(9997) 株式会社ベルーナ 増収増益、売上進捗は計画通り

2020/02/13

 

安野 清 社長

株式会社ベルーナ(9997)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

小売業(商業)

代表取締役社長

安野 清

所在地

埼玉県上尾市宮本町4-2

決算月

3月末日

HP

https://www.belluna.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

713円

97,244,472株

69,335百万円

10.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

16.00円

2.2%

108.52円

6.6倍

1,028.56円

0.7倍

*株価は 12/9終値。発行済株式数、DPS、EPSは20年3月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年3月(実)

131,742

8,366

7,105

3,544

36.45

12.50

2017年3月(実)

146,083

10,882

12,188

5,802

59.68

12.50

2018年3月(実)

161,673

13,008

13,248

9,665

99.41

12.50

2019年3月(実)

177,648

12,005

15,309

10,343

106.39

15.00

2020年3月(予)

185,000

14,000

15,000

10,500

108.52

16.00

*単位:百万円、円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。

 

ベルーナの会社概要、2020年3月期第2四半期決算概要等について、ご紹介します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年3月期第2四半期決算概要
3.2020年3月期業績見通し
4.第四次経営計画:経営方針と取り組み
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 20年3月期第2四半期の売上高は前年同期比8.9%増の862億円。総合通販を除く全セグメントで増収だった。粗利率が1.3%改善し、粗利額も同11.5%増加。媒体費や運賃増で販管費も同12.6%増加したがこれを吸収し、営業利益は同0.4%増の38億円と増益を確保した。デリバティブ評価損計上で経常利益は同50.2%減の32億円。

     

  • 売上はほぼ計画通りだったものの、店舗販売事業でさが美グループホールディングス(株)が催事での販売手法見直しに取り組んでいることによる受注減や (株)BANKAN わものやの受注が好調で費用が先行したこと、またプロパティ事業で前期オープンした海外ホテルにおいて稼働の立ち上がりが遅れたことなどから利益は計画を下回った。

     

  • 20年3月期の通期業績予想に変更は無い。売上高は前期比4.1%増の1,850億円、営業利益は同16.6%増の140億円の予想。売上はほぼ計画通り進捗しているが、利益については予算未達の状況であり、下半期での挽回を目指していく。配当は前期から1.0円増配の16.00円/株の予定。予想配当性向は14.8%。

     

  • 22年3月期を最終年度とする第四次経営計画では外部環境の変化を織り込み、「総合通販事業の復活」、「専門通販事業の拡大」、「店舗販売事業の拡大と収益改善」、「稼げるホテルを中心にしたプロパティ事業の強化」という、主力4事業の拡大・強化を推進する。好調な専門通販事業の更なる成長を図るとともに、総合通販事業、店舗販売事業、プロパティ事業の課題を解決し、最終年度22年3月期売上高2,200億円、営業利益200億円、ROE10%以上確保の目標達成を目指す。

     

  • 20年3月期第2四半期は増収で小幅な営業増益となったが、利益は予算未達であった。中でも、店舗販売、プロパティの利益未達額がそれぞれ4.4億円、6.0億円であった点を会社側は課題と認識しており、下期以降の早期改善・立て直しを図っていくということで、短期的には今下期のキャッチアップの進捗に注目したい。

     

  • 一方、中期的な注目点となる第4次経営計画の目標達成に関しては、総合通販の復活と専門通販の更なる拡大がポイントとなろう。専門通販に関してはワイン、オージオ以外にもナースリー(看護師向け通販)も2ケタ近い伸びを見せており、今後も期待できるだろう。総合通販に関しては、安定成長を志向するなかで、受注単価の低下や各種コスト増に伴いここ2期連続して低下している利益率をいかにして引き上げていくかもポイントとなろう。

     

1.会社概要

総合通信販売大手。取扱商品を特定ジャンルに絞った専門通信販売も手掛けるほか、店舗販売事業、通販事業で培ったノウハウやインフラを法人に提供するソリューション事業なども展開。ミセス層を中心とした顧客データベース、ポートフォリオ経営による安定的な収益性と成長性などが強み・特長。M&Aも積極的に展開。

 

【1-1 沿革】

1968年に現・代表取締役社長である安野清氏が、印鑑の訪問販売「友華堂(ゆうかどう)」として創業。その後、衣料品の通信販売を皮切りに、食品、化粧品など取り扱いジャンルを拡大し、専門通販事業も展開するのに並行し、通販顧客を対象としたファイナンス事業、プロパティ事業、店舗販売事業、ソリューション事業など事業ポートフォリオの拡充も進めてきた。2000年3月、東証1部に指定替え。M&Aも積極的に展開し事業基盤のさらなる強化を進めている。

