フォーバルテレコム 増収増益、どこでもホンの契約数拡大に注目

2020/05/15
 

谷井 剛 社長

株式会社 フォーバルテレコム(9445)

 

 

会社情報

市場

東証2部

業種

情報・通信

代表取締役社長

谷井 剛

所在地

東京都千代田区神田錦町 3-26 一ツ橋SIビル2F

決算月

3月

HP

https://www.forvaltel.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

298円

16,693,195株

4,974百万円

22.3%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

17.00円

5.7%

35.33円

8.4倍

168.54円

1.8倍

※株価は3/10終値。時価総額は3/10終値×発行済株式数(百万円未満切捨て)。
※ROEとBPSは2019年3月期実績、EPSは2020年3月期予想。配当利回り・PER・PBRは四捨五入。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2016年3月(実)

13,842

644

672

441

26.42

15.00

2017年3月(実)

15,049

695

700

462

27.68

15.00

2018年3月(実)

15,683

699

720

484

29.05

15.00

2019年3月(実)

18,347

888

800

589

35.33

17.00

2020年3月(予)

21,404

1,090

1,017

-1,005

-60.20

17.00

*予想は会社予想。単位は百万円、円。

 

 

フォーバルテレコムの2020年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.主要なサービスの概要
3.2020年3月期第3四半期決算
4.2020年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 20/3期第3四半期決算は前期比18.1%の増収、同52.9%の経常増益。売上面は、特に個人向けインターネットサービス、モバイルサービス等再卸の契約獲得が順調に伸びたこと等によりIP&Mobileソリューション事業で増加した。利益面でも、増収効果によりIP&Mobileソリューション事業で増加した。一方、ドキュメント・ソリューション事業とコンサルティング事業は、前年同期比で減収減益となった。 
  • 同社は、3月6日付で20/3期の会社計画の修正を実施した。新しい会社計画は、前期比16.7%の増収、同27.1%の経常増益の予想。好調な業績推移を反映し、売上高、営業利益、経常利益は期初予想から上方修正となったものの、取引先が破産手続開始となったことから債権の取立不能額を見積り、貸倒引当金繰入額 23 億 67 百万円の特別損失を計上した。配当は19/3期と同額(上期末7円、期末10円)の1株当たり年間17円の予想(配当性向48.1%)から変更なし。 
  • 同社は今下期の重点施策として、電力事業Elenovaに加え、どこでもホンとモバイルルーターの契約数の拡大を掲げている。中でもどこでもホンは、新型コロナウィルス感染拡大に伴い大企業においてテレワークが拡大する中、必要なアイテムと期待される。同社の主要顧客である中小企業においてもテレワークが拡大し、どこでもホンの採用が加速するのか注目される。 

     

1.会社概要

中小・中堅法人向けにOA・ネットワーク機器の販売やサービスの取次ぎを展開するフォーバル(8275)の連結子会社。フォーバルの連結決算において、フォーバルテレコムビジネスグループとしてセグメントされている(19/3期はフォーバルの連結売上高の31.3%を占めた)。グループは同社の他、連結子会社4社。

 

【事業内容と企業グループ】

同社及び連結子会社(株)FISソリューションズによる法人向けVoIPサービス(高速ブロードバンド回線を利用した電話やインターネット接続サービス)や法人向けFMC(Fixed Mobile Convergence)サービス「2way Smart」の提供と関連機器販売の「IP&Mobileソリューション事業」、連結子会社(株)トライ・エックスを中心にオン・デマンド印刷・印刷物のプランニング・デザイン等を手掛ける「ドキュメント・ソリューション事業」及び(株)保険ステーションによる保険やプライバシーマーク等に関する各種コンサルティング等の「コンサルティング事業」に分かれる。また、同社は、「2way Smart」の企画開発及び関連するハードウエア開発を手掛けている持分法適用非連結子会社(出資比率100%)(株)であったホワイトビジネスイニシアティブを、2018年9月30日付で同社へ吸収合併した。これは、グループとして経営資源の集中と効率化を図り、グループの競争力強化を目的としたものである。

