メディカルネット(3645) 26/5期黒字化を計画 進捗に注目

2024/09/26
 

平川 大 会長CEO

株式会社メディカルネット(3645)

 

 

企業情報

市場

東証グロース市場

業種

情報・通信

会長CEO

平川 大

所在地

東京都渋谷区幡ヶ谷1-34-14 宝ビル

決算月

5月末日

HP

https://www.medical-net.com

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

330円

9,045,270株

2,984百万円

0.3%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

3.00円

0.9%

19.95円

16.5倍

210.85円

1.6倍

* 株価は9/19終値。発行済株式数から自己株式を控除。各数値は24年5月期決算短信より。

 

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2021年5月(実)

2,904

331

336

129

15.36

4.00

2022年5月(実)

3,745

445

449

380

43.44

4.00

2023年5月(実)

4,500

379

431

116

12.97

2.50

2024年5月(実)

5,252

298

322

5

0.66

3.00

2025年5月(予)

6,400

330

305

136

19.95

3.00

* 予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。
* 2021年6月、普通株式1株を普通株式2株に分割。EPS、DPSは株式分割を反映。
* 22/5期より「収益認識に関する会計基準」等を適用。21/5期の売上高は、当該会計基準等を遡って適用した後の数値。

 

株式会社メディカルネットの2024年5月期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2024年5月期決算概要
3.2025年5月期業績見通し
4.中期経営計画
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 24/5期は前期比16.7%増収、21.4%営業減益。医療BtoB事業、医療機関経営支援事業、メディア・プラットフォーム事業がいずれも増収。新たに加わったクラウドインテグレーション事業も寄与した。既存事業のさらなる効率化を進めるとともに歯科業界でのメディカルネット経済圏を構築し、歯科医療業界のデジタル化の中核を担うプラットフォームの確立を進めている。さらに、口腔まわりから始まる健康寿命増進のための、未病・予防プラットフォーム事業の構築に取り組み、事業を拡大した。利益面では成長のための人的投資等による販管費の増加などにより、営業利益率が低下した。事業拡大のための投資を継続したことが減益の主因。配当は、前期から0.50円増配となる3.00円/株の期末配当を実施。 
  • 25/5期は売上高が前期比21.9%増の64億円、営業利益は同10.6%増の3億30百万円、経常利益は同5.4%減の3億5百万円、当期純利益は前期5百万円から1億36百万円への大幅増を見込む。不動産事業の推進、タイの事業、未病・予防プラットフォーム事業など事業領域を拡大し増収を見込む。利益面では、引き続き人材への投資、新規事業への投資を積極的に行うものの営業利益は2桁増を計画する。業容拡大に向けた組織体制の強化、成長のための戦略的投資を継続する。配当は、前期と同じ3.00円/株の期末配当を予定。 
  • 24/5期実績は売上が2桁成長を継続する中、成長のための人件費の増加や2024年1月に連結子会社化した株式会社ミルテルが成長過程にあり事業の収益化が実現できていないことなどにより、減益となった。25/5期予想についても2桁の売上成長を続ける中、人材投資や新規事業展開により2桁増益ながら利益率は低下する見通し。一方で、将来の成長に向けた施策はこのところ矢継ぎ早に発表されている。中でも同社が期待を寄せているのが1月に子会社化したミルテルの成長。26/5期には黒字化を計画しており、その進捗は注目したいところ。また、既存事業においても堅調に受注・売上を拡大させていることも今回の決算では確認できた。株価は軟調に推移しており、売上成長が本格化したここ4年間の安値圏に位置している。PERは売上成長に対しては低位にとどまっており、今後は徐々に見直されると見ている。 

1.会社概要

「インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします。」を企業理念とし、歯科医院の経営をトータルで支援する「歯科医療プラットフォームビジネス」、歯科のみでなく医療、美容、ライフスタイルなど生活者にとって有益な情報を提供する「生活者向けサービス」、歯科関連企業のマーケティング支援などを行う「事業者向けサービス」を展開している。
生活者・医療機関・関連企業を結ぶビジネスモデルを有する唯一の企業。24年5月末で51,052名に上るメディカルネットグループ会員数が大きな資産。

 

【1-1 沿革】

2000年

4月

前身である日本インターネットメディアセンター創業。ポータルサイト運営事業・ホームページ制作事業を開始

9月

ポータルサイト「インプラントネット」リリース
2001年

6月

日本メディカルネットコミュニケーションズ株式会社(現株式会社メディカルネット)設立
2002年

2月

ポータルサイト「矯正歯科ネット」・「審美歯科ネット」リリース
2005年

4月

ポータルサイト「エステ・人気ランキング」リリース
2006年

1月

西日本支社開設
2006年

10月

Webマーケティング・医療機関経営支援開始
2007年

8月

東証一部上場ソネット・エムスリー株式会社(現エムスリー株式会社)と業務資本提携
2009年

3月

「モバイル!歯医者さんネット」リリース
2010年

12月

東京証券取引所 マザーズへ上場
2012年

11月

ブランネットワークス株式会社を連結子会社化、医療BtoB事業を展開
2016年

12月

「株式会社メディカルネット」に商号変更
2017年

9月

Success Sound Co., Ltd.(現 Medical Net Thailand Co., Ltd.)を連結子会社化。タイ国バンコクにおいて、歯科医院運営を開始
 

