リスキル(291A)市場拡大が見込まれる中、競合との差別化により事業規模の拡大を目指す

◆ 企業向け研修への特化を目的に設立
リスキル（以下、同社）は、企業向けの研修サービスを提供している。同社のミッションは「一人でも多くの人に社会人教育を届ける」であり、企業の人材育成の課題解決を通じて、社会人になっても学ぶのが当たり前の社会を創ることを目指し、事業展開している。

22年5月に株式会社リカレントが法人事業部を分社化して同社が設立された。同社の現代表取締役社長である松田航氏は15年7月にリカレントの代表取締役社長に就任し、19年5月に同氏が中心となってビジネススキル全般に関する企業向け研修事業を開始した。当時、リカレントは企業向け研修事業と個人向けITスクール事業を展開していたが、企業向け研修は主に昼間に、ITスクール事業は夜間に研修・講義を行っていた。2つの事業は従業員の勤務時間が異なり、業容がやや異なることから、事業の効率化を図るため、同社を設立し企業向け研修事業を移管した。

なお、分社元のリカレントの代表取締役は松田航氏の父である松田直之氏が務めているが、同社はリカレントや松田直之氏とは資本関係がない。

◆ 企業向けの研修サービスを提供
同社の研修サービスは、企業を対象として従業員のスキル向上や能力開発を目的とし、「biz（ビズ）研修」と「tech（テック）研修」の2種類により構成されている（図表1）。24/3期の売上高構成比は、biz研修が40.6%、tech研修が59.4%である。biz研修は、ビジネススキル全般に関する研修であり、あらゆる業種に対応した内容となっている。tech研修は、IT未経験者向けのエンジニア・DX^注1研修であり、主にIT企業向けにサービスを提供している。

研修の主な目的は、従業員のスキルアップ（新しい技術や業務知識を学び、日々の業務に役立てるためのトレーニング）、リーダーシップ開発（管理職やリーダー層に対して、リーダーシップやマネジメントスキルを養うための研修）、コンプライアンス意識の徹底（法律や社内規則に基づく業務を徹底するための研修）などである。

同社は、研修の集客、営業、コンテンツ制作、システムの提供を行ない、講義については業務委託契約を結んだ講師が行っている。

研修の提供方法には、「一社研修」、「公開講座」、「動画講座」の3つの形式がある。一社研修は、顧客1社のみを対象とし、実地、オンライン、あるいは実地とオンラインを組み合わせて実施するものである。公開講座は、複数企業が集まる、日程が決まった参加型講座である。動画講座はeラーニング講座である。各形式のビジネスモデルは以下の通りである。

① 一社研修・公開講座
同社は、企業に対して研修を提供することにより対価を得る。登壇した講師に対しての講師料、テキストの印刷や運送にかかる費用などが売上原価となる（tech研修では会場及び機材の手配費用も原価となる）。

② 動画講座
同社は、顧客に対して動画講座を提供することにより対価を得る。動画に出演する講師への講師料が売上原価となる。一社研修や公開講座のように教材費や会場及び機材の手配費用はない。

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