 

【1-2 経営理念】

◎経営理念

わが社の事業の原点

 

わが社は国際的視野に立って、地域に生活するより多くのお客さまの、衣食住遊を豊かにする商品及びサービスを他社に先がけて提案し、より高い利便性、経済性、ファッション性、アソートメントを他社より優れたシステムと企画力で提供して、お客様の生活と幸せの向上に貢献する。

わが社の求める社員像

 

わが社の人材は何事に対しても、明るく、ポジティブに取組み、お客様の満足とより良い仕事にこだわり(責任を持ち)、困難から逃げることなく、自分の能力とキャパシティを拡げ、信頼を高めるため常に挑戦する。

わが社の目指す企業像

 

わが社は国際的視野で、衣食住遊分野の事業を他社との競合で圧倒的優位に展開し、安定性、成長性、継続性、収益性とイメージをより高め、有能な人材の集まるエクセレント企業を実現し社会に貢献する。

 

また、同社ではベルーナ社員としての心の在り方を示す「Basic Mind」、行動規範である「Basic Action」を定めている。「当事者意識」、「利益意識」、「ゲーム感覚」、「ポジティブ思考」、「成長意欲」からなるBasic Mind、「他者活用」などからなるBasic Actionは、ベルーナ社員が課題に向き合った際に常に立ち戻るべき原点となっている。

 

【1-3 市場環境】

経済産業省が発表した「平成26年商業統計表 業態別統計編(小売業)」(2016年3月9日公表)によれば、通信・カタログ販売およびインターネット販売の年間商品販売額は3.9兆円。
詳細な統計は未確認であるものの、ネット通販が急成長を続ける一方、総合通販の同業他社が大きく売上を減少させるなど、カタログ通販市場は足元で1~2%縮小したとみられる。
こうした中、ネットに注力中とはいえ、カタログ通販が8割を占めるベルーナの総合通販事業セグメントは2019年3月期9.9%の増収、過去3年間でも年率10.5%の増収と着実にシェアを拡大している。

 

◎主要通販各社比較

コード

社名

売上高

増収率

営業利益

増益率

営業利益率

ROE

時価総額

PER

PBR

3092

ZOZO

136,000

+14.9%

32,000

+24.7%

23.5%

28.6%

670,346

29.2

29.1

4921

ファンケル

131,000

+6.9%

15,000

+21.1%

11.5%

12.8%

377,893

34.1

5.8

4927

ポーラ・オルビスHLD

220,000

-11.5%

30,000

-24.0%

13.6%

4.3%

624,625

33.5

3.2

8005

スクロール

75,000

+5.4%

1,900

+11.9%

2.5%

3.0%

12,151

24.0

0.6

8165

千趣会

89,000

-21.5%

-700

-23.6%

22,540

2.8

0.5

9997

ベルーナ

185,000

+4.1%

14,000

+16.6%

7.6%

10.8%

68,460

6.5

0.7

*単位:百万円、円。売上高、営業利益は今期会社予想。ROEは前期実績。時価総額、PER、PBRは2019年12月3日終値ベース。

 

総合通販の同業他社であるスクロール、千趣会との比較では、売上及び時価総額規模はトップで、利益率、資本効率も高い。

 

【1-4 事業内容】

(1)セグメント
中核事業である総合通販事業を始め、専門通販事業、店舗販売事業、ソリューション事業、ファイナンス事業、プロパティ事業、その他の事業の7セグメントで構成されている。総合通販事業と専門通販事業が全売上の約7割を占める。

 

(同社資料を基にインベストメントブリッジ作成)

 

(同社資料を基にインベストメントブリッジ作成)

 

➀総合通販事業
◎概要
衣料品、ファッション雑貨、インテリアなど多彩な商品を、カタログ・チラシ、インターネットを通じて受注・販売している。

 

(主要カタログ)

(同社HPより)

 

◎会員属性
2019年3月末現在の登録会員数は約1,960万人で、そのうち40代以上のミセス層が約8割を占める。
ミセス層の中心年代である65歳~69歳の女性会員数を日本の人口と比較すると、およそ3人に1人(32.5%)がベルーナの登録会員であり、圧倒的なシェアを有している。

 

(同社資料より)

 

登録会員のうち2年以内に商品を購入した会員である「稼働会員数」は2019年3月期で518万人。
上下はありながらも着実に会員数は増加している。

 

(同社資料を基にインベストメントブリッジ作成)

 

