが大きく変化
➡今後はさらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが加速すると言われている
加速するビジネスのデジタル化によって、プロモーションの役割も変化する

 

③ 「体験」のデジタル化
➡ここ数年にわたり伸長してきた「リアル体験」コンテンツの多くがデジタルに移行
➡オンラインでの音楽ライブが新たな収益コンテンツとして大きな注目を集める
➡企業の記者発表やカンファレンスも次々とオンラインへと移行されている
デジタルプラットフォーム上での新たな「体験」が次々と生み出されている

 

 

これからのTOWの課題はデジタルがプラットフォームとなっていく世の中で「体験」の価値をどう拡張していけるか
デジタル化する社会に呼応して、TOWの案件もデジタル化を加速。
記者発表・セミナーなど「リアルイベント×映像配信」の取り組みやSNS運用・映像制作など「オンライン完結のプロモーション」など新たな仕事のノウハウが蓄積されてきた。

 

Ⅱ.オンラインプロモーションの活性化
デジタルプラットフォームを介して企業と生活者がつながる時代。
TOWの手掛ける「ブランド体験」も、オンラインへのシフトが急速に進んでいる。
・SNSなどデジタルプラットフォーム運用
・動画を中心としたコミュニケーション
・ライブコマース(ECへの導線づくり)
・ファンマーケティング
・オンラインカンファレンス
・リアルイベント×LIVE配信
同社は「リアル×デジタル」の社会潮流にいち早く着目した。リアルイベントで培った演出力・コンテンツ制作力をデジタルに展開するさまざまな取り組みに以前から着手。その知見が蓄積されている。

(同社資料より)

 

コロナ禍による企業のマーケティング活動の変化によりプロモーションの主戦場はより一層オンラインへ移行。
同社ではECへの導線づくりや、ブランドファンとの絆づくりなどオンラインプロモーションに対する需要が今後も高まると予測。

 

デジタルプラットフォーム時代に合わせ、オンラインシフトを推進、オンライン案件の比率を従来の25~30%から60~70%へ一気に上げていく方針。

 

20年3月下旬~7月の案件引き合いのうち「オンラインプロモーション」および「オンラインイベント」に関する案件の割合は80%超であった。

 

Ⅲ.オンラインシフトを加速する2つのソリューションと新サービス
① ONLINEイベントパッケージ

(同社資料より)

 

 

 

(同社資料より)

 

② オンラインプロモーションソリューション

(同社資料より)

 

オンラインプロモーション推進体制の拡充
●体験デザイン本部「IPプロデューサー」の増員
●プロデュース本部と体験デザインの「複属」社員の増員
●体験デザイン本部「動画専門グループ」設立
●DX(デジタルトランスフォーメーション)マイスターの登用

 

オンラインプロモーション推進に向けた基盤整備
●「オンラインプロモーション予算」による目標管理
●デジタルリテラシー向上のための教育研修プログラム
●デジタル関連資格取得支援(WEB解析士、SNSエキスパート検定など)
●オンラインプロモーション実績とノウハウの共有・議論の場づくり

 

③ 広告番組制作サービス
オンラインプロモーションの中でも特に伸長が著しい動画配信コンテンツ制作領域をさらに強化する広告番組制作サービスを新たにリリース

(同社資料より)

 

 「New Normalイベントガイドライン」を受託業務で遂行
オンラインプロモーションへの対応を強化しながら、今後徐々に需要が戻るイベント案件に対しても業界最大手として対応。
新しい生活様式の中での安心・安全なイベントの実績を積み、「リアルイベントのNew Normal」を確立する。
20年6月に策定・発表した「New Normalイベントガイドライン」を同社受託業務で遂行。

(同社資料より)

 

 

3.2020年6月期決算

(1)連結業績

 