 

 

 

2.主要なサービスの概要

(1)フォーバルテレコム単体の事業マップ

 

(同社決算説明会資料より)

 

(2)フォーバルテレコム単体の事業(継続サービス)

Smartひかり
1社占有型の光ファイバーを使用している為、安定した回線速度を有したIP電話サービスを実現。これまで個別に契約していた各種通信サービスをシンプルに一本化した。 これにより問い合わせサポート窓口や月々の支払いもまとまり、わかりやすくなった。

 

(同社HPより)

 

iSmartひかり
NTT東日本・西日本が提供する光コラボレーションモデルを受け、同社がオリジナル料金で提供している光回線サービス。①バックボーンはNTTのフレッツ網を利用しているため品質が安定している、②請求の一本化ができるというメリットを持つ。おまか請求やワンビリングサービスで培われた請求一本化のノウハウが武器となっている。

 

(同社HPより)

 

 

 

(同社HPより)

 

 

おまか請求
請求書・支払通知書・納品書をWeb化でコスト削減するツールを提供。顧客登録・受注登録・料金計算、請求書発行(WEB公開)・収納代行・督促支援業務などを含んだ請求代行サービス。請求に関する業務を代行し、顧客の請求コストの削減と業務負担の軽減を図る。また、おまか請求ではユーザーがクラウドサービスを安全に利用できるよう各種セキュリティ対策を実施している。

 

(同社HPより)

 

セキィリティ本舗
PマークやISMSなど各種ISOの認証取得・更新のコンサルティングを提供。認証取得支援から、運用支援、更新支援、規格改訂支援、各種セミナーなど、Pマークや各種ISOに関わるサポートを行っている。

 

(同社HPより)

 

(3)フォーバルテレコム単体の事業(注力サービス)

どこでもホン
どこでもホンは以下の4つの特徴を有するなど、働き方改革に不可欠なツール。
①外出先から会社の番号を通知できる。
②会社にかかってきた電話を事務所でも外出先でもどこでも受けられる(ビジネスチャンスを逃さない)。
③外出先のスマホと内線通話が可能(パケット定額で通話無料)。
④外線ボタン搭載 (ページ切替で24ボタンまで表示)。

    どこでもホンが求められる理由
人手不足解決 外にいる人も会社宛の電話に出れる
生産性向上解決 会社の電話番号通知ができるので、 事務所に戻る必要がない
長時間労働解決 顧客に通知するのは会社の番号
働きやすい職場 スマートフォン(iPhone)で、テレワークや働き方改革の強い味方

 

新電力事業:Elenova(エレノバ)
Elenovaとは、電力自由化に伴い、同社が小売電気事業者となって、オリジナル料金で提供している電力サービス。
Electric(電気の)+nova(新星 新しい)+value(価値)から作成した新語。すべての人に、あらたな価値をもたらす電気事業の意味が込められている。

 

Elenovaのスキーム

 

(同社決算説明会資料より)

 

3.2020年3月期第3四半期決算

(1)連結業績

 

19/3期

第3四半期

構成比

20/3期

第3四半期

構成比

前年同期比

売上高

13,358

100.0%

15,774

100.0%

+18.1%

売上総利益

4,138

31.0%

5,069

32.1%

+22.5%

販管費

3,592

26.9%

4,263

27.0%

+18.7%

営業利益

546

4.1%

806

5.1%

+47.5%

経常利益

498

3.7%

761

4.8%

+52.9%

親会社株主に帰属

する四半期純利益

388

2.9%

478

3.0%

+22.9%

*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。
*単位:百万円

 

