(7685)株式会社BuySell Technologies ネット型リユース事業の更なる事業拡大に期待

2020/04/09

 

 

 

岩田 匡平

代表取締役社長兼CEO

株式会社BuySell Technologies(7685)

 

 

企業情報

市場 東証マザーズ
業種 卸売業(商業)
代表取締役社長兼CEO 岩田 匡平
所在地 東京都新宿区四谷4-28-8 PALTビル8F
決算月 12月末日
HP https://buysell-technologies.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,935円

6,793,140株

13,144百万円

33.9%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.00円

1.0%

105.40円

18.4倍

332.55円

5.8倍

*株価は3/26終値。各数値は2019年12月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年12月

7,559

 

225

145

24.30

0.00

2017年12月

8,917

 

319

226

37.69

7.50

2018年12月

10,118

496

472

329

55.00

11.00

2019年12月

12,828

846

817

505

83.87

15.00

2020年12月(予)

15,202

1,110

1,101

716

105.40

20.00

*予想は会社側予想。

 

 

株式会社BuySell Technologiesの会社概要、業績動向、岩田社長へのインタビュー、今後の成長戦略などをお伝えします。

 

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年12月期決算概要
3.2020年12月期業績予想
4.成長戦略
5.岩田社長に聞く
6.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 店舗を保有せず、「インターネット」と「リアル」のそれぞれの強みを生かしたネット型リユース事業を展開。インターネットやマスメディアを駆使したマーケティング戦略により買取希望者を集客するとともに、日本全国を対象に出張訪問買取を行う。「ラグジュアリー商材×出張訪問買取」による差別化、シニア層を中心とした強固な顧客基盤、クオリティの高い経営陣などが特長・強み。巨大な潜在リユース市場の開拓と顧客基盤を活かした新規事業の創出により更なる成長を目指している。 
  • 2020年12月期の売上高は前期比18.5%増の152億2百万円、営業利益は同31.2%増の11億10百万円と2桁の増収増益を予想。サービスの認知向上のためTVCM等を中心とするマスマーケティング投資を継続しながら、個人向け販路の拡大やCRMの実現に取り組む。配当は前期比5.00円/株増配の20.00円/株を予想。予想配当性向は19.0%。 
  • 成長戦略は、リユース事業の更なる拡大と新規事業の創出を掲げている。リユース事業においては「出張訪問数」×「出張訪問当り変動利益」の最大化により成長を図る。新規事業に関しては、強みであるシニア顧客データ基盤を活用し新規事業を創出し第2の事業の柱として確立する。 
  • 岩田社長に、同社のミッションやバリュー、強み・アドバンテージ、今後の成長戦略、株主・投資家へのメッセージ等を伺った。「日本が高齢化社会に入っていくと、物が行き場を失うだけでなく、高齢化社会における様々な社会問題が発生します。そうした諸問題を解決する会社、集団を目指す当社を是非中長期の視点で応援していただきたい」とのことだ。 
  • リユース市場における「出張訪問買取」サービスの認知度は依然低いが、一旦利用した顧客の満足度は極めて高い。その意味で何よりもまず、認知度の向上が必要だが、マーケティングに精通した経営陣によるブランドマーケティングは今後も効果を発現すると思われ、問合せ、集客数は着実な拡大が期待できる。また査定員の教育については「イネーブルメント部」の貢献度が大きく、買取の実行および顧客データの収集も順調に増大すると思われる。社会問題を解決する企業としてニーズを確実に取り込んでいく体制が整いつつある同社の主力事業であるリユース事業の進捗と共に、新規事業の収益貢献がいつごろからとなるかを注目していきたい。 
  • なお、新型コロナウィルスの影響については、買取事業において東京都を中心とした自粛要請を背景に、2020年2月後半から3月にかけて、サービス利用に関する問い合わせの一時的な減少及び出張訪問に際しての商談時間の短縮に伴う買取量の減少が見られるものの、その影響金額は軽微なものと見込んでいる。販売事業ついては、業者向け販売において一部の古物市場や業者向けオークションへの参加業者の減少や開催の中止、開催日の延期等が発生しているが、販売チャネルの変更や販売時期を遅らせる等の施策を行っている。また一般消費者向け販売においては、百貨店への来店客数の減少に伴い催事販売における売上の減少が生じているものの、今後開催予定の催事販売に向けた在庫の繰り越しや販売チャネルの変更を行う等の施策を実施している。これらにより、4月1日現在においては、2020年12月期通期の業績予想の修正を必要とするような影響はないと見込んでいる。 

     

1.会社概要

店舗を保有せず、「インターネット」と「リアル」のそれぞれの強みを生かしたネット型リユース事業を展開。
インターネットやマスメディアを駆使したマーケティング戦略により買取希望者を集客するとともに、日本全国を対象に出張訪問買取を行う。「ラグジュアリー商材×出張訪問買取」による差別化、シニア層を中心とした強固な顧客基盤、クオリティの高い経営陣などが特長・強み。巨大な潜在リユース市場の開拓と顧客基盤を活かした新規事業の創出により更なる成長を目指している。

 