同社は社内に約70名のマーチャンダイザーを擁しており、大手スーパーマーケットや女性向けファッション衣料販売店に比べてファッション性の高い商品を提供している。特に、加齢とともに変化するミセスの体形カバーを意識したデザイン性は、ユーザーから高く評価されている。
また50代から70代を対象とした他社にはない豊富なカタログをラインアップしている。こうした点が、ミセス層からの圧倒的に高い支持獲得につながっている。

 

 

◎顧客セグメント
女性顧客層を年齢別に、50代以上の「ミセス」、40代向けの「ラナン」、30代向けの「ジーラ」の3つにセグメント化。各年代の嗜好、ニーズにきめ細かく対応した商品を提供している。

 

(同社資料を基にインベストメントブリッジ作成)

 

◎EC化への取り組み
カタログが中心的な販売チャネルであるが、近年はネット通販への取り組みも強化しており、EC化率は着実に上昇している。
特に30代向け「ジーラ」は約6割がネット販売である。

 

<img src="https://www.bridge-salon.jp/report_bridge/images_rf/200210151850DvpoDzBH/image9.png" width="600"

(同社資料を基にインベストメントブリッジ作成)

 

 

◎年代別の特長
ハイミセス層では50%を超す高リピート率となっているのに対し、30才代以下のリピート率改善が課題と認識している。
また、50代が年間購入金額トップ。ハイミセスでは同時購入点数の引き上げが課題である。

 

 

 

➁専門通販事業
特定ジャンルを専門的に扱うことで商品展開や価格、サービスに特徴を持たせているため顧客の囲い込みが容易で、リピートオーダーを獲得している。

 

主要ジャンル

カタログ、サイト

概要

食品・花・ワイン

ベルーナグルメ

食品と花を扱っており、単品販売のみでなく、月に一回商品を届ける「頒布会」やお中元などの「ギフト」など多様な販売形態を展開している。

My Wine CLUB

現地から直輸入した日本ではめずらしいワインを取り揃え、国内におけるワイン通販売上シェア調査では、10年連続1位を獲得している。(2008年度~2017年度)

化粧品

オージオ

安全性を追求した洗顔・化粧水・乳液といった化粧品やサプリメントを扱っている。

なちゅライフ

オールインワン化粧品を中心に扱っている。特に、肌にやさしい植物原料を主成分とした商品を提供している。

サプリメント

リフレ

「明日のカラダ、今日からだ」をコンセプトに、何度も品質検査を受け、厳選された素材を用いた健康食品やサプリメントを扱っている。また、2013年にはリフレ研究所を設立し、食の安全性や製品の品質確保、健康被害防止などに取り組んでいる。

看護師向け通販

ナースリー

アンファミエ

リーズナブルな価格が強みの「ナースリー」、豊富な品揃えや他社ブランドとのコラボレーション商品が魅力の「アンファミエ」の2つを展開しており、看護師向け通販市場では圧倒的なシェアを占めている。

 

(同社資料を基にインベストメントブリッジ作成)

 

➂店舗販売事業
通販・インターネット・店舗の各チャネルの相乗効果を狙い、通信販売ではアプローチできない顧客をターゲットとし、和装とアパレルの店舗をショッピングセンターやショッピングモールに出店している。

 

和装では、着物や和装関連商品を販売する「BANKAN」および「わものや」に加え、2018年6月には、宝石などの販売を手掛ける「さが美グループホールディングス株式会社」を連結子会社とした。
さが美グループホールディングスは、「さが美」と「東京ますいわ屋」の2ブランドで店舗を運営しており、きものの文化や取り扱いに関する知識やノウハウが豊富で、着付けのスキルも高い点が特長。
アパレルでは、40代~50代女性を主なターゲットとしたカジュアル衣料品を低価格で提供する「BELLUNA」を運営している。

 

店舗面積は和装店舗が約30坪、アパレル店舗が80~100坪。客単価の高い和装店舗の収益性の高さが特徴である。
2019年3月末現在の店舗数は和装店舗86店舗(さが美と東京ますいわ屋は含まず。)、アパレル店舗75店舗の合計161店舗。

 

(同社資料を基にインベストメントブリッジ作成)

 

➃ソリューション事業
長年の通販事業で培ったノウハウやインフラを活用して、「封入同送サービス」、「通販代行サービス」を法人向けに提供している。
封入同送サービスでは、ベルーナが保有する膨大な顧客データベースを活用して、クライアント企業のチラシやサンプルなどの販促物を商品やカタログに同梱して配送する。クライアント企業のニーズに合わせて対象をセグメントし、ターゲットを絞り込むことも可能であり、クライアント企業にとっては効果的なプロモーションが期待できる。

