シー・ヴイ・エス・ベイエリア(2687) 期中2度の上方修正を経て大幅増益の着地

2024/05/15

 

 

泉澤 豊

会長

 

泉澤 摩利雄

社長

株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア(2687)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

小売業(商業)

代表取締役会長

泉澤 豊

代表取締役社長

泉澤 摩利雄

所在地

千葉県千葉市美浜区中瀬1-7-1

決算月

2月

HP

 http://www.cvs-bayarea.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

577円

4,936,349株

2,848百万円

22.9%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.00円

3.5%

41.93円

13.8倍

680.50円

0.8倍

*株価は4/19終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE・BPSは2024年2月期実績。
時価総額は4/19終値×自己株式控除後発行済株式数、数値は四捨五入。

 

連結業績推移

決算期

営業総収入

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

配当

2021年2月(実)

7,318

-546

-548

-1,160

14.00

2022年2月(実)

7,209

-323

-358

-831

12.00

2023年2月(実)

6,926

81

47

-13

16.00

2024年2月(実)

7,519

486

420

697

141.32

20.00

2025年2月(予)

7,688

348

304

207

41.93

20.00

*単位:百万円、円。
*予想は会社予想。

 

 

シー・ヴイ・エス・ベイエリアの2024年2月期決算と2025年2月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告いたします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2024年2月期決算
3.2025年2月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 24/2期は前期比8.6%増収、496.4%営業増益。マンションフロントサービス事業における安定した収益に加え、ホテル事業がインバウンド需要の拡大や国内旅行の好調を受け、千葉県内ならびに都内の施設はいずれも連日高稼働で推移するなど売上高は大きく伸長した。ホテル事業収入の大幅増が牽引して、営業総利益率が前期39.4%から45.1%へ大幅に改善、販管費は前期比9.6%増に抑え、大幅な営業増益。繰延税金資産の計上があり、親会社株主に帰属する当期純利益は6億97百万円(前期は13百万円の損失)となった。期末配当は、期初の予想通り前期比2.00円増配の10.00円/株、年間で4.00円増配の20.00円/株を実施。
  • 25/2期は2.2%増収、28.4%営業減益を見込む。ホテル事業では引き続きレベニューコントロールを強化する。インバウンド需要のさらなる回復も見込まれることを視野に、既存施設の改修を段階的に進める。マンションフロントサービス事業では、「OICOS Lite」ならびにスマホアプリ「OICOS App」を通じ受託件数の獲得を進める。クリーニング事業では高品質を維持できるサービスの安定供給に努めていく。コンビニエンス・ストア事業では付加価値の高い商品の提供や、品揃えの強化に引き続き注力するほか、コストコントロールに努める。その他事業では、25年3月の開業を予定しているアウトドアリゾート施設の開業準備を進めていく。配当は前期と同じ20.00円/株(うち上期末10.00円/株)を見込む。
  • 24/2期はホテル事業の想定以上の回復を主因に期中2度の上方修正を経て大幅増益の着地となった。客室単価の上昇が続いているホテル事業においては、これまでの回復から成長への軌道に乗り始めた印象がある。訪日外国人は増加傾向を継続させており、今後も利益率を向上させながらの収益貢献が期待できる。安定感のあるマンションフロント事業では、「OICOS」で機能を拡充させながら受託件数を伸ばしているだけでなくアイホンとの連携など新たなサービスを投入し、収益源の多様化も図られている。千葉県成田市においては土地を取得し、「記憶に残る非日常の提供」を通じた顧客体験価値の提供を目指すアウトドアリゾート空間の展開が計画されており、注目したい。25/2期予想は増収ながら2桁営業減益の予想。これは、好調だったホテル事業においてさらに大きく伸びることを現時点では想定しにくいことが背景にありそうだ。国内外からの旅行者が足元伸びているとはいえ今後も大きく伸びるとは見込まず、特に下期を保守的に見ている印象。一方で、24/2期の好業績を背景に人件費などは増加すると推測され、子会社で展開するマンションフロントサービス事業などで大幅な減益を想定していることや、アウトドアリゾートの開業準備費用を見込むことが2桁減益予想の背景にあったと思われる。決算発表を機に株価は急落し、PBRは再び1倍を割り込んだ。円安を背景とした訪日外国人数が増加していることに加え、春先はゴールデンウイークを含めて旅行者が増加する見通しであり、1Q(3-5月)から好スタートが見込まれる。減益予想の要因が織り込まれれば株価見直しのタイミングは意外と早期に訪れるかもしれない。

1.会社概要

(1)沿革

1981年2月設立。「日常生活の便利さを提供できる会社になりたい」を企業理念とし、直営店主体のコンビニエンス・ストア(コンビニ)事業をスタート。その後、クリーニング事業およびマンションのフロント(業務)受託事業、ビジネスホテルの運営などに事業を拡大。
2000年12月、大阪証券取引所ナスダック・ジャパン(現:東証スタンダード)市場に株式上場。2006年2月には東京証券取引所市場第一部へ昇格した。
2009年11月、千葉県市川市にビジネスホテルの1号店となる「CVS・BAY HOTEL」を開業し、ホテル事業を立ち上げた。
2018年3月、会社分割によりコンビニ事業の大部分を、企業フランチャイズ契約を締結していた株式会社ローソンおよびローソンが新設する子会社へ譲渡、「コンビニを営む会社」から「コンビニも営む会社」への転換を実施。マンションフロントサービス事業の事業領域拡大、ホテル事業の更なる強化のほか、M&A等により、常にチャレンジを続ける企業文化の下、「選択と集中」により成長企業への回帰を目指す。
2021年3月、組織変更を行うとともに、泉澤 摩利雄氏が代表取締役社長に就任。グループ企業理念を「生活のなかで彩りを感じて頂く、新しいサービスを発見し、創造し、提供する」とし、社会環境の変化とともに変わっていく消費者ニーズへの即応を図るとともに、多くのお客様に喜んで頂く価値あるサービスの拡充に努めている。

