enish(3667) 収益力の強化に注目

2024/09/26
 

 

安徳 孝平 社長

株式会社 enish (3667)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード

業種

情報・通信

代表者

安徳 孝平

所在地

東京都港区六本木6-1- 20 六本木電気ビルディング4F

決算月

12月

HP

https://www.enish.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

290円

26,036,971株

7,551百万円

-168.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

36.42円

8.0倍

*株価は8/9終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*数値は四捨五入。

 

非連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2020年12月(実)

4,073

-596

-641

-1,044

-83.05

2021年12月(実)

3,892

-257 

-267 

-279 

-20.27

2022年12月(実)

4,118

-335 

-375 

-415 

-25.84

2023年12月(実)

3,508

-1,206 

-1,265 

-1,374 

-76.60

2024年12月(予)

* 業績予想は非開示。単位:百万円、円。
* 2024年12月期の業績予想は、現時点で合理的な業績予想の算定ができないことから非開示。

 

(株) enishの2024年12月期第2四半期決算の概要と今後の取り組みについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2024年12月期第2四半期決算概要
3.今後の取り組み
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 24/12期第2四半期は前年同期比9.3%の減収、5億77百万円の営業損失(前年同期は7億90百万円の営業損失)。売上面は、既存タイトルが一定の逓減はしているものの安定水準を維持する中、受託開発案件により既存タイトルの逓減を部分的に補填した。損益面は、23/12期の下半期に実施した人員削減等により固定費が減少したものの、第2四半期(4-6月)に「De:Lithe Last Memories」の広告宣伝費が増加した。 
  • 24/12期予想は非開示。同社は、「モバイルゲーム事業を取り巻く環境の変化が激しく、当社の業績も短期的に大きく変動する可能性があること等から、信頼性の高い業績予想数値を算出することが困難」として、業績予想を開示していない。既存タイトルの売上高の維持と効率的な運営体制の見直しを行い収益力の強化を図る。また、売上収益の拡大を目的に、新規で年間1~2タイトルをリリースしていく方針である。「De:Lithe Last Memories」のリリースにより、下期での巻き返しを図る。 
  • モバイルゲームクオリティのブロックチェーンゲーム「De:Lithe Last Memories(ディライズ ラストメモリーズ)」が2024年8月15日に正式リリースされる。ローグライクならではのスリルと緊張感を楽しめるだけでなく、豪華な声優陣が演じる個性的なキャラクターの魅力が溢れるゲームとなる見込みである。「De:Lithe Last Memories(ディライズ ラストメモリーズ)」が同社の業績にどのような業績インパクトをもたらすのか注目される。 

1.会社概要

レストラン経営シミュレーションゲーム「ぼくのレストランⅡ」やアパレルショップの経営シミュレーションゲーム「ガルショ☆」等の人気作品を有するモバイルゲームの企画・開発・運営会社。「Link with Fun」というスローガンの下、「世界中にenishファンを作り出す」事をミッションとして掲げている。

 

基本方針は、ゲーム事業に注力し、既存タイトルの売上高の維持・拡大を図りつつ、新規タイトルを投入していく。新規タイトルについては、オリジナル・IP・パブリッシングなどタイトル展開を多様化すると共に、海外展開・海外タイトルの国内展開および展開地域の拡大を進める。

 

【経営理念 : 世界中に

enishファンを作り出す】

同社は「Link with Fun」というスローガンのもと「世界中にenishファンを作り出す」ことをミッションとし、より多くのお客様に楽しんでいただける魅力的なサービスの提供に取り組んでいる。

 

enish(エニッシュ)という社名は、人と人との縁(えん、えにし)に由来しており、繋がりやコミュニケーションを大切にする会社・スタッフでありたいという想いを表している。ロゴマークは、entertainmentの「e」とGameの「G」を組み合わせ、「日」や「一」という日本の漢字や家紋のイメージを盛り込み、日本から世界へ発信していくという想いを表している。

 

