システナ 減収減益も、配当は過去最高水準を維持

2020/08/14
 

逸見 愛親 会長

 

三浦 賢治 社長

株式会社システナ(2317)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

情報・通信

代表者

逸見 愛親、三浦 賢治

所在地

東京都港区海岸一丁目2番20号 汐留ビルディング14階

決算月

3月

HP

https://www.systena.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,586円

96,841,789株

153,591百万円

25.5%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.00円

1.3%

51.29円

30.9倍

236.41円

6.7倍

*株価は07/31終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2017年3月(実)

46,255

3,693

3,407

2,197

22.42

36.00

2018年3月(実)

54,320

5,170

5,147

3,542

36.32

46.00

2019年3月(実)

59,742

6,902

6,706

4,584

47.00

16.00

2020年3月(実)

64,552

8,163

7,871

5,471

56.22

20.00

2021年3月(予)

62,227

7,634

7,370

4,967

51.29

20.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。2018年6月、1株を4株に分割(EPSを遡及修正)。

 

 

(株)システナの2021年3月期第1四半期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年3月期第1四半期決算
3.2021年3月期業績予想
4.中期経営計画(19/3期~24/3期)
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 21/3期1Q(4-6月)は前年同期比2.6%の減収、同5.3%の営業減益。テレワーク需要の取り込みでITサービス事業の売上が同10.9%増加した他、ソリューションデザイン事業も同2.5%の増収と堅調に推移したものの、フレームワークデザイン事業やソリューション営業がコロナ禍の影響を受けた。売上が減少する中、中期経営計画実現に向けて採用した2020年4月入社の新卒社員363名(前年比2.2倍)の人件費等で販管費が増加したため営業利益率が低下した。 
  • 通期予想に変更はなく、前期比3.6%の減収、同6.5%の営業減益。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を織り込んだ保守的な業績予想である。上期は大きな影響を受けるとみており、下期以降の緩やかな経済活動の回復を前提としている。配当は過去最高水準の年20円を維持する。 
  • 通期予想に対する進捗率は、売上高23.9%、営業利益23.1%。前年同期の進捗率(通期実績ベース)とほぼ同じ水準にあり、減収・減益を見込んでいる通期予想に沿った進捗と思われる。セグメント別では、ITサービス事業、ソリューション営業及びクラウド事業の健闘が目につく一方、ソリューションデザイン事業は、新卒社員人件費の大幅な増加により収益性が悪化し、フレームワークデザイン事業はコロナ禍の影響を大きく受けた。2Q以降も、上記3事業が好調を持続できるか、早期にソリューションデザイン事業に配属された新卒社員の有償化による収益性改善とフレームワークデザイン事業の立て直しに目途をつけることができるか、注目していきたい。 

     

1.会社概要

2010年4月1日に(株)システムプロが、持分法適用会社だったカテナ(株)を吸収合併して誕生。旧(株)システムプロのモバイル端末の設計・開発・検証に係る技術・ノウハウとオープン系技術、旧カテナ(株)の金融分野の業務知識及び基盤系技術を融合した事業展開により新たな領域の開拓を進めている。連結子会社9社及び持分法適用会社3社と共にグループを形成している。

 

【経営目標 - 日本を代表するIT企業となり、日本経済を底辺から支える! 】

経営目標実現のために、「破壊と創造」、「安定と成長」、「保守と革新」という、相反する課題をバランス良くコントロールし、常に振り子の中心点に経営の軸足を置いた、バランス経営を基本方針としている。

 

【目標とする経営指標】

目標とする経営指標として、安定した高配当、高い株主資本利益率、高い売上高営業利益率を掲げており、その実現に向け、経営の基本方針に則り、高収益体質を目指して行く考え。当面の目標(中期経営目標)として、24/3期に連結売上高1,010億円、営業利益152億円(営業利益率15%)、一人当たり営業利益260万円、ROE25%を掲げている。

 

