(8912)エリアクエスト 来期から増収増益見込み 年二円の増配実施

2019/05/23

 

清原 雅人 社長

株式会社エリアクエスト(8912)

 

 

会社情報

市場

東証2部

業種

不動産業

代表者

清原 雅人

所在地

東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー7階

決算月

6月

HP

http://www.area-quest.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

125円

20,250,000株

2,531百万円

17.5%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

4.00円

3.2%

9.10円

13.7倍

78.04円

1.6倍

*株価は5/15終値。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する

当期純利益

EPS

DPS

2015年6月(実)

1,498

188

183

140

6.38

1.00

2016年6月(実)

1,861

262

254

294

13.10

2.00

2017年6月(実)

2,341

420

401

255

11.35

2.00

2018年6月(実)

2,675

426

416

268

11.94

2.00

2019年6月(予)

2,500

350

340

200

9.10

4.00

* 予想は会社予想。単位は百万円、円。

 

 

エリアクエストの2019年6月期第3四半期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年6月期第3四半期決算概要
3.2019年6月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 19/6期3Q(累計)は前年同期比8.5%の減収、同36.8%の営業減益。注力しているサブリース事業は順調に拡大したが、販売用不動産の売却収入が減少し、売上・利益の両面で影響を受けた。利益面では、営業部門・管理部門の強化(人員増強)と社員の処遇改善による人件費の増加や株主数の増加に伴う証券代行費用等の増加も負担になった。

     

  • 通期予想に変更はなく、前期比6.5%の減収、同17.9%の営業減益。通期予想に対する進捗率は、売上高78.3%、営業利益74.5%。ほぼ予想に沿った推移と思われる。2円の期末配当を予定しており、上期末配当と合わせて年4円となる(2円の増配)。

     

  • 19/6期は株主優待を廃止する一方で、年2円の増配を実施する。700株以上を保有する株主にとっては、増配の方が経済的なメリットが大きいが、株主優待を期待した100株保有の株主が上期末にかけて大幅に減少した。3Qに実施した自己株式取得の影響も加味すると、前期末約38,000人だった株主数が19/6期末は19,000人程度に減少するとの試算である(株主優待発表前の5,536人との比較では大幅な増加)。株主優待費用がなくなり、株主数の減少で信託報酬も減少するため来期の利益押し上げ要因となる。来期は増収・増益基調に戻る見込みであり、19/6期の予想配当性向は約44%だが、来期以降もこの水準の配当性向を維持していきたいと言う。

     

1.会社概要

東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県の駅前店舗を対象にしたサブリース(家賃保証はせず)やビル管理・メンテナンス(清掃、設備保守、警備管理等)を中心に契約更新・契約管理(売買仲介を含む)等も手掛ける「ストック収入型ビジネス」と、テナント誘致等の「成功報酬型ビジネス」を展開。グループは、グループマネジメントが中心の同社の他、テナント誘致等を手掛ける(株)エリアクエスト店舗&オフィス、ビル管理等の(株)エリアクエスト不動産コンサルティングの連結子会社2社。「エリアクエスト」と言う社名には、「地域に根差して(エリア)、不動産の価値を追求する(クエスト)」と言う思いが込められている。

 

【代表者プロフィールと会社沿革】

代表取締役社長を務める清原雅人氏は1967年2月2日生の52歳。予備校までを熊本で過ごし、一浪して明治大学法学部に入学。卒業後は野村證券に入社。大阪で4年、名古屋で3年、営業の腕を磨いた。1998年4月に友人と起業し、2000年1月に独立してエリアリンク(株)を設立(2001年3月に社名を(株)エリアクエストに変更)。2003年2月に(株)エリアクエストを東証マザーズに上場させ、2014年11月に本則市場(東証2部)での上場を果たした。現在、(株)エリアクエスト、(株)エリアクエスト店舗&オフィス、及び(株)エリアクエスト不動産コンサルティングの代表取締役社長を務める。
会社設立から上場後数年間はテナント誘致で業績を拡大させたが、需要一巡とリーマン・ショックによる景気悪化が重なり06/6期から4期連続の最終赤字。「業績の立て直しには、謙虚にビルオーナー等との信頼関係構築に取り組む事が必要」との認識の下、日常的に発生する設備の不具合・老朽化によるトラブルやテナント管理の問題への対応等、迅速かつ丁寧なアフターフォローに力を入れた。この取り組みが成果を上げ、ビルオーナー等との信頼関係の構築が進み安定収益源となる管理物件やサブリース物件が徐々に増加。テナント誘致事業、サブリースを含むビル管理事業、売買仲介を含む更新及び契約管理事業の三本柱による貸主・借主への徹底サービスを原動力に、18/6期で7期連続の増収・増益を達成した。