19/6期

構成比

20/6期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

16,278

100.0%

19,325

100.0%

+18.7%

17,424

+10.9%

売上総利益

2,825

17.4%

3,239

16.8%

+14.7%

3,061

+5.8%

販管費

829

5.1%

922

4.8%

+11.3%

営業利益

1,995

12.3%

2,316

12.0%

+16.1%

2,102

+10.2%

経常利益

2,017

12.4%

2,332

12.1%

+15.6%

2,115

+10.3%

親会社株主に帰属する

四半期純利益

1,345

8.3%

1,584

8.2%

+17.8%

1,407

+12.6%

*単位:百万円。数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前期比18.7%の増収、同15.6%の経常増益
売上高は前期比18.7%増の193億25百万円。リアルをコアに蓄えてきた体験デザイン力を多種多様なフィールドに展開するため、リアルとデジタルの垣根を取り払い、デジタルプラットフォーム時代に相応しい「新たな体験価値」を生み出していく“日本初の体験デザイン※・プロダクション”を目指し推進中。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う案件の中止や延期及びオリンピック・パラリンピックの延期に伴う案件の中止や延期があった。一方で、上期に引き続き官公庁・団体等の扱いの伸長、7月以降計上予定だったオリンピック・パラリンピック関連案件の中止による前倒し計上、新型コロナウイルス感染拡大防止に対応した各種オンラインプロモーション施策の実施等が売上高を押し上げた。

 

新型コロナの売上高への影響は以下の通り

売上高へのマイナス影響

 

通常案件

 

 新型コロナの影響による案件の中止や延期

▲20億円

 新型コロナの影響がなければ受注できたと思われる案件

▲9億円

オリンピック・パラリンピック関連案件

 

 オリンピック・パラリンピックの延期に伴う案件の中止や延期

▲6億円

▲35億円

売上高へのプラス影響

 

通常案件

 

 7月以降計上予定の通常案件の中止による前倒し計上

+1億円

オリンピック・パラリンピック関連案件

 

 7月以降計上予定だった案件の延期による前倒し計上

+2億円

+3億円

合計

▲32億円

 

経常利益は前期比15.6%増の23億32百万円。売上総利益については、一部の官公庁・団体の大型案件が低営収となったものの、「付加価値の高い提案による適正利益の確保」「原価管理の徹底」を全社的に推進した。加えて、7月以降計上予定案件だったオリンピック・パラリンピック関連案件の中止による前倒し計上等の収益率の押上効果もあり売上総利益率は前期17.4%から16.8%に低下したものの、一定の収益率は確保した。販管費については、オフィスの増床・環境整備や新卒・中途採用は、ほぼ計画通り実施した。また、テレワークなど新型コロナウイルス感染拡大に対応した追加費用があったものの、交際費や出張費等の費用の抑制も行った。販管費率は前期5.1%から4.8%に低下し、営業利益は前期比16.1%増の23億32百万円となった。
新型コロナの影響はあったものの、売上高・各利益とも会社予想を大きく上回った。
期末配当は当初予想から1.0円増配し8.5円(20年4月1日に1株につき2株の割合で株式分割を実施、分割修正前16.0円)、上期末8.25円(同16.5円)と合わせ16.75円(同33.5円)の年間配当となる。

 

 

カテゴリー別売上高

 

19/6期

構成比

20/6期

構成比

前期比

販促

6,512

40.0%

5,575

28.9%

-14.4%

広報

7,463

45.9%

10,484

54.2%

+40.5%

文化・スポーツ

537

3.3%

1,812

9.4%

+237.1%

博覧会

0

制作物

1,684

10.3%

1,393

7.2%

-17.3%

小計

16,198

99.5%

19,265

99.7%

+18.9%

企画売上高

80

0.5%

59

0.3%

-25.4%

合計

16,278

100.0%

19,325

100.0%

+18.7%

*単位:百万円

 

・広報が増加した主な要因は、官公庁・団体の大型案件
・文化スポーツが増加した主な要因は、オリンピック・パラリンピック案件やeSports案件

 

業種別売上総利益

 

19/6期

構成比

20/6期

構成比

前期比

情報・通信

778

27.5%

552

17.0%

-29.0%

自動車

515

18.2%

723

22.3%

+40.2%

食品・飲料・嗜好品

389

13.8%

216

6.7%

-44.4%

化粧品・トイレタリー・日用品

311

11.0%

267

8.2%

-14.1%

官公庁・団体

236

8.4%

851

26.3%

+260.6%

金融

215

7.6%

144

4.5%

-32.8%

交通・レジャー

98

3.5%

136

4.2%

+38.4%

精密機器その他製造

83

2.9%

128

3.9%

+54.6%

流通・小売

56

2.0%

120

3.7%

+112.5%

その他

142

5.0%

98

3.0%

-31.0%

合計

2,825

100.0%

3,239

100.0%

+14.7%

*単位:百万円

 

業種別には情報・通信が減少、自動車と官公庁・団体は大きく伸長

 

価格帯別受注件数(個別)

 