 

通信販売を行う企業に対して、ベルーナのインフラとノウハウを含む一連の機能を受託するのが「通販代行サービス」。物流倉庫でのストックやコールセンターでの対応、顧客への発送までトータルに受託している。
通販事業に新規参入する企業でも、自前のインフラを備える必要がなく、スピーディかつ安価に商品やサービスを提供することが可能となる。

 

➄ファイナンス事業
通販で培ったデータベースを活用した消費者金融事業。
主として通販利用者に対し、チラシを同封するなど融資の案内を行っている。過去の購買行動及び支払い状況をデータとして把握しているため与信力は高く、融資残高が順調に拡大する一方、貸倒率は他社よりも低い。
通販利用者を対象としているため集客コストが低い点も高い収益性につながっている。

 

(同社資料を基にインベストメントブリッジ作成)

 

➅プロパティ事業
オフィスビルなどの不動産賃貸やホテル事業などを展開している。

 

➆その他の事業
百貨店や生協に向けた卸売事業を行っている。また、保険事業も展開している。

 

【1-5 特長と強み】

➀約40年の通販事業で培ったミセス層を中心とした顧客データベースやノウハウ
事業内容の項で触れたように、同社の1,900万人を超す登録会員のうち、約8割が40代以上の女性、ミセス層。
ミセス層の中心年代である65歳~69歳の女性会員数を日本の人口と比較すると、およそ3人に1人、32.5%がベルーナの登録会員である。

 

約40年にわたる通販事業で培った強力な顧客データベースやノウハウは、同社企業価値創造の源泉であり、大きな特徴である。中核事業の通信販売事業においては、販売実績、購買行動、アンケートを通じた顧客の要望などをベースに、ニーズに合致した商品を提案することでミセス層の顧客から強い支持を得ている。
また、ファイナンス事業ではまさにデータベースを活用して安定的に売上、利益を生み出しており、ソリューション事業においては、顧客データベースやノウハウ、インフラを外部に提供することで新たな事業機会を創出している。

 

➁ポートフォリオ経営による安定的な収益性と成長性
同社を特徴づけるもう一つの側面が、通信販売で培った経営資源を有効活用し多角的に事業を展開することで、安定的な成長性、収益性を実現する「ポートフォリオ経営」というビジネスモデル。
これによって、社会情勢や経済動向といった環境変化のリスクを分散しつつ、それぞれの事業が一つ一つの柱としてその強みを発揮するとともに、事業間の相乗効果を生み出して安定した収益性、成長性を実現している。

 

【1-6 株主還元】

業績の状況および中期的な成長のための戦略的な投資を勘案した上で、配当を決定している。今期20年3月期の配当予定額は1株当たり16円。前年より1円増配予定。また、以前より株主優待制度を実施し、毎年3月末・9月末の100株以上保有株主に対して、年2回贈呈しているが、株主に対する感謝の意を表するとともにより多くの株主に理解を深めてもらうことを目的とし、2017年11月、株主優待制度の拡充を発表、選択内容に、ベルーナネットで使用できる優待クーポンを追加した。優待対象基準や発行時期、有効期限には変更は無い。

 

 

100株以上

500株未満

500株以上

1,000株未満

1,000株以上

「総合通販の優待券」

「ネット専用優待クーポン」

「自社取扱商品(食品またはワイン)」の3つから1つを選択

1,000円分

3,000円分

5,000円分

裏磐梯レイクリゾート宿泊優待券

1枚

2枚

4枚

ルグラン旧軽井沢宿泊優待券

1枚

1枚

1枚

*ルグラン旧軽井沢の宿泊優待券は年1回(12月上旬発行分のみ)の贈呈。

 

【1-7 ROE分析】

 

14/3期

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

ROE (%)

10.0

8.4

4.4

7.0

10.9

10.8

 売上高当期純利益率(%)

5.59

5.30

2.69

3.97

5.98

5.82

 総資産回転率(回)

1.02

0.85

0.84

0.86

0.86

0.87

 レバレッジ(倍)

1.75

1.85

1.97

2.06

2.12

2.13

 

売上高当期純利益率の上昇で19年3月期のROEは2期連続で10%超えとなり、第三次経営計画の目標「ROE8%以上」を1期前倒しで達成した。第四次経営計画では「最終年度 22年3月期 10%以上確保」を目標としている。

 

2.2020年3月期第2四半期決算概要

(1)連結業績概要

 