 

(2)主な事業内容

(同社公開資料より)

 

19/2期以降、主力事業はマンションフロントサービス事業となっているが、コンビニ事業も一部継続している。コンビニ事業の譲渡益を原資にホテル事業の拡大、早期収益化を図るとともに、新たな施設の開業のほか不動産投資事業やM&Aなどの新事業の創出などにより、数年内に分割対象事業の収益を補完することを目指していた。しかし、21/2期については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を各事業が受け、特にホテル事業は大幅減収となり一部のホテルからは撤退した。以降、稼働率を重視した施策から客室単価・RevPARを重視した施策に切り替え、知名度の高いメディアコンテンツとのコラボや需要の変化を見据えたホテルコンセプトの再構築に取り組み、運営施設数は減少した一方で24/2期のホテル事業の売上実績は新型コロナウイルス感染症拡大前を大幅に上回る水準まで回復し、セグメント利益はマンションフロントサービス事業を初めて上回った。
マンションフロントサービス事業では首都圏以外の地域(大阪圏、九州圏、北海道)への進出に加えシェアオフィス、公共施設といったマンション以外の受付業務にも取り組んでいる。

 

 

①マンションフロントサービス事業
19/2期以降の主力事業。連結子会社(株)アスクのほか地域運営会社8社が提供。
【事業内容】
マンション共有施設の案内や宅急便、クリーニングの取り次ぎ等、マンションのフロント業務を手掛けるマンションフロント(コンシェルジュ)サービス、レジデンスサポート(メンテナンスサポート、ハウスクリーニング事業者紹介等)、ミニショップやカフェの運営等を手掛けている。また、マンション居住者、管理組合、管理会社向け支援ツール「OICOS」を展開、機能を拡充させて近年は派生サービスを含めて大きく伸ばしている。
業界トップのマンションフロントサービスでは、首都圏を中心に747件(24年2月末時点)の施設などを受託。マンション内の居住者同士のコミュニティ構築支援を目的とした、イベント開催やお祭り開催支援などのサービスも提供し、入居者の満足度向上を目指している。その他では、主サービスであるマンションコンシェルジュ業務にて培った高付加価値サービスを活かし、企業受付・シェアオフィスコンシェルジュサービスも提供している。また、(株)FA24との間で「クリーニング取次ぎ」や「ハウスクリーニング」サービスにおける相乗効果の創出を実現している。

 

②ホテル事業
【事業概要】
ホテル事業は、千葉県市川市の「CVS・BAY HOTEL」本館及び新館、浦安市の「BAY HOTEL浦安駅前」、東京都港区の「BAY HOTEL東京浜松町」、東京都千代田区の「秋葉原BAY HOTEL」、東京都江東区の「東京有明BAY HOTEL」からなる。
【事業展開】
現在、同社で最も伸長している事業だが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きく、業績不振施設の撤退を強いられた。今後は、社会情勢の変化を踏まえ、急速に回復した需要を取り込み、新たな付加価値の創出によるサービス品質の向上を目指し、事業展開を進めている。施設毎のメインターゲットを明確にすることで、需要取り込みに向けたマーケティング施策・レベニューコントロール施策を強化していく考え。

 

同社資料を元にインベストメントブリッジ」作成

 

<CVS・BAY HOTEL>
(概要)
09年12月開業。JR京葉線市川塩浜駅前でコンビニ併設のビジネスホテル。
JR京葉線 市川塩浜駅は東京駅から8駅22分、東京ディズニーリゾートのある舞浜駅まで2駅6分、幕張メッセがある海浜幕張駅まで14分の好立地。価格競争力も強く、平日はビジネス客、週末はレジャー客と安定した集客を誇る。
本館(シングル21室、ダブル46室、ツイン41室)、15年12月に開業した新館(シングル18室、ダブル5室、ツイン26室、ファミリー2室、女性専用ユニット区画20室)、及び20年10月に増設したベイタワー(シングル42室、ツイン63室、トリプル2室)からなる。
新館は、本館よりもやや広いゆとりのある客室空間を提供し、やや高めの宿泊料金で本館と差別化を図っている。また、女性専用ユニット区画は安心清潔が評価されている。ベイタワーは本館と連絡通路で接続しており、1階には飲食テナントが入居するほか、2階には大浴場やセミナールームを完備するなど、旅行や出張、企業研修などの様々な用途で利用できるホテルとなっている。

 

CVS・BAY HOTEL(右はベイタワー)                     CVS・BAY HOTEL新館
(同社HPより)

 

<BAY HOTEL浦安駅前>
18年6月開業。千葉県浦安市の東京メトロ東西線「浦安駅」徒歩1分の好立地に長期滞在にも快適なアパートタイプホテル(ツイン/トリプル48室)。
お風呂とトイレが別々、キッチン付で複数名での長期滞在可能なアパートタイプホテル。出張などのビジネス客から学生の就職活動、家族やグループ旅行に適している。

 

(同社HPより)

 

 

<BAY HOTEL東京浜松町>
20年7月開業。ビジネスホテルとして東京初進出。JR「浜松町駅」及び東京モノレール「モノレール浜松町駅」から徒歩4分、都営浅草線・大江戸線「大門駅」B1出口から徒歩2分。
当初はビジネスホテルとユニット型ホテルを組み合わせた新たなタイプのハイブリッドホテルとして開業した。ユニット48室についてはリニューアル改装工事を実施、23年3月24日より3名以上の顧客が秘密基地のような空間でゆったりとくつろいで宿泊できる広々とした個室4室に生まれ変わった。ビジネスマンやバックパッカーのみならず日本人旅行者やグループ利用にも対応した宿泊形式を採用し、幅広い宿泊需要の獲得を目指している。

