yutori(5892)Z世代向けブランドと取扱商品の拡大、Y世代向けブランド開発で成長を目指す

2024/01/10

Z世代向けを中心にSNSマーケティングを活用したアパレル事業を展開
Z世代向けブランドと取扱商品の拡大、Y世代向けブランド開発で成長を目指す

業種:小売業
アナリスト:鎌田良彦

◆ Z世代向け中心にSNSマーケティングを活用したアパレル事業を展開
yutori(以下、同社)は、主にZ世代注1の10~20代の顧客を対象に、Instagram等のSNSを通じたマーケティングを活用して衣料品及び雑貨等の企画と小売、卸売を行うアパレル事業を展開している。アパレル製品の生産はOEMメーカーに委託している。

18年4月の創業時の主力商品であるZ世代向けのストリートファッション注2に加え、最近ではストリートブランドに限らないファッションカテゴリや、Z世代よりも世代が上の20~30代のY世代注3を対象としたブランドを投入する等、ブランドポートフォリオの多様化を進めている。

22年4月にKANDOR(東京都目黒区)からブランドを譲受し、22年8月にはA.Z.Rを完全子会社化し、その後10月に吸収合併する等M&Aを通じて7ブランドを獲得し、現在では22のブランドを展開している。売上高の7~8割はZ世代向け、男女比率はほぼ半々となっている。

同社ではブランドを、①ティーンカルチャー、②トレンド、③デザイナーズ、④インフルエンサーの4つのカテゴリーで展開している(図表1)。

① ティーンカルチャー
ティーンカルチャーは、同社創業時の9090(ナインティナインティ)を始めとして90年代等の過去のトレンドアイテムをリバイバルし、現代カルチャーの要素を取り入れて展開するブランドカテゴリーである。

② トレンド
トレンドは、ZOZOTOWNでの販売をメインに、流行をいち早く取り入れたアイテムを手ごろな価格で提供するブランドカテゴリーである。

③ デザイナーズ
アパレル業界で著名なデザイナーやスタイリストが展開するブランドカテゴリーである。事業譲受で獲得したF-LAGSTUF-F(フラグスタフ)が含まれる。

④ インフルエンサー
インフルエンサーは、主に社内のインフルエンサーがブランドディレクターを務め、個人の発信力も併せてブランド運営をしているブランドカテゴリーである。Younger Song(ヤンガーソング)やWudge Boy(ワッジボーイ)等、買収したA.Z.Rのブランドが多い。

売上規模が大きいブランドは、9090、nemne(ネンネ)、HTH(エイチティーエイチ)、Younger Song等となっている。

◆ 販売チャネル
販売チャネルは、複数の同社ブランドを取り扱う自社ECサイトYZ Storeによる直接販売、ZOZOTOWNを通じた委託販売、移動販売とPOPUP注4を含めた実店舗販売、及び卸売販売となっている。実店舗は22年4月より運営を行っており、POPUPで需要を確認した上で小型店舗の出店を行っている。23年9月末では5店舗のPOPUPを含め東名阪を中心に13店舗を展開している。

23/3期の販売チャネル別売上高は、直接販売が51.4%、委託販売が31.5%、実店舗が10.2%、卸売が6.1%であった(図表2)。1回の購買での注文単価は、直接販売では1万円程度、ZOZOTOWN経由の委託販売では3,000~4,000円程度となっている模様である。

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