19/3期2Q

構成比

20/3期2Q

構成比

前年同期比

計画比

売上高

79,161

100.0%

86,222

100.0%

+8.9%

-0.9%

売上総利益

45,011

56.9%

50,195

58.2%

+11.5%

販管費

41,161

52.0%

46,332

53.7%

+12.6%

-1.4%

営業利益

3,850

4.9%

3,863

4.5%

+0.4%

-14.2%

経常利益

6,618

8.4%

3,296

3.8%

-50.2%

-31.3%

四半期純利益

4,228

5.3%

1,678

1.9%

-60.3%

-49.8%

*単位:百万円。売上総利益は差引売上総利益。四半期純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益。

 

増収・営業増益も、利益は計画を下回る。
売上高は前年同期比8.9%増の862億円。総合通販を除く全セグメントで増収だった。
粗利率が1.3%改善し、粗利額も同11.5%増加。媒体費や運賃増で販管費も同12.6%増加したがこれを吸収し、営業利益は同0.4%増の38億円と増益を確保した。デリバティブ評価損計上で経常利益は同50.2%減の32億円。
売上はほぼ計画通りだったものの、店舗販売事業でさが美グループホールディングス(株)が催事での販売手法見直しに取り組んでいることによる受注減の影響等や (株)BANKAN わものやの受注が好調で費用が先行したこと等により、またプロパティ事業で前期オープンした海外ホテルにおいて稼働の立ち上がりが遅れたことなどから利益は計画を下回った。

 

(2)セグメント別動向

 

19/3期2Q

構成比

20/3期2Q

構成比

前年同期比

計画比

売上高

 

 

 

 

 

 

総合通販事業

36,017

45.5%

35,535

41.2%

-1.3%

+0.7%

専門通販事業

21,522

27.2%

22,697

26.3%

+5.5%

-0.8%

店舗販売事業

12,040

15.2%

15,666

18.2%

+30.1%

-7.3%

ソリューション事業

2,723

3.4%

3,764

4.4%

+38.2%

+23.6%

ファイナンス事業

1,859

2.3%

2,124

2.5%

+14.3%

-1.4%

プロパティ事業

3,235

4.1%

4,452

5.2%

+37.6%

-9.2%

その他の事業

2,334

2.9%

2,453

2.8%

+5.1%

-6.4%

調整額

-571

-472

合計

79,161

100.0%

86,222

100.0%

+8.9%

-0.9%

営業利益

 

 

 

 

 

 

総合通販事業

832

2.3%

296

0.8%

-64.4%

-0.9

専門通販事業

1,193

5.5%

1,586

7.0%

+32.9%

+2.3

店舗販売事業

791

6.6%

342

2.2%

-56.8%

-4.4

ソリューション事業

1,014

37.2%

1,224

32.5%

+20.7%

+5.0

ファイナンス事業

812

43.7%

832

39.2%

+2.5%

-0.7

プロパティ事業

183

5.7%

300

6.7%

+63.9%

-6.0

その他の事業

-526

-542

-0.3

調整額

-449

-177

合計

3,850

4.9%

3,863

4.5%

+0.4%

-6.4

*単位:百万円。利益の構成比は売上高利益率。営業利益の計画比は単位:億円。

 

◎総合通販事業
減収減益。
用紙代の値上げに伴うカタログ等の発行部数抑制、運賃単価上昇等の影響を受けた。

 

◎専門通販事業
増収増益。
化粧品事業、ワイン事業を中心に好調に推移した。

 

◎店舗販売事業
増収減益。
前期に取得したさが美グループホールディングス(株)について、費用が先行する第1四半期の損益が今期から反映される影響などで減益。

 

◎ソリューション事業
増収増益。
通販代行サービス事業及び封入・同送サービス事業が共に好調に推移した。

 

◎ファイナンス事業
増収増益。
国内消費者金融事業の貸付金残高が増加した。

 

◎プロパティ事業
増収増益。
前期に開業したホテルが売上に寄与したことに加え、今期は新規ホテルの開業費用が無かった。

 

◎その他の事業
増収損失拡大。
増収となるも、費用が先行して発生する衣裳レンタル事業の拡大の影響により損失は拡大した。

 

(3)財務状態とキャッシュ・フロー(CF)

◎主要BS

 

19年3月末

19年9月末

 

19年3月末

19年9月末

流動資産

99,244

99,803

流動負債

53,463

64,506

 現預金

22,071

18,776

 仕入債務

17,093

18,740

 売上債権

9,739

10,605

 短期借入金

14,368

25,876

 たな卸資産

22,319

23,788

固定負債

59,790

54,234

固定資産

114,542

119,297

 長期有利子負債

55,339

49,690

 有形固定資産

83,204

88,246

負債合計

113,253

118,741

 無形固定資産

11,253

11,273

純資産

100,533

100,359

 投資その他

20,084

19,777

 利益剰余金

80,816

81,767

資産合計

213,786

219,100

負債純資産合計

213,786

219,100

単位:百万円

 

