(6181)パートナーエージェント(6181) 困難の中、将来の見通しに注目

2020/09/10

 

 

 

 

佐藤 茂 社長

株式会社パートナーエージェント(6181)

 

 

企業情報

市場

東証マザーズ

業種

サービス業

代表取締役社長

佐藤 茂

所在地

東京都品川区大崎1-20-3 イマス大崎ビル

決算月

3月末日

HP

https://www.p-a.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

187円

10,726,800株

2,005百万円

0.3%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(倍)

0.00円

未定

97.81円

1.9倍

*株価は8/27終値。発行済株式数、DPSは21年3月期第1四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。新型コロナウイルスによる影響を
現段階において合理的に算定することが困難なことから今期予想は未定。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2017年3月(実)

3,812

204

231

107

11.37

0.00

2018年3月(実)

4,102

195

325

117

12.15

0.00

2019年3月(実)

4,151

216

208

90

8.99

0.00

2020年3月(実)

8,187

78

41

2

0.25

0.00

2021年3月(予)

0.00

*単位:百万円、円。2017年1月1日付で1:3の株式分割を実施。EPSは遡及して調整。16/3期より当期純利益は親会社株主に帰属する
当期純利益。以下同様。新型コロナウイルスによる影響を現段階において合理的に算定することが困難なことから今期予想は未定。

 

 

株式会社パートナーエージェントの2021年3月期第1四半期決算概要等をお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年3月期第1四半期決算概要
3.2021年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 21年3月期第1四半期の売上高は前期比64.6%減の7億1百万円。新型コロナウイルスの影響が大きく、結婚相談所は入会時期の再検討の申し出が相次ぎ、婚活パーティーは開催の大部分が見送りとなった。また、カジュアルウエディング領域は挙式披露宴や結婚式二次会の施行の大部分が延期・キャンセルとなった。営業利益は8億24百万円の損失。売上総利益が同75.5%減少した一方で、新たにグループ化した2社の販管費が加わった。EBITDAも損失に転じた。 
  • 21年3月期については、新型コロナウイルスによる影響を現段階において合理的に算定することが困難なことから今期予想は未定としている。足元の状況では、婚活領域は結婚相談所が5月下旬以降回復基調へ向かっている。カジュアルウエディング領域はフォトウエディングが好調だが、第二波で挙式披露宴や結婚式二次の施行延期・キャンセルが継続しており、見通しが困難である。 
  • こうした中、手元流動性の確保等で財務基盤の安定化を図っている。事業面では、「オンラインの活用」をキーワードに独自の取り組みを進めており、今後需要拡大が見込める領域へ経営リソースを集中する。2020年10月1日の社名変更後、2020年11月に中期経営計画を公表する予定である。 
  • 新型コロナウイルスによる影響を現段階において合理的に算定することが困難なことから今期予想は引続き未定としているが、結婚相談所が5月下旬以降回復基調へ向かっているなど、今のところ最悪期は一旦抜け出したようである。とはいうものの、回復スピードがどの程度となるかは不透明である。この困難をどのような施策で切り抜けていくか、第2四半期決算および中期経営計画でのビジョンや目標を注目したい。 

1.会社概要

「世の中に、もっと笑顔を。もっと幸せを」という企業理念に基づき、結婚相談所や会員相互紹介プラットフォーム「CONNECT-ship」の運営により登録会員の婚活を支援する主力の「婚活事業」、近年増大しているニーズに対応し、カジュアルウエディング(顧客の希望に沿った価格帯の挙式披露宴、会費会食制ウエディング、フォトウエディング等)のプロデュースを行う「カジュアルウエディング事業」、婚活及びウエディングの周辺サービス等を提供する「その他事業」の3事業を展開している。婚活事業の結婚相談所は、専任コンシェルジュによるキメの細かいフォローアップと独自システムによる婚活支援により、高い成婚率実績を出していることが大きな特徴。
2020年10月1日付でタメニー株式会社に商号を変更し、グループ会社とともに事業領域の拡大を進めつつ、組織力強化、事業シナジーの最大化と新たな価値創出、経営資源の有効活用や業務効率化等による収益力向上を目指す考えだ。

 

