「予算案」でインド市場に期待高まる(インド)

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インド政府は、2月29日に16年度(16年4月~17年3月)の「予算案」を議会に提出しました。インドは他の多くの新興国と比較して景気が堅調で物価が落ち着いています。そのため、財政再建と中長期的な経済の発展や政権の安定に結び付く政策が両立しやすく、「予算案」の内容が注目されていました。発表された内容は市場に好感され、インド準備銀行(RBI、中央銀行)の利下げ観測が高まることにもつながっています。

【ポイント1】「予算案」は、財政再建と経済成長促進を両立させる内容

政府・与党インド人民党(BJP)の支持拡大も狙う
■「予算案」によると、政府は財政赤字を15年度実績見込み(名目GDP比3.9%)から16年度に同3.5%、17年度に同3.0%まで縮減し、財政再建を従来の工程表通り進める計画です。景気拡大(政府の16年度実質GDP予想、前年比+7.6%)による税収増や補助金の削減などで、赤字縮減を実現する方針です。

■また、「予算案」では地方経済の活性化や農家の支援が重点課題に取り上げられ、大規模なかんがい整備や道路の建設などを進める計画とされました。「予算案」はこうした政策を通じて成長を促進すると同時に、政府・与党インド人民党(BJP)の農村など地方での支持拡大も狙っていると思われます。

【ポイント2】市場は「予算案」を好感

RBIの利下げ期待高まる
■「予算案」は国債への信用や成長期待を高める格好となり、足元までインド国債は利回りが低下(価格は上昇)、株式市場は上昇、インドルピーは対米ドルや対円で上昇などとなっています。

■RBIは、物価安定を背景に金融緩和姿勢を続けるなか、政府の財政再建姿勢を注視してきました。「予算案」が市場に好感され、4月3日の次回会合でRBIが利下げするとの観測が高まっています。

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【今後の展開】市場の期待は、GST導入や破産法改正による改革進展へ

GST法案は取り組み意欲の盛り込みにとどまる
「予算案」では、期待の高かった経済構造改革(モディノミクス)の目玉とされる物品・サービス税(GST)の導入や破産法の整備について、その取り組みを今後も継続する方針が示されたにとどまりました。

市場はGST導入などによる改革進展を期待
今回の会期は5月13日までとされており、「予算案」は概ね提案通りに成立すると見込まれています。市場の焦点は、GST法案や破産法の改正案が上程され、モディノミクスがさらに進展することに移りそうです。

(2016年3月7日)

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