1-1 事業内容

事業は、ソリューションデザイン事業、フレームワークデザイン事業、ITサービス事業、ソリューション営業、クラウド事業、海外事業及び投資育成事業に分かれる。

 

 

ソリューションデザイン事業
モバイル端末開発で培ったノウハウを強みとする自動運転やテレマティクス等の「車載」、電力、交通、航空、宇宙、防衛等の「社会インフラ」、通信キャリア、Eコマース、教育、電子書籍等の「ネットビジネス」、スマートフォン、家電、ロボット等の「スマートデバイス/ロボット/AI」、及びワークフローや受発注システム等の「業務システム」の5つのカテゴリーに経営資源を集中させている。いずれのカテゴリーも、IoT関連のシステムやサービスの開発や検証の引き合いが活発である。また、ベトナムの現地法人Systena Vietnam Co.,Ltd.が、ソフトウェア開発・検証評価・保守運用、ITサービス全般等を手掛けるオフショア拠点としての機能を担っている。

 

フレームワークデザイン事業
国内外の生・損保や銀行を顧客として、金融系システム開発や基盤系システムの開発を行っている。生損保業務では、情報系、契約管理業務、保険料計算、代理店業務から営業管理業務に至るまで幅広い業務ソリューションの開発実績を有し、銀行業務では、メインフレームへの対応はもちろん、オープンシステムの分野においても、営業店系システムや対外系チャネルシステム等で豊富な開発実績を有する。以前は業務の大半を金融系システムの開発・運用が占めていたが、業務自動化(RPA)、クラウド、データ分析、音声認識、画像認識などの新規事業が売上高の3割を占めるところまで育ってきており、ITサービス事業やソリューション営業との連携による両事業が有する顧客へのクロスセル、或いはスマホアプリやWebアプリ等のソリューションでのソリューションデザイン事業との連携により、金融系の深耕と他業種への横展開を進めている。また、ソリューションデザイン事業と同様にSystena Vietnam Co.,Ltd.がオフショア拠点としての機能を担っている。

 

ITサービス事業
システムやネットワークの運用・保守、ヘルプデスク、ユーザーサポート、データ入力、大量出力等のITアウトソーシングサービスを手掛ける。顧客は電機メーカー、金融機関、外資系企業、官公庁等。

 

ソリューション営業事業
ITプロダクト(サーバー、PC、周辺機器、ソフトウェア)の企業向け販売やシステムインテグレーションを手掛ける。ハード販売型のビジネスからサービス提供型のビジネスへシフトを進めており、ITサービス事業等とも連携して所有から利用(クラウド等)へと変化するニーズを取り込む事で事業拡大、高付加価値化を図っている。顧客は電機メーカー、外資系企業等。

 

クラウド事業
クラウド型サービスの導入支援からアプリケーションの提供までを手掛けており、「G Suite」と同社開発の「Cloudstep」を組み合わせたシステナ版グループウェアのクラウドサービスや2017年5月にサービスを開始したクラウド・データベースサービス「Canbus.(キャンバスドット)」、スマートフォン向けフィッシング対策ソリューション「Web Shelter」などを提供している。現在、パブリック・クラウドに特化しているが、プライベート・クラウドへの対応も進めている。尚、「Cloudstep」とは、「G Suite」等のクラウド型サービスの使い勝手を向上させるための業務アプリケーションや運用者向け管理ツール等の総称。

 

海外事業米国の現地法人はモバイルや通信関連の開発・検証支援と米国の最新技術・サービスの動向調査・インキュベーションを二本柱とし、ベトナムの現地法人はソフトウェア開発・検証評価・保守運用、ITサービス全般等を手掛けるオフショア拠点との位置づけ。

 

投資育成事業
戦略子会社(株)ONE Tech Japanが、AI、IoT、ロボット、FinTech、ソーシャルメディア関連の企画・開発・販売・サービス提供を手掛けている他、(株)GaYaがスマートフォン向けゲームコンテンツの開発・大手SNSサイトへの提供及び他社が開発・リリースしたゲームの運営受託を手掛けている。

