メディカルネット(3645) コロナ禍でも大きな潜在力

2020/08/27

 

平川 大 会長CEO

株式会社メディカルネット(3645)

 

 

企業情報

市場

東証マザーズ

業種

情報・通信

会長CEO

平川 大

所在地

東京都渋谷区幡ヶ谷1-34-14 宝ビル

決算月

5月末日

HP

https://www.medical-net.com

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

392円

4,040,285株

1,583百万円

6.0%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

未定

246.64円

1.5倍

*株価 7/31終値。発行済株式数は直近期決算短信より。発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年5月(実)

1,482

176

176

186

34.54

3.00

2017年5月(実)

1,480

123

124

82

15.30

2.00

2018年5月(実)

1,740

152

154

88

16.36

2.00

2019年5月(実)

2,236

176

182

102

18.98

2.00

2020年5月(実)

2,917

106

103

79

18.51

1.50

2021年5月(予)

3,000

~3,400

110

~200

110

~200

未定

未定

*予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。

 

株式会社メディカルネットの2020年5月期決算概要などをお伝えします。

目次

1.会社概要
2.2020年5月期決算概要
3.2021年5月期業績見通し
4.今後の注目点
<参考1:今後の成長戦略 ~予防医療・未病医療へ注力~>
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

 

 

今回のポイント

 

  • 20/5期の売上高は前期比30.5%増の29億17百万円。医療機関経営支援事業において(株)オカムラを連結子会社化したことにより、大幅増収。顧客満足度の向上を図りスマートフォン広告の拡充、新たなサービス構築に取り組んだ。営業利益は同39.6%減の1億6百万円。厳しい環境下、メディア・プラットフォーム事業の効率化を推し進めた。減益ながら会社予想は上回って着地した。1.5円の期末配当を実施。配当性向は7.6%。

     

  • 21/5期予想はレンジ予想。売上高が前期比2.8~16.5%増、営業利益は同3.4~88.0%増を計画する。今後の新型コロナウイルスの感染拡大による影響を勘案し、レンジ形式にて開示することとした。当期純利益については、現段階において合理的に見積もることが困難なことから、未定とした。配当についても未定。尚、メディア・プラットフォーム事業については好スタートとなりそう。

     

  • オカムラの子会社化で大幅増収ながら減益となったものの会社予想は上回って着地した。21/5期はレンジ予想ながらも増収、営業利益・経常利益は増益を見込む。前提とする新型コロナの感染拡大状況が足元悪化していることから、現時点では下限近くを想定すべきだろう。ただし、新型コロナの影響は長期的にはポジティブとの考え。20/5期にはブランネットワークスを吸収合併するなど効率化にも取り組んでおり、利益率の向上に期待したい。また、「まるごと抗菌コーティング」の展開やオンライン診断サービスに取り組むなど「withコロナ」にも動き始めており、意外と早く新型コロナの影響がポジティブに出てくる可能性もありそうだ。事業の柱がもう一つ育つようになれば利益水準ががらりと変わる可能性を内包している。株価は低空飛行、時価総額は15億円程度にとどまっており、こうした潜在力を考慮すると株価の見直し余地は相当に大きいと言える。

     

     

1.会社概要

「インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより笑顔を増やします。」を企業理念とし、歯科医院の経営をトータルで支援する「歯科医療プラットフォームビジネス」、歯科のみでなく医療、美容、ライフスタイルなど生活者にとって有益な情報を提供する「生活者向けサービス」、歯科関連企業のマーケティング支援などを行う「事業者向けサービス」を展開している。
生活者・歯科医院・歯科関連企業を結ぶビジネスモデルを有する唯一の企業。2020年5月末で41,069名に上るメディカルネットグループ会員数が大きな資産。

 

【1-1 沿革】

2000年

4月

前身である日本インターネットメディアセンター創業。ポータルサイト運営事業・ホームページ制作事業を開始

9月

ポータルサイト「インプラントネット」リリース

2001年

6月

「日本メディカルネットコミュニケーションズ株式会社(現 株式会社メディカルネット)設立」

2002年

2月

ポータルサイト「矯正歯科ネット」・「審美歯科ネット」リリース

2005年

4月

ポータルサイト「エステ・人気ランキング」リリース

2006年

10月

SEM事業開始

2007年

9月

東証一部上場ソネット・エムスリー株式会社(現エムスリー株式会社)と業務資本提携

2009年

3月

「モバイル!歯医者さんネット」リリース

2010年

12月

東京証券取引所 マザーズへ上場

2012年

11月

ブランネットワークス株式会社を連結子会社化、医療BtoB事業を展開

2014年

9月

ヘルスケア情報サイト「4healthcare」リリース

10月

美容情報サイト「美LAB.」リリース

2015年

1月

ママ向け子育て情報サイト「まんまみーあ」リリース

2015年

9月

株式会社ミルテルと業務資本提携

2016年

12月

「株式会社メディカルネット」に商号変更

2017年

4月

「公開育児アプリ「Moopen(モープン)」リリース

 

5月

「デンタルトリビューンインターナショナル社」と業務提携

 

9月

「Success Sound Co., Ltd.(現 Medical Net Thailand Co., Ltd.)」を連結子会社化。タイ国バンコクにおいて、歯科医院運営を開始

 

10月

日本の総代理店として「デンタルトリビューン日本版」オープン

 

12月

Medical Net Thailand Co., Ltd.「ゆたかデンタルクリニック」をリニューアルオープン

2018年

2月

福岡支社開設

 

12月

株式会社オカムラの株式取得し完全子会社化(歯科ディーラー事業を開始)

2020年

2月

連結子会社であったブランネットワークス株式会社を吸収合併

 