「Link with Fun」というスローガンは、Fun(楽しさ)を次々と生み出す事で、人と人、世界を繋げたいという想いを表している。その結果enishのFan(ファン)がどんどん増え、社名の由来である「縁」にも繋がっていく、というのが同社の考えである。

 

【事業の内容】

同社は、インターネットを通じたソーシャルアプリの企画・開発・提供を行うモバイルゲーム事業を主たる事業としている。提供するサービスは、主に「AppStore」、「GooglePlay」上においてサービスを提供するネイティブアプリケーション(注1)の配信を中心としている。また、ソーシャルゲームプラットフォーム(注2)を通じてもサービスを提供しており、ユーザーへの課金、料金の回収は当該ソーシャルゲームプラットフォーム事業者に委託するとともに、その対価としてシステム利用料等を支払っている。
*(注1)ネイティブアプリケーションとは、特定のコンピューターの機種やOS上で直接実行可能なプログラムで構成されたアプリケーションソフトウェアのこと。
*(注2)プラットフォームとは、ソフトウェアやハードウェアを動作させるために必要な基盤となるハードウェアやミドルウェア等のこと。また、それらの
 組み合わせや設定、環境などのこと。

 

【サービスの進捗】

Roblox
全世界でサービス提供中のゲームプラットフォーム「Roblox」において「ドラえもんのび太のゴーゴーライド!」を配信中。
継続的な施策やプロモーションにより売上向上を図る。
「Roblox」へのゲーム配信は、パブリッシングをGeekOut株式会社が、開発・運営を同社が行う、2社の協業体制で実施している。

 

タイトル 「ドラえもんのび太のゴーゴーライド!」
公式WEBサイト https://game-dora-gogoride.com/https:/
公式X

公式youtube

https://twitter.com/dora_GoGoRide

https://www.youtube.com/@dora_GoGoRide

著作権表記 ©Fujiko-Pro ©enish, Inc. ©GeekOut

(同社決算説明資料より)

 

ゆるキャン△ つなげるみんなのオールインワン!!
TVアニメ『ゆるキャン△』初のオンラインゲーム。長期メンテナンスを実施し、新機能の追加や機能改善を行い、「ゆるキャン△つなげるみんなのオールインワン!!」を再始動。リリース後1周年が経過した。

 

タイトル ゆるキャン△ つなげるみんなのオールインワン!!
公式WEBサイト https://yurucamp-game.enish.com/
対応OS iOS / Android
著作権表記 ©あfろ・芳文社/野外活動委員会 ©enish,inc

(同社決算説明資料より)

 

進撃の巨人 Brave Order
リリース後2.5周年が経過し、大進撃祭を開催した。

 

 

 

サービス開始 2022年2月開始(2年4ヶ月経過)
ジャンル 多人数共闘型RPG
著作権表記 :©諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会

©G Holdings Co., Ltd. ©enish,inc.

展開エリア 日本、大韓民国

(同社決算説明資料より)

 

五等分の花嫁 五つ子ちゃんはパズルを五等分できない。
季節感やキャラクターの魅力を重視しながら魅力的なオリジナルストーリーや新イベントも新たに追加予定である。

 

サービス開始 2020年10月開始(3年8ヶ月経過)
ジャンル ラブコメパズル
著作権表記 ©春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁∬」製作委員会

©G Holdings Co.,Ltd. ©enish,inc.

展開エリア 日本

(同社決算説明資料より)

 

ぼくのレストランⅡ・ガルショ☆
「ぼくのレストランⅡ」・「ガルショ☆」は14周年目に突入した。長期間遊んでくださるユーザーも飽きさせない魅力的なコラボや施策を続々と投入する予定である。

ぼくのレストラン Ⅱ

 

「ガルショ☆」

 

サービス開始 2010年6月(14年経過) サービス開始 2010年11月(13年8ヶ月経過)
ジャンル レストラン経営シミュレーション ジャンル アパレルショップシミュレーション
(同社決算説明資料より)

 

2.2024年12月期第2四半期決算概要

(1)非連結業績

 