有形固定資産増加等により資産合計は同53億円増加の2,191億円となった。短期借入金の増加などで負債合計は同54億円増加の1,187億円。利益剰余金増の一方で為替換算調整勘定のマイナス額増加で純資産はほぼ変わらずの1,003億円。この結果、自己資本比率は前期末から1.2ポイント低下し45.5%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

19/3期2Q

20/3期2Q

増減

営業CF

1,235

-258

-1,493

投資CF

-10,472

-7,025

+3,447

フリーCF

-9,237

-7,283

+1,954

財務CF

4,811

4,425

-386

現金同等物残高

17,610

18,293

+683

単位:百万円

 

税金等調整前四半期純利益の減少などで営業CFはマイナスに転じた。子会社株式の取得による支出額が減少し投資CFおよびフリーCFのマイナス幅は縮小した。財務CFはほぼ変わらず。
キャッシュポジションは上昇した。

 

(4)トピックス

◎ネット専業の通販会社を子会社化
2019年9月、ネット専業でインポートブランド品の通販を展開する株式会社アイシーネットの全株式を取得し、子会社化した。

 

(株式会社アイシーネット概要)
2008年11月設立。主にECショップ「Import Collection YR (インポートコレクションワイアール)」でインポートブランド品の輸入販売を行っている。楽天市場において複数回のショップ・オブ・ザ・エリアや多数の月間賞を受賞するとともに、Yahoo!ショッピングにおいても、多数の月間スコア賞を受賞するなど各ECサイトで高評価を得ている。
2017年度の売上高12.6億円、経常利益0.6億円。

 

(株式取得の背景)
商品開発ノウハウの共有や商品供給を通じて総合通販事業の成長力、収益力を高めることを目指している。

 

3.2020年3月期業績見通し

(1)通期業績予想

 

19/3月期

構成比

20/3月期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

177,648

100.0%

185,000

100.0%

+4.1%

46.6%

営業利益

12,005

6.8%

14,000

7.6%

+16.6%

27.6%

経常利益

15,309

8.6%

15,000

8.1%

-2.0%

22.0%

当期純利益

10,343

5.8%

10,500

5.7%

+1.5%

16.0%

*単位:百万円。予想は会社側発表。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。

 

業績予想に変更無し。増収増益を予想
売上高は前期比4.1%増の1,850億円、営業利益は同16.6%増の140億円の予想。
売上はほぼ計画通り進捗しているが、利益については予算未達の状況であり、下半期での挽回を目指していく。
配当は前期から1.0円増配の16.00円/株の予定。予想配当性向は14.8%。

 

(2)セグメント別動向

 

19/3月期

構成比

20/3月期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

 

 

 

 

 

 

総合通販事業

776.0

43.7%

735.3

39.7%

-5.3%

48.3%

専門通販事業

478.5

26.9%

503.0

27.2%

+5.1%

45.1%

店舗販売事業

281.5

15.8%

340.1

18.4%

+20.8%

46.1%

ソリューション事業

62.6

3.5%

69.6

3.8%

+11.1 %

54.1%

ファイナンス事業

38.3

2.2%

44.3

2.4%

+15.6%

47.9%

プロパティ事業

80.7

4.5%

104.4

5.6%

+29.3%

42.6%

その他の事業

69.1

3.9%

80.7

4.4%

+16.8%

30.4%

調整額

-10.3

-27.5

合計

1,776.5

100.0%

1,850.0

100.0%

+4.1%

46.6%

営業利益

 

 

 

 

 

 

総合通販事業

38.2

4.9%

29.0

3.9%

-24.1%

10.2%

専門通販事業

32.6

6.8%

36.7

7.3%

+12.6%

43.2%

店舗販売事業

10.0

3.6%

13.6

4.0%

+36.0%

25.1%

ソリューション事業

22.7

36.3%

23.8

34.2%

+4.8%

51.4%

ファイナンス事業

17.6

45.9%

19.8

44.7%

+12.5%

42.0%

プロパティ事業

2.4

3.0%

15.2

14.6%

+533.3%

19.7%

その他の事業

2.4

3.4%

4.5

5.6%

+87.5%

調整額

-5.9

-2.4

合計

120.1

6.8%

140.0

7.6%

+16.6%

27.6%

*単位:億円。利益の構成比は売上高利益率。

 