歯科医にターゲットを絞り、インターネット広告を中心としたビジネスを展開しようとした企業は多数あったが、個人事業主が多数を占める歯科医に対し継続的な営業を展開することが出来ず、ほとんどの企業が撤退していった。
これに対し同社は、歯科医の中でも自由診療に対象を絞り込んだうえ、ビジネスの成功のみでなく、創業時のビジョンを重視し、歯科医に対しては「新しい治療の理解と普及」や「地域医療の改善や治療に専念できる環境の提供」を、患者に対しては「より良い治療方法の情報提供」を目指し地道な努力を継続した結果、多くの歯科医師から圧倒的な共感を勝ち取り、生活者・歯科医院・歯科関連企業を結ぶビジネスモデルを有するオンリーワン企業となった。

 

【1-2 企業理念など】

「インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします。」を企業理念とし、以下のMISSION、VISION、VALUEからなるミッションステートメントを掲げている。

 

MISSION

社会的存在意義

インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします。

 

VISION

目指す姿

生活者・事業者に革新的なサービスを提供し続け、歯科医療プラットフォームビジネス・領域特化型プラットフォームビジネスにおいて、国内外でトップ企業となります。

VALUE

組織的価値観

 

変化なくして進歩なし。(あくなき挑戦である。)

◇情熱:向上心であり、自発性であり責任であり、マインドである。

◇スピード:意識であり、発想であり判断であり、言動であり、行動である。

◇チームワーク:協調であり、協力であり競争であり、シナジーであり、利他である。

◇リスペクト:感謝であり、思慮であり尊敬であり、真摯さである。

 

同社では、全社員に理念、VISIONを浸透させることを重視して、様々な取り組みを行っている。
2016年12月の社名変更も理念経営をこれまで以上に徹底して行っていくという経営からの社内外へのメッセージである。
中堅層育成のための2か月に1回の集合研修の場や中途採用時には平川会長・平川社長自らが同社の価値観を繰り返し語りかけている。
また、各事業ユニットおよび社員各人のVISION実現に向けた取り組みや実績を定量的・定性的に評価する仕組みもスタートさせた。
この評価制度を通じてビジョンや理念の更なる浸透を図り、より強固な組織づくりを目指している。

 

【1-3 市場環境】

◎歯科診療市場
厚生労働省の調査によれば、2018年度の歯科診療医療費は約2.97兆円で、前年比1.9%増と微増にとどまった。日本の健康保険財政状況からは今後も大きな伸びは予想できない。
一方、歯科診療所は2019年12月末で前年比0.2%減の68,404施設であった。3年連続の減少ながら高水準が続いている。

 

インプラントやホワイトニングなどの自費診療の普及や口腔衛生意識の高まりはあるものの、医療費抑制政策が続く中、歯科医院は過当競争状態にあると言われており、取り巻く経営環境は引き続き厳しい。
集客増を中心とした有効な施策に対する歯科医院のニーズは極めて大きいと思われる。

 

 

 

◎インターネット広告市場
医療機関経営支援事業における歯科医の集客のための重要なソリューションである「インターネット広告」は高成長が続いている。
電通が発表している「2019年 日本の広告費」によれば、日本の総広告費は18年が2.2%、19年が6.2%の増加と7年連続で0~3%程度の増加から19年は大きく伸びた。しかし、金額で多くを占めるマスコミ四媒体やプロモーションメディアの広告費は減少傾向となっている。
一方、インターネット広告は、18年が16.52%、19年は19.7%と6年連続で2桁の伸びが続いている。19年には初めてテレビ広告を上回り、日本の広告市場の増加を牽引している。その中でもより一層費用対効果を期待できる「リスティング広告」などいわゆる運用型広告はインターネット広告全体の半数以上を占め、19年は15.2%増となっている。
こうした傾向は今後も続くと思われ、歯科医にとってのマーケティングツールとしてインターネット広告はますます重要なものとなるだろう。

 

【1-4 事業内容】

<サービス概要>
『インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします』という企業理念の下、生活者、歯科医院、歯科関連企業に対しそれぞれ以下のようなサービスを提供している。

 

(生活者向け)
歯科治療の「理解」と「普及」をテーマに、自分に最適な歯科医院についての情報や、歯の基礎知識、インプラントなどの専門治療の説明など、生活者にとって有益な情報を、各種ポータルサイトを通じて提供している。
また、対象は歯科のみでなく医療、美容、ライフスタイルなど幅広い。

 

(歯科医院向け)
競争の激しい歯科医院業界に対し、様々な角度から経営支援サービスを提供している。
送客集客に結び付くホームページ制作やWebマーケティング、歯科従事者のための求職サイト運営による人材・キャリアサポート、日々の歯科治療で必要となる消耗品や歯科材料および高度管理医療機器導入のトータルサポートに加え、歯科医院の新規開業に伴う、物件、設備・インフラ、ホームページ、集客などのトータルサポートも提供している。

 

(歯科関連企業向け)
歯科医院向けビジネスを拡大させたい歯科関連企業のサポートを行っている。
ここで重要な役割を担っているのが、同社が運営する、歯科医療従事者登録数が2020年5月末時点で32,160名と日本最大級である歯科医療総合情報サイト「Dentwave.com」である。
「Dentwave.com」におけるバナー広告やメールマガジンといった広告掲載に加え、登録者を対象としたネット調査「デントリサーチ」も、マーケティングのための有効なツールとして高い評価を受けている。スピーディに精度の高い調査が可能であることに加え、職種、専門、年代、エリアなど細かいスクリーニングにも柔軟に対応しており、多くの歯科関連企業が導入している。
ほかにも、学会や企業のWebサイトやランディングページおよびカタログなどの制作、歯科コンベンションや歯科イベントの企画・集客・運営支援も行っている。

 