12月

Medical Net Thailand Co., Ltd.「ゆたかデンタルクリニック」をリニューアルオープン
2018年

2月

福岡支社開設

6月

株式会社ミルテルと資本及び業務提携

12月

株式会社オカムラの株式取得し完全子会社化(歯科ディーラー事業を開始)
2020年

2月

連結子会社であったブランネットワークス株式会社を吸収合併

9月

岡山大学との共同研究により開発した「歯科医院での新しい口臭センサーシステム」について特許を取得

10月

Pacific Dental Care Co., Ltd.を連結子会社(孫会社)化
2021年

6月

ノーエチ薬品株式会社を連結子会社(孫会社)化、医薬品・医薬部外品の製造・販売事業を開始
2022年

3月

NU-DENT Co., Ltd.、D.D.DENT Co., Ltd.、Fukumori Dental Clinic Co., Ltd.をそれぞれ連結子会社(孫会社)化

4月

東京証券取引所の市場区分の見直しに伴い、東京証券取引所マザーズ市場から東京証券取引所のグロース市場に移行

5月

連結子会社(孫会社)株式会社オカムラOsaka設立

7月

株式会社ライトアップと資本・業務提携
2023年

9月

「矯正歯科ネットプラス」リリース

10月

「インプラントネットプラス」リリース

11月

連結子会社の株式会社オカムラが、連結子会社(孫会社)の株式会社オカムラOsakaを吸収合併
2024年

1月

株式会社ミルテルを連結子会社化し、未病・予防プラットフォーム事業を開始

3月

AVision Co., Ltd.を連結子会社(孫会社)化し、タイにてクラウドインテグレーション事業を開始

5月

「審美歯科ネットプラス」リリース

 

 

歯科医院にターゲットを絞り、インターネット広告を中心としたビジネスを展開しようとした企業は多数あったが、個人事業主が多数を占める歯科医院に対し継続的な営業を展開することが出来ず、ほとんどの企業が撤退していった。
これに対し同社は、歯科医院の中でも自由診療に対象を絞り込んだうえ、ビジネスの成功のみでなく、創業時のビジョンを重視し、歯科医院に対しては「新しい治療の理解と普及」や「地域医療の改善や治療に専念できる環境の提供」を、患者に対しては「より良い治療方法の情報提供」を目指し地道な努力を継続した結果、多くの歯科医師から圧倒的な共感を勝ち取り、生活者・歯科医院・歯科関連企業を結ぶビジネスモデルを有するオンリーワン企業となった。

 

(同社資料より)

 

【1-2 企業理念】

「インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします。」を企業理念とし、以下のMISSION、VISION、VALUEからなるミッションステートメントを掲げている。

 

MISSION

社会的存在意義

インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします。

 

VISION

目指す姿

生活者・事業者に革新的なサービスを提供し続け、歯科医療プラットフォームビジネス・領域特化型プラットフォームビジネスにおいて、国内外でトップ企業となります。
VALUE

組織的価値観

変化なくして進歩なし あくなき挑戦である

◇情熱:向上心であり、自発性であり、責任であり、マインドである

◇スピード:意識であり、発想であり、判断であり、言動であり、行動である

◇チームワーク:協調であり、協力であり、競争であり、シナジーであり、利他である

◇リスペクト:感謝であり、思慮であり、尊敬であり、真摯さである

 

同社では、全社員に理念、VALUEを浸透させることを重視して、様々な取り組みを行っている。
2016年12月の社名変更も、理念経営をこれまで以上に徹底して行っていくという経営者から社内外へのメッセージである。
中堅層育成のための2か月に1回の集合研修を行い、中途採用時には平川大会長・平川裕司社長自らが同社の価値観を繰り返し語りかけている。
また、各事業ユニットおよび社員各人のVALUE浸透に向けた取り組みや実績を定量的・定性的に評価する仕組みもスタートさせた。
この評価制度を通じて理念やVALUEの更なる浸透を図り、より強固な組織づくりを目指している。
また、近年は子会社への浸透を進め、グループの成長にもつなげている。

 

【1-3 グループ経営】

◎M&Aについて
「採用・仲間創り」の一環として、M&Aを積極的に推進していく方針。口腔まわりから全身の健康を導き、笑顔溢れる世界を創るためプラットフォーマー戦略を推し進め、歯科医療バリューチェーンを構築する。

 

(同社資料より)

 

◎企業価値の向上について
グループ入り後、PMI (Post Merger Integration、経営統合プロセス)を進め、子会社でもメディカルネットのパーパス・ミッション・ビジョン・バリューの、言語化→認識→理解→共感→具象化→実践→習慣化を実現し、またメディカルネットの経営管理方式を導入。
子会社の利益率の向上を図るとともに、各子会社はメディカルネットグループの一事業を担う存在として、シナジーを創出。

経営管理方式の導入 感覚による経営⇒数値を重視した経営管理体制
子会社利益率の向上 シナジーの創出

 

【1-4 市場環境】

◎歯科診療市場
厚生労働省の調査によれば、2022年度の歯科診療医療費は約3.2兆円で、前年比2.6%増。新型コロナウイルス感染症拡大により、口腔衛生意識の高まりからインプラントや矯正治療等の自費診療への需要が増大し21年度に続いて堅調に伸びた。
歯科診療所については、24年5月末で前年同月比微減の66,736施設であった。

 

インプラントや歯列矯正、ホワイトニングなどの自費診療の普及や口腔衛生意識の高まりはあるものの、医療費抑制政策が続く中、過当競争状態にあると言われている歯科医院の取り巻く経営環境は引き続き厳しい。
集患増を中心とした有効な施策に対する歯科医院のニーズは極めて大きいと思われる。