 

 

 

リニューアルした3階フロアの客室

(同社HPより)

 

<秋葉原BAY HOTEL>
16年5月開業。東京都千代田区神田練塀町にあり、いずれの秋葉原駅からも徒歩3分のユニット型女性専用ホテル(130ユニット)。

(同社公開資料より)

 

<東京有明BAY HOTEL>
15年12月開業のユニット型ホテルで、146ユニット(M80・W66)。東京都江東区東雲2丁目にあり、りんかい線東雲駅4分。ビッグサイト利用者に加え、舞浜やお台場の観光客も活用。

(同社公開資料より)

 

2.2024年2月期決算

(1)連結業績

23/2期

構成比

24/2期

構成比

前期比

会社予想

予想比

営業総収入

6,926

100.0%

7,519

100.0%

+8.6%

7,380

+1.9%

営業総利益

2,729

39.4%

3,388

45.1%

+24.2%

販管費

2,647

38.2%

2,902

38.6%

+9.6%

営業利益

81

1.2%

486

6.5%

+496.4%

428

+13.6%

経常利益

47

0.7%

420

5.6%

+789.8%

432

-2.8%

親会社株主に帰属する

当期純利益

-13

697

9.3%

327

+113.1%

*単位:百万円、会社予想は10月の上期決算発表時の予想
*数値には株式会社インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前期比8.6%増収、496.4%営業増益
営業総収入は前期比8.6%増の75億19百万円。国内経済は、新型コロナウイルス感染症が指定感染症5類へ移行された23年春以降、国内景気に緩やかな回復が見られ、消費行動を促進する環境変化が急速に進んだことに加え、34年振りとなる大幅な円安を受けたインバウンド需要の急回復も顕著となり、23年10月には訪日外国人数が新型コロナウイルス感染拡大前の19年同月実績をコロナ禍後で初めて上回るなど、レジャーや宿泊など観光関連産業の各産業も持ち直しが進んだ。一方で、世界的な金融引き締めや、中国をはじめとする海外経済の減速、円安の進行、エネルギーコストの高止まりや物価高騰を背景とする節約志向の高まりが個人消費の下押し要因となるなど、景気の先行きは依然として不透明な状況。こうした環境の中、マンションフロントサービス事業において安定した収益を確保した。ホテル事業においてはインバウンド需要の拡大や団体旅行の復調、企業による出張やイベントの再開、行楽シーズンを中心とした国内旅行の好調を受け、千葉県内ならびに都内の施設はいずれも連日高稼働で推移するなど売上高は大きく伸長した。
営業利益は前期比496.4%増の4億86百万円。ホテル事業収入の大幅増が牽引して、営業総利益率が前期39.4%から45.1%へ大幅に改善し、営業総利益は前期比24.2%増の33億88百万円となった。販管費は同9.6%増に抑え、大幅な営業増益。営業外では不動産賃貸料が増加、経常利益は同789.7%増の4億20百万円。繰延税金資産の計上があり、親会社株主に帰属する当期純利益は6億97百万円(前期は13百万円の損失)となり、10月の会社予想を大きく上回った。
なお、23年7月の事業用地取得以降、建築工事に着手し、開業準備を進めているアウトドアリゾート施設(千葉県成田市)については、「記憶に残る非日常の提供」を通じた顧客体験価値の向上を図るとともに、サービス内容の充実や品質レベルの追求、顧客の安心安全に配慮した各種運営オペレーション及び供給体制の確立に充分な準備期間を有したい考えから、その開業時期について、24年4月から25年3月に変更した。また、開業準備資金19億22百万円の調達のため、新たに三井住友銀行をアレンジャー兼エージェントとするコミット型シンジケートローン契約を23年12月21日に締結し、同28日に11億95百万円の借入を行い、シンジケートローン手数料47百万円を24/2期に営業外費用として計上している。
期末配当は、期初の予想通り前期比2.00円増配の10.00円/株、年間で4.00円増配の20.00円/株を実施。

 

セグメント別収益

23/2期

構成比/利益率

24/2期

構成比/利益率

前期比

ホテル事業

966

13.8%

1,709

22.5%

+77.0%

マンションフロントサービス事業

4,281

61.1%

4,287

56.5%

+0.1%

クリーニング事業

215

3.1%

190

2.5%

-11.6%

コンビニエンス・ストア事業

1,387

19.8%

1,297

17.1%

-6.5%

その他事業

155

2.2%

100

1.3%

-35.2%

消去・全社

-80

-66

営業総収入

6,926

100.0%

7,519

100.0%

+8.6%

ホテル事業

-21

439

25.7%

マンションフロントサービス事業

427

10.0%

376

8.8%

-12.1%

クリーニング事業

20

9.6%

37

19.6%

+80.8%

コンビニエンス・ストア事業

83

6.0%

92

7.1%

+10.5%

その他事業

41

26.5%

21

21.6%

-47.2%

調整額

-469

-480

セグメント利益

81

1.2%

486

6.5%

+496.4%

*単位:百万円。利益率は営業総収入利益率。
*数値は切捨て、率は四捨五入。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