売上高は上期同様、総合通販事業以外全セグメントで増収の計画。
利益に関しても総合通販はカタログの紙代の影響で減益見込みだが、専門通販、店舗販売、プロパティ中心に全セグメント増益の見込み。
ただ、利益の進捗率はセグメントごとに開きがあるため、セグメント毎に対策を進め、予算へのキャッチアップを目指す。

 

4.第四次経営計画:経営方針と取り組み

同社では現在の事業環境を踏まえたうえで、各事業について以下のような取り組みを進めて行く考えだ。

 

(1)経営環境

デフレマインドの強まり、ネットの伸長、宅急便や送料の値上げといった外部環境の変化に、「オージオ、ナースリー、ワインといった単品通販の伸長」、「各ポートフォリオの成長」、「ホテル事業の回復」といった内部環境により柔軟に対応する経営方針を策定している。

 

(2)第四次経営計画

①位置づけ
第三次経営計画では過去最高の売上、利益を達成できたことをうけ、第四次経営計画では外部環境の変化を織り込み、目標達成へ向けた土壌を構築する。

 

②数値目標

 

最終年度(22年3月期)目標

売上高

2,200億円(CAGR +7.4%)

営業利益

200億円(CAGR +18.5%)

ROE

10%以上確保

 

(3)主力4事業の取り組み

「総合通販事業の復活」、「専門通販事業の拡大」、「店舗販売事業の拡大と収益改善」、「稼げるホテルを中心にしたプロパティ事業の強化」という、主力4事業の拡大・強化を推進する。

 

①総合通販事業の復活
夏シーズン、売上に関しては用紙不足の影響もあり、カタログ送付数の削減という大きな影響が出た逆風の中で、業績の維持と次の再成長へ向けた取り組みを積極的に行っている。

 

◎カタログ販売の復活
第四次経営計画では総合通販を成熟部門と捉え、売上高750~800億円の継続を目指す。
そのために、「紙の復活」、「「20代~70代向けまで幅広い商品を提供」、「メンズ、インナーの強化」、「ベルーナらしい商品の開発」に取り組む。
ベルーナらしさとは同社の祖業ともいえる頒布会形式のことで、その販売形態にあった商品開発に取り組む。

 

◎ネットの強化
ミセス向け・若年層向けにそれぞれ特化した勝ちパターン作りに取り組む。

 

ミセス向け「ベルーナサイト」では、2019年夏シーズンより再成長をスタートさせた。
ネット専用商品の投入や、体型カバー特集および大きいサイズ特集の展開など、ミセスに特化した商品コンテンツを強化する。
また、セール依存から脱却し、通常販売商品を中心としたサイト作りに取り組む。

 

2019年6月にオープンした若年層向けファッションECモール「リュリュモール」は、20代30代向けに豊富なサイズを展開し、自社商品開発経験を活かしたセレクト・顧客提案をコンセプトとしている。
現在は試行錯誤の段階であり、下半期に成長軌道に乗せていく。

 

②専門通販事業の拡大
営業利益は予算比および前年比共に上回っており、順調な進捗である。
化粧品通販オージオ、ワイン事業の更なる成長に期待している。特に化粧品通販は国内外での展開を積極的に進めていく。

 

 

◎化粧品通販オージオ
卵殻膜配合美容液の「ビューティーオープナー」が2年連続で売上No1となった。(東京商工リサーチ調べ:ベルーナ提供)
また、新たに「ビューティークレンジングバーム」がヒットの兆しを見せている。
新規顧客獲得数は着実に増加している。

 

◎ワイン通販
2018年度の売上高は41億円で、ワイン通販国内売上ランキング11年連続No.1となった。販売本数は約580万本で前年比2割増。ネット販売が好調に推移し、成長を牽引している。

 

③店舗販売事業の拡大と収益改善
(和装店舗)
◎BANKANわものや
出退店の結果、店舗数は19年9月末83店舗。上半期は増収増益となり、下半期で予算のキャッチアップを目指す。

 

◎さが美GHD
組織体制を刷新し、意識改革を進めている。BANKANわものやの経営及び運営方式導入を目的として、さが美新コンセプトショップ1号店(愛知県小牧市)を2019年11月にオープンした。

 

今期中に3店舗開店を予定している。

 

④稼げるホテルを中心にしたプロパティ事業の強化
予算との乖離の原因は主にリゾートホテルの進捗が遅れていること。
積極的にテコ入れを行い早期の立て直しを図る。

 

(4)セグメント別数値目標

 

19/3期

20/3期

21/3期

22/3期

CAGR

売上高

 