 

2.2021年3月期第1四半期決算概要

2-1 連結業績

 

20/3期 1Q(4-6月)

構成比

21/3期 1Q(4-6月)

構成比

前年同期比

売上高

15,246

100.0%

14,856

100.0%

-2.6%

売上総利益

3,399

22.3%

3,543

23.8%

+4.2%

販管費

1,535

10.1%

1,778

12.0%

+15.8%

営業利益

1,864

12.2%

1,765

11.9%

-5.3%

経常利益

1,817

11.9%

1,831

12.3%

+0.8%

親会社株主帰属利益

1,230

8.1%

1,246

8.4%

+1.3%

* 単位:百万円

 

前年同期比2.6%の減収、同5.3%の営業減益
売上高は前年同期比2.6%減の148.5億円。テレワーク需要の取り込みでITサービス事業の売上が同10.9%増加した他、「キャッシュレス」、「GIGAスクール」及び「EC」を中心にソリューションデザイン事業の売上も同2.5%増加したものの、フレームワークデザイン事業やソリューション営業がコロナ禍で減収となった。
営業利益は同5.3%減の17.6億円。ITサービス事業でのテレワーク支援のスポット案件やソリューション営業でのワンストップサービス案件等、高付加価値案件の取り込みが進んだことで売上総利益が同4.2%増加したものの、新卒社員363名(前年比2.2倍)の人件費等で販管費が同15.8%増加した。ただ、投資有価証券売却益の計上と持分法投資損益の改善で経常利益は18.3億円と同0.8%増加。税負担率の低下で最終利益は12.4億円と同1.3%増加した。

 

 

2-2 セグメント別動向

 

20/3期 1Q(4-6月)

構成比・利益率

21/3期 1Q(4-6月)

構成比・利益率

前年同期比

ソリューションデザイン

5,601

36.7%

5,739

38.6%

+2.5%

フレームワークデザイン

1,349

8.9%

1,279

8.6%

-5.2%

ITサービス

2,024

13.3%

2,245

15.1%

+10.9%

ソリューション営業

5,959

39.1%

5,380

36.2%

-9.7%

クラウド

282

1.9%

272

1.8%

-3.5%

海外

22

0.1%

49

0.3%

+119.7%

投資育成

63

0.4%

45

0.3%

-28.3%

調整額

-56

-0.4%

-155

-1.0%

連結売上高

15,246

100.0%

14,856

100.0%

-2.6%

ソリューションデザイン

970

17.3%

752

13.1%

-22.5%

フレームワークデザイン

230

17.1%

183

14.4%

-20.1%

ITサービス

252

12.5%

341

15.2%

+35.4%

ソリューション営業

409

6.9%

471

8.8%

+15.1%

クラウド

18

6.5%

24

9.0%

+33.9%

海外

-18

5

10.7%

投資育成

1

2.1%

-15

調整額

連結営業利益

1,864

12.2%

1,765

11.9%

-5.3%

* 単位:百万円

 

ソリューションデザイン事業
売上高57.3億円(前年同期比2.5%増)、営業利益7.5億円(同22.5%減)。「キャッシュレス」、「GIGAスクール」及び「EC」等の旺盛な需要にテレワークへのシフトによる事業継続で応えた。ただ、新卒社員の8割を当事業に配属した結果、販管費の増加により利益率が13.1%と4.2ポイント悪化し、営業減益となった。

 

フレームワークデザイン事業
売上高12.7億円(前年同期比5.2%減)、営業利益1.8億円(同20.1%減)。既存金融分野は生損保や銀行の保守開発プロジェクトが堅調に推移したものの、新規案件でコロナ禍による延伸・中断が発生した。受注獲得に向け、新規業務系開発や基盤構築(クラウド)を中心にWebセミナー等を活用したWeb営業を展開した。一方、新規サービス分野は、業務自動化(RPA)ソリューションのサービスを拡充し、展示会中心の営業からWebセミナー等を活用したWeb営業に変更して推進した。