【1-1 沿革】

2004年6月、ウエディングの企画および施設の運営を手掛ける株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ(4331、東証1部、T&G社)が新規事業として婚活支援事業を始めるにあたり、100%子会社として同社を設立した。そのスタートアップにあたり招聘されたのが大手婚活会社で豊富な経験・実績を積み重ねた現社長の佐藤茂氏。
その後T&G社による継続的な投資が難しくなったのを機に、2008年5月、佐藤社長を始めとした経営陣と従業員の共同出資により株式を取得し、T&Gグループから独立した。「顧客成果追求」の結果である成婚率の高さを顧客に評価され、業績は順調に拡大。2015年10月に東証マザーズに上場した。
「スマ婚」「2次会くん」など新たな結婚式スタイルを提供するメイション社をグループ化し、カジュアルウエディング領域に本格参入したほか、ウエディングフォトスタジオの運営を手掛ける株式会社Mクリエイティブワークス、挙式披露宴後の二次会プロデュースを行う株式会社pmaを子会社化するなど、事業領域の拡大・事業基盤の強化に注力している。

 

【1-2 企業理念】

佐藤社長が創業時に掲げた想い「顧客成果の追求」をベースに、以下のようなミッション、ビジョンを示している。

 

私たちの想い 世の中に、もっと笑顔を。もっと幸せを。
私たちの目指すもの 1. 婚活支援業界の変革者として「価値」を創造し続け、より多くの成婚の機会をつくります。

2. 人とともに歩む生涯のサポーターとして、「想い」を「かたち」にした事業を通じて幸せを感じ

られる人生の実現を目指します。

私たちの行動指針 *判断基準はお客様

*プロフェッショナルマインド

*情熱至上主義

*正道を歩む

*主体性をもって成長する

*チームパートナーエージェント

*自らの幸せを追求

 

佐藤社長はこれらの理念について、具体的な課題やトラブルへの対応など業務を通じてその度ごとに理念に立ち戻り考えることで、初めて社員各人及び組織に理念が浸透すると考えている。

 

【1-3 市場環境】

<未婚者状況>
*上昇続ける未婚率
総務省の国勢調査によれば、25-34歳の未婚率は男女とも上昇を続けている。

 

 

*未婚者の結婚の意思 ~「結婚する意思」は引き続き高水準~
「2016年社会保障・人口問題基本調査<結婚と出産に関する全国調査> 第15回出生動向基本調査」によれば、結婚する意思を持つ未婚者の割合は18~34歳の男性で85.7%、女性で89.3%となっており、「結婚したい」と考えている未婚者の数は依然高水準である。

 

一方、「一生結婚するつもりはない」未婚者の割合が男女とも上昇してはいるが、その中でも今後「いずれ結婚するつもり」に変わる可能性があると回答した割合は、男性44.1%、女性49.8%となっており、今は結婚するつもりの無い層も半数近くは今後結婚に向けて動き出す可能性がある。

 

*独身でいる理由 ~25歳を過ぎると適当な相手に巡り会わない~
未婚者に独身でいる理由を尋ねたところ、18~24歳の若い年齢層では、「若すぎる」、「必要性を感じない」など積極的な動機が無いことが多く挙げられているが、25~34歳では、「適当な相手にまだ巡り会わない」という理由を挙げる割合が増加しており、出会いやその機会に対するニーズが大きいことが窺える。

<同業他社>
日本全国には約3,000の結婚相談所などが婚活支援を行っているが、その9割は個人事業主で、全国規模で事業を展開しているのは同社を含め数社のみである。広義の婚活上場企業は、パートナーエージェント、IBJ、リンクバル、ネットマーケティング、イグニスの5社。

 

【1-4 事業内容】

2021年3月期第1四半期より、今後の戦略領域を新たに区分するため、「婚活領域」「カジュアルウエディング領域」「テック領域」「ライフスタイル領域」「法人領域」の5つの領域別セグメントの取り組みおよび売上高を開示することとした。
(報告セグメントは、婚活事業、カジュアルウエディング事業、その他事業の3事業)

(同社資料より)

 

(1) 婚活領域
主に付加価値の高い結婚相談所の運営とエントリー型の結婚相談所・婚活パーティーの企画開発及び運営等を行っている。

 

①結婚相談所
同社最大の特徴の一つである、付加価値の高い結婚相談所の運営を行っている。
顧客として入会した会員に対し情報提供、相手の紹介、出会いの機会を提供している。
会員にはそれぞれ専任のコンシェルジュが婚活支援の担当としてつき、活動設計を行い、プロフェッショナルとして顧客をサポートしている。また、出会いの機会を提供するため、会員同士のイベントを企画・運営するなど付随サービスも提供している。会員構成は男女比で4:6~3:7で女性が多い。

 