ホテル事業
事業収入は前期比77.0%増の17億9百万円、セグメント利益4億39百万円(前期は21百万円の損失)。
23年春以降、コロナ禍からの回復が急速に進み、行動制限も解除されたことで、行楽シーズンを中心に国内の宿泊需要は拡大傾向が続いた。特に、20年10月に増築開業した「ベイタワー」や23年3月に「ユニットフロア」からの全面リニューアル工事を行った「BAY HOTEL東京浜松町」が、企業による研修や出張の再開、施設近隣の大規模施設を会場とする大型イベントの連日開催等の集客に貢献したことに加え、9月以降はインバウンド需要が急速に回復したことも後押しし宿泊者数・稼働率・売上高ともに大きく伸長した。また、1部屋当たりの利用人数の拡大を図るため、修学旅行や企業イベントによる団体宿泊需要のほか、ファミリーや国内外のグループ旅行者による連泊需要の獲得にも注力した。需要予測に基づく販売価格の調整を行うことで、客室単価の適正値維持を図り、収益性の改善が進んだ。
ユニット型ホテル2施設においては、都心における宿泊需要の回復を受け、高止まりが続くビジネスホテルの客室単価高騰を背景に、リーズナブルで利便性の高い施設としての支持を受け、需要獲得が進んだ。また、各種コンテンツとのコラボ企画においては、プロバスケットボールクラブ「アルティーリ千葉」とのオフィシャルパートナー契約に基づき、23年3月より観戦チケット付き宿泊プランの販売を行った。また、国内外の幅広い年齢層から支持される人気キャラクター「モンチッチ」の生誕50周年を祝した「ルーム・コラボレーション」企画を同6月より段階的に実施するなど、宿泊需要のみならず、グッズ販売やイベント、ファン同士の集いの場としての機能を強化し、宿泊以外の需要の獲得にも努めた結果、24/2期のホテル事業のセグメント利益は、過去最高益を更新している。

 

マンションフロントサービス事業
事業収入は前期比0.1%増の42億87百万円、セグメント利益は同12.1%減の3億76百万円。
コロナ禍を脱し、マンションフロントが提供する居住者向け生活支援サービスの利用は復調傾向にあり、マンション内のショップ売上及び居住者向けのイベント開催支援などの付帯サービスにも緩やかな回復が見られる。ポストコロナへの移行が進む中、マンション居住者、管理組合、管理会社向け支援ツール「OICOS」の機能拡充に加え、100世帯以下の中・小規模マンション向けの「OICOS Lite」ならびに、同シリーズと連携可能なスマホアプリ「OICOS App」を通じ、マンション規模が小さく有人フロントサービスの提供が困難な施設への導入提案を推進するなど、受託件数の獲得を進めている。23年11月には、インターホンメーカー大手であるアイホンが提供する、オートロックなどの集合玄関に対応した集合住宅用インターホンシステム「dearis(ディアリス)」とのIoT システム連携による新機能を追加し、その提供を開始するなど、居住者向けの生活支援サービス、管理組合の運営 支援、管理会社のサポート、及びマンション管理のさらなる効率化を図り、スマート且つワンストップな管理の実現にも取り組んでいる。24/2期末における総受注件数は対前期末比1件減の747件、うち「OICOS」受注件数は同11件増の142件となった。

 

クリーニング事業
事業収入は前期比11.6%減の1億90百万円、セグメント利益は同80.8%増の37百万円。
個人向けクリーニングにおいては、取次拠点の減少に加え、在宅勤務の普及によるワイシャツ、スーツのクリーニング需要の減少などにより、取次件数の減少傾向は続いた。こうした中、既存顧客へのアプローチを強化し、需要の掘り起こしに向けた施策を展開した。同事業はマンションフロント事業との親和性も高く今後の需要拡大も見込まれるハウスクリーニングや保管サービス等の新規獲得に加え、新たな試みとして、モバイルコミュニケーションツール「LINE」を通じ、クリーニング対象品の集荷依頼や各種ご相談を24時間で可能とし、キャッシュレス決済にも対応したトータルクリーニングサービス「オンラインコンシェルジュ」の導入及び展開を23年10月より開始した。マンション居住者のそれぞれのニーズに対応し、フロントや近隣提携工場の有無にかかわらず常時提供できる利便性の高いサービスの開発にも着手している。23年11月末を以てユニフォーム管理センター業務を終了したほか、バックオフィス業務の効率化を並行して進め、管理コストの削減にも努めた。

 

コンビニエンス・ストア事業
事業収入は前期比6.5%減の12億97百万円、セグメント利益は同10.5%増の92百万円。
店舗近隣の大型テーマパーク、商業施設、大規模展示場・ホール等における各種イベントは、コロナ禍前を上回る規模での連日開催により、来場者数が大きく増加した。加えて、自社ホテルに併設の店舗においても宿泊者数の増加などにより来店客数が拡大したものの、23年3月末に東京都心で運営する1店舗を、借地契約の満了に伴い閉店したことから減収となったが、前期に順次導入した店内調理設備「まちかど厨房」による付加価値の高い商品の提供や、品揃えの強化を推進した。加えて、セルフレジの稼働を高めるなど省人化によるコストコントロールにも意欲的に取り組み、収益性の改善にも努めた。なお、24/2期末時点の店舗数は4店舗となった。

 

その他事業
事業収入は前期比35.2%減の1億円、セグメント利益は同47.2%減の21百万円。
その他事業では、事業用不動産の保有や賃貸管理、ヘアカットサービス店舗の運営のほか、千葉県成田市においてキャンプ場の運営を行っている。キャンプ場においては、コロナ禍を脱し、行動制限等により抑止されていた遠方へのレジャー需要が急速に高まった影響などを受け、首都圏近郊にある同施設の利用者は対前年比で減少した。また、22年9月に都 内に保有する賃貸用不動産を譲渡したことから、売上高、セグメント利益ともに減少している。
なお、千葉県船橋市の借地物件について、23年11月の事業用借地権設定契約の満了を以て以降の契約を更新せずに撤退し、引き続きの賃借を望む転借人に対し、当該借地内に同社が保有する固定資産を贈与するとともに、同社が負う原状回復義務の承継を行うことで合意した。このため、同社は固定資産の贈与を当該契約の満了日に実施し、同日で当該借地に対する当社の原状回復義務が消滅したことを受け、資産除去債務消滅益として21百万円の 特別利益を計上している。

