日本株の3つの注目ポイント~現状整理と今後の焦点

2024/04/02

日本株の3つの注目ポイント~現状整理と今後の焦点

    • 3つの注目ポイントは企業業績、企業改革、賃金で、企業業績は2024年度も回復が続くとみる。
    • 資本効率改善の取り組み開示が進み企業改革も進展、平均賃上げ率は33年ぶりの高水準へ。
    • 各ポイントは今後、業績は企業自身の予想、企業改革は開示の中身、賃金は実質賃金が焦点。

3つの注目ポイントは企業業績、企業改革、賃金で、企業業績は2024年度も回復が続くとみる

2023年12月5日付レポートでは、日本株の先行きを展望するにあたり、注目しておきたい3つのポイントとして、「企業業績」、「企業改革」、「賃金」を挙げました。そして、いずれも今後、改善傾向が確認されれば、日本株にとって強い追い風となり、一段の株高も期待されると解説しました。3つの注目ポイントについては、2024年2月14日付レポートで進展度合いを一度検証しましたが、今回、改めて現時点での状況を整理します。

まず、企業業績について、アナリストが予想する東証株価指数(TOPIX)構成企業の12カ月先1株あたり利益(EPS)をみると、増加基調にあることが分かります(図表1)。また、弊社は国内主要企業を調査対象としていますが、金融とソフトバンクグループを除く372社の業績は、2023年度、2024年度ともに増収増益の見通しで、企業業績の回復は続くと考えています。

資本効率改善の取り組み開示が進み企業改革も進展、平均賃上げ率は33年ぶりの高水準へ

次に、企業改革について、2023年3月31日の東京証券取引所(以下、東証)の要請に基づき、企業は資本効率改善への取り組みと開示を進めています。東証が2023年8月29日に公表した資料によると、プライム市場において、取り組みを開示済みおよび検討中とした企業の割合は30.7%(対象は3月期決算企業)でしたが、2024年3月15日の公表資料では58.5%(対象は全企業)に増加し、企業の取り組み開示は着実に進展しています。

そして、賃金について、労働団体の「連合」が公表した2024春季生活闘争(春闘)の集計結果によると、基本給を底上げする「ベースアップ(ベア)」と「定期昇給」を合わせた賃上げ率は、第1回回答で平均5.28%、第2回回答で平均5.25%となりました。2024年の平均賃上げ率は、2023年実績の3.58%を上回る見通しで、最終集計(7月上旬頃)でも5%を超えれば、1991年以来33年ぶりの高い水準となります。

各ポイントは今後、業績は企業自身の予想、企業改革は開示の中身、賃金は実質賃金が焦点

このように、企業業績、企業改革、賃金は、いずれも改善傾向が確認されており、実際、日経平均株価の動きに目を向けると、2023年12月5日の終値は32,775円82銭でしたが、2024年3月22日の取引時間中に一時41,087円75銭の高値をつけるなど、水準を大きく切り上げました。ただ、その後、日経平均の上値はやや重くなっており、3つの注目ポイントについて、ここまでの改善傾向は、いったん織り込まれた可能性が高いと思われます。

今後、企業業績は、企業自身の2024年度の予想で回復傾向が確認されること、企業改革は、開示の割合ではなく、開示の中身がより重要となり、投資家の高い評価が得られるような開示内容が増えること、賃金は、実質賃金の前年同月比の伸びがプラスに転じていくことが、焦点になると考えます(図表2)。これらの動きが確認、もしくはその期待が強まれば、日経平均は再び上昇基調を強めることが期待されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

 

(2024年4月2日)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会