(サービスの特色)
「1年以内を目途に結婚相手を見つけたい顧客」に対し、高いコーチングスキルを持ったコンシェルジュが担当として付き、プロセスに手間や時間をかけず費用対効果の高いサービスを求める顧客ニーズに応えるべく、PDCAサイクルに基づく活動支援を行っている。
コンシェルジュは、婚活支援を通じて人の役に立ちたい、喜びを共にしたいと考えている、子育てが一段落した年代の女性を中心に、約140名のコンシェルジュが在籍している。また、「顧客成果の追求」を掲げている同社においては、コンシェルジュの活動について、成婚率、中途退会率などの「顧客満足度」の視点から評価を行っている。

 

<活動支援のイメージ>
「①入会前:サービス内容と料金体系の明確化」
入会を検討し来店した顧客には、入会勧奨を行うアカウントエグゼクティブが応対し、サービス内容と料金体系について正確に理解してもらうべく丁寧な説明を行う。しかし、一定の基準に基づき、結婚相手の紹介の継続が難しいと判断した場合には、入会を断る場合もある。これは、入会後月会費等の費用が発生するにも関わらず、コンタクト(お見合い)に至らない、または交際に発展しないなど、顧客が満足できない状況を招くことを避けるためでもある。

 

「②入会後:専任コンシェルジュによる活動サポート」
入会すると、はじめにその会員がどのような価値観を持ち、どのような相手を希望しているのかを把握するため会員の婚活支援を担当するコンシェルジュが時間をかけて面談を行う。
その際、コーチングスキルを用いて会員がまだ明確にできていない相手への希望や理想像をより明確化することで、抽象的に相手探しをするのではなく、より具体的なマッチングに結び付けられるようにする。
従来のデータによるマッチングだけでなく、コンシェルジュという人間を通して相手を紹介することで同業他社との差別化を図り、結果的に、回り道をせず手間や時間をかけずに費用対効果の高いサービス提供へとつながっている。
さらに、活動を通して、専任のコンシェルジュがPDCAサイクルを用いて活動の軌道修正を支援するため、失敗があっても前向きに婚活に取り組んでもらうことができる。
加えて、コンタクトの感想や感触の確認、その後の交際期間中の悩みごとの相談、成婚(※)後のフォローまで、コンシェルジュが会員の気持ちに寄り添って、共に成婚実現に進んでいけるようにサポートする。また、成婚後のフォロー期間も1年間に設定することで、成婚後であっても長期間フォローし、結婚までの道のりをサポートしている。

 

(※)成婚(退会)
交際中の相手との結婚を視野に入れて交際を継続する意向を双方から受けた上で退会すること。

 

「③コンタクト(お見合い)の設定:専任のコンシェルジュ以外の活動サポート」
活動が進むと、相手とのコンタクト(お見合い)を迎える。コンタクトの日時調整、場所の申し合わせなど、手間のかかる作業もシステムと専門チームがサポートするため、効率よく活動することができる。
コンタクト当日に道に迷ったり、相手を見つけられなかったりした場合なども、窓口スタッフが電話やメールでサポートを行い、出会いの機会を逃さないように支援している。
また、セカンドオピニオンとしてのアドバイスや助言のニーズに対応するために、サービスデスクを設置し、会員からの相談・要望に第三者からのアドバイスや助言を提供し、活動がより円滑に行えるためのサポート体制を構築している。

 

<サービスの料金体系>

登録料 入会申込に必要な手続きに要する費用
初期費用 入会後、専任のコンシェルジュによるインタビュー、活動設計や推薦文の作成等の活動の準備に要する費用
月会費 紹介や活動サポートに要する費用
成婚料 成婚退会時に発生する成功報酬費用
その他 イベント・セミナーへの参加、オプション商品・サービスの購入等、活動状況に応じた費用

 

顧客が利用するコースに応じて毎月2~6人の相手紹介をしているが、これはサービス契約上の義務であって上限ではないので、会社の裁量によりそれ以上紹介を受けられることもある。

 

付随サービスとして以下のようなサービスも提供している。

 

◎会員向けイベント
コンシェルジュによる相手の紹介だけでなく、会員を対象に出会いの機会を提供するため、婚活パーティーなど各種イベントの企画・運営を行っている。
イベントスペースを自社店舗内に設けることで柔軟なパーティー開催が可能であることに加え、イベント会場の賃借費用が不要となっている。

 