【1-1. 沿革】

大手広告会社でマーケティングを担当していた岩田氏は、豊富な広告宣伝費を持つ大企業や有名企業が優遇され、予算も少ない中小企業、ベンチャー企業は十分な対応を受けることができない状況に疑問を抱き、資本力の弱い企業でも真のマーケティングが展開できるよう支援したいとの思いから、大手広告会社を退職しコンサルティング会社を立ち上げた。
多くのベンチャー企業や中小企業を支援する中で出会ったのが、現在の株式会社BuySell Technologies(旧 株式会社エース)であった。
同社は以前から現在の中心事業である「出張訪問買取」を行ってはいたが、2016年5月にコンサルに入った当時はマーケティングといってもチラシをまくくらいで、ホームページも洗練されたものではなく、業績も芳しいものではなかった。
岩田氏の下で本格的な改革に乗り出した同社は、同年8月には過去最高の申込件数を記録、9月にはそれを更新するなど、改革の芽が出始める。
この過程で岩田氏は、「出張訪問買取」サービスは付加価値が高く、必要とする顧客が多数存在する反面、「出張訪問買取」サービスのメリットの伝え方、ブランディング構築方法、マーケティングアクションなどが極めて不十分であると感じ、そこに自分がこれまで培ってきたマーケティングノウハウを注入していけば、もっと魅力的な会社に変革できるはずと確信する。
同年10月に岩田氏が取締CSMO(Chief Strategy & Marketing Officer)に就任。11月には社名を株式会社BuySell Technologiesに変更し、新たなTVCMをオンエアするなどさらに改革のスピードを上げる。
岩田氏が2017年9月に代表取締役社長に就任。クリエイティブのPDCAサイクルを回すと共に、知見を活かしたTVCM枠の購入などが奏功し、業容は順調に拡大。コンプライアンス体制も整備し、2019年12月、東証マザーズに上場した。

 

【1-2 企業理念・経営理念】

以下のようなミッション、バリューを掲げている。

 

ミッション 人を超え、時を超え、たいせつなものをつなぐ架け橋となる。

 

バリュー すぐに、つなぐ:すぐに着手し、すぐに仕上げて、次へ行け

 

みずから、つなぐ:評価するな、手を動かせ

 

おそれず、つなぐ:自分を変え、組織を変え、世界を変えることに挑戦し続ける

 

物には物を超えた価値、バリューがあり、そこを的確につないでいくのが自社の使命、社会的な存在価値と考えている。

 

【1-3 市場環境】

リユース市場は2020年で約2.6兆円と推計されているが、自宅内の1年以上利用されていない不用品である「かくれ資産」を含めた潜在的なリユース市場規模総額は2018年時点で約37兆円と同社では推計している。
加えて人口減少が続く日本においては、不用品は毎年7.6兆円増加すると推定しており、潜在リユース市場は今後も拡大が続くと見ている。

 

(同社資料より)

 

BuySell Technologiesではその強みである出張訪問買取により、自宅に眠る「かくれ資産」となる潜在商材を掘り起こすことで、成長ポテンシャルの大きい潜在的なリユース市場の開拓を進めていく考えである。

 

【1-4. 事業内容】

(1)ビジネスモデル
店舗を保有せず、「インターネット」と「リアル」のそれぞれの強みを生かしたネット型リユース事業を展開している。
主にインターネットやマスメディアを駆使したマーケティング戦略により買取希望者を集客するとともに、日本全国に出張可能な査定員を配置した出張訪問買取を中心に、宅配、持込による買取を実施。
買取品は、自社EC「バイセルオンライン」、ヤフオク!などのECモール、ebayなどの越境ECサイトを通じたEC販売や、百貨店での催事販売により一般顧客に販売するほか、自社オークション市場「バイセルオークション」や他社市場を利用した卸販売により外部業者に販売している。

 

(同社資料より)

 

マーケティングによる集客から買取査定、在庫管理、販売までの一連の流れをすべて自社で一貫して管理実行する体制を構築している。
また主力のリユース事業を拡大すると同時に、資産管理サービスとして愛車の資産価値を維持・向上させるアプリ「CAPPY(キャッピー)」の運営など、リユースに隣接する新規事業や顧客データを活用した新規事業の立ち上げ・育成にも注力している。

 

(2)各サービスの概要
同社のネット型リユース事業は「買取希望者の集客」→「買取の実施」→「買取品の販売」というビジネスフローで構成されている。
「集客」、「買取」、「販売」各ステップの概要、特長は以下のとおりである。

 

①集客:シニア富裕層を対象としたクロスメディアマーケティングを展開
◎マーケティング
顧客からの査定依頼を受注するためのマーケティング活動が事業戦略・遂行の起点であり、集客数の最大化が同社ビジネス成功の第一のカギである。
ここでは、岩田社長を始めとした経営陣が有するマーケティングスキルやノウハウが大きな役割を果たしている。

 

SEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)、リスティング広告、SNSなどの「インターネット」と、TVCMを中心とした「マスメディア」を駆使したクロスメディアマーケティングを展開している。
市況や季節性等を踏まえたマクロ視点での広告運用に加え、日々の媒体別、エリア別等に細分化した詳細な分析を行うことによって、費用対効果を最大化したマーケティング活動を行っている。
こうしたきめ細かいマーケティング活動により、問い合わせ件数および集客数は年々拡大している。