19/6期

20/6期

増減

~1,000万円

1,264件

954件

-310件

1,000万円~2,000万円

166件

146件

-20件

2,000万円~5,000万円

140件

100件

-40件

5,000万円~1億円

38件

34件

-4件

1億円~

21件

25件

+4件

合計

1,629件

1,259件

-370件

案件単価(万円)

994万円

1,209万円

+215万円

*企画売上高を除く
*官公庁・団体の大型案件を除く単位:百万円

 

1億円~の案件が増加した以外はすべての価格帯で減少した。特に1,000万円未満の件数が大幅に減少した結果、案件単価は増加した。

 

 

(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

19年6月

20年6月

 

19年6月

20年6月

現預金

4,754

5,055

仕入債務

2,028

3,152

売上債権

5,496

6,020

短期借入金

840

840

未成業務支出金

467

186

未払法人税等

302

379

未収入金

1,290

3,066

退職給付負債・役員退職慰労金

399

432

前払費用

32

51

負債

4,263

5,937

流動資産

12,100

14,439

純資産

9,416

10,256

投資その他

1,460

1,541

負債・純資産合計

13,679

16,194

固定資産

1,578

1,754

有利子負債合計

840

840

*単位:百万円。未収入金:ファクタリング方式により譲渡した売上債権の未収額

 

20/6期末の総資産は、前期末比(以下同)25億14百万円増加し、161億94百万円となった。
流動資産は23億39百万円増の144億39百万円となった。これは主に、電子記録債権が4億61百万円減少したが、未収入金が17億76百万円、受取手形及び売掛金が9億85百万円増加したこと等によるもの。
固定資産は、1億75百万円増の17億54百万円となった。固定資産のうち有形固定資産は86百万円増の1億88百万円となった。これは主に、レイアウト変更等によるもの。無形固定資産は8百万円増の24百万円となった。これは主に、ソフトウエアの購入によるもの。投資その他の資産は80百万円増の15億41百万円となった。これは主に、敷金及び保証金が53百万
円、投資有価証券が25百万円増加したこと等によるもの。
流動負債は16億42百万円増の54億88百万円となった。これは主に、買掛金が11億84百万円、その他が4億32百万円増加したこと等によるもの。
固定負債は32百万円増の4億48百万円となった。これは主に、役員退職慰労引当金が24百万円増加したこと等によるもの。
純資産は8億40百万円増の102億56百万円となった。これは主に、新株予約権が42百万円減少したが、利益剰余金が8億54百万円増加したこと等によるもの。
自己資本比率は前期末比5.1ポイント減の63.1%となった。

 

キャッシュ・フロー

 

19/6期

20/6期

前期比

営業キャッシュ・フロー

1,310

1,142

-167

-12.8%

投資キャッシュ・フロー

-34

-110

-76

フリー・キャッシュ・フロー

1,276

1,032

-243

-19.1%

財務キャッシュ・フロー

-620

-731

-111

現金及び現金同等物期末残高

4,754

5,055

301

+6.3%

*単位:百万円

 

20/6期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比3億1百万円増加し、50億55百万円となった。
営業CFは11億42百万円の収入(前期は13億10百万円の収入)となった。これは主に、未収入金の増加額が17億76百万円、法人税等の支払額が6億81百万円あったが、税金等調整前当期純利益が23億38百万円、仕入債務の増加額が11億23百万円あったこと等によるもの。
投資CFは1億10百万円の支出(前期は34百万円の支出)となった。これは主に、有形固定資産の取得による支出が67百万円、敷金及び保証金の差入れによる支出が54百万円あったこと等によるもの。
財務CFは7億31百万円の支出(前期は6億20百万円の支出)となった。これは主に、配当金の支払額が7億30百万円あったこと等によるもの。

 

 

4.2021年6月期業績予想

(1)連結業績

 

20/6期 実績

構成比

21/6期予想

構成比

前期比

売上高

19,325

100.0%

未定

営業利益

2,316

12.0%

未定

経常利益

2,332

12.1%

未定

親会社株主に帰属する

当期純利益

1,584

8.2%

未定

*単位:百万円

 