<報告セグメント>
開示上の報告セグメントは、「メディア・プラットフォーム事業」、「医療機関経営支援事業」、「医療BtoB事業」の3つ。

 

 

 

 

(1) メディア・プラットフォーム事業
「からだ」・「健康」・「美」に特化した情報を提供するサイトの開発・運営を行っている。
様々な切り口で、歯科分野、美容・エステ分野、子育て分野合わせて、125のメディアを運営している。

 

(歯科分野)

インプラントネット

歯科インプラント治療という特定の自由診療に関する情報発信に特化したポータルサイト

・インプラントネット(全国版)

・東京版・インプラントネット

・東京地域版・インプラントネット(10地域)

・大阪版・インプラントネット

・大阪地域版・インプラントネット(3地域)

・福岡版・インプラントネット

・Dental Implants Net(US全国版・US地域版2地域)

・インプラントネット(モバイル版)

・インプラントネット(スマートフォン版)

 

矯正歯科ネット

矯正歯科治療という特定の自由診療に関する情報発信に特化したポータルサイト

・矯正歯科ネット(全国版)

・東京版・矯正歯科ネット

・東京地域版・矯正歯科ネット(10地域)

・大阪版・矯正歯科ネット

・大阪地域版・矯正歯科ネット(3地域)

・福岡版・矯正歯科ネット

・矯正歯科ネット(モバイル版)

・矯正歯科ネット(スマートフォン版)

審美歯科ネット

 

審美治療という特定の自由診療に関する情報発信に特化したポータルサイト

・審美歯科ネット(全国版)

・東京版・審美歯科ネット

・東京地域版・審美歯科ネット(10地域)

・大阪版・審美歯科ネット

・大阪地域版・審美歯科ネット(3地域)

・福岡版・審美歯科ネット

・千葉版・審美歯科ネット

・埼玉版・審美歯科ネット

・神奈川版・審美歯科ネット

・名古屋版・審美歯科ネット

・審美歯科ネット(モバイル版)

・審美歯科ネット(スマートフォン版)

その他歯科関連

「歯医者さんネット」

主に虫歯治療、歯周病治療などの保険診療を行う歯科医院を紹介し、幅広い顧客層をターゲットにしたポータルサイト

「Ask Dentist」

インターネットユーザーからの歯や口腔に関する質問・相談に歯科医師が回答する歯科Q&Aサイト

歯科求人サイト「Denty」

歯科医療業界に特化した求人サイト。歯科ポータルサイトの運営実績を活かして、求職者の目線を意識した求人情報の発信に努めている。

 

主なポータルサイトは歯科医院検索、歯科医院紹介、歯科医師の紹介に加え、患者に対する情報提供として、治療説明、よくある質問と回答のQ&Aといったコンテンツも掲載している。

 

 

(美容・エステ分野)

エステ関連サイト

 

美意識の高い女性をターゲットに、エステに関する情報を提供するポータルサイト「エステ・人気ランキング」をはじめ9サイトを運営している。

美容整形関連サイト

 

美意識の高い女性をターゲットに、美容整形に関する情報を提供するポータルサイト「気になる!美容整形・総合ランキング」をはじめ2サイトを運営している。

主なコンテンツは、エステサロン検索、エステサロン紹介、総合人気ランキング、キャンペーン人気ランキング、コース人気ランキング、実際にエステサロンで受けた施術の感想等を掲載した体験レポートなど。

 

*ビジネスモデル
各ポータルサイトは、歯科医院やエステサロン等を顧客として、広告料収入を得て運営している。
インターネットユーザーは、各ポータルサイトにおいて、無料で歯科医院、エステサロン等の情報を検索・閲覧することができる。
広告料収入の具体的内容は、主に①クライアント紹介ページの初期制作料及び月額掲載料、②クライアントのホームページへのリンクを貼ったバナー広告の月額掲載料となっている。
契約形態は原則12カ月の継続契約(自動更新)であるため、収益モデルは積上げ式のストックビジネスとなっている。

 

(2)医療機関経営支援事業
①SEM事業
検索エンジンの検索結果において検索順位を上位表示させることを目的としたSEO(検索エンジン最適化)サービスや、ヤフー株式会社及びGoogle LLCが運営するポータルサイトにおけるリスティング広告(検索連動広告)の運用代行サービスを提供している。

 

(A)SEO
検索エンジンを活用してホームページへの集客やホームページから情報配信を行うクライアントに対して、検索エンジンの表示順位判定基準(アルゴリズム)を分析し、ホームページの状態を最適化することにより、ホームページの検索エンジンからのキーワードに対する評価を高め、検索エンジンの検索結果において検索順位を上位表示させることを目的としたSEOサービスを提供している。
定額料金により複数のキーワードでYahoo! JAPAN又はGoogleの検索結果を上位表示させる月次定額型サービスと、特定のキーワードでYahoo! JAPAN又はGoogleの検索結果の順位に応じた料金が発生する成功報酬型サービスがある。

 

(B)リスティング広告(検索連動広告)
ヤフー株式会社及びGoogle LLCが運営するポータルサイトにおいてリスティング広告(検索連動広告)の運用代行サービスを行っている。
「リスティング広告」とは、検索エンジンの検索結果ページに設定された広告枠に表示される広告のことで、インターネットユーザーが広告をクリックした場合にのみ広告主に広告料が発生する。
クライアントにとって費用対効果の高い広告運用を実現するため、キーワードや広告原稿の提案から、運用面における入札価格の調整や予算管理までの総合的なサービスを提供している。

 