 

ITサービス事業
売上高22.4億円(前年同期比10.9%増)、営業利益3.4億円(同35.4%増)。顧客のテレワークを支援する「PMO」や「ITサポート」等、働き方にマッチしたサービスの提案が成果をあげ、高付加価値なスポット案件の取り込みが進んだ。また、顧客のテレワーク推進に対応した「ITトレーニング」を営業フックに新規顧客の開拓も進んだ。

 

ソリューション営業
売上高53.8億円(前年同期比9.7%減)、営業利益4.7億円(同15.1%増)。コロナ禍による営業活動の制限やWindows7搭載PCの更新需要の反動減により売上が減少した。ただ、ウイズ・コロナのニューノーマルに対応したクラウドソリューションの拡大や、ロードマップの把握から、IT機器の導入、インフラ構築、システム開発、更には保守運用に至る高付加価値のワンストップサービスの案件増で利益率が改善した。

 

クラウド事業
売上高2.7億円(前年同期比3.5%減)、営業利益24百万円(同33.9%増)。コロナ禍による売上減でセグメント売上高が減少したものの、自社開発製品や開発・SIといった収益性の高い案件の増加で利益率が改善した。具体的には、テレワーク支援の一環として実施した「Canbus.」及び「Cloudstep」の無償提供を契機となり、ナレッジ共有を必要とする業務部門を中心に、上記製品の引き合い・受注が増加した。また、テレワークの常態化に向けたグループウェアの見直しに伴う「Cloudstep」の受注や、「G Suite」をプラットフォームとした開発・SIの引き合いも増加した。

 

海外事業
売上高49百万円(前年同期比119.7%増)、営業利益5百万円(前年同期は営業損失18百万円)。日系企業からのソフトウェア開発の検証案件も増加した他、One Tech社及びONE Tech Japan社との共同企画・営業の成果で日米企業からAI・IoT(LoRA)を使った独自サービスも増加した。この他、CCPA施行に合わせて米国内でのStrongKey社のセキュリティサービスの営業展開も進めた。利益面では、前期下期から単月黒字が続いており、黒字体質が定着してきた。
尚、CCPAとは、California Consumer Privacy Actの略で、消費者に自身の個人情報の取扱いをコントロールする権利を与えるためのカリフォルニアの州法。

 

 

2-3 財政状態

 

20年3月

20年6月

 

20年3月

20年6月

現預金

14,925

14,748

仕入債務

5,868

4,008

売上債権

13,883

11,121

未払法人税等

1,430

355

流動資産

30,840

27,573

賞与引当金

1,239

574

投資その他

3,976

4,298

有利子負債

1,550

1,550

固定資産

5,115

5,453

負債

13,000

9,822

資産合計

35,956

33,026

純資産

22,955

23,204

* 単位:百万円

 

第1四半期末の総資産は前期末との比較で29.3億円減の330.2億円。季節要因としての、配当金・法人税等の支払いや賞与の支給等で現預金が減少。一方、余資運用の一環として投資有価証券が増加した。自己資本比率69.3%(前期末63.0%)。

3.2021年3月期業績予想

3-1 連結業績

 

20/3期 実績

構成比

21/3期 予想

構成比

前期比

売上高

64,552

100.0%

62,227

100.0%

-3.6%

営業利益

8,163

12.6%

7,634

12.3%

-6.5%

経常利益

7,871

12.2%

7,370

11.8%

-6.4%

親会社株主帰属利益

5,471

8.5%

4,967

8.0%

-9.2%

* 単位:百万円

 

前期比3.6%の減収、同6.5%の営業減益予想
コロナ禍を織り込み、保守的な業績予想となった。下期以降の緩やかな経済活動の回復を前提としている。

 