前年同期比18.1%の増収、同52.9%の経常増益
売上高は前年同期比18.1%増の157億74百万円。売上面は、特に個人向けインターネットサービス、モバイルサービス等再卸の契約獲得が順調に伸びたことによりIP&Mobileソリューション事業で増加した。一方、先行き不透明な景況感に伴う企業の印刷物の縮小の影響を受けたドキュメント・ソリューション事業と法人向保険の税法上の適用ルール見直しによる影響を受けたコンサルティング事業で減少した。
営業利益は同47.5%増の8億6百万円。売上高の増加に伴いIP&Mobileソリューション事業で増加した一方、売上の減少に加え、人件費・減価償却費をはじめとするコストの増加等が影響したドキュメント・ソリューション事業とコンサルティング事業で減少した。売上総利益率は、32.1%と前年同期比1.1ポイント上昇。前払販売奨励金の償却の増加等により販管費が同18.7%増加したものの、売上高対販管費比率は27.0%と前年同期比0.1ポイントの上昇にとどまったことから、売上高営業利益率が5.1%と前年同期比1ポイント上昇した。その他、営業外費用におい持分法による投資損失損益と貸倒引当金繰入額が前年同期比で減少したことなどにより、経常利益は同52.9%増の7億61百万円と営業利益を上回る増益率となった。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は法人税等の増加により同22.9%増の4億78百万円となった。

 

連結売上総利益の内訳

 

19/3期

第3四半期

20/3期

第3四半期

前年同期比

売上高

13,358

15,774

+18.1%

 個別

9,641

12,074

+25.2%

 子会社

3,717

3,699

-0.5%

売上総利益

4,138

5,069

+22.5%

 個別

2,620

3,578

+36.6%

 子会社

1,518

1,490

-1.8%

売上総利益率

31.0%

32.1%

+1.2P

 個別

27.2%

29.6%

+2.5P

 子会社

40.9%

40.3%

-0.6P

*単位:百万円

 

個別売上総利益の内訳

 

19/3期

第3四半期

20/3期

第3四半期

前年同期比

売上高

9,641

12,074

+25.2%

 ストック収益(通話系)

6,460

7,146

+10.6%

 ストック収益(ネット系他)

2,187

3,894

+78.0%

 一時収益

992

1,034

+4.2%

売上総利益

2,620

3,578

+36.6%

 ストック収益(通話系)

847

1,053

+24.2%

 ストック収益(ネット系他)

1,421

2,180

+53.4%

 一時収益

350

344

-1.8%

売上総利益率

27.2%

29.6%

+2.5P

 ストック収益(通話系)

13.1%

14.7%

+1.6P

 ストック収益(ネット系他)

65.0%

56.0%

-9.0P

 一時収益

35.3%

33.3%

-2.0P

*単位:百万円

 

連結の売上総利益は前年同期比9億30百万円の増加、売上総利益率は同1.2ポイントの上昇となった。個別ベースの売上総利益は、ネット系他のストック収益の拡大などが寄与し、全体として9億58百万円増加した。ネット系他のストック収益の売上総利益率が前年同期比9%ポイント低下したのは、電力事業の売上高が拡大した影響。また、子会社の売上総利益は、同27百万円の減少となった。

 

販管費の内訳

 

19/3期

第3四半期

20/3期

第3四半期

前年同期比

主な増減要因

販管費合計

3,592

4,263

+670

 

うち主要項目として

       

貸倒引当金繰入額

77

142

+64

フォーバルテレコム+68 再卸事業の売上増に伴う繰入額増加 ほか

給与・賞与

981

1,035

+53

フォーバルテレコム+27 保険ステーション+7

FISソリューションズ+15 ほか

賞与引当金繰入額

72

99

+26

フォーバルテレコム+24 ほか

情報処理費

122

137

+15

フォーバルテレコム+13 再卸事業の開発費償却 ほか

求人費

17

26

+9

フォーバルテレコム+8 保険ステーション+2 ほか

諸手数料

1,019

1,486

+466

フォーバルテレコム+467 前払販売奨励金の償却 ほか

*単位:百万円

 