 

◎問い合わせ対応:顧客ニーズに沿ったサービスの提供と査定員稼働数の最大効率化
自社内製で構築しているコールセンターが問い合わせ対応をしている。
約100名のオペレーターが顧客の要望を直接聞き、その要望を査定員と連携することにより、顧客ニーズに沿ったサービスの提供を図っている。
また、コールセンターでは、売却希望の商材や訪問日時の調整といった事務的な受付業務のみでなく、顧客がより安心して同社サービスを利用できるよう、事前に顧客に対して、サービスの概要、査定取り扱いが可能な商材の説明、不招請勧誘防止のための案内等を実施しているほか、査定員が訪問査定時に説明する内容を事前に説明している。

 

加えて、コールセンターではこうした顧客向けサービスと共に、問い合わせ予測やエリア別の訪問申し込み状況をもとに、エリア別の稼働効率や顧客ニーズを踏まえた査定員の訪問計画案を策定しており、査定員稼働数の最大効率化を図っている。

 

(同社資料より)

 

②買取:幅広い顧客ニーズに対応した「出張訪問買取」を展開
◎出張訪問買取
問い合わせのあった顧客の自宅へ出向き、査定・買取を実施する「出張訪問買取」が買取方法の中心である。
このほか、売却希望商品を同社まで送る「宅配買取」、直接顧客が同社まで商品を持ち込む「持込買取」も行っている。

 

「出張訪問買取」においては、約250名の査定員を有し、関東圏、関西圏、名古屋、福岡など10センター(2019年12月時点)を拠点として全国各地をカバーしている。
査定希望の商品種類が多岐にわたる場合、査定数量が多量となる場合、査定商品の重量があり持ち運びが困難な場合などのほか、遠方に居住の顧客や高齢の顧客からの問い合わせなど、店頭買取や宅配買取の利用が難しい顧客からの買取依頼にも「出張訪問買取」は柔軟に対応することが可能であり、より幅広い顧客ニーズに対応している。
例えば、着物は1着で1kg程度の重量のものもあり、整理したい着物の枚数が多く、持ち運びが困難な場合、同社の査定員が自宅まで訪問して査定買取を実施する「出張訪問買取」は顧客ニーズに即した親和性の高いサービスである。

 

◎査定員
顧客満足度を高めるため、査定員に対する教育を重視しており、営業研修や現場への同行等のOJTを定期的に実施し、営業姿勢、査定能力、コンプライアンス意識の向上に努めている。
加えて、顧客の自宅に上がるためには顧客に十分な安心・安全を提供する必要があることから、コンプライアンス体制の徹底にも注力している。
査定員のみでは契約を決裁することはできず、契約時にコンプライアンス専門部署が顧客に電話し、売買契約の内容についての確認(商品、金額および金額への納得の有無の確認)を行う決裁コールを行ったうえで最終契約を締結する。

 

また、コンプライアンス専門部署は査定員退出後に再度顧客に電話(フォローコール)するほか、出張査定についての顧客の率直な意見を、査定員の対応や法令遵守及び顧客の満足度について具体的なヒアリングを行っている。
フォローコールでの結果については、査定員個人別で意見、クレーム、賛辞内容を管理し、更なる品質向上に向けて適宜査定員に周知徹底を図っている。

 

◎真贋鑑定・査定
同社の査定体制は、正確な査定、贋物買取防止および査定員不正を防止する観点から、出張訪問する査定員の現場査定に加えて、査定員からモバイル端末を利用して送られて来る画像や動画等の情報をもとに、真贋及び鑑定を専門とする社員により二重で査定内容をチェックしている。

 

このように、顧客ニーズの的確な把握と対応、安心・安全の徹底など顧客満足度向上のための同社独自の取り組みにより、ビジネス成功の第二のカギである買取の実施件数を着実に増大させている。

 

(同社資料より)

 

◎取扱商品
主として、着物、切手、古銭、貴金属、ジュエリー、ブランド品、時計、骨董品、毛皮、酒類等を対象としており、販売時に高単価を確保できるものをメイン商材としている。

 

◎主要顧客
中心サービスである出張訪問買取との親和性が高いシニア富裕層からの問い合わせが多く、2019年12月期では50代以上の顧客が全顧客の約75%を占めている。
また、シニア層が中心であることから、自宅整理、遺品整理及び生前整理に伴い同社の買取サービスを利用するケースが多く、サービス利用理由の約60%をそれらが占めている。

 

(同社資料より)

 

③販売:
◎在庫管理
買取商品はクーリング・オフの期間を経た後、千葉県習志野の自社倉庫において100名を超えるスタッフにより検品から出品までを一元管理している。
在庫は、自社開発のITシステム「AXIS」によって管理されており、クーリング・オフへの対応を含めて商品一点ごとの在庫管理を行っている。
商品の特徴・状態・市場環境など様々な面を考慮した上で、最適な販売ルートに送品している。

 