 

(2)財政状態及び

キャッシュ・フロー(CF)

23年2月

24年2月

23年2月

24年2月

現預金

1,772

1,885

仕入債務

147

156

売上債権

417

441

短期有利子負債

2,029

1,976

たな卸資産

52

48

流動負債

2,917

2,953

未収入金

154

172

長期有利子負債

2,448

3,347

流動資産

2,557

2,731

長期預り保証金

354

364

有形固定資産

3,222

4,271

固定負債

3,017

3,968

無形固定資産

38

38

純資産

2,744

3,359

投資その他

2,860

3,240

負債・純資産合計

8,679

10,281

固定資産

6,122

7,549

有利子負債合計

4,478

5,324

*単位:百万円。
*有利子負債=借入金+リース債務。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

24/2期末における資産合計は、前期末比16億0百万円増加し、102億81百万円となった。その主な内訳は、現預金が1億13百万円増加したことなどにより、流動資産が1億74百万円増加し、アウトドアリゾート施設開設へ向けた土地の取得及び建設仮勘定の増加、繰延税金資産が4億6百万円増加したことなどにより固定資産が14億27百万円増加したことであった。
負債合計は、前期末比9億86百万円増加し、69億22百万円となった。その主な内訳は、アウトドアリゾート施設開設へ向けた土地の取得及び建物建築、その他付帯する設備資金の調達を目的として借入金が増加したことであった。
純資産は、前期末比6億15百万円増加し、33億59百万円となった。その主な内訳は、剰余金の配当を行ったほか、親会社株主に帰属する当期純利益を6億97百万円計上したことであった。
自己資本比率は前期末31.6%から32.7%となった。

 

キャッシュ・フロー

23/2期

24/2期

前期比

営業キャッシュ・フロー

-172

481

+654

投資キャッシュ・フロー

654

-1,079

-1,734

フリー・キャッシュ・フロー

482

-597

-1,079

財務キャッシュ・フロー

-442

710

+1,153

現金および現金同等物期末残高

1,772

1,885

+113

+6.4%

*単位:百万円

 

*同社資料を元に㈱インベストメントブリッジが作成。

 

24/2期末における現金及び現金同等物残高は、前期末比1億13百万円増加し、18億85百万円となった。
営業CFは、4億81百万円の収入超過(前期は1億72百万円の支出超過)となった。その主な内訳は、税金等調整前当期純利益4億26万円を計上したことなどによるもの。
投資CFは、10億79百万円の支出超過(前期は6億54百万円の収入超過)となった。その主な内訳は、有形固定資産の取得により11億17百万円の支出があったことなどによるもの。
財務CFは、7億10百万円の収入超過(前期は4億42百万円の支出超過)となった。その主な内訳は、長期借入金の返済により2億90百万円の支出があった一方、長期借入により11億48百万円の収入があったことなどによるもの。

 

 

3.2025年2月期業績予想

(1)通期連結業績

24/2期 実績

構成比

25/2期 予想

構成比

前期比

営業総収入

7,519

100.0%

7,688

100.0%

+2.2%

営業利益

486

6.5%

348

4.5%

-28.4%

経常利益

420

5.6%

304

4.0%

-27.6%

親会社株主に帰属する当期純利益

697

9.3%

207

2.7%

-70.3%

*単位:百万円

 

25/2期は2.2%増収、28.4%営業減益を見込む
25/2期は営業総収入が前期比2.2%増の76億88百万円、営業利益は同28.4%減の3億48百万円を見込む。
長期化する物価高による消費下押しの状況に対し、雇用や賃金水準の実質的改善 が23年以上の規模で進むことで、個人消費は持ち直しに転じる可能性が高く、レジャー需要の拡大など、消費行動の拡大が期待される。一方で、世界的な金融引き締めや、中国をはじめとする海外経済の減速、エネルギーコストの高止まりに加え、24年3月の日銀によるマイナス金利解除が、中小企業や個人消費にどのような影響を与えるかも未知数。景気の先行きは依然として不透明な状況が続いていくと見込んだ。
ホテル事業では、繁忙期・閑散期の極端な変動の緩和が進み、時期を問わず安定的な宿泊需要の獲得が可能となるよう、年単位での販売管理と予約獲得活動の早期化を可能とする体制の維持を図り、引き続きレベニューコントロールを強化する。また、施設近隣地域の再開発により、新たな商業施設や大型ホール等の建設が複数計画されていることから、今後もイベントの増加に伴い人流が確実に拡大する。インバウンド需要のさらなる回復も見込まれることを視野に、既存施設の改修を段階的に進める。25年3月の開業を予定しているアウトドアリゾート施設の開業準備にも注力し、ターゲット層の行動様式や需要に呼応する満足度の高いサービスの開発に努め、事業成長とセグメン ト利益の確保に努める。
マンションフロントサービス事業では、「OICOS Lite」ならびにスマホアプリ「OICOS App」を通じ、有人フロントサービス以外の選択肢の開拓に努め、受託件数の獲得を進める。居住者向けの生活支援サービス、管理組合の運営支援、管理会社のサポート、及びマンション管理のさらなる効率化を図り、スマート且つワンストップな管理の実現にも取り組む。顧客の満足を創り続ける役割を果たし、引き続き安定した収益の確保を目指す。
クリーニング事業では、ポストコロナ時代への移行に伴い、ビジネス衣料のクリーニング需要は減少傾向にある。マンションフロント事業とのシナジー性強化に注力し、ハウスクリーニングや保管サービス等の新規獲得に努めるほか、23年10月より開始した「LINE」を介したキャッシュレス決済対応型のトータルクリーニングサービス「オンラインコンシェルジュ」の拡大を図るなど、フロン トの有無や人手不足等の影響を受けずに高品質を維持できるサービスの安定供給に努めていく。
コンビニエンス・ストア事業では、店舗近隣の大型テーマパーク、商業施設、大規模展示場・ホール等における各種イベントの開催に伴い来場者が多く見込まれる。店内調理設備「まちかど厨房」による付加価値の高い商品の提供や、品揃えの強化に引き続き注力するほか、店舗オペレーションの改善や省人化への取り組みを強化することによるコストコントロールに努め、収益性の安定的維持を図る。
その他事業では、25年3月の開業を予定しているアウトドアリゾート施設の開業準備支援のほか、保有不動産の整理を進めていく。
配当は前期と同じ20.00円/株(うち上期末10.00円/株)を見込む。