◎オプションサービス
*会員向けの写真撮影会を有料で提供している。婚活においては第一印象が重要視されるため、プロのカメラマン、メイクアップアーティストと提携し、自社店舗または提携先スタジオで写真撮影を行っている。婚活に特化しているため、適切な服装、表情など、経験に裏打ちされたアドバイスの提供も可能である。
*カラーコーディネート、ファッションアドバイザー、コミュニケーション力向上など、婚活に関連する予備知識や情報を有料セミナーによって提供している。

 

②エントリーサービス
「低価格で気軽に始めることができる婚活サービス」というコンセプトで、エントリー型結婚相談所、婚活パーティー、マッチングアプリ等の企画開発及び運営を行っている。

 

 

◎「OTOCON(オトコン)」婚活パーティー
一般向けの婚活パーティーを「OTOCON」として企画・運営している。
一般向けではあるが、各種イベントを通じて同社に興味を持ち、結婚相談所の会員になるケースも多く、入会の1つのチャネルとして機能している。
また、婚活事業の会員向けイベントサービスと同様に、イベント専門のスタッフが自社店舗内のイベントスペースでイベントを企画・運営するため、社内設備の有効活用ができ、かつ入会チャネルとして機能しているため、他サービスとのシナジーも生み出している。

 

(2)カジュアルウエディング領域
近年広がりを見せるカジュアルウエディング(カジュアルな挙式披露宴、少人数挙式、会費制パーティー、フォトウエディング、結婚式二次会)のプロデュース等を行っている。

 

①カジュアルウエディング
近年増大しているニーズに対応し、カジュアルウエディング(顧客の希望に沿った価格帯の挙式披露宴、会費会食制ウエディング、フォトウエディング等)のプロデュースを行っている。
主力商品である国内ウエディング「スマ婚」は2019年4月にグループ化した株式会社メイションが展開するサービスで、費用面で結婚式を諦めてほしくないとの想いから提供している、顧客の希望に沿った価格帯の挙式披露宴である。
リースナブルな料金でありながらハイグレードな会場での実施が可能であることに加え、会場もプランもフレキシブルに選択が可能な点や、持ち込み料無料、後日清算可能といった利便性が評価されている。
同様なコンセプトで海外ウエディングを顧客の希望に沿った価格帯で実現できる「スマ婚リゾート」も提供している。
また、株式会社メイションでは、披露宴ほど形式ばらず、二次会ほどカジュアルすぎないウエディングスタイルである「1.5次会婚」も手掛けている。
1.5次会プランナーがプランや費用など、希望に合わせたパーティプランを提案。ご祝儀制か会費制か、コース料理かビュッフェ料理かなど選択肢が幅広いことに加え、「スマ婚」同様、持ち込み料無料、後日清算可能である。
海外挙式の後の披露目パーティー、挙式ありのフォーマルなパーティー、会費制の気軽なカジュアルパーティーなど、様々な用途で利用されている。

 

②二次会
「スマ婚」と同じく、株式会社メイションが提供する「2次会くん」は、「結婚式二次会を人生で一番のパーティーにする」を掲げ、会場探しからパーティー企画、当日の運営、アフターフォローまで結婚式二次会の幹事を代行するサービス。
株式会社メイションは、二次会幹事代行件数で常にトップクラスの実績を上げている。
また、「スマ婚」及び「2次会くん」の施行時に活用する映像の内製化に取り組み、収益獲得の多様化にも取り組んでいる。

 

(3)テック領域
ITやテクノロジーを活用した婚活テックやウエディングテックサービスの企画開発及び提供等を行っている。

 

◎会員相互紹介プラットフォーム「CONNECT-ship」
テック領域の中心サービスが、会員相互紹介プラットフォーム「CONNECT-ship」(以下、コネクトシップ)である。
コネクトシップは、婚活支援事業者間で自社会員の相互紹介を可能にするオープンプラットフォームで、2017年6月稼働を開始した。

 

(概要)
コネクトシップを利用する婚活支援事業者と対象サービスは2020年8月時点で以下の11法人15サービスとなっている。

事業者名

運営サービス名称

エン婚活エージェント株式会社 ・エン婚活エージェント
株式会社シニアーライフ ・MARRIX(マリックス)
一般社団法人日本結婚相談協会 ・JBA(日本結婚相談協会)
株式会社日本仲人連盟 ・NNR(日本仲人連盟)
株式会社リクルートマーケティングパートナーズ ・ゼクシィ縁結びエージェント
株式会社結婚情報センター ・NOZZE(ノッツェ)
株式会社パートナーエージェント ・パートナーエージェント

・OTOCON婚活コンシェル(旧 Yahoo! 婚活コンシェルプラン)

・エキサイト結婚相談所 powered by パートナーエージェント

・ichie(イチエ)