◎販売方法
在庫状況を踏まえて販売戦略を企画立案の上、古物市場や業者向けオークションでの販売、EC販売、催事での販売、着物自社オークション等の販売チャネルにより買取商品の販売を行っている。

 

古物市場やオークション販売等のtoB販売(法人向け販売)では、商材ごとに対面形式・対面オークション形式を使い分け、取引先との交渉を繰り返し、より高い利益率を出せる販売先を選定している。売上の約90%がtoB販売である。
また、習志野倉庫において定期的に着物の自社オークションを開催し、品質毎の適正な販売、流通量の拡大に繋げている。

 

一方、エンドユーザーである一般消費者向けのtoC販売おいては、良質の商品を提供すべく、EC販売(楽天市場、ヤフオク!等)や百貨店催事による販売を行うとともに、2018年7月よりリユース着物の販売を中心とした「バイセルオンライン」、2020年2月よりブランド品、時計、ジュエリーや酒類などのラグジュアリーリユース商品の販売を中心とした「BUYSELL brandchee(バイセル ブランシェ)」と、2つの自社ECサイトを展開している。

 

toB販売により在庫回転期間を短縮(在庫リスクの低減)しながら、toC販売の拡大により収益の最大化を図っている。
商材の需要動向等に応じた商品1点ごとの最適な販売戦略の立案と多様な販売チャネルの構築により、リユースビジネス成功の第三のカギとなる「販売」においても着実に実績を積み上げている。

 

 

(同社資料より)

 

【1-5 .強み・特長】

①「ラグジュアリー商材×出張訪問買取」による差別化
リユース市場における多くのプレーヤーの中で、同社は商材単価の高額な「ラグジュアリー商材」を無店舗型の「出張訪問」で買い取るという他社にはないビジネスモデルで独自のポジションを築いており、明確な差別化となっている。

 

(同社資料より)

 

②シニア層を中心とした強固な顧客基盤
前述の通り50代以上の顧客が全顧客の約75%を占めている。同社のヒアリングによれば8割の顧客が同社サービスをまた利用したいと回答しており、シニア富裕層からの信頼は厚い。
この強固な顧客基盤は、今後の事業展開において大きなアドバンテージとなろう。

 

③クオリティの高い経営陣
同社の成長を支えている要因の一つが優れたマーケティング戦略である。岩田社長によれば、ベンチャー企業で同社ほど良好なコストパフォーマンスでTVCMを打てている企業は他にはないという。
上手にTVCMを打つには、どういうプレーヤーがいるのか、どういった段取りが必要なのかなど、その構造を熟知していることが必要だが、同社は大手広告会社出身で知見・経験・ノウハウが極めて豊富な岩田社長および取締役副社長兼COO谷口 雅紀氏(2016年10月入社)がクロスマーケティング戦略を強力に推進している。
また、上場のみならず顧客からの信頼を得て持続的な成長を追求するにはコンプライアンス体制の完備が不可欠で、買取りプロセスにおける現金の管理なども重要なポイントであるため、2016年10月に取締役CFOに就任した小野 晃嗣氏の指揮の下、経理面からのオペレーション整備を進めてきた。
2名の社外取締役を含め、攻守にわたる6名のクオリティの高い経営陣により事業を推進している。

 

④主要KPI:「出張訪問数」×「出張訪問あたり変動利益」
同社ではリユース事業の主要KPIとして 「出張訪問数」×「出張訪問あたり変動利益」を設定している。
「出張訪問数」拡大のためには認知度向上による問い合わせ件数の増大を、「出張訪問あたり変動利益の最大化」のためには高額商品買取増と広告宣伝費の効率化をそれぞれ追求している。

 

(同社資料より)

 

 

【1-6. ROE分析】

 

18/12期

19/12期

ROE (%)

56.5

33.9

 売上高当期純利益率(%)

3.26

3.94

 総資産回転率(回)

3.67

3.31

 レバレッジ(倍)

4.73

2.60

 

店舗を保有しないネット型リユース事業を展開する同社は高いROEを実現している。
今期の予想売上高当期純利益率は4.7%。2019年12月上場時のファイナンスにより2020年12月期の総資産回転率及びレバレッジは19年12月実績よりも低下すると見込まれるが、引き続き高ROEを示すこととなろう。

 

 

2.2019年12月期決算概要

(1)業績概要

 

18/12期

構成比

19/12期

構成比

前期比

期初予想比

売上高

10,118

100.0%

12,828

100.0%

+26.8%

-0.5%

売上総利益

6,453

63.8%

8,410

65.6%

+30.3%

-1.1%

販管費

5,957

58.9%

7,564

59.0%

+27.0%

-1.2%

営業利益

496

4.9%

846

6.6%

+70.5%

-0.2%

経常利益

472

4.7%

817

6.4%

+72.8%

+1.6%

当期純利益

329

3.3%

505

3.9%

+53.2%

-1.6%

*単位:百万円

 