23/12期 上期

構成比

24/12期 上期

構成比

前年同期比

売上高

1,738

100.0%

1,575

100.0%

-9.3%

売上総利益

-294

-16.9%

-123

-7.8%

販管費

495

28.5%

453

28.8%

-8.5%

営業利益

-790

-45.5%

-577

-36.6%

経常利益

-817

-47.0%

-609

-38.7%

当期純利益

-831

-47.8%

-611

-38.8%

* 単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
*費用項目の▲は費用の増加を示す。各費用は概算値。

 

前年同期比9.3%の減収、5億77百万円の営業損失
売上高は前年同期比9.3%減の15億75百万円。売上面は、既存タイトルが一定の逓減はしているものの安定水準を維持する中、受託開発案件により既存タイトルの逓減を部分的に補填した。「De:Lithe Last Memories」のリリースにより下期での巻き返しを図る。
損益面では、営業損失が前年同期の7億90百万円から、5億77百万円に2億13百万円改善した。23/12期の下半期に実施した人員削減等により固定費が減少したものの、第2四半期(4-6月)に「De:Lithe Last Memories」の広告宣伝費が増加した。売上総利益は前年同期の2億94百万円の損失から、1億23百万円の損失に1億71百万円改善した。販管費は前年同期比8.5%減となった。また、営業外費用で支払利息や株式交付費が増加したものの、経常損失も前年同期の8億17百万円から、6億9百万円に2億7百万円改善した。その他、特別損益の計上はなかった。
なお、同社は株式会社HashPaletteより不当利益返還請求として1億76百万円の訴訟が提起されている。今後、先方の主張及び請求内容を精査し適切に対処する方針である。

 

営業費用(概算値)

 

23/12期

上期

構成比

24/12期

上期

構成比

増減額

増減率

労務費・人件費

567

22%

493

23%

-74

-13.1%

外注加工費

521

21%

370

17%

-151

-29.0%

広告宣伝費

249

10%

222

10%

-27

-10.8%

支払手数料

683

27%

607

28%

-76

-11.1%

その他

510

20%

462

21%

-48

-9.4%

合計

2,530

100%

2,154

100%

-376

-14.9%

* 単位:百万円
* その他は、地代家賃・通信費、支払ロイヤリティ・消耗品費など含まれている。

 

24/12期第2四半期の営業費用(概算値)は、前年同期比で14.9%の減少となった。23/12期の下半期に実施した人員削減等により固定費が減少したことに加え、外注加工費や支払手数料が大幅に減少した。

 

(2)第2四半期(4-6月)

非連結業績

 

23/12-1Q

2Q

3Q

4Q

24/12-1Q

2Q

前年同期比

前四半期比

売上高

850

889

999

771

819

756

-133

-63

売上総利益

-134

-161

32

-115

-13

-110

+51

-97

販管費

169

327

181

152

170

284

-43

+114

営業利益

-303

-488

-149

-267

-183

-394

+94

-211

経常利益

-312

-505

-158

-290

-195

-414

+91

-219

四半期純利益

-313

-518

-185

-358

-196

-415

+103

-219

* 単位:百万円

 

第2四半期(4-6月)は、売上高7億56百万円、営業損失3億94百万円。
第2四半期(4-6月)の売上高は、前四半期比で63百万円減少し、前年同期比で1億33百万円減少した。既存タイトルが一定の逓減はしているものの安定水準を維持する中、受託開発案件により既存タイトルの逓減を部分的に補填した。コスト面では、第2四半期(4-6月)の総費用は、前四半期比で1億48百万円増加し、前年同期比で2億26百万円減少した。第2四半期(4-6月)に「De:Lithe Last Memories」の広告宣伝費が増加したことにより、前四半期比では総費用が増加した。一方、23/12期の下半期に実施した人員削減等により前年同期比では固定費を中心に総費用が減少した。以上により、第2四半期(4-6月)の営業損失は、前四半期比で2億11百万円損失が拡大し、前年同期比で94百万円損失が縮小した。

 