 

 

 

 

総合通販事業

776.4

735.3

753.8

811.1

+1.5%

専門通販事業

478.5

503.0

533.5

603.5

+8.0%

店舗販売事業

281.5

340.1

365.3

410.8

+13.4%

ソリューション事業

62.6

69.6

73.6

82.2

+9.5%

ファイナンス事業

38.3

44.3

49.9

56.8

+14.0%

プロパティ事業

80.7

104.4

159.0

181.0

+30.9%

その他の事業+調整

58.8

53.3

65.0

54.6

-2.4%

合計

1776.5

1,850.0

2,000.0

2,200.0

+7.4%

営業利益

 

 

 

 

 

総合通販事業

38.1

29.0

38.1

47.8

+7.8%

専門通販事業

32.6

36.7

41.7

51.4

+16.4%

店舗販売事業

10.0

13.6

17.8

25.1

+35.9%

ソリューション事業

22.7

23.8

28.7

31.4

+11.4%

ファイナンス事業

17.6

19.8

21.9

26.3

+14.3%

プロパティ事業

2.4

15.2

24.0

31.3

+135.4%

その他の事業+調整

-3.4

2.0

-2.2

-13.2

合計

120.1

140.0

170.0

200.0

+18.5%

*単位:億円、%。20/3期以降は予想、計画。CAGR(年平均成長率)は19年3月期をスタートとする22年3月期までの3年間。

 

5.今後の注目点

20年3月期第2四半期は増収で小幅な営業増益となったが、利益は予算未達であった。中でも、店舗販売、プロパティの利益未達額がそれぞれ4.4億円、6.0億円であった点を会社側は課題と認識しており、下期以降の早期改善・立て直しを図っていくということで、短期的には今下期のキャッチアップの進捗に注目したい。

 

一方、中期的な注目点となる第4次経営計画の目標達成に関しては、総合通販の復活と専門通販の更なる拡大がポイントとなろう。
専門通販に関してはワイン、オージオ以外にもナースリー(看護師向け通販)も2ケタ近い伸びを見せており、今後も期待できるだろう。
総合通販に関しては、安定成長を志向するなかで、受注単価の低下や各種コスト増に伴いここ2期連続して低下している利益率をいかにして引き上げていくかもポイントとなろう。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

8名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2019年6月28日

 

<基本的な考え方>
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、取締役会が決定した方針のもと、執行役員が担当業務を執行する権限と責任を持つことで迅速化を図るとともに、経営の公正性及び透明性を高めることによりコンプライアンス体制、効率的な経営体制の確立を実現することにあります。また、社外の有識者も参加するコンプライアンス委員会を設置し、権限を付与することによって第三者の視座が経営判断に反映される体制を構築しております。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

《補充原則1-2-④》

 

当社の株主構成を勘案し、国内外問わず株主が議案の検討をしやすくするために、英文招集通知の開示を当社ホームページにて行っております。議決権電子行使プラットフォームの利用については今後検討していきます。

《補充原則4-10-①》

 

独立社外取締役は現時点で2名に留まりますが、各独立社外取締役とも、自身の高い専門的な知識と豊富な経験を活かして取締役会や各取締役へ意見を述べるとともに、必要に応じて助言を行っております。今後は、必要があれば独立社外取締役を主要な構成員とする任意機関を設置することも検討してまいります。

《補充原則4-11-3》

 

取締役会全体の実効性の分析・評価については、今後、取締役会の機能を向上させるという観点から、その具体的な評価手法も含め、引き続き検討してまいります。

 

<開示している主な原則>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則の実施状況につきましては、「コーポレートガバナンス・コードに関する当社の取り組み」として次の当社ホームページ (コーポレート・ガバナンス)にて開示を行っております。

 

原則

開示内容

【原則 1-4】

当社は、取引先との良好な取引関係を構築し、事業の円滑な推進を図る為、主として取引先からの保有要請を受け、保有することがあります。なお、取引関係の強化によって得られる当社グループの利益と投資額等を総合的に勘案して投資可否については判断しております。また議決権行使については提案されている議案について株主価値の毀損につながるものではないかを確認し、投資先企業の状況等を勘案しております。

【基本原則5】

当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主総会の場以外においても、株主との間で建設的な対話を行うべきであり、自らの経営方針を株主に分かりやすい形で明確に説明しその理解を得る努力を行うべきと認識しております。そのため、IR体制を整備し、当社への理解を深めてもらうために、年2回の決算説明会に加えおよび個別IRや個人投資家向け会社説明会の実施を行うなど、投資家と積極的な対話を心がけております

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