販管費は、前年同期比で6億70百万円増加した。IP&Mobileソリューション事業における収益性の高いネット系ストック収益(ISPサービス)の獲得に伴う前払販売奨励金の償却費や、再卸事業の開発費償却と売上増に伴う貸倒引当金繰入額増加やIP&Mobileソリューション事業及びドキュメント・ソリューション事業における人員の増加に伴うコスト増などが影響した。

 

(2)セグメント別動向

セグメント別売上高・利益

 

19/3期

第3四半期

構成比

20/3期

第3四半期

構成比

前年同期比

 IP&Mobileソリューション事業

10,040

75.2%

12,578

79.7%

+25.3%

 ドキュメント・ソリューション事業

1,267

9.5%

1,226

7.8%

-3.2%

 コンサルティング事業

2,050

15.4%

1,968

12.5%

-4.0%

連結売上高

13,358

100.0%

15,774

100.0%

+18.1%

 IP&Mobileソリューション事業

266

48.7%

614

76.3%

+130.9%

 ドキュメント・ソリューション事業

80

14.8%

39

4.9%

-51.3%

 コンサルティング事業

199

36.5%

151

18.8%

-24.2%

 その他

-0

0

連結営業利益

546

100.0%

806

100.0%

+47.3%

*単位:百万円

 

IP&Mobileソリューション事業 売上高125億78百万円(前年同期比25.3%増)、セグメント利益6億14百万円(同130.9%増)

主にVoIPサービス、モバイルサービス等の情報通信サービス全般を提供。特に個人向けインターネットサービス、モバイルサービス等再卸の契約獲得が順調に伸びたこと等により売上高・利益が大幅に増加した。売上高対セグメント利益率は4.9%と前年同期比2.2ポイント上昇した。

 

ドキュメント・ソリューション事業 売上高12億26百万円(前年同期比3.2%減)、セグメント利益39百万円(同51.3%減)
主に普通印刷、印刷物のプランニング・デザイン等を行う。先行き不透明な景況感に伴う企業の印刷物の縮小により、前年同期比で減収減益となった。売上高対セグメント利益率は3.2%と前年同期比3.2ポイント低下した。

 

コンサルティング事業 売上高19億68百万円(前年同期比4.0%減)、セグメント利益1億51百万円(同24.2%減)

主に経営支援コンサルティング、保険サービス及びセキュリティサービス等を行う。㈱保険ステーションにおける法人向保険の税法上の適用ルール見直しによる影響により、売上高とセグメント利益が減少した。売上高対セグメント利益率は7.7%と前年同期比2ポイント低下した。

 

(3)財政状態

財政状態

 

19/3期末

19/12月末

 

19/3期末

19/12月末

 現預金

1,484

1,126

 仕入債務

2,159

2,242

 売上債権

2,912

3,237

 短期有利子負債

3,962

4,420

 有形固定資産

94

110

 長期有利子負債

150

105

 無形固定資産

892

849

負債合計

9,676

10,297

 投資その他

3,026

3,452

純資産合計

2,824

3,019

資産合計

12,501

13,317

負債純資産合計

12,501

13,317

*有利子負債=借入金
*単位:百万円

 

19/12月末の総資産は、19/3期末比8億15百円増の133億17百万円。資産サイドでは売上債権、未収入金、前払費用、長期前払費用等が、負債・純資産サイドでは、短期借入金、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金等が主な増加要因。借入金の増加は、19/12月末が金融機関の休日の影響もあった(19/3期末比約40百万円増)。19/12月末の自己資本比率は22.6%と19/3期末の22.5%から0.1ポイント上昇した。

 

 

4.2020年3月期業績予想

(1)連結業績

 

19/3期 実績

構成比

20/3期 予想

構成比

前期比

売上高

18,347

100.0%

21,404

100.0%

+16.7%

営業利益

888

4.8%

1,090

5.1%

+22.6%

経常利益

800

4.4%

1,017

4.8%

+27.1%

親会社株主に帰属

する当期純利益

589

3.2%

-1,005

-4.7%

*単位:百万円

 