営業費用(概算値)

 

23/12-1Q

2Q

3Q

4Q

24/12-1Q

2Q

前年同期比

前四半期比

労務費・人件費

271

296

296

256

243

250

-46

+7

外注加工費

281

240

198

197

181

189

-51

+8

広告宣伝費

56

193

55

32

45

177

-16

+132

支払手数料

292

391

363

324

311

296

-95

-15

その他

253

257

235

229

223

239

-18

+16

合計

1,153

1,376

1,147

1,037

1,002

1,150

-226

+148

* 単位:百万円

 

 

タイトル別動向
【「ぼくのレストラン2」、「ガルショ☆」】
リリース14年目を迎えた「ぼくのレストラン2」や「ガルショ☆」は、コラボレーション施策等が好調に推移し、引き続き同社の売上収益に大きく貢献している。よりきめ細やかな対応を図り、ユーザーの満足度向上に努める。

 

【「進撃の巨人 Brave Order」】
リリース2周年を迎えた大人気作品『進撃の巨人』のスマートフォンゲーム「進撃の巨人 Brave Order」は、昨年11月にアニメ『進撃の巨人 The Final Season完結編(後編)』の放送・配信に伴い、新規ユーザーの流入や呼び戻し施策等により、引き続き同社の業績に貢献している。今後もゲーム内のさらなる活性化を図るため、出演人気声優を起用した公式放送を行い、番組とゲームで連動した企画の実施や機能改善など、引き続き魅力的なイベント施策を行い、収益寄与につなげる。

 

【「五等分の花嫁 五つ子ちゃんはパズルを五等分できない。」】
リリース4年目を迎えたアニメ『五等分の花嫁』初のスマートフォンゲーム「五等分の花嫁 五つ子ちゃんはパズルを五等分できない。」は、累計800万ダウンロードを突破し、同社の業績に貢献している。イベント施策や書き下ろしイラストの充実など、引き続き魅力的な施策を行い収益寄与につなげる。

 

【「ゆるキャン△ つなげるみんなのオールインワン!!」】
アニメ『ゆるキャン△』初となるオンラインゲーム「ゆるキャン△ つなげるみんなのオールインワン!!」は、長期メンテナンスを実施し、新機能の追加や機能改善を行い、配信を再開した。今後の収益寄与につなげる。

 

【「ドラえもん のび太のゴーゴーライド!」】
2024年3月にリリースした全世界でサービス提供中のゲームプラットフォーム「Roblox」に向けた『ドラえもん』のアクションレースゲーム「ドラえもん のび太のゴーゴーライド!」は、ゲーム内のさらなる活性化のため、継続したプロモーションや機能追加を実施していき、今後の収益寄与につなげる。なお 「Roblox」へのゲーム配信は、パブリッシングをGeekOut株式会社が、開発・運営を同社が行う、2社の協業体制で実施している。

 

【「De:Lithe Last Memories(ディライズ ラストメモリーズ)」】
累計ダウンロード数900万突破のスマートフォン向けドラマチック共闘オンラインRPG「De:Lithe~忘却の真王と盟約の天使~」をベースとした、モバイルゲームクオリティのブロックチェーンゲーム「De:Lithe Last Memories(ディライズ ラストメモリーズ)」を2024年8月15日にリリースする。必要な実装項目の開発は完了している。さらにテスト・デバッグ作業および、バランス調整を行っており、デバッグについては、最も対応優先度の高いバグ、リリースには必須になるバグは対処した上で、可能な限りより詳細なバグについても対応を行っている。バランス調整についても、実際の時間軸の中でプレイしながら正しい体感値をもって調整を行っている。バグの状況やバランスに改善の余地はあったものの、プレイ自体は可能な状態になっていることを鑑みて、一部のユーザーやメディア、インフルエンサーなど対象者を限定した先行プレイ環境を公開した。想定以上の有意義なフィードバックを受け、直前での仕様の変更やチューニングの調整等、不具合の修正や仕様の細部の詰めなどを行うことができ、さらに完成度が高まっている。直近では事前登録者が70万人を突破し、無料でエアドロップに参加できる「エアドロポータル」の登録者数が5日で5,000名を突破し、現在は10,000名を超えている。さらに、ゲームの魅力を高めるため、SBT(Soulbound Token)というブロックチェーン技術に基づいた新しいタイプのデジタル資産の導入についても前向きに取り組んでいる。