21/6期予想は未定
21/6期予想については未定とした。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、企業のマーケティング活動に大きなブレーキがかかり、案件の中止や延期が発生するなど当社を取り巻く市場環境に大きな影響を与えている。現時点で合理的に算定することが困難であることから未定とした。見通せない要因として①今後の受注、②オリンピック・パラリンピック関連案件の実施見通し、③各種オンラインプロモーション施策の結果、④新型コロナウイルスの対するワクチンや治療薬の開発時期を挙げている。今後、合理的に算定することが可能になった時点で、速やかに開示する方針。
尚、配当については従来と同様に利益配分の指標として、連結ベースの配当性向及び株価配当利回りの二つを基本としている。従来、本決算発表日に公表した次期の連結業績予想の親会社株主に帰属する当期純利益に対して、配当性向40%で算出された1株当たりの予想配当金と、同決算発表日の前日(20年8月5日)の終値に株価配当利回り4.5%を乗じて算出された1株当たりの配当金のいずれか高い方を最低配当金として配当金を決定することとしている(連結配当性向換算で50%が上限)。しかし、業績予想を未定としていることから予想配当金を配当性向で算出することが困難であるため、同決算発表日の前日(20年8月5日)の終値に株価配当利回り4.5%を乗じて算出した1株につき6.10円を中間配当金とする予定。期末配当金については今後、公表が可能となった時点で速やかに開示する方針。

 

(2)今後の営業拡大及び収益力向上に向けて

足元の業績回復に向けた活動と共に社会・業界の変化に即して、中長期を見据えた活動を行う。

 

Ⅰ.プロダクション力と収益力の向上
コロナ禍による当面の業務減や、営業活動の制限が当面続くことを踏まえ、以下の取り組みを通じて「プロダクション力」と「収益力」=両面の向上に努めていく。
① 内製による収益力の向上

プロダクションとしての原点に立ち返り、自ら制作することで仕事の質と収益性を向上。グループ全体の人材と社内インフラを有効に活用し、高収益体質へと進化。

 

② 提供価値のマネタイズ

体験デザイン本部を中心とした専門性の高い人材を有効活用し、映像制作・SNS運用・PR・データなど各領域で高いレベルの価値を提供することで収益につなげていく。

 

③ 制作管理部門の機能強化

制作プロデュースを熟知したベテラン社員を制作管理人材として登用し、制作管理部門の体制を増強。協力機関や価格の精査を行い、顧客の要望に応えながら適正な収益を確保する。

 

Ⅱ.既存顧客+αの新たな顧客開拓
デジタル化の急速な進展など、社会・業界の変化への対応が必要。新たな顧客の拡大をTOWの成長課題と捉え、協業拡大に取り組んでいく。
① 広告業界の変化への対応
・広告のデジタルシフト
➡中期的な視野に立ち、ネット系広告会社との協業拡大を図る

 

② 企業活動の変化への対応
・マーケティング/プロモーションにおける効果・効率への意識の高まり
・専門会社への直接発注が増加(オンラインプロモーションでは更に顕著)
➡クライアント直接取引の拡大に向け、組織の整備・営業活動の活性化を行う

 

Ⅲ.アライアンス
オンラインプロモーションの拡大及び顧客の拡大に向けて、提供するソリューションの拡充が重要。社内機能の拡充に留まらず、積極的な外部アライアンスを行っていく。

 

今後の成長イメージ

 

 

(同社資料より)

 

5.今後の注目点

新型コロナの影響を受けたものの、20/6期は2桁増収増益を確保した。案件単価が大幅に上昇しており、業務がより効率化された印象を持った。21/6期も新型コロナの影響を大きく受けそうだが、興味を引いたのはデジタル化への取組み。ビジネス環境の変化を素早く感知し、新型コロナ感染拡大から約半年でここまで対応を進めていたのは驚きだった。これら取り組みの成果が2Q以降に本格的に現れてくる可能性もあるだろう。その後は、1年延期された東京オリンピック・パラリンピックへの取り組みも再び始まる。また、「オンラインイベント」や「オンラインプロモーション」へのサービス形態の変化に伴い、採算性も向上させることができる可能性もある。実績ベースのPERは10倍を大きく割れている。コロナ禍の影響で株価は大幅に下落したが、むしろ同社にとって好機となる可能性もあり、現状株価の割安感は強い。

 

コーポレート・ガバナンスについて

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

10名、うち社外4名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書 更新日: 2019年10月9日
基本的な考え方
同社では、コーポレート・ガバナンスの意味を「企業価値の継続的な向上を目指して、経営層による適正かつ効率的な意思決定と業務執行、並びにステークホルダーに対する迅速な結果報告、及び健全かつ公正で透明性の高い経営を実現する仕組みの構築・運用」と考えている。
株主をはじめ、顧客、従業員その他のステークホルダーに対する責任を果たすとともに、当社の継続的成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを目的として、以下の基本方針に則って、実効性あるコーポレート・ガバナンスを実現していく。