大幅な増収増益
売上高は前期比26.8%増の128億28百万円。引き続き堅調な成長を実現。査定員の教育強化による買取量増大及び個人向け販売割合の拡大が奏功し、粗利率は同1.8pt上昇し、粗利額も同30.3%増加。
営業利益は同70.5%増の8億46百万円。認知度向上のための広告宣伝費増などにより販管費も同27.0%増加したが粗利増で吸収し、大幅増益となった。
期初計画に対しては売上高が催事未開催等の影響で僅かに下回ったものの、売上、利益ともにほぼ計画通りの着地。

 

(主要な販管費)

 

18/12期

19/12期

前期比

期初予想比

広告宣伝費

1,927

2,613

+35.6%

-0.2%

人件費

1,745

2,084

+19.4%

-1.0%

*単位:百万円

 

(2)主要KPIの動向

19年12月期の出張訪問数は前期比13.9%増の18万146件と堅調に拡大。
積極的なTVCM投下による訪問当たり広告宣伝費は増加したが、売上総利益の増加により出張訪問あたり変動利益は同12.5%増の32,178円となった。

 

 

18/12期

19/12期

前期比

出張訪問数

158,197

180,146

+13.9%

出張訪問あたり変動利益

28,615

32,178

+12.5%

*単位:件、円

 

(3)財政状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

18/12末

19/12末

 

18/12末

19/12末

流動資産

2,673

3,923

流動負債

1,446

1,763

 現預金

1,959

3,197

 短期借入金

613

377

 売上債権

67

72

 未払金

317

497

 たな卸資産

494

550

固定負債

975

566

固定資産

476

668

 長期借入金

947

549

 有形固定資産

181

205

負債

2,422

2,330

 無形固定資産

105

236

純資産

727

2,261

 投資その他の資産

189

227

 株主資本

732

2,272

資産合計

3,150

4,592

負債・純資産合計

3,150

4,592

*単位:百万円

 

株式上場に伴う現預金増などで資産合計は前期末比14億41百万円増加の45億92百万円。
長短期借入金の減少などで負債合計は同92百万円減少の23億30百万円。
新株発行に伴う資本金、資本剰余金の増加等で純資産は同15億34百万円増加の22億61百万円。
この結果、自己資本比率は前期末から26.3ポイント上昇しし49.2%となった。

 

商品1点毎の販売戦略により在庫リスク低減を図っており、在庫回転期間は約42日となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

18/12期

19/12期

増減

営業CF

326

1,116

+790

投資CF

-174

-251

-76

フリーCF

151

864

+713

財務CF

300

364

+64

現金同等物残高

1,968

3,197

+1,229

*単位:百万円

 

税引前当期純利益の増加、未払金の増加などで営業CF、フリーCFのプラス幅は拡大。
株式の発行による収入があった一方、前期にあった長期借入および社債の発行による収入が無くなり財務CFはほぼ変わらず。キャッシュポジションは上昇した。

 

3.2020年12月期業績予想

(1)業績概要

 

19/12期

構成比

20/12期(予)

構成比

前期比

売上高

12,828

100.0%

15,202

100.0%

+18.5%

売上総利益

8,410

65.6%

9,907

65.2%

+17.8%

販管費

7,564

59.0%

8,796

57.9%

+16.3%

営業利益

846

6.6%

1,110

7.3%

+31.2%

経常利益

817

6.4%

1,101

7.2%

+34.7%

当期純利益

505

3.9%

716

4.7%

+41.6%

 *単位:百万円。

 

2桁の増収増益
売上高は前期比18.5%増の152億2百万円、営業利益は同31.2%増の11億10百万円を予想。
サービスの認知向上のためTVCM等を中心とするマスマーケティング投資を継続しながら、個人向け販路の拡大やCRMの実現に取り組む。
配当は前期比5.00円/増配の20.00円/株を予定。予想配当性向は19.0%。

 

(主要な販管費)

 

19/12期

20/12期(予)

前期比

広告宣伝費

2,613

3,000

+14.8%

人件費

2,084

2,417

+16.0%

 

(KPIの推移)

 

19/12期

20/12期(予)

前期比

出張訪問数

180,146

209,605

+16.4%

出張訪問あたり変動利益

32,178

32,952

+2.4%

*単位:件、円

 

4.成長戦略

更なる成長に向け、リユース事業、新規事業において、以下6つの成長戦略を遂行していく。

 

(同社資料より)

 

(1)マスマーケティング投資によるブランド認知獲得

リユース市場において「出張買取」サービスの認知度及び利用実績はまだまだ低く、その認知度向上が課題である。
そのため、今後も継続して「バイセル」ブランドの強化を図るとともに、リユース市場において伸びしろの大きい「出張買取」サービスの認知率を高めるマーケティング戦略を展開する。
具体的には、バイセルサービス利用想起率を直接高めるTVCMを中心としたダイレクトマーケティングと、「出張買取」サービスの認知と安心・安全に利用したい顧客における同社指名率を高めるブランドマーケティングを実施。
「出張訪問数」の拡大及び「出張訪問あたり広告宣伝費」の効率化を目指す。

 

(2)人材戦略(採用×教育)

査定員の採用を強化するとともに、ホスピタリティの高い優れた査定員へと育成するための教育を強化し、「出張訪問数」及び「出張訪問あたり売上総利益」を拡大する。

 