 

(3)財政状態及び

キャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

23年12月

24年6月

 

23年12月

24年6月

現預金

1,093

1,304

買掛金

129

99

売掛金

371

342

未払金

115

136

流動資産

1,605

1,757

有利子負債

750

500

有形・無形固定資産

16

15

負債

1,384

1,096

投資その他

270

275

純資産

508

952

固定資産

287

291

負債・純資産合計

1,893

2,048

* 単位:百万円
* 有利子負債は、リース債務を含まず。

 

* 株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
* 単位:百万円

 

24年6月末の総資産は前期末との比較で1億55百万円増の20億48百万円。資産サイドでは、現預金、敷金及び保証金などが主な増加要因となり、売掛金、前払費用などが主な減少要因となった。負債・純資産サイドでは、中間純損失を6億11百万円計上したものの、第三者割当による行使価額修正条項付第17回及び第18回新株予約権の権利行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ5億27百万円増加したことなどが主な増加要因となり、短期借入金、利益剰余金などが主な減少要因となった。24年6月末の自己資本比率は46.3%と前期末の26.7%から19.6ポイント上昇した。第三者割当による行使価額修正条項付第17回及び第18回の新株予約権の行使により、現預金は高い水準を維持し純資産も回復したことにより財務基盤の安定化が図られた。

 

キャッシュ・フロー(CF)

23/12期 上期

24/12期 上期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー

-897

-548

349

投資キャッシュ・フロー

-63

-41

22

フリー・キャッシュ・フロー

-961

-589

372

財務キャッシュ・フロー

120

957

837

+693.3%

現金及び現金同等物の中間期末残高

489

1,076

587

+120.0%

* 単位:百万円

 

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

主に税引前中間純損失や買掛金の減少などにより営業CFのマイナス額が縮小した。また、関係会社株式の取得による支出の減少などにより投資CFのマイナス額が縮小し、フリーCFのマイナス額も縮小した。加えて、新株予約権の行使による株式の発行による収入が増加したことなどにより財務CFのプラス額が拡大した。以上により、24/6月末のキャッシュポジションは前期末比で120.0%増加した。

 

(4)継続企業の前提に関する注記

同社は、前事業年度まで9期連続となる営業損失及び10期連続となるマイナスの営業キャッシュ・フローを計上しており、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在している。同社は、当該事象又は状況を解消し事業基盤及び財務基盤の安定化を実現するために、以下の対応策を講じている。

 

【事業基盤の安定化】
徹底的なコスト削減や、事業の選択と集中により、事業基盤の安定化を図っている。具体的には、既存タイトルについては、各タイトルの収益状況に応じた人員配置を行うなど運営体制の見直しを継続的に行うことによりコスト削減を図るほか、その中においても収益が見込めない既存タイトルについては、それらの事業譲渡・配信終了も視野に対応する方針である。また、他社IPタイトルとのコラボレーションを実施するなど、他社IPの協力を得ることによりユーザーのログイン回数や滞留時間の増加を図り、売上収益の拡大を進める。今後の新規タイトルについては、新規開発に注力できる体制を構築・維持することで、高品質なタイトルの開発を推進する。人員体制及び協力企業の制作力・技術力を踏まえ、過去事例を参考に慎重に工数を見積もることで、開発スケジュールの遅延等による開発費の増加が生じないよう努める。また、IPの価値と経済条件を踏まえ収益性が
高く見込まれるタイトルに対して優先的に開発・運営人員を配置することにより、同社の収益改善を図る。

 