 

1.株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
2.株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、適切に協働する。
3.会社情報を適切に開示し、透明性を確保する。
4.取締役会による業務執行に対する監督機能の実効性を向上させる。
5.中長期的な株主の利益と合致する投資方針を有する株主との間で建設的な対話を行う。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【補充原則1-2-4 議決権行使プラットフォーム利用、招集通知の英訳】
 議決権電子行使プラットフォームの利用や招集通知の英訳については、同社の株主における機関投資家や海外投資家の比率などの動向を踏まえ、導入を検討していく。

 

【補充原則3-1-2 英語での情報開示・提供】
 同社は英語版の事業報告書を作成するとともに、半年ごとに英語版のアナリストレポートを当社ホームページ等で開示しているが、今後は、同社の株主における機関投資家や海外投資家の比率などの動向を踏まえ、決算説明会資料、招集通知記載内容等についても英語での情報提供を検討していく。

 

【補充原則4-10-1 指名・報酬等に関する独立社外取締役の関与・助言】
 取締役等の指名・報酬等に係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するために、指名・報酬等の検討に際しては、独立社外取締役との連携を深める等、より公正で、透明性の高い検討と手続きが実施できることを目指した体制整備の検討を進める。なお、任意の諮問委員会については、必要性に応じ検討していく。

 

<開示している主な原則>
【原則1-4 政策保有株式】
 同社の純投資目的以外の投資を行う際の基本方針は、投資対象会社との業務提携、情報共有等を通じて当社の統合プロモーション事業におけるシナジー効果が期待されることであり、中長期的な視点で価値向上を図るために、取引先との関係強化の観点等を踏まえ、効果が見込まれると判断した場合に限り、必要最小限の上場株式を保有することとしている。 政策保有株式の議決権の行使については、適切な対応を確保するために、議案毎に、保有先企業の中長期的な企業価値の向上、当社及びグループ会社の中長期的な経済的利益の増大等の観点から総合的に判断するものとし、主要な政策保有株式については、議決権行使の状況を取締役会に報告する。

 

【原則4-9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】
 社外取締役候補者の選任にあたっては、東京証券取引所が定める独立性基準を満たす者としている。

 

【補充原則4-11-1 取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方】
 同社は、定款により、取締役の員数を14名以内と定めており、2018年10月1日現在 9名(うち社外取締役4名)で取締役会を構成。取締役会を構成するメンバーについては、経験、知見、能力等における多様性に配慮している。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
 同社は、株主・投資家との双方向の建設的な対話を促進し、これにより同社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた実効的なコーポレート・ガバナンスの実現をはかることを、同社の責任を果たす上での最重要課題の1つと位置付けており、このような考えに基づき、以下のような施策を実施する。

 

1.株主との対話に関する担当取締役の指定
 経営トップ自らが株主との対話に取り組み、管理本部長がIR実務を統括する。

 

2.社内部署の有機的な連携のための方策
 IR担当部署でもある総務チームが経理チームと日常的に打ち合わせや意見交換を実施しており、開示資料作成に際しても連携し、経営トップを交えて内容の検討を行っている。

 

3.個別面談以外の対話の手段の充実に関する取組み
 株主総会を株主との重要な対話の場と位置付け、株主総会において、同社事業に関する十分な情報開示の確保をはじめ、株主の皆様からの信認を得られるような運営につとめる。
また、定期的に決算説明会を開催することにより、株主・投資家の皆様とのより緊密なコミュニケーションの実現につとめる。

 

4.株主の意見・懸念のフィードバックのための方策
 株主・投資家との対話において把握されたご意見や当社に関する懸念を担当部署において取りまとめ、その重要性や性質に応じ、これを定期的に経営陣幹部や取締役会に報告するための体制を整備する。

 

5.インサイダー情報の管理に関する方策
 株主・投資家の実質的な平等性を確保すべく、公平な情報開示につとめることを基本方針とし、当該方針に基づき、同社に関する重要情報については、適時かつ公平にこれを開示することとし、一部の株主・投資家に対してのみこれを提供することがないよう、その情報管理の徹底につとめる。

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