 

【特徴・強み 1都3県の駅前商業地においてテナント誘致に強いビル管理サービスを提供】

 

 

特徴 1.ビル管理事業(サブリースを含む):清掃業務は「顧客満足度No.1」を自負
特徴 2.更新及び契約管理事業(売買仲介を含む):トラブルの未然防止とトラブル発生時の迅速対応
特徴 3.テナント誘致事業:ビル管理事業とのシナジー

 

ビル管理事業や更新及び契約管理事業は2003年3月に100%子会社化した(株)日本総合ビルメンテナンスがベースになっているが、ビル管理事業では、清掃を中心にした日常対応にとどまらず、水回り、電気、空調、ガス、エレベーターといった設備面での臨時対応をこなし(問題が発生すれば、いち早く駆けつけて対応)、更新及び契約管理事業では、更新及び契約管理に加え、消防法上問題となる共用部分の不正使用といったビルオーナー等の貸主共通の悩み事にも対応する等、同社ならではのサービスが加えられている。一方、テナント誘致は同社にとって祖業であり、会社設立から3年1カ月でマザーズ上場を果たす原動力となった。独自に分類した63業種・約3,000社の店舗テナントをデータベース化し、このデータベースに基づき営業活動が行われている。また、物件毎に、ビル管理事業、更新及び契約管理事業、及びテナント誘致事業の各事業部門から担当者が選出され、各担当者は担当業務をこなすと共に、チームを組んでテナント誘致に取り組んでいる。

 

【成長をけん引するサブリース事業】

(同社資料より)

 

12/6期以降、サブリースに力を入れている。サブリースは空室で賃料収入がなくても、賃料をビルオーナー等に払わなければならないが、テナント誘致での強みを活かす事ができ、もとより、人の流れの多い1都3県の駅前商業地に物件を絞り込む事でリスク低減を図っている。また、サブリース物件の開拓に当たっては、地域特性や立地に応じて物件の用途や機能を変更して性能を向上させたり価値を高めたりするリノベーションの提案も行っている。もともと同社がサブリースする物件は築年数が古い物件が多いため、リフォームはもとより、水回り、電気、空調、ガス等、躯体以外の設備の修繕が必要な物件が少なくない(物件によっては鉄骨を入れ床の補強を行った事もあった)。こうした費用は同社が負担するため、ビルオーナーは自ら負担する事なく、資産価値を高めると共に安定収益を享受できる。一方、同社は先行投資負担を織り込んだ収益性を試算した上で提案を行っているため、テナントが埋まれば先行投資を吸収して確実に利益を上げる事ができる。
また、オーナーの同意を得てサブリース物件を含めた同社の管理物件への広告看板設置を進めており、2019年1月31日現在、118箇所。同社の認知度の向上に寄与し、看板効果で問い合わせも増えている。広告看板は1箇所20万円程度の設置費用は必要だが、オーナーの同意を得てサブリース物件を含めた同社の管理物件に無料で設置させてもらっている。

 

広告宣伝にもサブリース物件を活用

(同社資料より)

 

【中期事業計画】

(単位:百万円)

15/6期

16/6期

17/6期

18/6期

19/6期 計

20/6期 計

売上高

1,498

1,861

2,341

2,675

2,500

2,750

営業利益

188

262

420

426

350

420

経常利益

183

254

401

416

340

400

親会社株主帰属利益

140

294

255

268

200

250

 

景気動向によっては店舗出店意欲の低下等が予想されるものの、サブリース収入等のストック収入を中心とした同社グループの利益に与える影響は少ない。19/6期は、販売用不動産の売却で17/6期及び18/6期と売上が押し上げられた反動で売上の伸びが鈍化するがサブリースの増加で吸収する。利益面では、17/6期に着手した営業部門や管理部門の強化(人員増強)と社員の処遇改善に向けた取り組みが本格化する。売上が前期比微増収にとどまる中で、販管費が増加するため減益となるが、販売用不動産の売却収益を除くベースでは増益基調を維持する。20/6期には前期比増収・増益に転じ、販売用不動産の売却収益が寄与した18/6期の利益水準を確保できる見込み。

 

 

2.2019年6月期第3四半期決算概要

単位:百万円

18/6期 3Q(累計)

構成比

19/6期 3Q(累計)

