「実質賃金」が2年3カ月ぶりにプラス(日本)

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「実質賃金」は、物価の変動を考慮した賃金のことで、厚生労働省が発表する毎月勤労統計調査で見ることができます。たとえば、賃金が3%増えても、物価が3%上がれば、増えた賃金で同じ量のモノしか買えないため、賃金は実質的に増えていないと考えます。4日に発表された7月分の「実質賃金」は、前年の同じ月から0.3%増えました。プラスとなるのは、2013年4月以来のことです。

【ポイント1】低インフレ下の賃上げで「実質賃金」がプラスに

今後プラスが定着するか注目
■今年6月に発表された4月分の「実質賃金」は、速報の段階で同じく0.1%増えたとされましたが、その後確報でマイナス0.1%に修正されました。4月以降は、昨年の消費税増税による物価押し上げの影響が薄らぐことに加え、賃上げにより「実質賃金」がプラスになることが期待されていました。
■長らくマイナス圏で推移した「実質賃金」が7月分でようやくプラスとなり、「物価を上回る賃金の伸び」が戻った形です。

【ポイント2】ボーナスは0.3%増加

給与、残業代も増加
■7月分のボーナスを含む現金給与総額(名目賃金)は、前年の同じ月から0.6%増えました。6月分が、ボーナス支給時期のズレなどから2.5%のマイナスとなり心配されましたが、今回の統計で名目賃金の伸びがプラス基調で推移していることが確認されました。
■現金給与総額を就業形態別にみると、正社員などの「一般労働者」が0.5%増加、「パートタイム」が0.2%減少でした。正社員は6月を除きプラスが続く一方、パートは3カ月連続のマイナスです。

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【今後の展開】食料品値上げの影響を上回る賃金の増加で、経済は好循環へ

■値上げの影響で消費はマイナス
4-6月期GDPの民間消費は、前期比マイナス0.8%と低迷しました。賃上げが消費を後押しする以上に食料品などの値上げが影響したと見られます。今後は、物価を上回る賃金の増加、「実質賃金」の増加で、徐々に消費マインドが上向くことが期待されます。

■物価安定で「実質賃金」のプラス定着へ
消費者物価は、全体として伸びが低下傾向です。企業収益の拡大で賃金の底堅い増加が見込まれることに加え、昨年来の原油安もあり、今後も物価の伸びは低位となりそうです。低インフレ下の賃上げで「実質賃金」のプラス傾向が定着することが期待されます。

(2015年9月7日)

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