②事業者向けホームページ制作・メンテナンス事業
主に「からだ」・「健康」・「美」に関連する事業者(歯科医院、エステサロン等)をクライアントとしてホームページ制作・メンテナンス事業を行っている。
インターネットユーザーが、その歯科医院やエステサロン等に対して安心感を持ってもらえるように「清潔感・高級感」を重視したウェブデザインを手掛けるほか、歯科分野及び美容・エステ分野に特化している同社ならではの医療・美容知識を活かして、患者や医療・美容に対するクライアントの考え方など、インターネットユーザーに情報を分かりやすく伝えることができるホームページを制作している。
また、人工知能(AI)機能を搭載したWeb接遇支援システムの提供も開始した。これは歯科業界初の取り組みである。

 

③販売代理事業
クライアントを中心に、新聞折込広告をはじめとする広告出稿、他社商材等の販売代理業務を行っている。

 

④海外での歯科医院経営
タイ・バンコクで歯科医院の経営を開始。タイでの歯科医院経営を皮切りに、海外諸国において日本の先進歯科医療の普及を図る。

 

⑤歯科ディーラー事業
18年12月より連結化した(株)オカムラが展開する歯科機材卸事業。

 

(3)医療BtoB事業
歯科医療従事者と歯科関連企業等をつなぐBtoB型の歯科医療総合情報サイト「Dentwave.com」の運営を行っている。
同サイトの歯科医療従事者登録は2020年5月末時点で32,160名と日本最大級。
この会員を基盤として、歯科関連企業等に対する広告ソリューション、リサーチ、コンベンション運営受託等のサービスを提供している。20年2月には運営するブランネットワークスを吸収合併した。
また、世界最大規模の歯科メディアであるデンタルトリビューンインターナショナルと業務提携し、世界90カ国、65万人の歯科医師をユーザーにもつ「DENTAL TRIBUNE」日本版のメディアの運営とマガジンの発行をしている。

 

【1-5 特長と強み】

(1)生活者・歯科医院・歯科関連企業を結ぶプラットフォームを構築している唯一の企業

(同社HPより)

 

同社は、歯科医療を中心に生活者・歯科医院・歯科関連企業を結んだプラットフォームを構築しているが、こうしたプラットフォームを構築している企業は他には無く、同社の大きな特徴となっている。
この強固でユニークなプラットフォームを活かし、生活者・歯科医院・歯科関連企業、それぞれに向けて様々なサービスを提供しており、これが強力な競合優位性となっている。
創業から約20年をかけて構築してきたポジショニングは強固であり、新規参入は極めて難しいと同社では考えている。

 

◎対生活者:自社メディアで信頼性の高い公平・中立な情報を提供
歯科医師など専門家と直接やりとりしながら、多くのメディアを構築・運営してきた同社は、歯科医療における豊富な専門知識を有している。
そのため、生活者に対し信頼性が高くかつ分かりやすい情報を提供することが可能であり、そのクオリティの高さは、医師が患者に説明する際に、同社が運営するWebサイトのコンテンツを利用することもあるほどである。
より専門性の高いテーマについては、長年築き上げた信頼関係に基づき、歯科医師に執筆を依頼している。
様々な見解があるテーマについては、複数の歯科医師に意見を述べてもらったり、治療方法のデメリットなどについても言及してもらったりしており、生活者に公平・中立な情報を提供している。
同社の売上高の多くは歯科医向けサービスによるものではあるが、ビジョンや理念の下、常に「生活者・利用者の視点」を重視したアドバイスを歯科医に提供しており、これが同社に対する一層の信頼性向上に結び付いている。

 

◎対歯科医:ワンストップWebサービス×多彩なリアルサービス×コンサルティング
さまざまな自社メディア、および事業者向けWebサイトを構築してきた同社は、Webサイト構築からSEM施策の立案・実施までをワンストップで提供することが可能であり、これに加え、人材紹介、保険、専門機材、オフィスサプライなど、リアルな領域においても全方位的なサービスを提案している。
さらに、歯科医師の専門領域や課題を理解した上で、経営実態を把握・分析し、インターネットを活用した効果的な送客・集客や、リアルビジネスを組み合わせた人員・設備・事業計画の提案など、歯科医院に対する経営支援コンサルティングを幅広く提供することができる。

 

◎対歯科関連企業:優良歯科医院へのアプローチやマーケットリサーチが可能
前述のように、同社は、会員数トップクラスの歯科医療従事者向けサイト「Dentwave.com」を運営している。
会員の多くは、経営状態が良好でかつ事業拡大にも前向きであり、医療機器メーカー・卸などメーカー・サプライヤーは、こうした優良顧客に対して広告展開や、製品・サービスの提案をすることが可能である。

 

(2)ストックビジネスによる安定した収益構造
同社売上の過半を占めるポータルサイト運営事業における広告出稿は、原則として12カ月の継続契約(自動更新)であるため、収益モデルは積上げ式のストックビジネスであり、同社の収益基盤に安定性をもたらしている。
同社では新規顧客開拓を進めて事業基盤の更なる強化を図る考えだ。

 

(3)圧倒的な会員数
歯科医療従事者会員からなるメディカルネットグループ会員数は20年5月末で41,069名と、上場時の5.2倍にまで拡大している。
この会員は、対歯科医院向けビジネスの顧客であると同時に、対歯科関連企業向けビジネスにおいても重要な資産として同社の事業基盤を支えている。
日本全国には約10万人の歯科医師がいると同社では想定しており、今後は8割、8万人の会員化を目指している。

 

 

【1-6 ROE分析】

 

14/5期

15/5期

16/5期

17/5期

18/5期

19/5期

20/5期

ROE (%)

5.7

3.8

14.0

5.6

5.8

6.4

6.0

 売上高当期純利益率(%)

5.22

3.67

12.55

5.56

5.06

4.57

3.55

 総資産回転率(回)

0.80

0.74

0.87

0.86

0.95

1.14

1.18

 レバレッジ(倍)