 

 

 

【1-5 事業内容】

<サービス概要>
『インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします』という企業理念の下、生活者、医療機関、関連企業に対しそれぞれ以下のようなサービスを提供している。

 

(生活者向け)
歯科治療の「理解」と「普及」をテーマに、自分に最適な歯科医院についての情報や、歯の基礎知識、インプラントなどの専門治療の説明など、生活者にとって有益な情報を、各種ポータルサイトを通じて提供している。
また、対象は歯科のみでなく医療、美容、ライフスタイルなど幅広い。
上記に加え、生活者向けに未病・予防プラットフォーム事業も展開しており、未病・予防にも注力をしている。

 

(医療機関向け)
競争の激しい歯科医療業界に対し、様々な角度から経営支援サービスを提供している。
集患に結び付くホームページ制作やWebマーケティング、歯科従事者のための求職サイト運営による人材・キャリアサポート、日々の歯科治療で必要となる消耗品や歯科材料および高度管理医療機器導入のトータルサポートに加え、歯科医院の新規開業に伴う、物件、設備・インフラ、HP、集患及び歯科医師個人に対しての資産形成サポートサービス等を提供している。

 

(関連企業向け)
主に歯科関連企業のサポートを行っている。
ここで重要な役割を担っているのが、同社が運営する、歯科医療従事者登録数が24年5月末時点で52,453名と日本最大級である歯科医療総合情報サイト「Dentwave.com」である。
「Dentwave.com」におけるバナー広告やメールマガジンといった広告掲載に加え、登録者を対象としたネット調査「デントリサーチ」も、マーケティングのための有効なツールとして高い評価を受けている。スピーディに精度の高い調査が可能であることに加え、職種、専門、年代、エリアなど細かいスクリーニングにも柔軟に対応しており、多くの歯科関連企業が導入している。
ほかにも、学会や企業のWebサイトやランディングページおよびカタログなどの制作、来場者数1万人規模のオンラインデンタルショー等の歯科コンベンションや歯科イベントの企画・集客・運営支援も行っている。

 

<報告セグメント>
開示上の報告セグメントは、「メディア・プラットフォーム事業」、「医療機関経営支援事業」、「医療BtoB事業」、「クラウドインテグレーション事業」の4つ。24/5期よりクラウドインテグレーション事業が加わった。

 

 

(1) メディア・プラットフォーム事業
「からだ」・「健康」・「美」に特化した情報を提供するサイトの開発・運営を行っている。
様々な切り口で、歯科分野、美容・エステ分野、合わせて、61のサイトを運営している。
(歯科分野)

インプラントネット 歯科インプラント治療という特定の自由診療に関する情報発信に特化したポータルサイト ・インプラントネット(全国版)

・インプラントネット(スマートフォン版)

・インプラントネットプラス

矯正歯科ネット 矯正歯科治療という特定の自由診療に関する情報発信に特化したポータルサイト ・矯正歯科ネット(全国版)

・矯正歯科ネット(スマートフォン版)

・矯正歯科ネットプラス

審美歯科ネット 審美治療という特定の自由診療に関する情報発信に特化したポータルサイト ・審美歯科ネット(全国版)

・審美歯科ネット(スマートフォン版)

・審美歯科ネットプラス

その他歯科関連 「歯医者さんネット」 主に虫歯治療、歯周病治療などの保険診療を行う歯科医院を紹介し、幅広い顧客層をターゲットにしたポータルサイト
「Ask Dentist」 インターネットユーザーからの歯や口腔に関する質問・相談に歯科医師が回答する歯科Q&Aサイト

主なポータルサイトは歯科医院検索、歯科医院紹介、歯科医師の紹介に加え、患者に対する情報提供として、治療説明、よくある質問と回答のQ&Aといったコンテンツも掲載している。

 

(美容・エステ分野)

エステ関連サイト 美意識の高い女性をターゲットに、エステに関する情報を提供するポータルサイト「エステ・人気ランキング」をはじめ8サイトを運営している。
美容整形関連サイト 美意識の高い女性をターゲットに、美容整形に関する情報を提供するポータルサイト「気になる!美容整形・総合ランキング」をはじめ3サイトを運営している。

このほか、メンズエステ・美容整形関連サイトやエステ・スクール関連サイトなども運営する。
主なコンテンツは、エステサロン検索、エステサロン紹介、総合人気ランキング、キャンペーン人気ランキング、コース人気ランキング、実際にエステサロンで受けた施術の感想等を掲載した体験レポートなど。

 

*ビジネスモデル
各ポータルサイトは、歯科医院やエステサロン等を顧客として、広告料収入を得て運営している。
インターネットユーザーは、各ポータルサイトにおいて、無料で歯科医院、エステサロン等の情報を検索・閲覧することができる。
広告料収入の具体的内容は、主に①クライアント紹介ページの初期制作料及び月額掲載料、②クライアントのホームページへのリンクを貼ったバナー広告の月額掲載料となっている。
契約形態は原則12カ月の継続契約(自動更新)であるため、収益モデルは積上げ式のストックビジネスとなっている。解約率は低く、利益率が高い。

 

(2)医療機関経営支援事業
①Webマーケティング
検索エンジンの検索結果において検索順位を上位表示させることを目的としたSEO(検索エンジン最適化)サービスや、ヤフー株式会社及びGoogle LLCが運営するポータルサイトにおけるリスティング広告(検索連動広告)の運用代行サービスを提供している。