 

*株主優待制度
毎年2月末日、8月末日の株主名簿に記載または記録された100株(1単元)以上の同社株式を保有する株主が対象。
22年6月より同社運営のキャンプ場「成田スカイウエイ BBQ(CAMP)」で利用できる優待券を新たに拡充した。

 

株主優待制度の内容

 

 

 

株主優待が利用できる施設

 

①ホテル宿泊割引券
ビジネスホテル

施設名 所在地 アクセス
CVS・BAY HOTEL本館 千葉県市川市塩浜2-33-1 JR京葉線 「市川塩浜駅」改札出てすぐ舞浜駅 2駅 6分
CVS・BAY HOTEL新館(*1) 千葉県市川市塩浜2-3-8 「本館」に隣接海浜幕張駅(幕張メッセ)まで14分
CVS・BAY HOTEL浦安駅前(*2) 千葉県浦安市北栄1-15-28 東京メトロ東西線 「浦安駅」徒歩1分
CVS・BAY HOTEL東京浜松町 東京都港区浜松町1-16-9 JR山手線 「浜松町駅」徒歩4分羽田空港まで 直通19分

(*1)CVS・BAY HOTEL 新館 は、女性専用のユニットタイプの客室(20室)あり
(*2)BAY HOTEL 浦安駅前 は、アパートメントタイプのビジネスホテル

 

スマートホテル

施設名 所在地 アクセス
秋葉原           BAY HOTEL         (女性専用) 東京都千代田区神田練塀町44-4 JR 山手線・京浜東北線・総武線東京メトロ日比谷線「秋葉原駅」徒歩3分
東京有明          BAY HOTEL   東京都江東区東雲2-10-17 りんかい線 「東雲駅」徒歩4分              国際展示場駅 1駅 2分

各施設の最新の運営情報については「BAY HOTEL総合サイト」を参照

 

②キャンプ場割引プラン申し込み券

施設名 所在地 アクセス
成田スカイウエイBBQ(CAMP)            千葉県成田市駒井野 1091-1 東関東自動車道成田 IC より成田空港方面に

国道 295(空港通り)を車で3分

キャンプ場の最新の運営情報については「成田スカイウエイBBQ公式サイト」を参照

 

4.今後の注目点

24/2期はホテル事業の想定以上の回復を主因に期中2度の上方修正を経て大幅増益の着地となった。客室単価の上昇が続いているホテル事業においては、これまでの回復から成長への軌道に乗り始めた印象がある。訪日外国人は増加傾向を継続させており、今後も利益率を向上させながらの収益貢献が期待できる。安定感のあるマンションフロント事業では、「OICOS」で機能を拡充させながら受託件数を伸ばしているだけでなくアイホンとの連携など新たなサービスを投入し、収益源の多様化も図られている。既にキャンプ場を運営している千葉県成田市において土地を取得し、「記憶に残る非日常の提供」を通じた顧客体験価値の提供を目指すアウトドアリゾート空間の展開が計画されている。ホテル事業とマンションフロント事業の安定した収益貢献に加えてその事業展開にも注目したい。
25/2期予想は増収ながら2桁営業減益の予想。これは、好調だったホテル事業においてさらに大きく伸びることを現時点では想定しにくいことが背景にありそうだ。国内外からの旅行者が足元伸びているとはいえ今後も大きく伸びることは見込まず、特に下期を保守的に見ている印象。一方で、24/2期の好業績を背景に人件費などは増加すると推測され、子会社で展開するマンションフロントサービス事業などで大幅な減益を想定していることや、アウトドアリゾートの開業準備費用を見込むことが2桁減益予想の背景にあったと思われる。
決算発表を機に株価は急落し、PBRは再び1倍を割り込んだ。円安を背景とした訪日外国人数が増加していることに加え、春先はゴールデンウイークを含めて旅行者が増加する見通しであり、1Q(3-5月)から好スタートが見込まれる。減益予想の要因が織り込まれれば株価見直しのタイミングは意外と早期に訪れるかもしれない。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態および取締役・監査役の構成

組織形態 監査等委員会設置会社
取締役(監査等委員除く) 8名、うち社外取締役 4名
監査等委員 3名、うち社外取締役 3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日 2023年5月31日

 

<基本的な考え方>

 

当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、株主の皆様やお客様、従業員、地域社会などのすべてのステークホルダーと適切な関係を構築し、社会的責任を果たしていくことであると考えております。この考え方は、当社の社是である「明日への誓い」のなかで、すべてのステークホルダーに対し“より良き明日の実現”を誓い、実践する経営を目指していくことを掲げていることに基づくものです。そのためには、法令遵守のほか、経営の透明性や効率性をより一層高めていくことが不可欠であり、コーポレート・ガバナンスのさらなる充実を通じて、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

法令遵守においては、企業理念を具現化した「企業行動基準」を定め、同基準を当社グループに横断的に運用しているほか、各従業員に対し、日頃の業務時に振り返ることができるよう、行動指針の要点をまとめた携帯可能なガイド冊子を配付しており、当社グループの全社員が法令および定款などを厳守した行動を行うよう周知を図っております。

 