構成比

前年同期比

売上高

2,139

100.0%

1,957

100.0%

-8.5%

売上総利益

758

35.4%

640

32.7%

-15.5%

販管費

345

16.2%

379

19.4%

+9.9%

営業利益

412

19.3%

260

13.3%

-36.8%

経常利益

405

19.0%

254

13.0%

-37.2%

親会社株主帰属利益

277

13.0%

224

11.5%

-19.2%

 

前年同期比8.5%の減収、同36.8%の営業減益
注力しているサブリース事業は順調に拡大したが、販売用不動産の売却収入が減少したため、売上高は19億57百万円と前年同期比8.5%減少した。販売用不動産の売却収入の減少に伴う利益の減少に加え、営業部門・管理部門の強化(人員増強)と社員の処遇改善による人件費の増加や株主数の増加に伴う証券代行費用(支払手数料)等の増加が負担になった。
投資有価証券評価損・売却損23百万円など特別損失37百万円を計上したものの、投資有価証券売却益37百万円及び子会社の受取保険95百万円を特別利益に計上したため最終利益は2億24百万円と同19.2%の減少にとどまった。

 

販管費の内訳

単位:百万円

18/6期 3Q(累計)

構成比

19/6期 3Q(累計)

構成比

前年同期比

人件費

91

26.5%

107

28.3%

+17.4%

減価償却費

22

6.4%

23

6.1%

+5.0%

広告宣伝費

19

5.5%

29

7.7%

+53.7%

支払手数料

55

15.9%

96

25.5%

+75.9%

業務委託費

27

7.9%

5

1.4%

-81.1%

交際費

37

10.7%

30

8.2%

-16.4%

その他

93

27.0%

86

22.8%

-7.4%

販管費合計

345

100.0%

379

100.0%

+9.9%

 

 

【財政状態】

単位:百万円

18年6月

19年3月

 

18年6月

19年3月

現預金

558

518

仕入債務

11

11

販売用不動産

355

188

未払金・未払法人税等

159

116

流動資産

1,163

984

長期預り保証金

918

946

有形固定資産

733

709

有利子負債(うちリース債務)

413(39)

605(41)

無形固定資産

21

34

負債

1,794

1,949

投資その他

1,535

1,799

純資産

1,659

1,580

固定資産

2,290

2,543

負債・純資産合計

3,453

3,530

 

第3四半期末の総資産は前期末との比較で76百万円増の35億30百万円。借方では販売用不動産が減少し、貸方では自社株買いに伴い純資産が減少した。一方、サブリースの拡大を受けて長期預り保証金が増加した他(前年同期末比3.0%増)、運転資金の増加や自己株式の取得に伴い短期借入金を積み増した。自己資本比率44.8%(48.0%)。

 

 

 

自己株式の取得と償却
資本効率の向上を通じて株主利益還元の強化を図ると共に、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を可能とするため、自己株式の取得(取得株式数2,250,000株、取得総額357,852,600円)を下記の通り実施し、2019年5月31日に取得した全株式(消却前発行済株式総数に対する割合10%)を消却する。

 

・2018年9月7日取締役会決議(取得する株式の総数上限 1,500,000株、取得総額上限 300,000,000億円)
2018年9月25日から同年12月19日にかけて、1,500,000株(自己株式を除く発行済株式総数に対する割合6.7%)を252,828,600円で取得。

 

・2018年12月20日取締役会決議(取得する株式総数上限 750,000株、取得総額上限 120,000,000億円)
2019年1月4日から同年3月28日にかけて、 750,000株(自己株式を除く発行済株式総数に対する割合3.6%)を105,024,000 で取得。

 

3.2019年6月期業績予想

単位:百万円

18/6期 実績

構成比

19/6期 予想

構成比

前期比

売上高

2,675

100.0%

2,500

100.0%

-6.5%

営業利益

426

15.9%

350

14.0%

-17.9%

経常利益

416

15.6%

340

13.6%

-18.4%

当期純利益

268

10.0%

200

8.0%

-25.6%

 

通期の業績予想に変更はなかった。販売用不動産の売却収入の減少で売上が減少し、売却益も前々期及び前期の2億円程度から80百万円程度に減少する見込み(保有不動産を売り切る予定)。加えて、今期は売却関連費用がかさむため、実質的な営業利益への貢献は40百万円程度にとどまる。販売用不動産の売却収入の影響を除くと、サブリース及び管理物件の増加を背景にした増収・増益である。また、販売用不動産については、不動産市況の先行きを鑑みて、現在、仕入は行っておらず、今期で売り切る計画。