・OTOCON婚活コンシェル グローバルキッズ

株式会社全国仲人連合会 ・全国仲人連合会
株式会社官公庁マリッジ ・官公庁マリッジ
一般社団法人日本少子化対策機構 ・Kマリアージュ
SE モバイル・アンド・オンライン株式会社 ・スマリッジ

 

これら一定規模の事業者間において、最大5万人超の会員(各社の会員数合計)の相互紹介を通じて成婚率を高め、顧客成果、顧客満足度の向上を図る「コネクトシップ」は、婚活支援業界初の試みである。
会員相互紹介を実現するプラットフォームとしては、パートナーエージェントが開発し、運用保守を行う「コネクトシップ」サービスを使用し、「コネクトシップ」の運営事務局も同社が担う。

 

今後も顧客成果である成婚の最大化という想いを共有できる婚活支援事業者を利用事業者に加え、規模を拡大していく予定。利用事業者は、自社のサービス内容や運営について、事務局である同社を含めた他の利用事業者から干渉されることなく、自社の顧客に独自のサービスを提供することができる。
システムを提供・運用する同社は、利用事業者各社から受け取る会員同士のお見合い(コンタクト)が成立した場合のコンタクト成立料を収益源とする。

 

(狙い)
利用事業者が、営業面での競争のみならず、新しい枠組みの中で顧客成果である成婚を追求して切磋琢磨することにより、顧客満足度を高めて業界全体の発展を図るとともに、サービス品質に基づき健全な競争を行うよう業界に変革を促すことも、「コネクトシップ」を主導する同社の狙いである。

 

(4)ライフスタイル領域
保険の販売、住宅情報サービスの提供等、成婚後の生活品質向上に資するサービス(保険・金融・不動産等)の提供等を目指している。
婚活サービスを通じて成婚した会員や、「スマ婚」及び「2次会くん」の顧客に対し、その後も関係性を維持して人生の節目において各種サービスを提供し顧客満足度の充足・向上を図りつつ、収益機会の拡大を図る。

 

 

保険販売に関しては、保険の見直しを検討している成婚会員やカジュアルウエディングサービスの顧客に対し、株式会社アイリックコーポレーションと提携し、3店舗の「パートナーエージェント×保険クリニック」で質の高い保険を提案している。
また住宅に関しては、注文住宅の購入を検討している成婚会員向けに株式会社リクルート住まいカンパニーが運営する「スーモカウンター」を紹介するほか、良質な住宅情報サービス等を提供するべく、東京都内で多数のマンション開発実績を有する株式会社デュアルタップと顧客連携に係る業務提携契約を締結している。

 

(5)法人領域
入社式、表彰式、社員総会等の企業イベントのプロデュースや地方自治体向け婚活支援システム「parms」の販売等を行っている。

 

①企業向けイベント「イベモン」
各種社内イベントの実施を通じて組織活性化および企業の発展を支援することを目的として、株式会社Mクリエイティブワークスが提供する、社内イベントプロデュースサービス。
グループ累計35,000 件超のプロデュース実績と独自ノウハウが強みである。

 

地方自治体向け婚活支援システム「parms」
住民に対する婚活支援活動を実施しようとしている自治体に対し、「parms」という同社が開発した結婚支援システムをASPで提供している。
「parms」は、婚活支援事業に必要な会員登録、会員管理、お相手とのマッチングなどの基本機能だけでなく、利用者(結婚を望む男女)の活動をサポートする機能や、事業運営側のスタッフの業務を効率化する機能等を網羅的に兼ね備えたシステム。運営主体の要望に応じたカスタマイズも可能となっている。
また「parms」はこれまでに福島県、京都府、埼玉県、秋田県が導入している。

 

自治体向けの主な実績は以下の通り。

自治体

内容

三重県 「結婚ポジティブキャンペーン」(結婚への前向きな機運醸成事業)における「夫婦・恋人の絆応援」プロジェクト事業の運営
京都府 「きょうと婚活応援センター」事業の受託企業に対し、結婚支援システムを提供
埼玉県 「SAITAMA出会いサポートセンター」への結婚支援システム提供
福島県 「ふくしま結婚・子育て応援センター」における結婚支援事業を包括的に受託
秋田県 「あきた結婚支援センター」への結婚支援システム提供

 

この他にも、自治体の行う婚活イベントの運営を支援するためセミナーや研修等ソリューションを2017年以降、10都道府県で提供してきた。

 