セグメント別では、コロナ禍を織り込み、フレームワークデザイン事業、ソリューション営業及びクラウド事業で減収・減益を想定。ITサービス事業はテレワーク関連需要の取り込みで売上が増加するものの、高付加価値なスポット案件の一巡による減益を予想している。一方、ソリューションデザイン事業は車載システム分野がコロナ禍で減少するものの、その他の分野でカバーして売上・利益共に増加するとみている。

 

 

3-2 セグメント別見通し

 

20/3期 実績

構成比・利益率

21/3期 予想

構成比・利益率

前期比

ソリューションデザイン

22,914

35.5%

24,059

38.7%

+5.0%

フレームワークデザイン

5,771

8.9%

5,667

9.1%

-1.8%

ITサービス

8,650

13.4%

9,282

14.9%

+7.3%

ソリューション営業

25,887

40.1%

22,000

35.4%

-15.0%

クラウド

1,404

2.2%

1,327

2.1%

-5.5%

海外

147

0.2%

158

0.3%

+7.2%

投資育成

213

0.3%

334

0.5%

+56.5%

調整額

-437

-0.6%

-600

-1.0%

連結売上高

64,552

100.0%

62,227

100.0%

-3.6%

ソリューションデザイン

4,059

17.7%

4,106

17.1%

+1.1%

フレームワークデザイン

1,057

18.3%

1,010

17.8%

-4.5%

ITサービス

1,264

14.6%

1,116

12.0%

-11.7%

ソリューション営業

1,622

6.3%

1,199

5.5%

-26.1%

クラウド

209

14.9%

190

14.3%

-9.2%

海外

-16

-11.2%

-22

-13.9%

投資育成

-33

-15.7%

35

10.5%

調整額

連結営業利益

8,163

12.6%

7,634

12.3%

-6.5%

* 単位:百万円

 

ソリューションデザイン事業
売上高240.5億円(前期比5.0%増)、営業利益41.0億円(同1.1%増)。選択と集中により、成長分野へ積極に展開し、付加価値の高い事業分野の創出を目指す。

 

成長分野への積極展開 「モビリティ」、「5G」、「GIGAスクール構想」、「AI」及び「IoT」分野の開拓に注力
トータルソリューションへのシフト 企画から運用まで全工程を支援(従来の設計・開発・評価に加え、企画・運用をカバー)
サービス強化による新規開拓 OSS及びテレワーク関連のサービス提供や、アライアンスの強化による新規開拓

 

フレームワークデザイン事業
売上高56.6億円(前期比1.8%減)、営業利益10.1億円(同4.5%減)。コロナ禍で市場動向が不透明ではあるが、既存事業の継続・横展開と新規事業でのサービス拡充に取り組むと共に、営業方法の見直しも進める。

 

既存事業の継続・横展開 保険・金融システム、業務システム、基盤構築を軸としたPJの継続・横展開
DXをキーワードとした案件の積極受注 基幹システム刷新・基盤構築案件の受注に向けたノウハウ蓄積・営業ルート確立
All Systena連携、メーカー代理店を軸とした新規事業の展開 RPA、AI、セキュリティ、クラウド、遠隔操作等のサービスを拡充。本部間・メーカー・代理店との連携強化によるライセンス販売・導入支援サービスの受注拡大
緊急事態宣言(外出自粛)への対応 ・時差出勤、シフト勤務、テレワーク、遠隔サポートの推進

・対面営業(展示会・セミナー)からWeb営業(Webセミナー・会議)へのシフト

 

ITサービス事業
売上高92.8億円(前期比7.3%増)、営業利益11.1億円(同11.7%減)。テレワーク・リモートワークの強化で対面営業に頼らないワークスタイルを確立する。顧客に対しては、テレワーク推進等のソリューションを提供するべく、各ベンダーとのアライアンスに注力する。また、インサイドセールスによる新商材・新サービスの販売に取り組む他、高付加価値分野に経営資源をシフトさせる。新商材・新サービスでは、「AI関連サービス」、「RPA」、「セキュリティ強化支援」、「ITトレーニング」等、新たな市場、顧客、ニーズに対応する商材を強化し、インサイドセールス等を通じてサービスの創出・発展を促進し顧客数と売上の拡大を図る。高付加価値分野へのシフトでは、「ヘルプデスク」、「システムオペレーター」といった人員動員型サービスから、付加価値の高い「ITサポート」、「ITインフラ」、「PMO」、「DX関連サポート」、「クラウド導入・サポ―ト」といった顧客のビジネス展開に直結したサービスにシフトし、サービス単位の請負型業務を展開していく。