 

(A)SEO
検索エンジンを活用してHPへの集客やHPから情報配信を行うクライアントに対して、検索エンジンの表示順位判定基準(アルゴリズム)を分析し、HPの状態を最適化することにより、HPの検索エンジンからのキーワードに対する評価を高め、検索エンジンの検索結果において検索順位を上位表示させることを目的としたSEOサービスを提供している。
定額料金により複数のキーワードでYahoo! JAPAN又はGoogleの検索結果を上位表示させる月次定額型サービスと、特定のキーワードでYahoo! JAPAN又はGoogleの検索結果の順位に応じた料金が発生する成功報酬型サービスがある。

 

(B)リスティング広告(検索連動広告)
ヤフー株式会社及びGoogle LLCが運営するポータルサイトにおいてリスティング広告(検索連動広告)の運用代行サービスを行っている。
「リスティング広告」とは、検索エンジンの検索結果ページに設定された広告枠に表示される広告のことで、インターネットユーザーが広告をクリックした場合にのみ広告主に広告料が発生する。
クライアントにとって費用対効果の高い広告運用を実現するため、キーワードや広告原稿の提案から、運用面における入札価格の調整や予算管理までの総合的なサービスを提供している。

 

②HP制作・メンテナンスサービス
「からだ」・「健康」・「美」に関連する事業者(歯科医院、エステサロン等)を中心にHP制作・メンテナンスサービスを提供している。
これらの歯科医院やエステサロン等に対して、インターネットユーザーから安心感を持ってもらえるように「清潔感・高級感」を重視したウェブデザインを手掛ける。また、歯科分野及び美容・エステ分野に特化している同社ならではの医療・美容知識を活かして、患者や医療・美容に対するクライアントの考え方など、インターネットユーザーに情報を分かりやすく伝えることができるホームページを制作している。

 

③歯科医院運営
タイ・バンコクで歯科医院の経営を展開する。連結子会社のMedical Net Thailand Co., Ltd.と連結子会社(孫会社)のPacific Dental Care Co., Ltd.、及びFukumori Dental Clinic Co., Ltd.において歯科医院を運営している。タイでの歯科医院経営を皮切りに、海外諸国において日本の先進歯科医療の普及を図る。

 

④歯科商社事業
国内では(株)オカムラにおいて、また、タイ・バンコクにおいて、NU-DENT Co., Ltd.、D.D.DENT Co., Ltd.において、歯科商社事業を行っている。

 

⑤大衆医薬品・医薬部外品の企画・卸販売
ノーエチ薬品(株)において、大衆医薬品の企画・卸販売を行う。

 

⑥歯科医院総合支援
「歯科医師が、歯科医療に専念できる環境を創る。」というミッションを掲げ、業界随一の歯科医院の開業から経営支援までをワンストップで支援するサービスを提供している。経営支援のサービスメニューの拡充や専門ポータルサイト「medicalnet DOCTOR SUPPORT」を開設。歯科医師個人のライフサポートとしての不動産販売も本格開始。

 

(3)医療BtoB事業
歯科医療従事者と歯科関連企業等をつなぐBtoB型の歯科医療総合情報サイト「Dentwave.com」の運営を行っている。同サイトの歯科医療従事者登録は24年5月末時点で52,453名と日本最大級。
この会員を基盤として、歯科関連企業等に対する広告ソリューション、リサーチ、コンベンション運営受託等のサービスを提供している。

 

(4)クラウドインテグレーション事業
タイ国内において、小売業、製造業や病院向けにPOSシステムの開発・導入・メンテナンスサービスを行っている。

 

(5)その他
管理業務受託事業等において、経理、人事総務等の管理業務を受託。また、株式会社ミルテルにおいて未病・予防プラットフォーム事業等を展開。

 

【1-6 特長と強み】

(1)生活者・医療機関・関連企業を結ぶプラットフォームを構築している唯一の企業

(同社資料より)

 

同社は、歯科医療を中心に生活者・医療機関・関連企業を結んだプラットフォームを構築しているが、こうしたプラットフォームを構築している企業は他には無く、同社の大きな特徴となっている。
この強固でユニークなプラットフォームを活かし、生活者・医療機関・関連企業、それぞれに向けて様々なサービスを提供しており、これが強力な競合優位性となっている。
創業から20年超をかけて構築してきたポジショニングは強固であり、新規参入は極めて難しいと同社では考えている。

 

◎対生活者:自社メディアで信頼性の高い公平・中立な情報を提供
歯科医師など専門家と直接やりとりしながら、多くのメディアを構築・運営してきた同社は、歯科医療における豊富な専門知識を有している。
そのため、生活者に対し信頼性が高くかつ分かりやすい情報を提供することが可能であり、そのクオリティの高さは、医師が患者に説明する際に、同社が運営するWebサイトのコンテンツを利用することもあるほどである。
より専門性の高いテーマについては、長年築き上げた信頼関係に基づき、歯科医師に執筆を依頼している。
様々な見解があるテーマについては、複数の歯科医師に意見を求め、治療方法のデメリットなどについても言及してもらうことで、生活者に公平・中立な情報を提供している。
同社の売上高の多くは歯科医院向けサービスによるものではあるが、ビジョンや理念の下、常に「生活者・利用者の視点」を重視したアドバイスを歯科医院に提供しており、これが同社に対する一層の信頼性向上に結び付いている。

 

