Mipox 株式会社(5381 JASDAQ)
成長・収益安定化がビルドインした戦略で拡大加速

2016/09/05

ベーシックレポート
ジェイ・フェニックス・リサーチ(株)
宮下 修、CFA

超精密研磨分野でグローバルニッチトップ
1925 年に顔料と色箱の輸入商社として設立された当社は、戦後色箱の製造を開始し、1970 年代には、技術応用により磁気媒体向けの性能向上に不可欠な精密研磨分野に参入した。対応困難なニーズに対応するために研磨材開発のみならず研磨製造装置、研磨プロセスの開発までワンストップに提供していった。その結果、超精密研磨分野で競争優位性を確立し、ハードディスクや半導体ウェハーの最終処理工程で利用される超精密研磨分野で工程によっては世界シェア 1 位の地位を築いた。ただし、特定分野依存となり、技術変化による受注減少とリーマ・ショックにより、2007 年 3 月期に 80 億円あった売上が 2 年で30 億円に低下し、3 年間の赤字合計が 40 億円近くになるなど危機に陥った。

リーマン・ショックの危機を乗り越え経営改革を推進し拡大ステージへ
どん底の 2008 年に 37 歳で創業者一族として社長就任したのが渡邉淳社長である。同社長の強いリーダーシップのもと、(1)一般研磨用途への進出、(2)設備稼働率重視、(3)受託による顧客ニーズの体系的取得、(4)モバイル・クラウドベース顧客管理・営業支援。業務効率化ツール活用、(5)情報共有化による意思決定プロセス迅速化等が進められた。2010 年度に黒字化し、2011 年度以降は4 期連続で増収(年率 8%成長) を果たした。昨年度は営業利益率が 12%となり、過去 80 億円の売上高で達成した 5 億円の営業利益水準を、売上高 42 億円水準で達成した。クラウドベースツールによる改革は特に注目され、渡邉社長は、その成果について多数の講演依頼を受けているほどである。現在さらに攻めの経営ステージへと舵を切り、昨年 12 月には民事再生となった売上高 4 億円規模の競合企業(現 Mipox Kyoto 社)、今年 7 月には中国投資失敗で損失を抱えた、売上高 30 億円規模の日本研紙(株)を買収した。Mipox Kyoto は反射材技術に不可欠なガラスビーズコーティングにおいて高い技術力をもち、日本研紙製品はスマートフォンの筐体研磨やレクサスの内外装の塗膜・メッキ表面研磨・エンジンパーツに利用されるなど一般研磨で高い技術力を持つ。

成長・収益安定化がビルドインした戦略で全方位拡大加速へ
2017 年 3 月期は 70 億円規模まで増収となるが、M&A 費用負担等で営業利益は 6%減収となる。また、第一四半期では高付加価値製品の落ち込み、為替差損等で、最終利益で赤字となった。短期的には利益変動が高い体質と言える。長期的な企業価値については、研磨業界特有の3つの要素、「(1)古い技術と新しい技術が併存する、(2)素材・用途別に最適な研磨技術が異なる、(3)根本的な研磨原理は解明されていない」に根差して、当社が有効な戦略の打ち手に取り組んでいるかという点が重要である。本文 p13 以降で詳細に述べているが、当社の戦略には、3つの要素を競争優位性確立に活用する仕組みが構築されており、成長持続・収益安定化がビルドインされている。拡大した技術・顧客・収益基盤の活用、買収企業の業務改善、シナジーが実現できれば大幅な利益拡大と安定的収益体質構築が期待される。高付加価値化に欠かせない研磨材市場はグローバルに 4,000 億円ほどの規模があり年率 6%で拡大が見込まれる。今後 5 年間で当社が 6%の売上成長率、10%程度の営業利益率(今期計画は 7%程度)を達成する前提で株価を試算した結果、PBR1.3 倍、PER19.8 倍 587 円の水準となった。長期的なポテンシャルから見れば違和感ない水準と考える。

 

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