【財務基盤の安定化】
財務面については、財務基盤の安定化のため、複数社の取引金融機関や協業先と良好な関係性を築いており、引き続き協力を得るため協議を進めている。なお、2024年3月21日付で発行した第三者割当による行使価額修正条項付第17回及び第18回新株予約権が2024年6月30日までに44,940個行使された結果、1,053,422千円の資金調達をしており、財務基盤の安定化が図られた。売上高やコスト等の会社状況を注視し、必要に応じてすみやかに各種対応策を実行する。既存タイトルの売上動向、新規タイトルの売上見込及び運営タイトルの各種コスト削減については将来の予測を含んでおり、引き続き業績の回復状況を慎重に見極める必要があることから、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる。なお、中間財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を中間財務諸表に反映していない。

3.今後の取り組み

(1)24/12期業績予想は非開示

同社では、モバイルゲーム事業を取り巻く環境の変化が激しく、同社の業績も短期的に大きく変動する可能性があること等から、信頼性の高い業績予想数値を算出することが困難となっているため、決算業績及び事業の概況の速やかな開示に努め、業績予想について開示は非開示としている。
24/12期は、既存タイトルの売上高の維持と効率的な運営体制の見直しを行い収益力の強化を図る。また、売上収益の拡大を目的に、新規で年間1~2タイトルをリリースしていく方針である。今後の新規タイトルについては、新規開発に注力できる体制を構築・維持することで、開発の長期化や開発費の高騰など各種リスクの低減を図りながら、高品質なタイトルの開発を行う。更に、ブロックチェーンゲーム市場の急速な拡大と活性化のなかで、同社はブロックチェーン技術を活用したサービス開発に早期参入しノウハウと知見を獲得し、グローバル展開も視野に入れた、ブロックチェーンを活用した魅力的なゲームの開発及び関連事業への展開を行う。

 

(2)基本方針

ブロックチェーンゲームやRobloxへの配信など新規の取り組みにチャレンジしつつ、既存タイトルのユーザーも飽きさせない効果的な施策を実施する。
【ブロックチェーンゲームへの参入】
◆ブロックチェーンを活用した魅力的なゲーム開発を推進する。
◆市場の急速な拡大・活性化のなかで、参入によりノウハウと知見を獲得する。

 

【新規タイトルの投入による売上収益の拡大】
◆優良案件を確保する。
◆適切な開発/運用体制を構築するとともに、各タイトルの品質を高めることでヒット確率を向上させる。
◆受託開発案件も実施する。

 

【既存タイトルの効果的運営】
◆売上高の維持を図るとともに、効率的な運営体制とコストコントロールにより収益力を向上させる。
◆他社IPタイトルとのコラボレーションを実施する。

 

(3)今後の取り組み

【ブロックチェーンゲーム】
同社は、モバイルゲームクオリティのブロックチェーンゲームである『De:Lithe Last Memories(ディライズ ラストメモリーズ)』を8月15日に正式リリースする。ローグライクならではのスリルと緊張感を楽しめるだけでなく、豪華な声優陣が演じる個性的なキャラクターの魅力が溢れるゲームとなっている。
本ゲームは、同社単独での開発・提供を目指す取り組みで進めていたものの、ブロックチェーンゲーム市場の急速な拡大・活性化のなかで、同社は本プロジェクトの価値の最大化と円滑な推進を目的に、「GEEKOUT PTE. LTD.(本社:シンガポール)」(以下、GEEKOUT 社)と連携し、開発を進めることとなった。同社とGEEKOUT 社は、それぞれの開発・技術力やノウハウなど両社の強みを活かし連携することで、より多くのユーザーに楽しんでもらえるようブロックチェーンを活用した魅力的なゲームを開発・提供する。

 

