原油安が「ロシア経済」を圧迫(ロシア)

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原油価格(WTI)が40ドルを割り込みました。産油国であるロシア経済にとっては、一段と厳しい状況です。インフレ率は低下傾向にありますが、ルーブルが2014年年末ごろの水準まで下落しています。今後の金融政策は、原油価格、ルーブル、物価を睨みながらの難しい運営が求められそうです。

【ポイント1】2四半期連続のマイナス成長

経済制裁の長期化と原油安が主因
■ロシアによるクリミア半島占拠に対する米国と欧州連合(EU)による経済制裁が発動されたのは、2014年3月でした。その後のウクライナ東部の情勢が混迷を深める中、経済制裁は強化されてきました。加えて、2014年秋頃からの大幅な原油安が、ロシア経済を悪化させました。

■2014年以降、経済成長率は低迷を余儀なくされ、2015年1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比▲2.2%と2009年以来のマイナス成長に転じました。続く4-6月期は同▲4.6%と原油安と経済制裁の影響で景気後退が鮮明となりました。

【ポイント2】景気下支えのための利下げ続く

7月まで今年5回の利下げを実施
■ロシア中央銀行(以下中銀)は、昨年12月に通貨防衛を目的に政策金利の大幅な引き上げを実施しました。その結果、ルーブルは落ち着きを取り戻し始め、今年に入ってからは、景気下支えのための金融緩和へと政策が転換しました。

■中銀は、7月の金融政策決定会合で、政策金利である1週間物入札金利を0.5%引き下げ、11.0%としました。利下げは今年に入り5度目、5会合連続となりました。

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【今後の展開】難しい金融政策運営が求められそう

■原油価格に加え、ルーブルも暴落
原油価格はWTIベースで、40ドルを割り込みました。産油国であるロシア経済にとっては、一段と厳しい状況に追い込まれました。また、ルーブルも下落しており、大幅な利上げを実施した2014年年末の水準まで逆戻りしています。ルーブルの下落はインフレを加速させる要因です。

■利下げ効果を見極める展開
7月の消費者物価(コア)は、前年同月比+16.5%と4月(同+17.5%)をピークに低下傾向が続いています。中銀は、これまでの利下げにより景気が上向くかを見極めると思われます。今後、中銀は、景気が低迷する中、原油価格、ルーブル、物価を睨みながらの難しい政策運営が求められそうです。

(2015年8月27日)

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