前期比16.7%の増収、同27.1%の経常増益
同社は、3月6日付で20/3期の会社計画の修正を実施した。新しい会社計画は、売上高が前期比16.7%増の214億4百万円、経常利益が同27.1%増の10億17百万円。IP & Mobile ソリューション事業の個人向けインターネットサービス、モバイルサービス等再卸の契約獲得が順調に伸びたことから売上高、営業利益、経常利益は期初予想から上方修正となったものの、取引先が破産手続開始となったことにより債権の取立不能額を見積り、貸倒引当金繰入額 23 億 67 百万円の特別損失を計上した。
売上高は、ISPサービスを中心とするネット関連やおまか請求などから生じるストック収益の拡大を図りつつ、近年強化している光コラボレーションモデル再卸事業、モバイルソリューションのどこでもホン、新電力事業のELENOVA(エレノバ)などの新サービスの拡大を図る計画。
営業利益は、同22.6%増の10億90百万円の計画。前払販売奨励金の増加や新規契約獲得に伴う委託業務費や再卸事業の開発費に関連する償却額の増加などがあるものの、収益性の高い各種ストック収益の拡大が見込まれる。売上高営業利益率は5.1%と前期比0.3ポイント上昇の計画。
配当は、18/3期から2円増配となった19/3期と同額(上期末7円、期末10円)の1株当たり年間17円の予定(配当性向48.1%)を据え置き。

 

20/3期連結業績の修正

20/3期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属

する四半期純利益

期初計画

20,000

900

840

590

通期修正計画(20/3/10日公表)

21,404

1,090

1,017

-1,005

差異

+1,404

+190

+177

-1,595

増加率

+7.0%

+21.1%

+21.1%

(単位:百万円)

 

貸倒引当金繰入額の計上
2020年2月28日付で、同社の取引先であるあくびコミュニケーションズ株式会社及びその関連会社である株式会社カステラに対し東京地方裁判所より破産手続開始の決定が下された。これを受け同社は、あくびコミュニケーションズ株式会社及び同社関連会社である株式会社カステラに対する債権の取立不能額を見積り、貸倒引当金繰入額 23 億 67 百万円の特別損失を計上した。

 

 

(2)20/3期下期の重点施策

モバイルソリューションの拡大-【どこでもホン】
同社は、2waySmart を進化させた、iPhone専用のアプリを前下期に投入した。どこでも内線と外線の発着信を可能にするスマホアプリである。2waySmartは、社内のWi-Fiを利用するため社内は内線電話でも社外では携帯電話であった。しかし、どこでもホンは、どこでも 4G+VPNを利用するため携帯電話が社外でも内線電話となり、社外から代表電話での発番が可能となる。どこでもホンの大きな特徴としては、①外出先から会社の番号を通知できる、②会社にかかってきた電話を事務所でも外出先でもどこでも受けられる(ビジネスチャンスを逃さない)、③外出先のスマホと内線通話が可能(パケット定額で通話無料)、④外線ボタン搭載 (ページ切替で24ボタンまで表示)などがあげられる。また、どこでもホンはデータ通信のみで通話が可能であるため携帯電話料金は不要であり、社内環境への自動接続が可能であるなど業務の効率化や生産性の向上にも貢献する。更に、VPNにより安全なアクセスを実現し、アカウントリモート削除機能による盗難・紛失対策も充実している。
どこでもホンは、オフィス以外のどこでも業務が可能。顧客企業の生産性向上、業務の見える化、リスク回避に役立つため、政府が奨励する働き方改革の代表的な方法である「テレワーク」【Tele(離れたところで)+Work(働く)】の普及に貢献するものと大いに期待される。

 

(同社決算説明会資料より)

 

(同社決算説明会資料より)

 