また、本ゲームは、育てたキャラクターが失われた記憶を取り戻し、一定の条件を満たした場合に、別れのメッセージ「遺言(ラストメモリー)」を残すことから、『De:Lithe X (ディライズ カイ)』から『De:Lithe Last Memories(ディライズ ラストメモリーズ)』にタイトル名を変更した。「切ない美少女たち×Play to Earn」のトレジャーハンティングができる、唯一のローグライクゲームとして、ブロックチェーンゲームのヒットタイトルを目指す。
「De:Lithe Last Memories」リリースの準備期間において、効果的な広告出稿により事前登録者数が70万人突破し、エアドロポータルサイトも登録者が1万人突破した。また、開発の進捗状況について週1回を目途に報告するとともに、AMA(生配信)の実施によりタイムリーなQ&Aを実施し、初心者にも分かるようブロックチェーンやNFTの解説動画やサイトも公開している。

 

(同社決算説明資料より)

 

4.今後の注目点

累計ダウンロード数900万突破のスマートフォン向けドラマチック共闘オンラインRPG「De:Lithe~忘却の真王と盟約の天使~」をベースとした、モバイルゲームクオリティのブロックチェーンゲーム「De:Lithe Last Memories(ディライズ ラストメモリーズ)」が2024年8月15日に正式リリースされる。ローグライクならではのスリルと緊張感を楽しめるだけでなく、豪華な声優陣が演じる個性的なキャラクターの魅力が溢れるゲームとなる見込みである。直近では事前登録者が70万人を突破し、無料でエアドロップに参加できる「エアドロポータル」の登録者数が5日で5,000名を突破し、現在は10,000名を超えるなど、前評判が高い。更に、ゲームの魅力を高めるため、SBT(Soulbound Token)というブロックチェーン技術に基づいた新しいタイプのデジタル資産の導入についても前向きに取り組んでいる。「De:Lithe Last Memories」の開発コストの先行計上と広告宣伝費の使用により苦しんだ上期決算となったものの、「De:Lithe Last Memories」のリリースにより下期での巻き返しを図る。待望の「De:Lithe Last Memories」のヒットにより、同社業績の回復傾向が強まるのか注目される。
また、第三者割当による行使価額修正条項付第17回及び第18回の新株予約権の行使完了により、現預金は高い水準を維持し純資産も回復したことにより、財務基盤の安定化が図られた。同社は、売上収益の拡大を目的に、新規で年間1~2タイトルのリリースを計画している。財務基盤の安定化が図られたことにより、今後優良案件の確保、各タイトルの品質向上、他社IPタイトルとのコラボレーションの実施などにも良い影響が生じるものと期待される。調達した資金をいかに成長に結び付けるのか注目される。

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役設置会社
取締役 6名、うち社外2名
監査役 3名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2024年3月29日)
基本的な考え方
当社は、企業価値を継続的に高めていくためには、迅速な意思決定や適切な業務執行と共に、経営の健全性と透明性を高める経営監視システムを強化し、機能させることが極めて重要だと認識し、ステークホルダーの信頼維持のため、コーポレート・ガバナンスの充実に努めております。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

(補充原則2-4① 女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保についての目標や状況の開示) 当社は、適正・能力のある中途採用者の積極的な採用を行っているなか、性別や国籍、学歴を問わず推進しております。今後においても、新卒をふくめ女性の活躍推進を含む多様性の確保をしていくとともに、その能力に応じ管理職への登用も図ってまいります。事業特性上具体的な数値目標は設定いたしませんが、多様性の確保に対応できるような人事育成方針や社内環境の整備を進めてまいります。
(補充原則4-2② サステナビリティ取り組みの基本方針) 当社は、サステナビリティを巡る取り組みの基本的な方針について、その重要性を認識しておりますが現状は未策定となっております。今後の重要性を鑑み、策定に関する検討を行ってまいります。
(補充原則4-11③ 取締役会全体の

実効性の分析・評価)

当社の取締役会の構成は取締役6名及び監査役3名であり、取締役会又は取締役間において随時議論又は意見交換等が行われているところではありますが、今後、より具体的な評価手法を定めて分析・評価を行っていくことを検討してまいります。
(原則5-2 経営戦略や経営計画の

策定・公表)