採用に関しては、2017年より新卒採用を強化する方針に転換した。人手不足の中で人材採用競争が激化しているが、同社は強みである採用力を活かし、2020年も約110名(内、リユース事業部70名)の優秀な新卒を採用することができた。
また、教育に関しては、教育研修専門部門である「イネーブルメント部」による査定員の体系的教育研修システムを導入した。
査定員別に営業スキル、査定ノウハウ、商品知識、賛辞率等様々な項目をスコア化のうえ、管理教育を実施している。
これらの施策が奏功し、新人であっても約6か月程度の期間で訪問査定が可能となる水準への能力引き上げに成功している。

 

(3)データ・テクノロジー活用によるスケール化

査定データやテクノロジーの活用により、機械学習技術などを用いて査定や価格決定を自動化すべく取り組んでいる。
査定の効率化・生産性向上を図り、買取量を最大化することで「出張訪問あたり売上総利益」を拡大する。
既に一部導入済であり、今後はエンジニア人員を拡大して開発を強化する。

 

(同社資料より)

 

(4)toC向け及び海外販路の拡大

toC向けの直接販売比率を拡大し、利益率向上による 「出張訪問あたり売上総利益」の拡大を図る。
施策の一環として、2020年2月にはブランド品、時計、ジュエリーや酒類などのラグジュアリーリユース商品の販売を中心とした「BUYSELL brandchee(バイセル ブランシェ)」をオープンした。
また、現在の販路はほぼ国内のみであるため、中国向けLiveコマース販売「淘宝直播(タオバオライブ)」や越境 EC ショッピングアプリ「豌豆公主(ワンドゥ)」への出品強化など海外販路開拓による収益性向上を目指す。

 

(5)顧客データ活用によるCRMの実現

顧客データや商材分析データを活用したCRMを構築してリピート率を向上させ、「出張訪問数」の拡大及び「出張訪問あたり広告宣伝費」の効率化を図る。
2020年3月には顧客分析・商材分析データを活用した自社顧客管理システム「GYRO」をローンチ予定である。
また、顧客とのコミュニケーションの効率性を高めるべくLINEを利用した会員サイトを立ち上げた。
利便性向上のため、出張訪問買取の依頼、現在の予約状況の確認、キャンペーン情報配信などを実装する。
加えて、より安心して利用してもらうために、訪問する査定員の現在地や氏名・顔などの情報確認、商品写真による簡易査定などの機能も搭載する予定である。

 

(6)顧客データ基盤を活用した新規事業創出

リユース事業にとどまらず、リユースに隣接する事業や、同社が強みとするシニア層のニーズを充足したり、課題を解決したりする新規事業の創出に加え、シナジーの見込める企業とのアライアンスにより事業領域を拡大する。

 

不用品売却ニーズのみならず、「不動産の売却」、「自宅整理・片付け」、「相続」等に関する顧客からの相談を受ける機会が多く、顧客ニーズ充足や課題解決に向けてシナジーの期待できる企業との業務提携を拡大している。2019年12月の上場以降、以下5社と業務提携契約を締結した。
今後も積極的に領域の拡大とともにシナジーの見込まれる企業との業務提携を加速させる。

事業領域

アライアンス先

アライアンス先概要

片付け・遺品整理 領域 株式会社リリーフ 全国で生前整理・不用品整理・遺品整理等のおかたづけサービスを中心に事業を展開
株式会社福邦銀行 福井県に広範な店舗網と強固な顧客基盤を有し、個人顧客に対し資産運用や相続支援などを展開
不動産売買 領域 株式会社AMBITION 主力のプロパティマネジメント事業の管理物件を順調に増やし続けている他、不動産テック企業として様々な事業を展開
  昭和住宅株式会社 兵庫・大阪・岡山を中心に分譲・注文住宅、不動産売買、リノベーション等の総合的な住宅・不動産事業を展開
相続相談 領域 BSP税理士法人 税務申告・助言指導や相続支援などを展開

 

 

5.岩田社長に聞く

岩田社長に、同社のミッションやバリュー、強み・アドバンテージ、今後の成長戦略、株主・投資家へのメッセージ等を伺った。

 

Q:企業が持続的な成長を実現するための根幹となるミッション、ビジョン、バリュー、パーパス(存在意義)などが一段と注目されるようになっています。
まず、御社が掲げている、ミッション「人を超え、時を超え、たいせつなものをつなぐ架け橋となる」や、バリュー「すぐに、つなぐ。みずから、つなぐ。おそれず、つなぐ」に込めた社長の想いをお聞かせください。

 

A:物には物を超えた価値、バリューがある。そこをきちんとつないでいくのが我々の使命、社会的な存在価値。スピード、オーナーシップ、イノベーション、この3つを重視して行動しミッションを実現する。

 

現在の当社のミッション、バリューは私が社長就任時に新たに掲げたものです。
物の価値というのは人によっても、その時の状況によっても異なります。Aさんにとっては取るに足らない物も、Bさんにとってはかけがえのない物であったりするように、物には物を超えた価値、バリューがあると私は思っています。
そこをきちんとつないでいくのが我々の使命、社会的な存在価値なのです。

 