【1-5 特長と強み】

「顧客成果の追求」の結果としての成婚率の高さ
同社を特長づける最大のポイントは、「成婚率」の高さである。
2020年3月期の成婚率は27.0%。

 

同業他社は明確な数字を開示していないものの平均10%と言われており、同社の成婚率の高さは断トツである。
在籍会員に対する一定期間における成婚退会会員数の割合を示す「成婚率」は、婚活会社の必要性を問われてしまう可能性もある諸刃の剣であるという意味で、婚活業界においては指標として明示すべきではないとの認識が主流であった。
これに対し佐藤社長は創業時より事業に対する想い、企業戦略として「顧客成果を高める」を掲げてきた。
顧客が同社に求めるものは「結婚」という成果であり、これを可能な限り高めることこそが自社の社会的な存在価値であるという考え方だ。
この目的を実現するために、採用、教育、育成、研修、ナレッジ共有、マネジメント、評価制度などあらゆる活動のベースを「顧客成果の追求」に置いている。こうした姿勢が、業界では群を抜いて高い「成婚率」に結びついている。

 

2.2021年3月期第1四半期決算概要

(1) 連結業績概要

 

20/3期1Q

構成比

21/3期1Q

構成比

対前年同期比

売上高

1,981

100.0%

701

100.0%

-64.6%

売上総利益

1,025

51.7%

250

35.8%

-75.5%

販管費

936

47.3%

1,075

153.3%

+14.8%

営業利益

88

4.5%

-824

経常利益

90

4.5%

-821

四半期純利益

65

3.3%

-821

EBITDA

163

8.2%

-729

*単位:百万円

 

新型コロナウイルスの影響で大幅な減収減益
売上高は前期比64.6%減の7億1百万円。新型コロナウイルスの影響が大きく、結婚相談所は入会時期の再検討の申し出が相次ぎ、婚活パーティーは開催の大部分が見送りとなった。また、カジュアルウエディング領域は挙式披露宴や結婚式二次会の施行の大部分が延期・キャンセルとなった。
営業利益は8億24百万円の損失。売上総利益が同75.5%減少した一方で、新たにグループ化した2社の販管費が加わった。
EBITDAも損失に転じた。

 

(2) 領域別動向

前述のように今第1四半期より今後の戦略領域を新たに区分するため、「婚活領域」「カジュアルウエディング領域」「テック領域」「ライフスタイル領域」「法人領域」の5つの領域別セグメントの取り組みおよび売上高を開示することとした。

 

◎領域別売上高

 

20/3期1Q

21/3期1Q

前年同期

婚活領域

874

573

-34.4%

カジュアルウエディング領域

1,020

69

-93.2%

テック領域

44

41

-8.2%

ライフスタイル領域

6

9

+50.9%

法人領域

22

1

-92.4%

*単位:百万円

 

①婚活領域
減収。
新型コロナウイルスの影響で、結婚相談所の入会時期再検討、婚活パーティーの開催見送りなど大きな影響を受けた。
ただ、結婚相談所の月次入会数は、5月後半から回復基調にある。

 

(取り組み)
原点回帰で強固となった事業基盤のもと、成婚率No.1を強みとした各種施策を推進した。
広告面では婚活全般の機運醸成に向けて女性アイドルグループ SKE48を起用するとともに、サービス面では結婚相談所の会員向けコーディネートサービスを開始した。
また、新型コロナウイルス対応としてオンラインや郵送等を活用した来店不要の取り組みを推進した。
第2四半期に向けて、仙台店のオープン準備を進めるとともに、独身証明書必須のワンランク上の婚活パーティーの開催準備を進めた。

 

*主要指標

 

20/3期1Q

21/3期1Q

増減率

新規入会会員数(名)

2,227

927

-58.4%

6月末在籍会員数(名)

11,653

10,606

-9.0%

成婚退会会員数(名)

779

435

-44.2%

成婚率(%)

26.9%

16.2%

-10.7pt

パーティー参加者数(名)

66,831

5,506

-91.8%

パーティー開催数(回)

5,989

442

-92.6%

 

②カジュアルウエディング領域
減収。
新型コロナの影響で、挙式披露宴や結婚式二次会の延期・キャンセルが発生した。

 

(取り組み)
主力商品である「スマ婚シリーズ」のさらなる品質強化に努めるとともに、withコロナ時代を見据えた新たな結婚式スタイルの創出に注力した。
とくに、品質面では上質な会場を安定的に確保できる体制を構築し、新たな結婚式スタイルの創出では高品質なロケーションでのフォトウエディング「LUMINOUS」やリアルとオンラインを融合した挙式パーティー・結婚式二次会等を順次開始した。
完全貸切型フォトウエディングスタジオも銀座にオープンした。
第2四半期に向けて、「スマ婚シリーズ」のリニューアル・リブランディングの準備を進めた。
フォトウエディングLUMINOUSの成約件数はwithコロナ時代の新スタイルとして評価され、6月から急回復している。