◎対医療機関:ワンストップWebサービス×多彩なリアルサービス×コンサルティング
さまざまな自社メディア、および事業者向けWebサイトを構築してきた同社は、Webサイト構築からSEM施策の立案・実施までをワンストップで提供することが可能であり、これに加え、開業時の不動産紹介、開業後の事務長代行サービス、人材紹介、専門機材、オフィスサプライ、助成金申請サポートなど、リアルな領域においても全方位的なサービスを提案している。
さらに、歯科医院の専門領域や課題を理解した上で、経営実態を把握・分析し、インターネットを活用した効果的な送患・集患や、リアルビジネスを組み合わせた人員・設備・事業計画の提案など、歯科医院に対する経営支援コンサルティングを幅広く提供することができる。

 

◎対関連企業:優良歯科医院へのアプローチやマーケットリサーチが可能
前述のように、同社は、会員数トップクラスの歯科医療従事者向けサイト「Dentwave.com」を運営している。
会員の多くは、経営状態が良好でかつ事業拡大にも前向きであり、医療機器メーカー・卸などメーカー・サプライヤーは、こうした優良顧客に対して広告展開や、製品・サービスの提案をすることが可能である。

 

(2)ストックビジネスによる安定した収益構造
ポータルサイト運営事業における広告出稿は、原則として12カ月の継続契約(自動更新)であるため、収益モデルは積上げ式のストックビジネスであり、同社の収益基盤に安定性をもたらしている。
同社では新規顧客開拓を進めて事業基盤の更なる強化を図る考えだ。

 

メディア・プラットフォーム事業のビジネスモデル

(同社資料より)

 

(3)圧倒的な会員数
歯科医療従事者会員からなるメディカルネットグループ会員数は24年5月末で51,052名と、上場時の6.5倍にまで拡大している。
この会員は、対歯科医院向けビジネスの顧客であると同時に、対歯科関連企業向けビジネスにおいても重要な資産として同社の事業基盤を支えている。
日本全国には約10万人の歯科医師がいると同社では想定しており、今後は全体の8割にあたる8万人の会員化を目指している。

*同社資料を元に(株)インベストメントブリッジが作成。

 

【1-7 ROE分析】

 

18/5期

19/5期

20/5期

21/5期

22/5期

23/5期

24/5期

ROE (%)

5.8

6.4

6.0

11.6

25.8

6.4

0.3

 売上高当期純利益率(%)

5.88

5.20

3.09

4.46

10.15

2.58

0.11

 総資産回転率(回)

0.82

1.00

1.36

1.51

1.43

1.36

1.41

 レバレッジ(倍)

1.20

1.24

1.44

1.72

1.79

1.83

1.95

* 22/5期より「収益認識に関する会計基準」等を適用。17/5期以降の売上高当期純利益率及び総資産回転率は、当該会計基準等を遡って適用した後の数値。

 

 

*同社資料を元に(株)インベストメントブリッジが作成。

 

ROEは21/5期に、総資産回転率とレバレッジの改善が顕著に表れて日本企業が一般的に目指すべきと言われている8%を大きく上回った。22/5期は売上高当期純利益率が大幅に上昇したことで更に向上した。23/5期、24/5期については、一時的な要因(減損損失)もあり売上高当期純利益率が低下して8%を下回った。

 

 

 

2.2024年5月期決算概要

(1)業績概要

 

23/5期

構成比

24/5期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

4,500

100.0%

5,252

100.0%

+16.7%

5,000

+5.0%

売上総利益

1,781

39.6%

1,841

35.1%

+3.4%

販管費

1,401

31.1%

1,542

29.4%

+10.1%

営業利益

379

8.4%

298

5.7%

-21.4%

380

-21.5%

経常利益

431

9.6%

322

6.1%

-25.3%

360

-10.4%

当期純利益

116

2.6%

5

0.1%

-94.9%

214

-97.2%

* 単位:百万円、当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。
* 22/5期より「収益認識に関する会計基準」等を適用。

 

2桁増収も減益
売上高は前期比16.7%増の52億52百万円。医療BtoB事業、医療機関経営支援事業、メディア・プラットフォーム事業がいずれも増収。新たに加わったクラウドインテグレーション事業も寄与した。
既存事業のさらなる効率化を進めるとともに歯科業界でのメディカルネット経済圏を構築し、歯科医療業界のデジタル化の中核を担うプラットフォームの確立を進めている。さらに、口腔まわりから始まる健康寿命増進プラットフォームビジネスという新たなサービスの構築に取り組み、事業を拡大した。
営業利益は前期比21.4%減の2億98百万円。利益面では売上総利益率が前期39.6%から35.1%に低下。販管費は成長のための人的投資等により10.1%増の15億42百万円となり、営業利益率が前期8.4%から5.7%に低下した。事業拡大のための投資を継続したことや2024年1月に連結子会社化した株式会社ミルテルが成長過程にあり事業の収益化が実現できていないことなどが減益の主因。

 

営業利益の増減要因は以下の通り。
 

単位:百万円
(同社資料より)

 

営業外では為替差益の減少や消費税差額の発生により、経常利益は前期比25.3%減の3億22百万円。特別損失では減損損失が増加、非支配株主に帰属する当期純利益の計上により、当期純利益は同94.9%減の5百万円となった。
配当は、会社予想通り前期から0.50円増配となる3.00円/株の期末配当を実施。

 

(2)セグメント別動向

 