特に人口減少が進み、50年後には日本で人口の3分の1が減少するとき、物も3分の1は行き場を失ってしまう。
ただ、そうした物を必要とする人の手元に渡すことができれば新たなエネルギーをかけて生産をしなくて済むわけで、極めて合理的で社会的にも意義あることなのです。ですからこの「つなぐ」ということを、当社では全社一丸で向かうミッションとして掲げています。

 

このミッションを実現するために必要な行動規範と言うべきものがバリューです。
「すぐに、つなぐ」、これはスピードが全てということです。ガリバー企業が存在しないリユース市場では、スピードが生死を決めます。そのため、まずはスピーディーにその一手を打てるかが重要であり、100パーセントの状態まで仕上げてからスタートするのではなく、70パーセントでいいからまずは走り出せということです。
次の「みずから、つなぐ」、これは、自分の顔が見えていることの重要性を伝えています。
お客様の自宅に上げていただき、お話し、安心していただいて初めて品物を出していただける、これはまさに自分の顔が見えるから心を開き、売っていただけるのです。自分がオーナーシップを持ってフェーストゥフェースで安心感を醸成しながらビジネスをしていこうということです。
3つめの「おそれず、つなく」、これはチャレンジしよう、イノベーションをどんどん起こそうということです。
出張訪問買取はまだまだ成長するビジネスですが、シニア層の様々なニーズや課題に対してもっといろいろな解決方法が提供できるのではないかと考えています。
スピード、オーナーシップ、イノベーション、この3つを重視して行動していこうというメッセージです。

 

 

Q:こうしたミッションやバリューを全社に浸透させるためにどんな取り組みをされていますか?

 

A:バリューに関しては昨年から人事考課と紐付け、評価項目をこの3つにした。ミッションに関しては、各本部単位での落とし込みが中心。

 

バリューに関しては昨年から人事考課と紐付け、評価項目をこの3つにしました。社員一人の生み出す付加価値の集合体が企業の付加価値ですから、この3つの価値の最大化が企業価値の最大化につながると考えています。
ミッションに関しては、各本部単位での落とし込みが中心です。
四半期毎に役員が現在の状況、取り組みやチャレンジなどを社員に語ったり、月1回のマネージャー以上が集まる全国会議で私がミッション、バリュー、コンプライアンスなどについて話をしたりしています。

 

 

Q:続いて御社の強みをご説明ください。

 

A:マーケティングに精通した当社ならではのクロスメディアマーケティング戦略、出張訪問買取のための組織構築、シニア層を中心とした強固な顧客基盤はリユース業界における当社ならではの強み・特長である。

 

シニア富裕層を顧客基盤として確立するにあたり、TVCMを中心としたクロスメディアマーケティングを推進してきたわけですが、特にシニア層と親和性の高いTVCMをここまで展開できたのは、マーケティングに精通した当社ならではで、現時点では競合他社が同様なTVCMを打つのは難しいでしょう。
また、出張訪問買取のための組織は愚直なまでに数年かけて構築してきたのですが、これも一朝一夕で模倣できるものではなく、シニア層を中心とした強固な顧客基盤と共にリユース業界における当社ならではの強み・特長です。

 

 

Q:一方で御社の課題は何でしょうか?

 

A:優秀なエンジニアの確保が課題。「自分の力でテックカンパニーに変身させる」という点を訴求して優秀なエンジニアを採用していく。

 

現在当社では、これまでに蓄積した査定データをベースにAIなどを用いた自動化に取り組んでいます。
査定の効率化・生産性向上を図り、買取量を最大化することで「出張訪問あたり売上総利益」の拡大を追求するのですが、そのためには優秀なエンジニアの採用が不可欠です。
しかし、ご存知のように現在は世界的にエンジニア不足であり、大手企業に比べると待遇面などで当社が不利であるのは事実です。
ただ、当社は現時点では本当の意味のテックカンパニーではないので、「自分の力でテックカンパニーに変身させる」という点や、自らが作ったプロダクトやシステムで会社の業績を大きく飛躍させるといった点に魅力を感じて入社したエンジニアには喜んでもらっています。
今後もそうした点を訴求して優秀なエンジニアを採用していきたいと考えています。

 

 

Q:「出張訪問買取」を拡大させるには、問い合わせ件数の増加と共に、やはり査定員のクオリティという点が非常に重要だと思います。査定員の採用、育成についてお聞かせください。

 

A:素直かつコミュニケーション能力の高い人材を採用。教育専門部隊「イネーブルメント部」は高い効果を発揮している。
採用にあたっての望むべき資質としては、素直であるということが一番です。次にコミュニケーション能力。
初めてお会いしたお客様に家に上げていただいた際、最初からお客様が心を開いていただけるとは限りません、そうした中でどれだけ笑顔でフレンドリーに、そして誠実にコミュニケーションがとれるのかは極めて重要です。そうした能力の高い査定員は当然ながら業績も良好です。

 