 

ソリューション営業
売上高220.0億円(前期比15.0%減)、営業利益11.9億円(同26.1%減)。Windows7のサポート終了に伴う特需が終息する中、コロナ禍で営業活動の縮小を余儀なくされ、強い逆風下でのスタートとなった。拡大した顧客基盤を活かし既存事業の拡大に取り組むと共に、成長分野への展開も進める。

 

ソリューション領域拡大への投資 サービスメニューの拡充とプロフィット部門への営業展開
ハイブリッド環境への取り組み強化 ハイブリッド環境への対応強化とクラウドパートナーとのアライアンス強化
サービスの拡販による収益力の強化 All Systenaの全てのサービスをワンストップで提供

 

クラウド事業
売上高13.2億円(前期比5.5%減)、営業利益1.9億円(同9.2%減)。DXやテレワーク常態化に向けた業務改善、社内インフラ整備で引き合いが増加している。「Canbus.」を中心とした自社サービスへの積極的な先行投資を行い、事業の拡大を目指す。

 

「Canbus.」の認知度向上・販促強化に向けた先行投資 アライアンス強化とWebプロモーションを通じたブランド強化
サービス強化に伴う先行投資 様々な業務を実現可能にする製品力強化とサポート力向上のための人材強化で顧客満足度の向上を実現する

 

海外事業
売上高1.5億円(前期比7.2%増)、営業損失22百万円(前年同期は営業損失16百万円)。ONE Tech社及びONE Tech Japan社との協業の下、「microAI」や各IoTソリューションを米国内複数展示会に出展し、営業を進めていく。また、2020年7月施行のCCPAに合わせて、カリフォルニアにブランチがある企業を対象にStorngKey社のセキュリティ製品の販売を強化する。この他、ベトナムオフショアの強みを活かして、取引が続いている米国日系企業からの継続案件受注と新規案件の獲得にも力を入れる。

 

 

4.中期経営計画(19/3期~24/3期)

経営の大方針として、「データ経営による生産性向上」を掲げており、クラウド事業で自社開発した「Canbus.」を使ってリアルタイムに経営状況を把握し、生産性の向上につなげていく。プロジェクト単位で、稼働、利益率、進捗等を見える化した数値化データを経営情報として活用する事で、1人当たりの社員の生産性を向上させ利益の最大化を目指す。

 

重視する経営指標として、連結売上高、営業利益、営業利益率、一人当たり営業利益、及びROEを挙げており、24/3期の目標として、連結売上高1,010億円、営業利益152億円、営業利益率15%、一人当たり営業利益260万円、ROE25%を掲げている。今後10年で最も伸びる分野と位置付ける、オートモーティブ、キャッシュレス/決済、ロボット/IoT/RPA/クラウド、自社製品・自社サービスに経営資源を集中させる考え。

 

【セグメント別の目標と取り組み】
ソリューションデザイン事業
24/3期に売上高409.5億円(19/3期212億円)、営業利益81億円(同37億円)を目指している。分野別の計画は、車載:19/3期27億円→24/3期60億円、ロボット:8億円→50億円、ネットビジネス:102億円→200億円、業務システム:23億円→50億円。車載は、インフォテインメントやシェアリングに加え、MaaS、コネクテッドカー、更には自動運転や安全対策等、ビジネスチャンスが多い。ロボットでは、コミュニケーションロボットに加え、介護等の生活ロボット、産業用ロボット、医療用のロボットやシステムの開発需要が見込まれる。ネットビジネスでは、教育関連、5G関連サービス、更にはAI・IoT等の技術領域が注目され、業務システムでは、働き方改革、オープンソース活用、AI・業務自動化、DX、更には人材不足対策等の開発需要が期待できる。

