高水準の『工作機械受注』は続くか?

<今日のキーワード>高水準の『工作機械受注』は続くか?

工作機械は「機械を作る機械」であり、工作機械の性能の優劣が、生み出される機械の性能の優劣を、ひいては最終製品の競争力を大きく左右します。このため工作機械は産業全体にとって重要です。日本には高い技術力を持つ有力企業が多数存在し、世界的な設備投資の回復に伴い『工作機械受注』は輸出を中心に回復しています。2017年の受注は過去最高を更新する見通しで、今後も好調が続くかが注目されます。

【ポイント1】11月の『工作機械受注』は過去最高を更新

年間でも過去最高を更新の見通し

■『工作機械受注』は1,000億円が好不況の目安とされます。11月は1,585億円となり単月として過去最高を更新しました。内需が前年同月比+20.8%、外需が同+65.4%となりました。特にアジア向けは同+147.2%の大幅増で、中国の電子機器の受託生産サービス向けなどが牽引しました。

■年初来の『工作機械受注』は、11月までの合計で1兆4,797億円となりました。2017年の年間では、2007年に記録した過去最高の1兆5,900億円を更新する可能性が濃厚になりました。

 

 

【ポイント2】受注は景気と連動

今回の受注増は用途拡大などが要因

■工作機械は、景気循環に伴う受注の変動が激しく、リーマン・ショック後の2009年には受注が前年比3分の1以下に減少しました。また工作機械業界は企業数が多いため競争が激しく、収益は変動が大きくなる傾向があります。

■今回の受注増は景気要因に加えて、中国などでの人手不足や賃金の上昇に伴う自動化投資の拡大や、微細な加工が必要な電気自動車、有機ELなどへの用途の拡大などにより、高性能な日本製へのニーズが強まったことが背景と見られます。

 

 

180111MK

 

 

 

【今後の展開】『工作機械受注』は高水準が当面続く見通し

■『工作機械受注』の景気循環による変動は今後も避けられませんが、人手不足が構造要因になっている一方、求められる加工精度は年々増しており、高機能な日本製工作機械への強い需要は当面続きそうです。

■工作機械の株価は、景気との連動性が極めて高く、受注のボトム圏で上昇に転じ、受注が回復すると将来の受注減を想定して下落に転じるという、典型的な景気循環株の動きをする傾向があります。現状は構造要因に根差した需要増と単価の高い高機能機種への需要シフトが起こっており、業績と景気との連動性が低下すると見られます。このため、今後は徐々に株価の景気循環色は薄れていくと考えられます。

 

 

(2018年 1月 11日)

印刷用PDFはこちら↓

高水準の『工作機械受注』は続くか?

 

 

関連マーケットレポート

2017年12月18日 『日銀短観』は11年ぶりの高水準

2017年11月30日 船舶の『環境規制』強化の影響は?

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会