1.37

1.40

1.29

1.18

1.20

1.23

1.44

ROEは16/5期を除けば、日本企業が一般的に目指すべきと言われている8%を下回っている。
売上高当期純利益率の改善が期待される。

 

2.2020年5月期決算概要

(1)業績概要

 

19/5期

構成比

20/5期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

2,236

100.0%

2,917

100.0%

+30.5%

3,000

-2.7%

売上総利益

881

39.4%

972

33.3%

+10.3%

販管費

705

31.5%

866

29.7%

+22.8%

営業利益

176

7.9%

106

3.6%

-39.6%

100

+6.4%

経常利益

182

8.2%

103

3.6%

-43.1%

101

+2.9%

当期純利益

102

4.6%

79

2.7%

-22.4%

64

+24.0%

* 単位:百万円
* 当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。

 

大幅増収、営業減益ながらも計画を上回る
売上高は前年同期比30.5%増の29億17百万円。医療機関経営支援事業が新規連結に伴い大幅に伸びた。
19年の広告市場の総広告費及び同社グループが関連するインターネット広告市場における広告費は、共に増加傾向にあった。また、同社が属するインターネット附随サービス業においても、売上高が概ね前年を上回る水準で推移している。
一方、同社グループの事業領域である歯科市場においては、インプラントやホワイトニング等の自費診療の普及や口腔衛生意識の高まりもあったものの、歯科診療医療費の伸び悩みや歯科医院の過当競争の進展に加え、新型コロナウイルス感染拡大により厳しい状況が続いている。このような経済情勢のもと、顧客満足度の向上を図るため、スマートフォン広告の拡充など新たなサービス構築に取り組んだ。
営業利益は同39.6%減の1億6百万円。基幹事業であるメディア・プラットフォーム事業の効率化を推し進める一方で、オカムラを連結子会社化したことにより、売上総利益率が前期39.4%から33.3%に低下した。上期末に子育てメディアを終了したこと等により労務費は減少したが、業容拡大に向けて人材採用、プロモーション活動等を積極的に行い販管費率が増加したことにより減益となった。会社予想との比較では各利益とも上回った。
1.5円の期末配当を実施。配当性向は7.6%。

 

(2)セグメント別動向

 

19/5期

構成比

20/5期

構成比

対前期比

メディア・プラットフォーム事業

860

38.4%

805

27.6%

-6.4%

医療機関経営支援事業

1,306

58.3%

2,060

70.5%

+57.7%

医療BtoB事業

70

3.2%

53

1.8%

-25.0%

その他

4

0.2%

3

0.1%

-15.1%

調整額

-6

-4

売上合計

2,236

100.0%

2,917

100.0%

+30.5%

メディア・プラットフォーム事業

560

65.1%

535

66.6%

-4.4%

医療機関経営支援事業

-9

8

0.3%

医療BtoB事業

-29

-21

その他

4

100%

3

100%

-15.1%

調整額

-349

-419

営業利益合計

176

7.9%

106

3.6%

-39.6%

* 単位:百万円
* 営業利益の構成比は売上高営業利益率。その他は報告セグメントに含まれない事業セグメントで管理業務受託事業。

 

◎メディア・プラットフォーム事業
売上高は前期比6.4%減の8億5百万円、営業利益は同4.4%減の5億35百万円。
同事業が関連するインターネット広告市場における広告費は拡大基調にあるものの、歯科分野では、歯科診療医療費の伸び悩みや歯科医院の過当競争の進展により厳しい状況が続いた。尚、諸施策により予約率が向上、検索順位も向上している。
美容・エステ分野では、19年のエステティックサロン総市場規模は微増推移となったものの、物販分野の伸長によるもの。従来施術の販売状況に物販は連動するとされていたが、2019年度は必ずしもそうではなく厳しい状況が続いた。こうしたなか、美容整形専門サイト「気になる!美容整形・総合ランキング」、エステ専門サイト「エステ・人気ランキング」等のポータルサイトの収益化を目指した。また、運営する各ポータルサイトの認知度の向上を図ると共に引き続きスマートフォン広告の拡充を進め、新たなサービスの提供を実現するための体制を整備してきた。この結果、美容・エステ分野においてはポータルサイトへの広告出稿については厳しい状況が続いており、「気になる!美容整形・総合ランキング」が売上高は前年比21.7%減、「エステ・人気ランキング」が同8.7%減となるなど前年比で減少した。また、歯科分野においても前年に引き続き、Googleのアルゴリズムの変動の影響があるなか、主力サイトの「矯正歯科ネット」の売上高が前年比0.1%増となったものの、「インプラントネット」の売上高は前年比5.0%減となるなど厳しい状況が続いた。歯科メディア同様予約率向上によるサイトの価値向上を促したが減収となったものの利益率は改善。

 

◎医療機関経営支援事業
売上高は前期比57.7%増の20億60百万円、営業利益8百万円(前期は9百万円の損失)。
(SEMサービス)
18年同様、19年もインターネット広告媒体費は好調に推移した。このうち、運用型広告市場規模は、大型プラットフォーマーを中心に高成長となった。こうしたなか、運用型広告へのシフトが進んだことによる市場規模の拡大の影響を受け、リスティング広告運用代行サービスの顧客数が増加したことや、提供するサービスの多様化により売上高が増加した。リスティング広告運用代行については、顧客数の増加に加え、大口顧客の運用額増加により、前年を大きく上回った。
(SEOサービス)
複数キーワードへの対策結果を短期的に求めることが難しい仕組みへと変化したことにより、比較的効果の現れやすい検索連動広告をSEO対策に代わる手法として求める顧客が増えている。そのような中、Googleなどの検索エンジンで利用されているアルゴリズム(検索キーワードに対して最適なページを判定するための処理手順)への対応が遅れ、売上高は減少した。
(事業者向けホームページ制作・メンテナンスサービス)
19年のインターネット広告制作費が前年比7.9%増となったものの、ワンストップソリューションサービスの一環である事業者向けホームページ制作・メンテナンスは制作案件が減少し、売上高は減少した。
(販売代理及び歯科器材販売)
同社独自のサービスと関連性のある他社Web商材・歯科医療機器・材料の販売及び歯科医院経営支援サービスの営業活動を積極的に行った。加えて、18年12月に連結子会社化した株式会社オカムラが通年寄与したことに伴い売上高は増加した。
(歯科医院運営)
在バンコクの日系企業へ積極的に検診実施の営業活動を行い、また、在バンコクの邦人コミュニティーへ積極的に働きかけることにより患者数の増加に努めた結果、売上高は増加した。