23/5期

構成比

24/5期

構成比

前期比

メディア・プラットフォーム事業

1,061

23.6%

1,125

21.4%

+6.0%

医療機関経営支援事業

3,254

72.3%

3,865

73.6%

+18.8%

医療BtoB事業

181

4.0%

184

3.5%

+1.8%

クラウドインテグレーション事業

47

0.9%

その他

3

0.1%

29

0.6%

+711.7%

調整額

-0

-0

売上合計

4,500

100.0%

5,252

100.0%

+16.7%

メディア・プラットフォーム事業

628

59.3%

626

55.7%

-0.3%

医療機関経営支援事業

147

4.5%

189

4.9%

+28.4%

医療BtoB事業

49

27.4%

20

10.9%

-59.3%

クラウドインテグレーション事業

-6

その他

3

100.0%

-64

調整額

-450

-467

営業利益合計

379

8.4%

298

5.7%

-21.4%

* 単位:百万円
* 営業利益の構成比は売上高営業利益率。その他は報告セグメントに含まれない事業セグメントで管理業務受託事業等。

 

*同社資料を元に(株)インベストメントブリッジが作成。

 

◎メディア・プラットフォーム事業
売上高は前期比6.0%増の11億25百万円、営業利益は同0.3%減の6億26百万円。
新たにリリースした、生活者によりよい情報を届けるための歯科系新メディアへの広告出稿が好調に推移した。加えて、既存メディアのGoogleのアルゴリズムアップデートへの対応が進んだことや、依然として歯科自由診療への需要が高いことにより、歯科クリニックの広告出稿意欲が高く、売上高は増加した。新メディア立ち上げに伴う人件費の増加等により微減益となった。

 

◎医療機関経営支援事業
売上高は前期比18.8%増の38億65百万円、営業利益は同28.4%増の1億89百万円。
(Webマーケティング)
SEOサービスにおいてはアクセス増加と順位対策を同時に行えるサービスが好調に推移し、継続的な収益の獲得に繋げた。また、リスティング広告においては、多様化・細分化するユーザーニーズに応えるべく、従来のYahoo!やGoogleのリスティング広告、LINEに加え、TikTok広告などの運用代行を開始するなどサービスの拡充に努めた結果、売上高は増加した。
(HP制作・メンテナンスサービス)
主に歯科医院、エステサロンをクライアントとしてHP制作・メンテナンスサービス等を提供している。専門知識がなくとも手軽に情報を取得・発信できることができるようになった背景もある中で、生活者のためになる正確な情報発信を行っている。受注制作案件を確実に積み上げたものの、売上高は減少した。
(歯科医院運営)
タイ・バンコクの連結子会社及び連結子会社(孫会社)において歯科医院を3院運営しており、患者ファーストをモットーに人材育成、組織開発を行い、日本の医療を現地で展開している。その結果、3院ともバンコクの頼れるインターナショナルクリニックへの成長を遂げ、売上高は増加した。
(歯科商社事業)
国内の連結子会社及びタイ・バンコクの連結子会社(孫会社)2社において、歯科商社事業を行っている。東京と大阪の2拠点体制を取っている国内において、特に大阪での事業が好調に推移したことに加え、タイの事業も堅調に推移して売上高は増加した。
なお、23年11月に、連結子会社オカムラを存続会社、株式会社オカムラOsakaを消滅会社とする吸収合併を実施。
(大衆医薬品・医薬部外品の企画・卸販売)
主力であるプライベートブランド商品の販売強化により、売上高は増加した。
(歯科医院総合支援)
不動産事業が本格稼働し、着実に販売実績を積み上げた。加えて、経営支援サービスの契約数が増加した。また、積極的な人材の採用も継続し、売上高は増加した。

 

◎医療BtoB事業
売上高は前期比1.8%増の1億84百万円、営業利益は同59.3%減の20百万円。
歯科関連企業の広告出稿動向は、従来は学会や展示会等リアルな場での活用が主だった。しかし、コロナ禍においてWEB広告の需要が高まり、普及した。現在は学会や展示会の機会も復活し、広告手法の多様化が見られる中で適切な広告ソリューションを提供し売上高は増加した。業容拡大のため原価率の高いサービスに注力したことにより減益となった。

 

◎クラウドインテグレーション事業
売上高は47百万円、営業損失は6百万円。
24/5期に連結子会社(孫会社)化したAVision Co., Ltd.は、タイ国内において、小売業、製造業や病院向けにPOSシステムの開発・導入・メンテナンスサービスを行っている。歯科クリニックのIT化を促進し、タイにおける歯科プラットフォームの構築を目指している。連結子会社化に伴い経営環境の見直しを行い、適切な人員配置などによるコストを計上した結果、営業損失となった。

 

◎その他
売上高は前期比711.7%増の29百万円、営業損失は64百万円(前期は3百万円の利益)。
管理業務受託事業等においては、経理・人事総務等の管理業務を受託し、サービスを提供している。また24/5期に連結子会社化した株式会社ミルテルは、本セグメントに含めている。ミルテルはサイエンスソリューションプロバイダとして、未病・予防プラットフォーム事業等を提供している。

 

(3)財務状態及びキャッシュ・フロー(CF)
◎主要BS

 

23年5月末

24年5月末

 

23年5月末

24年5月末

流動資産

2,459

2,834

流動負債

1,437

1,622

現預金

1,518

1,528

仕入債務

322

436

売上債権

693

842

固定負債

100

435

固定資産

1,007

1,154

長期借入金

82

387

有形固定資産

111

125

負債合計

1,538

2,057

無形固定資産

305

460

純資産

1,929

1,931

投資その他の資産

590

568

利益剰余金

1,710

1,693

資産合計

3,467

3,989

負債純資産合計

3,467

3,989

* 単位:百万円

 