 

フレームワークデザイン事業
24/3期に売上高94億円(19/3期53億円)、営業利益16億円(同8億円)を目指している。既存の金融・保険関連及び自動化を軸とした新規サービスに取り組むと共に、デジタル化対応関連の新規領域に展開していく。金融・保険関連は、領域拡大、デジタル化対応、基幹システムの刷新・統合等で売上高60億円(同47.6億円)・営業利益8億円(7.5億円)、自動化・効率化を軸とした新規サービスが、自動化診断、導入支援、ライセンス販売、AI連携等で売上高25億円(同5.4億円)・営業利益5億円(1億円)、デジタル化対応関連の新領域が、売上高15億円(実績なし)、営業利益3億円(実績なし)。

 

ITサービス事業
24/3期に売上高110.6億円(19/3期78億円)、営業利益23.5億円(同11億円)を目指している。「ITサポート」、「ITインフラ」、「PMO」、「LABO」といったサービス単位の請負型業務を展開する。「AI・チャットボット」、「RPA」など新商材・新サービスにも力を入れる。請負型業務の売上を19/3期の45億円から80億円に拡大し、事業全体の粗利率を30%から34%へ引き上げる。

 

ソリューション営業
24/3期に売上高365.8億円(19/3期240億円)、営業利益23億円(同12億円)を目指している。システナの総合営業として生産性向上・コスト削減・セキュリティ強化といった顧客の経営課題に対するソリューションに取り組む事で、顧客の事業を支えるICTパートナーへビジネスモデルを変革する。既存ビジネスを19/3期比で34%、サービスビジネスを同176%、クラウドビジネスを同341%、それぞれ増加させる。

 

クラウド事業
24/3期に売上高19.7億円(19/3期11億円)、営業利益5億円(同2億円)を目指している。「Canbus.」を中心とした付加価値の高いサブスクリプションモデルを推進する。また、「Canbus.」をフックに、「業務系SI」の高付加価値案件の取込みに力を入れる他、AI、IoT、セキュリティ等、技術要素の研究開発を行い、サービスを拡充していく。

 

海外事業
24/3期に売上高6.4億円(19/3期1億円)、営業利益2.5億円(同△0.3億円)を目指している。米国内では日系企業の技術支援をベースにIoT分野においてOne Tech社との共同営業を推進する。また、StrongKey社のサイバーセキュリティ製品等、最新技術の提供を通じて、日本国内の公共機関・企業の情報漏洩対策を支援すると共に、次なるテクノロジーとマーケットの発掘にも取り組む。

 

5.今後の注目点

通期予想に対する進捗率は、売上高23.9%(通期実績ベースの前年同期23.6%)、営業利益23.1%(同22.8%)、経常利益24.8%(同23.1%)、最終利益25.1%(同22.5%)。売上・利益共に通期実績ベースの前年同期の進捗率とほぼ同じ水準にあり、減収・減益を見込んでいる通期予想に沿った進捗と思われる。セグメント別では、緊急事態宣言発動下にあって対面営業が制限される厳しい環境の中での、ITサービス事業、ソリューション営業及びクラウド事業の健闘が目についた。一方、ソリューションデザイン事業は、人件費の増加により収益性が悪化し、フレームワークデザイン事業はコロナ禍の影響を大きく受けた。
第2四半期以降も、上記3事業が好調を持続できるか、早期にソリューションデザイン事業に配属された新卒社員の有償化による収益性改善とフレームワークデザイン事業の立て直しに目途をつけることができるか、注目していきたい。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役会設置会社
取締役 9名、うち社外2名
監査役 4名、うち社外4名