当社の経営戦略は、モバイルゲーム事業に注力し、①既存タイトルの効果的運営、②新規タイトルの投入による売上収益の拡大、③海外展開、の3つを推進し収益性を高め企業価値の最大化を目指しておりますが、経営計画の公表に関しましては、モバイルゲーム事業を取り巻く環境は変化が激しく、当社の事業も短期間に大きく変動する可能性があることなどから、信頼性の高い業績予想数値を算出することが困難となっているため、決算業績および事業の概況の速やかな開示に努め、業績予想については開示を見合わせております

 

<開示している主な原則>

原則

開示している主な原則

(原則1-4 政策保有株式) 当社は、モバイルゲーム及び周辺サービス事業に注力するため、当面は、上場株式を保有しない方針であります。なお、今後、政策保有をする場合、中長期的な企業価値向上の観点から、個別に賛否を判断いたします。
(原則3-1 情報開示の充実) (i)会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画

“当社は、「Link with Fun」というスローガンのもと、「世界中にenishファンを作り出す」ことをミッションとして掲げ、ゲームデザイナー、エンジニア及びアートデザイナーが付加価値の高いサービスを生み出す会社であるとともに、グローバルマーケットに立てるクリエーター、スペシャリストを生み出す会社でもあり続けたいという経営の基本方針のもと、モバイルゲームを通じて、世界中のユーザーに新たな喜びを提供してまいります。そのため、重要な経営課題及びその進捗状況については、株主総会や四半期ごとの決算発表その他適時に説明を行うこととしております。また、企業価値拡大に向けた取り組み方針については、随時決算説明補足資料等の開示を行っております。詳しくは当社IRページ(http://www.enish.jp/ir/)をご覧ください。

当社が属するモバイルゲーム業界につきましては、競争環境が激化しており、当社といたしましては継続的に良質なゲームタイトルを市場に投入することで確固たる収益基盤を確立する必要があると考えております。”

(ii)本コード(原案)のそれぞれの原則を踏まえた、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針

「コーポレート・ガバナンス基本的な考え方」の記載のとおりです。

(iii)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続

取締役の報酬は、「取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針」に従い、株主総会で決議された報酬限度額の範囲内において、社外取締役も参加する取締役会の議論を踏まえ、取締役会から一任を受けた代表取締役社長が、各取締役の職責及び実績を勘案し報酬額を決定することとしております。

(iv)取締役会が経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続

(1)取締役

当社の幅広い業務分野に関し、十分な知識・経験・能力を有していることはもちろんのこと、経営判断能力にすぐれ、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に貢献することが期待できる者を候補者として指名し、取締役会にて決定しております。

(2)監査役

取締役の職務の執行に対し、独立的な立場から適切に意見を述べることができ、監査役としてふさわしい人格、識見および倫理観を有している者を候補者として指名し、監査役会の同意を得たうえで、取締役会にて決定しております。また、社外役員候補者については、上記に加え、専門分野において高い見識や豊富な経験を有していること、客観的な立場から取締役の職務執行を監督するとともに、率直・活発で建設的な意見・提案により取締役会を活性化するための資質を備えていること、ならびに独立性判断基準を考慮しております。

(v)取締役会が上記(iv)を踏まえて経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選解任・指名についての説明

新任候補者、社外取締役候補者及び社外監査役候補者の選任理由については、株主総会招集通知に開示しております。

■原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針) 当社は、株主との建設的な対話を促進するため、IR部門を設置し、アナリストや投資家および株主にタイムリーに情報提供するとともに、お問い合わせに迅速かつ適切に対応するよう努める一方で、対話に際してのインサイダー情報の管理を徹底するよう努めております。なお、株主の意見や懸念につきましては、必要に応じて経営陣幹部や取締役会に報告しております。
【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(検討中)】 当社では、自社の資本コストや資本収益性を的確に把握し、その内容や市場評価に関して、取締役会で現状を分析・評価すること(現状分析)を進めております、その後は改善に向けての計画策定と開示、取り組みの実行への中長期的なスケジュールを検討しております。具体的な時期については現状見込むことはできませんが、早期の実現に向けて前向きに進めております。

 

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