 

◎医療B to B事業
売上高は前期比25.0%減の53百万円、営業損失21百万円(前期は29百万円の損失)。
連結子会社ブランネットワークスにおいて組織体制の強化や歯科関連企業への積極的なプロモーション活動に努めてきたが収益化が進まず、経営資源の有効活用、柔軟な人材配置による業務の効率化及び経営基盤の強化を目的として、20年2月1日付でブランネットワークス株式会社を吸収合併した。広告サービスの受注件数を増加させたものの、コンベンション運営の受注がなく減収となった。経営効率化で赤字は縮小した。

 

(3)財務状態及びキャッシュ・フロー(CF)

◎主要BS

 

19年5月末

20年5月末

 

19年5月末

20年5月末

流動資産

1,596

1,205

流動負債

335

677

現預金

1,042

605

仕入債務

123

104

売上債権

442

441

負債合計

408

730

固定資産

454

531

純資産

1,642

1,006

有形固定資産

37

38

利益剰余金

1,115

1,179

無形固定資産

173

167

負債純資産合計

2,051

1,736

投資その他の資産

244

325

 

 

 

資産合計

2,051

1,736

 

 

 

* 単位:百万円

 

資産合計は、前期末比3億14百万円減の17億36百万円となった。これは主に、長期前払費用が69百万円、前渡金が38百万円増加した一方、現預金が4億37万円減少したため。
負債合計は、前期末比3億21百万円増の7億30百万円となった。これは主に、買掛金が18百万円、長期借入金が19百万円減少した一方、短期借入金が3億円50百万円増加したため。
純資産合計は、前期末比6億35百万円減の10億6百万円となった。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益79百万円の計上と、剰余金配当10百万円を行ったこと等により、利益剰余金が64百万円増加したが、自己株式が7億3百万円増加したため。
自己資本比率は57.4%(前期末79.7%)となった。

 

◎キャッシュ・フロー(CF)

 

19/5期

20/5期

増減

前年同期比

営業CF

22

78

56

+253.1%

投資CF

-145

-14

130

FCF

-122

63

186

財務CF

-21

-497

-476

現金及び現金同等物の四半期末残高

1,028

595

-433

-42.1%

* 単位:百万円
20/5期末の現金及び現金同等物は、前期末比4億33百万円減少し、5億95百万円となった。
営業CFは78百万円の増加(前期は22百万円の増加)となった。これは売上債権の増加、仕入債務の減少があったものの、税金等調整前当期純利益の計上があったこと等によるもの。
投資CFは14百万円の減少(前期は145百万円の減少)となった。これは貸付金の回収による収入があったものの、保険積立金の積立による支出、有形固定資産の取得による支出があったこと等によるもの。
財務CFは4億87百万円の減少(前期は21百万円の減少)となった。これは短期借入金の純増があったものの、自己株式の取得があったこと等によるもの。

 

(4)トピックス

◎株式会社ミルテルとの連携
株式会社ミルテルは、染色体の最末端部分のテロメア1本鎖DNA配列(Gテール)の長さを測定する世界オンリーワンの技術を用いた未病検知検査「テロメアテスト」を事業として行う広島大学発のベンチャー企業。15年9月に業務資本提携契約を締結。ミルテルが発行する無担保転換社債型新株予約権社債を引受けた。16年7月には同社を含む6社を割当先とする第三者割当増資を実施するとともに、15年に引受けた社債を株式に転換した。
18年6月に、資本・業務提携及び第三者割当増資の引受けを実施した。本提携により、メディカルネットとミルテルは、口腔領域における唾液や口腔粘膜などの臨床検体等を利用した未病・疾患早期発見を目的とした検査等の歯科領域における事業を企画・開発し、メディカルネットが独占的に販売する。

 

(ミルテルHPより)

 

◎デンタルトリビューンジャパン
「Dental Tribune」は90か国、25か国以上の言語、65万人以上の歯科医師に愛読されている歯科専門メディア。17年5月からメディカルネットは「Dental Tribune」の日本国内独占出版権を保有し、同年10月より「Dental Tribune Japan」として日本版の新聞を発行、ウエブサイトを運営し、数多くの歯科医療従事者向けに新たな情報を提供し続けている。

(同社資料より)

 

◎メディカルネットタイランド 医院経営
タイ・バンコクで17年9月に歯科医院経営を開始した。タイでの歯科医院経営を皮切りに、海外諸国において日本の先進歯科医療の普及をしていく。事業化を行い新たなマーケットの拡大を図るとともに、歯科医療環境の健全な発展を通じ世界中の生活者の笑顔を増やす考え。
28歳の若手社員が現地法人の社長として活躍。売上を伸ばし黒字化した。

 

◎AI機能を搭載した「Web接遇支援システム」
歯科医院のWebサイトにAI機能を搭載
「Web接遇支援システム」の提供を18年1月から開始した。
2000年以降、約5,000件の医院情報と20,000件以上の問い合わせからの知見を搭載。