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2020年06月24日)
基本的な考え方
当社は、激しい経営環境の変化に対応し、経営の効率性を高めるために迅速な意思決定によるスピード経営を推し進め、永続的な事業発展と株主価値の増大および株主への継続的な利益還元を行っていくと同時に、株主、顧客、取引先、従業員および地域社会などのステークホルダー(利害関係者)との利害を調和させ、全体としての利益を最大化することを目指し、かつ、経営の健全性確保およびコンプライアンス(法令遵守)の徹底に努めるためにコーポレート・ガバナンスを強化させていきたいと考えております。このため、外部専門家(監査法人、主幹事証券会社、弁護士、社会保険労務士、司法書士等)やステークホルダーからの指摘や提言を真摯に受け止め、経営の公平性、透明性に関して更なる充実を図る所存であり、持ち前の当社の機動性を活かし、会社規模に応じた体制を構築し、株主などのステークホルダーを絶えず意識した上場企業として一層の自己改革を図り、コーポレート・ガバナンスの強化と適時適切な情報開示に努める所存であります。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【補充原則4-3-3 最高経営責任者を解任するための客観性、適時性、透明性のある手続きの確立】
当社は創業者でありオーナー経営者でもある代表取締役会長が最高経営責任者として経営の大きな方向性の舵取り行い、代表取締役社長が最高執行責任者として業績等の適切な評価をもって社内を統率する体制を取っております。加えて代表取締役はいずれも独立役員の要件を満たした6名(社外取締役2名と社外監査役4名)の社外役員から牽制を受ける体制になっており、代表取締役を解任するような事態が生じた場合は独立役員からの提言をもとに取締役会にて議論のうえ、決定することで対処できると考えております。このため、現在のところ取締役会は最高経営責任者を解任するための客観性、適時性、透明性のある手続きの確立を行っておりません。今後、必要に応じて検討してまいります。

 

【補充原則4-10-1 任意の指名委員会・報酬委員会など、独立した諮問委員会の設置】
当社の取締役9名のうち独立社外取締役は2名であり、取締役会の過半数には達しておりませんが、社外監査役4名とともに社外役員6名全員が東京証券取引所の定めに基づく独立役員の要件を満たしており、各々の独立役員が専門的な知見と豊富な経験を活かし、取締役会における特に重要な事項の審議に当たり、積極的に意見を述べるとともに、適時適切な助言が行われているため、現在のところ、独立した諮問委員会の設置は行っておりません。今後、必要に応じて検討してまいります。

 

<開示している主な原則>
【補充原則4-11-3 取締役会全体の実効性についての分析・評価、その結果の概要】
当社の取締役会は13名で構成され、うち6名が社外取締役または社外監査役かつ東京証券取引所の定めに基づく独立役員であります。取締役会の実効性についての分析・評価を行うにあたり、「取締役会評価のためのアンケート」を用いて、取締役および監査役全員による取締役会の構成及び運営について自己評価を実施するとともに、社外取締役2名および社外監査役4名による社外役員ミーティングでこのアンケート分析結果に対する討議を行いました。アンケートによる自己評価の分析結果および社外役員ミーティングでの討議の結果、当社の取締役会は役員それぞれの知識、経験等を活かし中長期的視点からの継続的成長と株主価値向上に資する議論がなされており、経営の監督に十分な議論が行われていることが確認できましたので、これをもって当社取締役会の実効性は確保されているものと評価いたしました。当社は原則として、取締役および監査役による自己評価を参考にしつつ、取締役会全体の実効性についての分析・評価を毎年実施し、実効性を維持するとともに効果的な議論がなされるよう更なる改善を進めてまいります。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
 当社は、株主との建設的な対話を促進するために、ディスクロージャーポリシーを定め、開示しております。詳細は、当社ホームページに掲載しておりますので、ご参照ください。https://www.systena.co.jp/ir/management/disclosure.html
また、そのための体制整備・取組については、本報告書「III 株主その他の利害関係者に関する施策の実施状況」の「2.IRに関する活動状況」をご参照ください。

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