 

*同社資料を元に(株)インベストメントブリッジが作成。

 

資産合計は、売掛金やのれんの増加により前期末比(以下同)5億22百万円増の39億89百万円。
負債合計は、買掛金や長期借入金の増加により5億19百万円増の20億57万円。
純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより2百万円増の19億31百万円。
自己資本比率は47.8%(前期末55.3%)となった。

 

◎キャッシュ・フロー(CF)

 

23/5期

24/5期

増減

前期比

営業CF

429

119

-309

-72.3%

投資CF

-62

-285

-223

FCF

366

-165

-531

財務CF

-17

144

+161

現金及び現金同等物の期末残高

1,513

1,507

-5

-0.4%

* 単位:百万円

 

期末における現金及び現金同等物は、前期末とほぼ変動なく15億7百万円となった。
税金等調整前当期純利益の減少、売上債権の増加、棚卸資産の増加などにより営業CFが3億9百万円減少。連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出の増加により投資CFの支出額が増加。これらによりFCFは前期3億66百万円の収入から1億65百万円の支出となった。
財務CFは長期借入れによる収入により1億44百万円の収入となった。

 

*同社資料を元に(株)インベストメントブリッジが作成。

 

3.2025年5月期業績見通し

(1)通期業績予想

 

24/5期

構成比

25/5期(予)

構成比

前期比

売上高

5,252

100.0%

6,400

100.0%

+21.9%

営業利益

298

5.7%

330

5.2%

+10.6%

経常利益

322

6.1%

305

4.8%

-5.4%

当期純利益

5

0.1%

136

2.1%

+2182%

* 単位:百万円 
* 予想は会社側発表。

 

25/5期は21.9%増収、10.6%営業増益を見込む
25/5期は売上高が前期比21.9%増の64億円、営業利益は同10.6%増の3億30百万円、経常利益は同5.4%減の3億5百万円、当期純利益は前期5百万円から1億36百万円への大幅増を見込む。
不動産事業やタイにおける事業の継続的な推進、未病・予防プラットフォーム事業など事業領域を拡大し増収を見込む。利益面では、引き続き人材への投資、新規事業への投資を積極的に行うものの営業利益は2桁増を計画する。業容拡大に向けた組織体制の強化、成長のための戦略的投資を継続する。
配当は、前期と同じ3.00円/株の期末配当を予定。

 

25/5期も引き続き、成長のために積極的な投資を行う方針。

人的投資

・ 人件費は対前年176.9%増計画

・ 中途40名採用

・ 25年5月新卒11名採用予定

事業投資

・ 新規事業

・ 医療BtoB事業のV字回復から更なる拡大

・ 歯科事業の海外展開拡大

・ 歯科ディーラー事業を拡大

・ 歯科医療向け受発注プラットフォームの構築

・ 「未病・予防プラットフォーム事業」の構築

・ クラウドインテグレーション事業の推進

 

成長に向けた25/5期の投資と人員推移

成長に向けた25/5期の投資(百万円)

 

人的投資(名)

 

(同社資料より)

 

25/5期も引き続き中途採用に注力し人員拡充
業容及び事業の拡大を図る組織体制の強化のため、中途で40名採用予定

 

(2)事業別の主な取り組み

事業

取り組み

メディア・プラットフォーム

歯科・美容

・人材強化

・サービスの改善・拡充、セールスとのサービス販売強化

・専門コンテンツ強化

・口腔まわりから全身の健康へつながる橋渡し

医療機関経営支援

・新規チャネル開拓と収益モデル構築

・歯科医院の開業・経営に対する多チャンネルでの支援から歯科医師個人のライフサポートまで総合的に支援

・セミナー、大学及びスタディグループの開業支援及び経営支援案件の掘り起こし

・歯科ディーラー事業を拡大

・医薬品・医薬部外品の販売

・タイでの歯科事業の拡大

・不動産事業の推進

医療BtoB

・会員数増加に向けた施策強化

・新サービスの開発、販売強化

・デジタル及びリアルのデンタルショー開催

・人材紹介サービスの本格開始

クラウドインテグレーション

・タイにおけるPOSシステムの開発、導入、メンテナンスサービス

ビジネスディベロップメント

・経営企画・その他

・新規事業

・岡山大学との共同研究を継続

・「未病・予防プラットフォーム事業」

 

(3)計画の前提
各事業で増収を見込む。

事業

売上状況

メディア

・プラットフォーム

・歯科分野は前年に続き受注が好調に推移する見込み。また、新サービス投入で収益拡大を目指す。

・美容分野は送客にテコ入れし収益回復を目指す。

医療機関

経営支援

・体制を強化し新事業、新商材の取扱いに加え、既存事業も収益力を強化し収益拡大。

・医薬品販売事業と歯科ディーラー事業とのシナジーを生み、両事業の拡大を見込む。

・タイにおいて歯科医院経営支援、歯科ディーラー事業を推進し、収益拡大を目指す。

・不動産事業を本格開始。

医療B to B

・Dentwave.comのサービス拡充及び人材サービスなど新サービスの投入で売上増を図る。

クラウドインテグレーション

・タイにおけるPOSシステムの開発、導入、メンテナンスサービス事業の推進。

その他

・「未病・予防プラットフォーム事業」の強化。

 