Elenovaを中心とする電力事業の拡大

Elenovaは、電力自由化に伴い、同社が小売電気事業者として顧客に電力を提供する新電力サービス。従来電力は、地域指定の電力会社に供給されていたため、法人・個人を問わず電力会社を自由に選ぶことはできなかったが、2016年4月に電力が全面自由化されたことにより、企業、一般家庭共に電力会社を選ぶことが可能となった。現在は小売電気事業者ごとに「低価格設定」や「環境への配慮」など、様々な形態で電力が供給されている。こうした環境下、様々な小売電気事業者が誕生しているが、同社のように全国規模で中小法人を対象に事業を運営している小売電気事業者は少ない。また、同社は今期、iSmartひかりやSmartひかりやおまか請求などの豊富な顧客基盤に対し、 Elenova 営業を強化する予定である。

 

5.今後の注目点

同社の20/3期第3四半期決算は、前年同期比18.1%増収、同47.5%営業増益の好決算となった。積極的な販売奨励金の増加により個人向けインターネットサービス、モバイルサービス等再卸の契約獲得が順調に拡大したことが寄与した。同社では、個人向けインターネットサービスにおける新規契約獲得のための販売奨励金を前払費用に計上し、3年間で償却を行う会計処理をとっている。過去の積極的な販売奨励金の増加により拡大していた前払費用の償却が順次終了し、今後前払費用の償却負担の増加が鈍化してくる可能性が高い。この数年販売奨励金の増加は、売上総利益を増加させる一方で、販管費の増加(前払費用の償却費増加)をもたらし、営業利益の伸びを抑制してきた。こうした前払費用の償却負担の増加のピークアウトとともに、同社の売上高営業利益率と営業利益の増益率が高まるものと期待される。今第3四半期は、販管費の増加を上回る売上総利益の伸びが確認された。続く第4四半期においてもこうした傾向が定着するのか、第4四半期の売上総利益と販管費の動向が注目される。
また、同社は今下期の重点施策として、電力事業Elenovaに加え、どこでもホンとモバイルルーターの契約数の拡大を掲げている。会社の想定を上回る契約数を獲得することができるのか、今下期のElenova、どこでもホン、モバイルルーターの契約数の動向が注目される。中でもどこでもホンは、新型コロナウィルス感染拡大に伴い大企業におけるテレワークが拡大する中、必要なアイテムと期待される。同社の主要顧客である中小企業においてもテレワークが拡大し、どこでもホンの採用が加速するのか注目される。
こうした一方で、取引先の破産手続開始により特別損失が発生したことは非常に残念であった。今後の取引先の債権管理の方法に課題を残した形となった。再発防止に向けいかにガバナンスを強化するのか注目される。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態および取締役・監査役の構成

組織形態 監査等委員会設置会社
取締役(監査等委員除く) 5名、うち社外0名
監査等委員 3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日 : 2019年6月19日

 

<基本的な考え方>
当社では、取締役会を唯一の経営意思決定機関として位置付けております。
定例取締役会を毎月開催するほか、重要案件が生じる都度臨時取締役会を機動的に開催し、迅速かつ的確な経営判断を行っております。
また、企業経営情報の積極的な開示を目的として、適時に当社のホームページにおいて財務情報に限定されないディスクロージャーを行っております。
当社は、監査等委員設置会社形態を採用しており、同形態により十分にガバナンスが機能していると認識しております。

 

<コーポレート・ガバナンス・コード各原則の実施について>
実施をしないコード:8項目、そのおもな原則と理由

原則

実施しない理由

(原則3-1 情報開示の充実) (1)会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画

会社の目指すところ(経営理念等)は、「社是」であり、「社員・家族・顧客・株主・取引先と共に歩み社会価値創出を通してそれぞれに幸せを分配することを目指す」を基本理念に中期経営計画を策定しております。