 

期末配当は1株当たり2円を予定しており、上期末配当と合わせて年4円。年2円の増配となる。

 

尚、株主優待を廃止して、増配を実施した事で1単元(100株)保有の株主が減少し、2単元以上の株主が増加した

4.今後の注目点

19/6期は株主優待を廃止する一方で、年2円の増配を実施する。700株以上を保有する株主にとっては増配の方が経済的なメリットが大きいが、株主優待を期待した100株保有の株主の多くが株式を売却したようだ。2019年1月4日から同年3月28日にかけて自己株式の取得を実施しており、この影響も加味すると、前期末約38,000人だった株主数が19/6期末は19,000人程度に減少するとの試算である。しかし、株主優待発表前の5,536人との比較では大幅な増加であり、前期末と比べても、400株超の株主が700人程度増えたのだから保有単元数で見た株主構成も良くなった。加えて、株主優待費用がなくなり、株主数の減少で信託報酬も減少するため、今期及び来期の利益押し上げ要因となる(18/6期の株主優待費用は約70百万円。19/6期も20百万円程度の引き当てが発生している)。販売用不動産売却の影響もなくなり、来期は増収・増益基調に戻る見込みだ。19/6期の予想配当性向は約44%だが、来期以降もこの水準の配当性向を維持していきたいと言う。

 

参考:コーポレート・ガバナンスについて

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

5名、うち社外2名

監査役

3名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書: 更新日:2018年11月20日
基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、その重点を株主利益向上に置き、コーポレート・ガバナンスの充実を図ることが重要な課題と認識しております。その一環といたしまして、意思決定の迅速化、経営の透明化等を意識しコンプライアンスの徹底等が機能する体制の構築に取り組んでまいります。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【補充原則1-2-4】(株主総会における権利行使)
当社は、現在外国人株主数とその比率がそれぞれ低いことから、招集通知の英訳は行っておりません。今後、外国人株主の比率等を勘案しつつ検討してまいります。 なお、議決権の電子行使は可能となっております。
【補充原則4-2-1】(取締役会の役割・責務)
当社は、取締役の報酬は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に尽力する設定が図られていると認識しております。今後、自社株報酬も含めた割合等を考え、適切な設定を検討してまいります。
【原則4-8】(独立社外取締役の有効な活用)
当社の独立社外取締役は、その有する専門的知識から、当社の経営全般に対して独立した立場から助言・提言を行い、経営の意思決定機能及び監督機能を強化する役割を担っております。そのため、当社は、独立取締役の複数選任の必要性を見極めた上で、候補者を選定することが当社の中長期にわたる持続的成長につながるものと考えております。 今後、当社の成長及び規模を勘案し、独立社外取締役の複数化に向けて、検討してまいります。
【補充原則4-10-1】(独立社外取締役が取締役会の過半数に達していない場合の諮問委員会の設置の対応)
当社は、独立社外取締役が取締役会の過半数に達しておりませんが、社外取締役による問題提起を含め建設的な議論・意見交換を尊ぶ気風の醸成を行っております。 したがって、取締役会は、取締役の指名・報酬などの特に重要な事項の検討や決定に関して、その機能の独立性・客観性の確保及び説明責任は果たすことができる構成となっていると認識しております。

 

<開示している主な原則>
【原則5-1】(株主との建設的な対話に関する方針)
当社は、持続的な成長と中長期的案企業価値向上のためには、株主・投資家との積極的且つ建設的な対話が重要であると考え以下の体制の整備及び取り組みを行っております。
・定時株主総会において、総会終了後に「株主懇親会」を開催し、株主から株主総会議案以外の質問も受け付け、代表取締役社長が適宜、回答するように努めている。
・管理部を株主と対話する事務局とし、管轄する取締役を開示責任者とし、各部署連携に努め、迅速且つ的確な対応に尽力する。
・代表取締役社長が説明を行うIR説明会を年2回以上開催し、中期事業計画も含め説明を行い、当社ホームページにおいて開示する。
・重要な株主の意見等については毎月開催される取締役会へ報告を行い、取締役及び監査役との情報共有を図る。
・株主及び投資家との対話にあたってはインサイダー情報を伝達しないことを方針とし、IR担当部署が適宜確認し、直接対話する者に対して指導を行う。

 

東証コーポレート・ガバナンス情報サービス:http://www2.tse.or.jp/tseHpFront/CGK010010Action.do?Show=Show

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