 

◎Biolux Research Holdings,Inc.との資本業務提携
オーソパルス「OrthoPulse®」は口に小さな機器をはめて、近赤外線を用いた施術(フォトバイオモジュレーション)をインビザラインと併用し、効率的におこなう新しい機器。
同社は、OrthoPulse®を製造販売するBiolux Research Holdings,Inc.(本社:米国デラウェア州Chief Executive Officer:David Thrower 以下:Biolux)と資本業務提携をし、ロックフェラー家のベンチャーキャピタル部門であるVenRock社等とともに第三者割当を引き受けた。

 

 

(同社資料より)

 

◎株式会社オカムラの子会社化
株式会社オカムラは東京都福生市に本社を置く歯科ディーラー。歯科医院に対する器材のほか器具・薬品一式の販売を事業内容とする。より良い歯科医療環境の実現を目指して18年12月から子会社化した。
インターネットを活用したサービスの提供だけではなく、歯科医療を取り巻く全ての需要に対して課題解決を行うため、オカムラの全株式を取得し、子会社化することにより、オカムラの既存クライアントに加え、メディカルネットグループのクライアントである歯科医院に対しても歯科器材や器具・薬品一式の販売をすることにより事業を拡大させる考え。

 

◎株式会社識学と共同で歯科医療業界向け「識学トレーニングDental Clinic Edition」提供開始
昨年3月8日付で株式会社識学と業務提携契約を締結した。株式会社識学は、意識構造に着目した独自の理論をベースとした話題の組織マネジメントコンサル。メディカルネットは全国3,000を超える医療機関への圧倒的な経営支援実績を持つ。
◆業務提携の内容
・集客の相互支援 歯科医療業界向けのセミナーの共同開催
・ノウハウ共有及びサービス開発 歯科医療業界向けトレーニングサービスの開発・実施

 

◎ブランネットワークスを吸収合併し、医療B to B事業の規模拡大を目指す

(同社資料より)
20年2月1日、経営資源の有効活用、柔軟な人材配置による業務の効率化及び経営基盤の強化、事業規模拡大を目的としてブランネットワークス株式会社を吸収合併した。

 

◎業界初の口腔内カメラを活用した歯科向けオンライン診察サービス提供に向けたアイリッジとの提携
スマートフォンを活用し、企業のO2O(Online to Offline)/(Online Merges with Offline)を支援している株式会社アイリッジとの業務提携により、歯科向けの口腔内カメラを活用したオンライン診療サービスの共同開発と展開を進める。

 

・口腔内カメラを活用したオンライン診療サービス

事前に歯科医院から患者に提供される歯科用口腔内カメラとスマートフォンによるビデオチャットを活用し、患者の口腔内状況をリアルタイムに部位を確認しながら診察を行える、業界初のサービス。

医師とのオンライン診療中に、患者自ら口腔内カメラを操作し患部の状態を動画で送信することで、問診だけの診察に比べ適切な診断が期待できる。

今後は非リアルタイムで医師に相談出来るサービスも予定しており、診察の必要性や患者の健康状態について医師が一般的な回答・アドバイスを行い、来院頻度の低下や感染症の拡大防止に効果を与えるとの考え。

 

(同社資料より)

 

◎新型コロナウイルス感染症の影響
短期的には一部でマイナス影響はあるものの、25年5月までの長期的な視点で見れば、株主価値への影響はポジティブという考え。

マイナスの影響

プラスの影響

■短期的には、メディア・プラットフォーム事業の売上の3.5%以下、利益の2.3%以下のエステ系サイトでは、自粛要請によりエステの施術を受けるのを控えたためエステ利用者が減少し、結果としてサービスに対する利用は減少

■良好な口腔環境の維持によるウィルス感染リスク削減に対する需要増大

 

■ウィルスの院内感染を防ぐための歯科クリニック向け各種予防器具販売

長期的に見れば株主価値への影響はポジティブ

 

3.2021年5月期業績見通し

(1)通期業績予想

 

20/5期

構成比

21/5期(予)

構成比

前期比

売上高

2,917

100.0%

3,000~3,400

100.0%

+2.8~16.5%

営業利益

106

3.6%

110~200

3.7~5.9%

+3.4~88.0%

経常利益

103

3.6%

110~200

3.7~5.9%

+5.8~92.4%

当期純利益

79

2.7%

未定

* 単位:百万円 * 予想は会社側発表。

 

新型コロナの影響を考慮し、レンジ予想も、増収増益見通し
21/5期予想はレンジ予想。売上高が30~34億円(前期比2.8~16.5%増)、営業利益1億10百万円~2億円(同3.4~88.0%増)を計画する。今後の新型コロナウイルスの感染拡大による影響を勘案し、レンジ形式にて開示することとした。新型コロナウイルスが早期に収束し、メディカルネットグループの対象とする市場が新型コロナウイルス感染拡大前まで回復した場合は上限を、新型コロナウイルス感染が収束せず現在の状況が続いた場合は下限として予想している。当期純利益については、現段階において合理的に見積もることが困難なことから、未定とした。

 