 

*主要指標

 

20/3期1Q

21/3期1Q

増減率

(成約件数)

     

スマ婚シリーズ

449

138

-69.3%

2次会くん

955

198

-79.3%

LUMINOUS

102

100

-2.0%

(施行件数)

     

スマ婚シリーズ

334

21

-93.7%

2次会くん

892

1

-99.9%

LUMINOUS

75

64

-14.7%

単位:件。2020年3月に株式会社Mクリエイティブワークスをグループ化しており、2020年3月期第1四半期のLUMINOUSの施行件数は、2020年3月期第1四半期連結業績には含んでいない。

 

③テック領域
減収。
新型コロナウイルスの影響で婚活支援事業者間の相互会員紹介プラットフォーム「コネクトシップ」でのお見合い成立件数が減少した。

 

(取り組み)
新たな生活スタイルにおける婚活需要に対応するため、オンラインを活用した各種取り組みを推進した。
とくに、婚活支援事業者間の相互会員紹介プラットフォーム「コネクトシップ」では、場所に囚われずお見合いを実現できる自動オンラインお見合いシステムを独自開発し提供を開始した。
また、マッチングからファーストデートまでをオンライン上で実現できる完全無料のマッチング恋活アプリ「スマ婚デート」をリリースした。
第2四半期に向け「コネクトシップ」では利用事業者の拡大施策に取り組んできたところ、2020年8月、SE モバイル・アンド・オンライン株式会社が運営する「スマリッジ」が新規加入し、利用企業者数は11社、サービス数は15となった。
コネクトシップの月次お見合い成立件数は5月をボトムに回復している。

 

*主要指標

 

20/3期1Q

21/3期1Q

増減率

コネクトシップ利用会員数(四半期末、名)

28,378

28,146

-0.8%

コネクトシップお見合い成立件数(件)

78,496

54,928

-30.0%

コネクトシップ利用事業者数(社)

8

10

+25.0%

 

④ライフスタイル領域
増収。
前下半期に提供エリアを拡大したこと等により保険の販売が順調に推移した。

 

(取り組み)
第1四半期は、将来的な取扱サービスの拡充と同社グループの顧客以外への外販を見据えた基盤整備に注力した。
とくに、事業領域を、これまでの保険の販売(代理店)や住宅情報サービスの提供等から、保険全般・金融・不動産等へ拡大させるべく、この領域に深い知見を有する人材を招聘し、新たな事業本部を立ち上げた。
第2四半期以降に、婚活やカジュアルウエディング領域の顧客に対する資産形成セミナー等を開催する予定である。

 

⑤法人領域
減収。
新型コロナウイルスの影響でリアルの企業イベントが縮小し、企業向けイベントプロデュース「イベモン」の受注が低調だった。

 

(取り組み)
第1四半期は、新たな生活スタイルにおける企業イベント需要を見据えたサービスの企画開発を行うとともに、婚活支援の充実を検討する地方自治体へ向け、地方自治体向け婚活支援システム「parms」の提案を強化した。
企業向けイベント「イベモン」では、映像と専用アプリ付きのオンライン懇親会サービスの受注を開始し、6月以降好調な推移となっている。

 

*主要指標

 

20/3期1Q

21/3期1Q

増減率

イベモン成約件数(件)

26

5

-80.8%

イベモン施行件数(件)

23

2

-91.3%

 

(参考:従前の報告セグメントの売上・利益)

 

20/3期1Q

構成比

21/3期1Q

構成比

対前年同期比

売上高

         

婚活事業

915

46.2%

614

87.6%

-32.9%

カジュアルウエディング事業

1,044

52.7%

62

8.9%

-94.0%

その他事業

26

1.3%

18

2.7%

-28.1%

調整額

-6

5

合計

1,981

100.0%

701

100.0%

-64.6%

セグメント利益

         

婚活事業

205

22.5%

-31

カジュアルウエディング事業

55

5.3%

-536

その他事業

-4

-24

調整額

-168

-231

合計

88

4.5%

-824

*単位:百万円。セグメント利益の構成比は売上高利益率。

 

(3) 財務状態

◎主要BS

 

20/3月末

20/6月末

 

