「政策転換」で景気下支えに期待(ブラジル)

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物価高と景気低迷が続くなか、政府・中銀は財政再建と物価抑制を優先して取り組んできました。しかし、消費者物価指数は足元で前年比+10%を超える高い伸びが続いています。また、実質GDP成長率は15年通年でマイナスになった(3月3日に発表予定、国際通貨基金の予想は▲3.8%)と見られます。こうしたことから、政府・中銀は昨年末以降、景気重視に「政策転換」した模様であり、効果が一部に見られ始めました。

【ポイント1】政府・中銀は景気への配慮を強め、「政策転換」

市場や格付け会社は厳しい評価
■昨年12月、ルセフ大統領は緊縮財政に厳しく取り組んできた財務相を更迭しました。また、ブラジル中央銀行(以下、中銀)は1月20日の会合で、市場の利上げ予想に反して政策金利を据え置きました。こうしたことから、市場では政府・中銀が景気に対する配慮を強め、「政策転換」したとの見方が広がっています。

■2月24日、大手格付け会社ムーディーズがブラジル国債の格付けを2段階引き下げ、Ba2としました。その結果、同社による格付けはS&Pと同じ水準(BB)となり、ブラジル国債は大手格付け会社のすべてで投資適格級(BBB-、Baa3)の格付けを失うこととなりました。市場では、政府・中銀の「政策転換」で財政再建や物価抑制が遅れるとの懸念があり、格下げはこうした懸念に沿った動きと見られます。

【ポイント2】消費者信頼感は改善

「政策転換」が一因か
■25日に発表された2月の消費者信頼感指数は、1月に続き改善しました。同指数は12年の春頃から4年近く概ね低下傾向となっていましたが、政府・中銀の「政策転換」が持ち直しの一因になったと思われます。

■消費マインドは下げ止まりつつあり、景気底打ち観測が強まれば、政策への市場の評価も好転する可能性があります。

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【今後の展開】政府支持率が上昇、「政策転換」と五輪開催の景気への効果に期待

政府支持率が上昇
24日に発表された世論調査によると、ルセフ政権を良いとする評価が11.4%と、前回(昨年10月)の8.8%から上昇しました。現地では、ジカ熱の広がりへの政府の対策が評価されているとの報道が見られます。

「政策転換」と五輪効果で景気回復に期待
8月5日から、リオ五輪が始まります。2月のカーニバルシーズンを終え、施設建設などに本腰が入るとの報道が見られます。「政策転換」と五輪特需などから、景気が回復に向かうことが期待されます。

(2016年2月29日)

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