しかし当社の事業環境における経営状況の変化は激しいため、柔軟な対応が阻害されないよう、現在、中期経営計画は公表をしておりません。

なお、公表はしておりませんが中期経営計画の目標に対する実績分析は毎回実施し、毎年度の経営戦略・経営計画に反映させるとともに、次期中期経営計画に反映しております。

(2)本コードのそれぞれの原則を踏まえた、コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針

コーポレート ガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針は、コーポレート・ガバナンスに関する報告書「1.基本的な考え方」に記載しております。

(3)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続

取締役の報酬等を決定する方針については、会社業績との連動性を確保し、職責と成果を反映させた体系としています。特に賞与(決算賞与)については各期の当期純利益をベースとし、配当、社員への賞与水準、過去の支給実績などを総合的に勘案し、取締役会が決議しております。

(4)取締役会が経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続

取締役候補の指名にあたっては、当社の社是を理解し、的確かつ迅速な意思決定、適切なリスク管理、業務執行の監視および会社の各機能と各事業部門をカバーできるバランスを考慮し、適材適所の観点より総合的に検討し、取締役会で決議しております。

(5)取締役会が上記(4)を踏まえて経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選解任・指名についての説明

取締役候補者の指名理由は、「株主総会招集ご通知」の参考書類に記載しております。

(補充原則4-1-2 中期計画達成状況の株主説明) 会社の目指すところ(経営理念等)は、「社是」であり、「社員・家族・顧客・株主・取引先と共に歩み社会価値創出を通してそれぞれに幸せを分配することを目指す」を基本理念に、中期経営計画を策定しております。

しかし当社の事業環境における経営状況の変化は激しいため、柔軟な対応が阻害されないよう、中期経営計画は公表をしておりません。

なお、公表はしておりませんが中期経営計画の目標に対する実績分析は毎回実施し、毎年度の経営戦略・経営計画に反映させるとともに、次期中期経営計画に反映しております。

(補充原則4-2-1 中長期的な業績と連動する報酬体系) 当社は、経営陣の報酬については、毎年定時株主総会後の取締役会において、会社の業績や経営内容、経済情勢等を総合的に考慮して個別の報酬額を決定しております。

中長期的な業績と連動する報酬の割合や、現金報酬と自社株報酬との割合については、検討してまいります。

(補充原則4-10-1 任意の仕組みの活用) 当社の取締役会は独立社外取締役2名を含む総勢7名と少人数で構成されており、指名・報酬等に係る重要事項の審議についても、現行の仕組みで独立社外取締役の適切な関与・助言を得ることができると考えております。
(原則5-2 経営戦略や経営計画の策定・公表) 当社は、中期経営計画を策定しておりますが、当社の事業環境における経営状況の変化は激しいため、柔軟な対応が阻害されないよう、中期経営計画は公表をしておりません。

なお、公表はしておりませんが中期経営計画の目標に対する実績分析は毎回実施し、毎年度の経営計画に反映させるとともに、次期中期経営計画に反映しております。

 

<開示している主な原則>

原則

開示している主な原則

(原則1-4 政策保有株式) 当社では政策保有株式は現在保有しておりません。また、今後も原則として政策保有は行わない方針です。
(原則2-6 企業年金のアセットオーナーとして機能発揮) 当社には、企業年金基金制度はありません。
(原則4-9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質) 当社は、会社法及び東京証券取引所が定める独立性基準を満たしていることに加え、誠実な人柄、高い見識と能力を有し、当社の経営に対し真摯かつ建設的に助言できる経験を重視しております。
(補充原則4-11-3 取締役会の実効性の分析評価) 当社は、取締役会の実効性を評価するため、すべての取締役に対し「取締役会評価のための自己評価アンケート 」を実施し、その回答を分析・評価しました。

その結果、取締役会の構成員の多様性や中長期の戦略討議等に課題があるものの当社の取締役会は概ね適切に運営されていることを確認いたしました。

今後も、評価結果を次年度に生かしつつ引き続き取締役会の実効性の向上に努めてまいります。

 

 

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