今後の見通しについて、新型コロナウイルスの感染拡大により、予断を許さない極めて不透明な経営環境が継続するものと思われる。このような状況において、引き続き、「インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします。」という経営理念のもと、基幹事業であるメディア・プラットフォーム事業においては、サイトの活性化を図るため、スマートフォンやタブレット端末を含む新たな端末への対応を継続し、ポータルサイト利用者のユーザビリティ向上及び顧客満足度を追求したサービスの強化を引き続き進める。また、新たなサービスを創出し収益拡大を目指す。尚、足元は予約率が向上、検索順位も上昇しており、好スタートとなりそうだ。
医療機関経営支援事業においては、SEMサービスでは医療広告ガイドラインに関する同社独自の運用基準によって培った経験を活かし、医療分野における運用型広告市場でのシェア拡大、新たなサービスの提供を基本方針として収益モデルの改善を図る。HP制作・メンテナンスサービスでは、高いクオリティのサイト制作を継続し、新たなクライアントの獲得を目指す。従来の他社Web商材の販売代理に加え、新たに連結子会社となったオカムラと連携し歯科器材の販売や経営コンサルティングなどのサービス展開を拡げる。
医療B to B事業においては、基盤となる医療従事者等の会員数は順調に増加している。その会員基盤を活かし、リサーチ、コンベンションの運営受託、広告ソリューションの提供など各サービスにおいて、引き続き収益力の強化を進める。さらに、組織体制を再編成し、販売の強化、歯科分野のみならず新たな分野での事業を創出し、収益化を目指す。これらの各セグメントにおける見通し、さらに積極的に行っていく新規事業のための先行投資方針により、販管費は増加を見込む。
配当予想については、現時点で今後の影響を予測することが困難なため未定とした。

 

(2)事業別取り組み

事業

取り組み

メディア・プラットフォーム

歯科・美容

◇人材強化

◇サービスの改善・拡充、セールスとのサービス販売強化

◇専門コンテンツ強化

医療機関経営支援事業

◇新規チャネル開拓と収益モデル構築

◇AI搭載およびユーザーコミュニケーション型web開発・販売

◇セミナー、大学及びスタディグループの開業支援及び経営支援案件の掘り起こし

◇歯科ディーラー事業を拡大

医療B to B

◇会員数増加に向けた施策強化

◇新サービスの開発、販売強化

ビジネスディベロップメント・経営企画

◇新規事業

(3)計画の前提

各事業で増収を見込む。

事業

売上状況

メディア・プラットフォーム

 

歯科分野、美容分野とも前年のGoogleアルゴリズムの変動、医療広告ガイドライン改正に伴う落ち込みからの回復を見込む。

医療機関経営支援事業

体制を強化し新事業、新商材の取扱いに加え、

既存事業も収益力を強化、歯科医院運営事業も軌道に乗り収益拡大。

歯科ディーラー事業も前年を上回る見込み。

医療B to B

吸収合併した効果をDentwave.comのサービス拡充及び新サービス投入により売上増を図る。

費用についても仕入原価、人件費とも増加する見通し。成長に向けた投資は、採用関連費用74百万円、プロモーション費用63百万円など1億55百万円を投じる見通し。

費用

見通し

売上原価(仕入高)

 

歯科ディーラー事業の売上増加に伴い商品仕入高が増加。既存サイトの拡充、新サイト開発等サービスの多様化を図り、業務拡大により労務費が増加。

販管費(人件費)

営業力強化のための人件費、新サービス投入に係るコストが増加する見込み。

 

 

4.今後の注目点

オカムラの子会社化で大幅増収。利益面では、人件費や広告宣伝費の増加により減益となったものの会社予想は上回って着地した。21/5期はレンジ予想ながらも増収、営業利益・経常利益は増益を見込む。前提とする新型コロナの感染拡大状況が足元悪化していることから現時点では下限近くを想定すべきだろう。ただし、新型コロナの影響は長期的にはポジティブとの考え。短期的にも軽微にとどまりそう。
20/5期にはブランネットワークスを吸収合併するなど効率化にも取り組んでおり、利益率の向上に期待したい。また、「まるごと抗菌コーティング」の展開やオンライン診断サービスに取り組むなど「withコロナ」にも動き始めており、意外と早く新型コロナの影響がポジティブに出てくる可能性もありそうだ。事業の柱がもう一つ育つようになれば利益水準ががらりと変わる可能性を内包している。株価は低空飛行、時価総額は15億円程度にとどまっており、こうした潜在力を考慮すると株価の見直し余地は相当に大きいと言える。

 

(決算短信よりインベストメントブリッジ作成)

 

<参考1:今後の成長戦略 ~予防医療・未病医療へ注力~>

今後の更なる成長を目指す同社では「予防医療・未病医療」が重要なキーワードであると考えている。
同社がオンリーワン企業としてポジショニングを構築している歯科業界において大きな環境変化が起きている。
日本では歯科治療というとこれまでは虫歯治療が中心であった。
一方欧米では虫歯治療だけではなく、歯周病が動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、アルツハイマーなど様々な疾病の原因の一つであり、歯の健康を保つことがこれらの疾病予防につながるという考え方が中心となっている。
このような、全身の健康・長寿につながる「予防歯科・未病歯科」という考え方が今後日本でも重視されるといわれている。
既存のストックビジネスに歯科医院運営やDENTAL TRIBUNEの活用などの「海外事業」と予防医療・未病医療など「新規事業」を積み上げるとともに、成長を加速させるブランディング創りにも取り組み、2025年5月期売上高100億円を目指している。

 

~2025年5月期売上高100億円に向けて~

(同社資料より)

 

 

<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

6名、うち社外1名

監査役

3名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2019年11月25日

 

<基本的な考え方>
当社は、株主の利益の最大化を図りつつ、株主・クライアント・エンドユーザー・従業員・地域の方々等すべてのステークホルダーに対して、経営の健全性・効率性・透明性を通じて企業社会の一員としての社会的責任を果たしていくことをコーポレート・ガバナンスの基本方針としております。

 

その実現のために、現状に満足することなく経営環境の変化に応じてコーポレート・ガバナンス体制を強化し、企業価値の最大化を図ってまいります。

 

<実施しない主な原則とその理由>
「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。」と記述している。

株式会社インベストメントブリッジ
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