20/3月末

20/6月末

流動資産

1,999

1,826

流動負債

1,873

1,776

現預金

1,040

986

短期有利子負債

1,368

1,238

売上債権

682

510

固定負債

2,579

3,422

固定資産

3,477

3,589

長期有利子負債

2,326

3,179

有形固定資産

585

622

負債合計

4,452

5,199

無形固定資産

1,412

2,039

純資産

1,025

216

投資その他の資産

1,479

927

株主資本合計

1,027

217

資産合計

5,478

5,416

負債純資産合計

5,478

5,416

*単位:百万円

 

現預金および売上債権が減少した一方、無形固定資産の増加等で資産合計は前期末比61百万円減少の54億16百万円となった。
長期有利子負債の増加等で負債合計は同7億46百万円増加の51億99百万円。利益剰余金の減少などで純資産は同8億8百万円減少し2億16百万円となった。
この結果、自己資本比率は前期末から14.7ポイント低下し4.0%となった。

 

(4) トピックス

◎株主優待策を拡充
前期に続き2021年3月期についても株主優待制度を変更(拡充)することとした。

 

株主の支援に感謝するとともに、事業活動への理解促進を目的に、2017年3月期より株主優待制度を実施し、2020年3月期には株式会社メイションが提供するスマ婚・2次会くんで利用できる優待券と、株主専用「パートナーエージェント・プレミアム優待倶楽部」で利用できる優待ポイントの贈呈を新たに開始した。
今期から株式会社Mクリエイティブワークスをグループに迎え入れたことに伴い、株主への感謝の意を表するとともに、より一層同社グループへの理解を深めてもらいたいとの想いから、前期に引き続き、株主優待制度を拡充することとした。
100株以上保有株主に対し、新たにウエディングフォト「LUMINOUS」の10%割引優待券を贈呈する。

 

3.2021年3月期業績予想

(1)業績予想

新型コロナウイルスによる影響を現段階において合理的に算定することが困難なことから今期予想は未定としている。
婚活領域は結婚相談所が5月下旬以降回復基調へ向かっている。
カジュアルウエディング領域はフォトウエディングが好調だが、第二波で挙式披露宴や結婚式二次の施行延期・キャンセルが継続しており、見通しが困難である。

 

(2)今後の取り組み

手元流動性の確保等で財務基盤の安定化を図っている。
事業面では、「オンラインの活用」をキーワードに独自の取り組みを進めており、今後需要拡大が見込める領域へ経営リソースを集中する。
2020年11月に中期経営計画を公表する予定である。

 

4.今後の注目点

新型コロナウイルスによる影響を現段階において合理的に算定することが困難なことから今期予想は引続き未定としているが、結婚相談所が5月下旬以降回復基調へ向かっているなど、今のところ最悪期は一旦抜け出したようである。
とはいうものの、回復スピードがどの程度となるかは不透明である。
この困難をどのような施策で切り抜けていくか、第2四半期決算および中期経営計画でのビジョンや目標を注目したい。

 

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態 監査役設置会社
取締役 7名、うち社外2名
監査役 3名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2020年7月6日

 

<基本的な考え方>
当社は、企業価値の最大化を図るにあたり、各ステークホルダーとの関係強化及び経営統治・内部統制機能の充実を図ることが、当社のコーポレート・ガバナンスに対する取り組みの基本的な考え方であり、経営上の最重要項目と位置付けております。意思決定の迅速化・活性化、業務執行に対する監督機能の強化、取締役に対する経営監視機能の強化、及び内部統制システムを整備することで、会社の透明性、公正性を確保し、各ステークホルダーヘ適正かつタイムリーな情報開示に努めてまいります。
当社は結婚情報サービス事業を行っており、社会からの信頼を基盤として企業価値が成り立っていると考えております。コーポレート・ガバナンスは、当社がこうした社会からの信頼を維持していくために必要不可欠なものと認識しております。 ステークホルダーの期待に応え、継続的に企業価値を高めていくためには、経営における「執行と監督の分離」が最も効果的であると考え、当社経営陣の監督機関としての取締役会及び監査役会に加え、業務執行に関する重要事項の決定、重要経営事項の事前審議、情報の伝達及び共通理解、リスクに関する検討等を目的にした経営会議を設置しております。また、内部監査機能の充実を図るため各取締役、各事業部門の監査機関として代表取締役社長直属の組織とした内部監査室を設置しております。

 

<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
「当社はコーポレート・ガバナンス・コードの基本原則について、全て実施いたします。」と記している。

 

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