当社は監査等委員会設置会社制度を採用しております。これは監査等委員である取締役が、取締役会において議決権を行使することを通じ、取締役会の透明性や監督機能の強化を図ることを目的としております。また、当社の職務執行が適正かつ効率的に行われるよう、社外取締役および監査等委員である社外取締役(独立役員1名含む)の出席のもと、毎月定例で取締役会を開催し、業務執行取締役や業務執行役員および子会社の取締役より職務執行に関する報告を実施しているほか、重要事項の審議・決定を行うことでグループ全体の業務の適正に努めております。

 

<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則を実施しないおもな理由>

 

補充原則1-2-4.議決権の電子行使を可能とする環境作り及び招集通知の英訳
補充原則3-1-2.英語での情報の開示・提供
当社の株主における海外投資家の比率は相対的に低く、現状の議決権行使状況に大きな支障はないものと考えているため、コスト等を踏まえ、議決権電子行使プラットフォームの利用、招集通知の英訳および英語での情報開示は実施しておりません。今後は、株主構成(外国人株主や機関投資家の株式保有比率など)や議決権行使状況、あるいは株主の利便性を考慮の上、検討を進めてまいります。

 

原則1-3.資本政策の基本的な方針
当社は、これまで公募増資や立会外分売を行ってきたことで、経営陣である創業者およびその関係者による持株比率の低下が進んでまいりましたが、現在も創業者およびその関係者が議決権の過半数近くを所持しており、上場企業として、所有と経営の分離のあり方については、今後の検討課題と認識しております。また、新株発行による資金調達については、既存株主の利益を不当に毀損することがないよう、当社の中長期的な成長を実現し、利益の拡大が見込まれるなど、その必要性や合理性について取締役会で審議・監督してまいります。また、その内容については、株主の皆さまに対し適切に開示、説明を行うこととしております。収益につきましては、将来の企業価値拡大のための事業投資に備えた内部保留の充実を図りつつ、株主の皆さまへ安定的かつ継続的な利益還元を行ってまいります。

 

原則2-3-①.サステナビリティを巡る課題への対応
補充原則3-1-③.サステナビリティを巡る取組みの開示
補充原則4-2-②.サステナビリティを巡る取組みの基本方針の策定
当社グループは、中長期的な企業価値の向上に向け、ESG(Environment/環境、Social/社会、Governance/企業統治)が非常に重要であるとの認識のもと、今後は目標値を設定すべく、具体的に取り組んでまいります。当社グループは「生活のなかで彩りを感じて頂く、新しいサービスを発見し、創造し、提供する」という経営理念の実現を、永続的に行うことを目的とし、廃棄物の削減・資源の有効活用・リサイクル商材の積極的活用・電気設備投資を要さない事業の実現を検討するとともに、多様性の確保に向けた人材登用・育成や、交通機関による移動を要しない在宅勤務の支援、ライフスタイルに配慮した時短勤務・フレックス勤務等の拡大を図り、時代の変化に対応した働きやすさの追求に注力しております。サステナビリティ課題への積極的・能動的な貢献が、当社にとっても重要であるとの認識を持ち、経営戦略の開示にあたっては、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示するよう努めるとともに、今後は、自社のサステナビリティに対する人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ、分かりやすく具体的に情報を開示・提供できるよう、努めてまいります。

 

補充原則2-4-1.中核人材の登用等における多様性の確保
当社グループは、事業環境の変化に則して多様な人材を見出し、性別、国籍、年齢等に関係なく採用・評価を行っており、先進的かつ独創性のある人材確保に注力しております。さらに、優秀人材の育成・確保に向け階層別研修を整えるなど、環境の変化に対応した人事制度や適材適所の配置等を行っております。ただし、女性・外国人・中途採用者が、全従業員に占める割合が少ない当社においては、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の登用等に関する測定可能な目標を設けるまでに至っておりませんが、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用は既に行っており、2021年6月には、新任執行役員に女性を登用するなど、多様性の確保に向けた取り組みをさらに強化しております。今後は、測定可能な数値目標の作成について検討するとともに、育児休業の取得や復職後の時短勤務、リモート勤務の選択など、ライフスタイルに合わせた働きやすさや社内環境の整備・拡充を図ってまいります。

 

原則3-1.情報開示の充実(1)会社の目指すところや経営戦略、経営計画
補充原則4-1-2.中期経営計画の実現
当社グループは、主な中期的な経営目標として、会社の持続的な成長に向けた営業利益の安定的な確保および新たな事業の確立を目標としております。コンビニエンス・ストア事業の再編以降、収益性を重視した経営方針のもと各事業の事業計画の再構築を進めてまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、ホテル事業においては、各施設の売上高が大幅に減少し、ユニット型ホテル4施設の閉店を余儀なくされるなど、厳しい事業環境が続いておりました。2022年秋以降、入国制限の上限撤廃や『全国旅行支援』の開始に伴い、宿泊需要が急速に回復したことで、各施設の稼働率、客室単価は大幅な改善が続くなど、ホテル事業における事業環境は明るさが見られております。更なる収益回復に向け、客室単価、RevPERに重きをおいたマーケティング施策を進めてまいります。また、マンションフロント事業においては、中・小規模マンション向けの生 活、管理組合、管理会社向け支援ツール「OICOS Lite」の導入物件数の拡大のほか、マンション居住者向けに厳選した商品の販売を行うショッピングサイトの取扱商品の拡充を進めていくことに加え、首都圏以外の地域における有人型受付サービスの積極的進出などに努めていくことで更なる収益拡大を図ってまいりますが、現時点において中長期的な数値目標は定めておりません。

 