費用についても仕入原価、人件費とも増加する見通し。

費用

見通し

売上原価

(仕入高)

・歯科ディーラー事業の売上増加及び不動産事業本格開始に伴い商品仕入高が増加。

・既存サイト拡充、新サイト開発等サービスの多様化に伴う業務拡大により労務費増加。

販管費(人件費)

組織体制強化のための人件費、新サービス投入等に係るコストが増加する見込み。

 

(4)ミルテルの中期経営計画
24年1月に子会社化したミルテルは同社の成長にとって大きなドライバーとなる見通し。

 

ミルテルについて
ミルテルは、「口腔まわりから全身の健康を導き人々が健康で豊かな生活を送れる社会を創ること」をミッションとして掲げ、新たな成長ステージとして「未病・予防プラットフォーム」の事業構築を目指している。
世界のすべての人々が健康で豊かな生活を送るために、様々な視点から健康・病気を「見える化」するサイエンスソリューションプロバイダとして、医療機関への受託臨床検査サービス等を提供。
ミルテルのメディカルネットグループ化により、歯科医院=虫歯の治療という概念を変え、歯科医院、そして口腔から病気を未然に防ぎ、笑顔を増やしていく。

 

(同社資料より)

 

主なサービス
ミルテルのオリジナル検査サービス(広島大学の技術供与)

(同社資料より)

 

ミルテルの中期経営計画
・ベースとなる事業に加え、追加施策も積極的に投下。
・26/5期を境に営業利益の黒字化を達成する計画。

 

(同社資料より)

 

成長戦略

 

▶ECプラットフォーム(LINE完結型)

▶官民連携の開始・推進

▶未病検査事業のBtoH、BtoCへの販売を推進

▶サービス価格改定

 

▶リスク検査付帯のがん保険開発

▶企業福利厚生への導入推進

▶インバウンド船内販売

▶AmazonでのtoC販売

 

 

進行中施策①
・「スキャンテスト 乳がん」において、LINE完結型のEC販売開始
LINEで友達登録後、すぐに商品の購入が可能。検査結果の確認までLINEで完結。FAQの閲覧や問い合わせLINEで行える。

(同社資料より)

 

進行中施策②
官民連携による実証実験の開始
20年6月より、広島県呉市及びマイライフ株式会社と共同で、乳がん検診率向上に向けた実証事業を開始し、
①リスク検査を使うことによる利便性からの乳がん検査への誘導可能性
②様々な受検方法/受検後フォローによる対策型健診・任意型健診への誘導効果を検証する。

(同社資料より)

 

 

4.中期経営計画

24/5期の売上高は20年10月に発表した計画を下回った。25/5期は売上高64億円を計画しているが、当初計画していた100億円を下回る見通し。
また、前回中期計画の策定時と比較すると、連結子会社も増え、新たな分野にも進出したことから、現在の体制と5年前に策定した中期経営計画に基づく戦略、戦術に齟齬ができた。
このため、中期経営計画を新たに策定した。
新たな中期経営計画では27/5期~28/5期に売上高120億円、営業利益15億円を目指す。
セグメント別売上及び売上成長率は以下のとおり。

(同社資料より)

 

 

今後の成長戦略・成長ドライバー

(同社資料より)

 

(同社資料より)

5.今後の注目点

24/5期実績は売上が2桁成長を継続する中、成長のための人件費の増加や2024年1月に連結子会社化した株式会社ミルテルが成長過程にあり事業の収益化が実現できていないことなどにより、減益となった。25/5期予想についても2桁の売上成長を続ける中、人材投資や新規事業展開により2桁増益ながら利益率は低下する見通し。一方で、将来の成長に向けた施策はこのところ矢継ぎ早に発表されている。中でも同社が期待を寄せているのが1月に子会社化したミルテルの成長。26/5期には黒字化を計画しており、その進捗は注目したいところ。また、既存事業においても堅調に受注・売上を拡大させていることも今回の決算では確認できた。
株価は軟調に推移しており、売上成長が本格化したここ4年間の安値圏に位置している。PERは売上成長に対しては低位にとどまっており、今後は徐々に見直されると見ている。新たな中期計画の進捗状況にも注目していきたい。

 

*決算短信より(株)インベストメントブリッジが作成。

 

◎株主優待
同社株式の中長期的に保有する株主との関係を、より一層大切にしていくことを目的として株主優待制度を継続していく。基準日を24年5月31日とする株主優待制度より、株主優待として引き渡すクオカードの金額を引き上げた。
(太字が変更後の金額)
5月末で
100株以上かつ1年以上保有 1,000円
600株以上かつ1年以上3年未満保有 1,500円 3年以上保有1,500→2,000
1,000株以上かつ1年以上3年未満保有 1,500→2,000円 3年以上保有 2,000→5,000

(同社資料より)

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態 監査役設置会社
取締役 6名、うち社外2名
監査役 4名、うち社外4名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2024年9月2日

 

<基本的な考え方>
当社は、株主の利益の最大化を図りつつ、株主・クライアント・エンドユーザー・従業員・地域の方々等すべてのステークホルダーに対して、経営の健全性・効率性・透明性を通じて企業社会の一員としての社会的責任を果たしていくことをコーポレート・ガバナンスの基本方針としております。

 

その実現のために、現状に満足することなく経営環境の変化に応じてコーポレート・ガバナンス体制を強化し、企業価値の最大化を図ってまいります。

 

<実施しない主な原則とその理由>
「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。」と記述している。

 

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