教育に際しては、2019年1月に「イネーブルメント部」を設置しました。
そこでは徹底的に査定員1人1人を、身だしなみ、髪型、声の大きさ、笑顔といった要素に加えダイヤモンドや着物などの商品知識をスコアリングして徹底的に分析をしたうえで、足りない部分を教育していくという取り組みを行っています。
これを始めてから、1訪問当たりの粗利単価が右肩上がりで上昇してきました。またこれまでにないような成績を上げる査定員も出ています。
今後は更にブラッシュアップを重ねて当社独自の教育システムとして確立させていく考えです。

 

 

Q:続いて、今後の成長戦略についてお聞かせください。

 

A:既存事業の更なる拡大においては認知度の向上がカギ。シニア層の様々なニーズへの対応や課題の解決により新たなビジネスを創出する。

 

当社では今後の事業展開として、既存事業の更なる拡大と新規事業の創出を掲げています。
まず既存事業の拡大ですが、当社では潜在的なリユース市場規模総額を2018年時点で約37兆円と推計しています。
当社が強みとする「出張訪問買取」により自宅に眠る「かくれ資産」を掘り起こし、この巨大市場を開拓していけば今後も高成長が続くと考えており、そのためにはTVCMを中心としたマーケティングの展開による認知度の向上がカギを握ります。

 

続いて新規事業ですが、シニア層の様々なニーズへの対応や課題の解決により新たなビジネスの創出が可能と考えています。
これまでの当社のビジネスは、インバウンドマーケティングによりお客様の家に出向き、買い取って終了というスタンスでした。ただ一方で、お客様に伺ってみると、8割を超えるお客様がまた当社サービスを利用したいとの意向です。こうしたニーズを活かさない手はありません。
今後、査定員は買取という第1ミッションに加え、そのお客様からどんな商品を1回目の訪問で買い取り、どんな商品を買い取らせてもらえなかったのかに加え、家族構成、興味・関心事といったお客様の生きたデータを収集することを第2ミッションとしていきます。こうしたデータを活用・分析して、LTV(ライフタイムバリュー、顧客生涯価値)の最大化を目指し、第2の事業の柱を確立していきます。

 

 

Q:それでは最後に、株主や投資家へのメッセージをお願いいたします。

 

A:当社は単なるリユース企業ではなく、高齢化社会における様々な社会問題を解決する会社、集団である。是非中長期の視点で当社を応援していただきたい。

 

まず投資家の皆様にお伝えしたいのは、当社を単なるリユース企業としては見ていただきたくないという点です。
もちろんリユースで成長してきた当社ですが、現在はもっと高い視点から将来を見据えています。
日本が高齢化社会に入っていくと、物が行き場を失うだけでなく、高齢化社会における様々な社会問題が発生することとなります。そうした諸問題を解決する会社、集団でいたいというのが私の想いであり、そこを知って頂きたいと思います。

 

是非中長期の視点で当社を応援していただきたいと思います。

 

6.今後の注目点

リユース市場における「出張訪問買取」サービスの認知度は依然低いが、一旦利用した顧客の満足度は極めて高い。
そうした意味で何よりもまず、認知度の向上が必要だが、マーケティングに精通した経営陣によるブランドマーケティングは今後も効果を発現すると思われ、問合せ、集客数は着実な拡大が期待できる。
また査定員の教育における「イネーブルメント部」の貢献度は大きく、買取の実行および顧客データの収集も順調に増大すると思われる。
社会問題を解決する企業としてニーズを確実に取り込んでいく体制が整いつつある同社の主力事業であるリユース事業の進捗と共に、新規事業の収益貢献がいつごろ始まるのかを注目していきたい。

 

なお、新型コロナウィルスの影響については、買取事業において東京都を中心とした自粛要請を背景に、2020年2月後半から3月にかけて、サービス利用に関する問い合わせの一時的な減少及び出張訪問に際しての商談時間の短縮に伴う買取量の減少が見られるものの、その影響金額は軽微なものと見込んでいる。販売事業ついては、業者向け販売において一部の古物市場や業者向けオークションへの参加業者の減少や開催の中止、開催日の延期等が発生しているが、販売チャネルの変更や販売時期を遅らせる等の施策を行っている。また一般消費者向け販売においては、百貨店への来店客数の減少に伴い催事販売における売上の減少が生じているものの、今後開催予定の催事販売に向けた在庫の繰り越しや販売チャネルの変更を行う等の施策を実施している。これらにより、4月1日現在においては、2020年12月期通期の業績予想の修正を必要とするような影響はないと見込んでいる。

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成>

組織形態 監査役会設置会社
取締役 6名、うち社外2名
監査役 3名、うち社外3名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
更新日:2020年3月26日

 

<基本的な考え方>
当社は企業価値を向上させ、株主利益を最大化するとともに、お客様、取引先、従業員、地域社会、行政機関等のステークホルダーと良好な関係を築いていくために、コーポレート・ガバナンスの確立が不可欠なものと認識しております。
そのため、当社は経営環境の変化に迅速かつ公正に対応する意思決定機関を構築し、当社の営む事業を通じて利益を追求すること、財務の健全性を確保してその信頼性を向上させること、説明責任を果たすべく積極的に情報開示を行うこと、実効性ある内部統制システムを構築すること、並びに監査役が独立性を保ち十分な監査機能を発揮すること等が重要であると考えております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております」と記載している。

 

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