補充原則4-3-2.客観性・適時性・透明性ある手続きによるCEOの選任
補充原則4-3-3.CEOを解任するための客観性・適時性・透明性ある手続きの確立
当社では、独立した諮問委員会を設置しておりませんが、CEOの選解任は、会社における最も重要な戦略的意思決定であることを踏まえ、取締役会において、独立社外取締役の適切な関与・助言を得た上で、CEOの選解任を決議することとしております。

 

原則4-8.独立社外取締役の有効な活用
当社の独立社外取締役は1名ですが、幅広い専門知識と豊富な経験に基づき、取締役会では自由闊達な議論がなされており、独立社外取締役としての責務を十分に果たしております。今後の社外取締役の増員につきましては、当社の規模、経営環境等を総合的に勘案し、検討してまいります。

 

補充原則4-10-1.独立した委員会の設置
当社は、機関設計として監査等委員会設置会社制度を採用しており、取締役(監査等委員である取締役を除く)5名、監査等委員である取締役3名によって取締役会を構成しており、当社の企業規模などに鑑み、現状の体制が適切であると判断しております。任意の仕組みの活用については、現時点においては、独立した指名委員会や報酬委員会を設置しておりませんが、企業規模の拡大など、必要に応じ、検討いたします。

 

原則4-11.取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件
補充原則4-11-1.取締役の選任に関する方針・手続き
当社は、取締役(監査等委員である取締役を除く)の人数は9名以内、監査等委員である取締役は5名以内と定款で定めております。取締役会は取締役5名(監査等委員である取締役を除く)、監査等委員である取締役3名で構成されており、当社の事業規模、事業内容において、経営の効率性を確保する観点から、現状の規模は適正であると考えております。また、その人選においては、各事業分野に精通した人物を選任し、知識・経験・能力のバランスを確保するよう努めております。取締役会の国際性については、当社の事業範囲が国内に限定されているため、現時点においては検討しておりませんが、ジェンダーや国際性、職歴、年齢の面を含む多様性の追求が重要であることを認識しております。ただし一方で、上場から20年近くを経た2018年3月に大規模な会社分割を行ったことにより、社員数は大幅に減少したものの、2001年入社の新卒社員が勤続20年を経て、2021年5月、新任取締役に就任するなど、知識・経験・能力を持つ社内人材の育成が進んでいること、また、様々な分野での活躍経験を授けることを目的に、当社グループ間異動による人事交流も積極的に行うことで多様性の確保に努めていることに加え、役員報酬の総額を当社グループの事業規模に見合った水準に抑えていることもあり、多様性の確保だけを目的とした役員の登用については、その必要性を含め、今後も取締役会において慎重に議論してまいります。なお、スキル・マトリックスをはじめとした取締役の有するスキル等の組み合わせの開示についても、今後、検討してまいります。

 

補充原則4-11-3.取締役会の実効性の分析及び評価
当社取締役会は、定例の取締役会における議論および相互の監督を通じて、取締役会全体の機能の向上を図っており、各取締役の自己評価および取締役会の実効性についての分析・評価およびその開示方法については、引き続き検討してまいります。

 

<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則に基づく開示>

 

原則1-4.いわゆる政策保有株式
当社は、政策保有株式を保有しておりませんが、保有する場合には、「業務提携、取引の維持・強化および株式の安定等の保有目的の合理性」を検討し取締役会で諮ることとします。また、政策保有株式を保有した場合の議決権行使については、当社と投資先企業双方の持続的成長と、中長期的な企業価値向上に資するかを基準として総合的に判断するほか、政策保有株主との取引については経済合理性が十分か検証したうえで、決定いたします。

 

原則2-6.企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮
当社は、企業年金制度は導入しておりません。

 

原則3-1.情報開示の充実
(3)経営陣幹部・取締役の報酬を決定するにあたっての方針と手続
当社の取締役の報酬につきましては、基本報酬および非金銭報酬により構成し、監督機能を担う社外取締役については、その職務に鑑み、基本報酬のみを支払うこととしております。なお、非金銭報酬等については、必要に応じ、取締役会において具体的な方針および内容について検討を行うものとしております。各取締役の基本報酬の額については取締役会決議に基づき代表取締役社長がその具体的内容について委任を受けるものとし、代表取締役は当社の業績水準に加え、各取締役の職責および貢献度を考慮しながら、総合的に勘案して決定しており、その総額は株主総会で定められた報酬限度額の範囲内となっております。また、監査等委員である取締役の報酬につきましては、株主総会で定められた報酬限度額の範囲内で監査等委員会の協議により決定しております。

 

(4)取締役の選解任および指名の方針と手続当社取締役会は、経営陣幹部の選任については、それぞれの経験・実績等を分析しながら、その資質や人格を十分に有する者を指名し、社外取締役候補者については、取締役会全体の監督・監視機能の強化を図るべく、多様な知見や豊富な経験を持つ候補者をそれぞれ指名しております。なお、監査等委員である取締役候補者については、監査等委員会の同意を得ることとしております。経営陣幹部の選任にあたっては、上記の選任要件をもとに取締役会が選任した候補者の議案について独立社外取締役が出席する監査等委員会において適切かどうか検討を行ったのち、取締役会において決議します。経営陣幹部の職務執行に重大な法令・規則違反等があった場合や取締役としての資質や職務遂行能力を満たさないと判断した場合は、取締役会において、独立社外取締役が出席することを必須要件として、役付けの罷免を決議することとしております。

 

原則4-2-1.客観性・透明性のある経営陣の報酬制度の設計及び具体的な報酬額の決定
経営陣の具体的な報酬を決定するにあたっては、事前に独立社外取締役を含む監査等委員会がその内容を審議することで、客観性・透明性ある手続きを確保してまいります。

 

株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
個人投資家に注目企業の事業内容、ビジネスモデル、特徴や強み、今後の成長戦略、足元の業績動向などをわかりやすくお伝えするレポートです。
Copyright(C) 2011 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。 また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。 当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

このページのトップへ