バリュークリエーション(9238)課題の抽出から広告運用まで一貫したサービス提供により高い継続率を維持

2023/11/24

Webサイトへの集客に関する課題を解消するマーケティングDX事業が主力
課題の抽出から広告運用まで一貫したサービス提供により高い継続率を維持

業種:サービス業
アナリスト:佐々木加奈

◆ 集客に関する課題を解消するマーケティングDX事業が主力
バリュークリエーション(以下、同社)は、顧客のWebサイトへの集客に関する課題を解消するためのサービスを提供するマーケティングDX事業、建築物の解体から土地の売却までをオンラインで完結できるサイト「解体の窓口」を運営する不動産DX事業を行っている。

マーケティングDX事業が23/2期売上高の97.3%占める主力事業である(図表1)。尚、22/2期に売上高51百万円が計上されているその他は、「車査定・買取の窓口」を運営する事業に係るもので、この事業は21年9月に譲渡している。

◆ マーケティングDX事業
顧客のWebサイトへの集客を適切に行うための課題を抽出して戦略を立案し、検索連動型広告注1、ディスプレイ広告注2、インフィード広告注3といった運用型広告注4を中心としたプロモーションを設計して運用している。

運用型広告は、運用者が広告配信のための設定を行い、広告配信結果をリアルタイムで分析して設定を改善する仕組みのため、運用者により広告効果に大きな差が出るという特徴がある。同社は、08年の創業以来、多様な顧客へサービスを提供し、顧客の属する業界や業種特有の課題を解消してきたノウハウを保有しており、そのノウハウを活かして高い広告効果を実現している。また、運用している広告の配信結果レポート(広告費、クリック数、獲得数などを網羅したもの)をワンクリックで自動生成するツール「Vasta(ヴァスタ)」を提供し、顧客の満足度を高めている。

同社は、規模が大きく、成熟しており、且つ体質が保守的であることなどからDX化が遅れている業界をターゲットとしている(同社は、総務省「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」をもとに20年時点でDX化への取り組みがない企業数が全体の75%以上を占める業界をレガシー業界と定義して主要ターゲットとしている)。具体的には不動産業、士業(弁護士や司法書士など)、自治体や専門学校などが中心で、23/2期における取引社数1,430社の約半数を占めている。

同社は、顧客から広告の出稿量に応じた報酬を得ている。売上高の10%以上を占める顧客はポイント交換サービスなどを提供するジー・プラン(東京都品川区)である(図表2)。

また、同社は自社サイト「Mola(モーラ)」を運営している。「Mola」は、ビジネス、デジタル、お金、恋愛、旅行、グルメ、スポーツ・レジャー、エンタメ、ヘルスケア、ビューティといった幅広いカテゴリーの情報を網羅するサイトで、10代~20代女性向け、10代~20代男性向け、30代以上の女性向け、主婦向けなど、ターゲット別記事も掲載している。

◆ 不動産DX事業
不動産DX事業では、自社メディアである「解体の窓口」を運営している。「解体の窓口」は、顧客(建築物の解体ニーズを持つ法人・個人)の保有する物件の解体の見積もりから解体後の土地売却までをオンラインで完結できるサイトである。

具体的には、所有する構築物を解体したいと考える顧客がサイトに登録して見積もりを依頼すると、依頼内容が解体業者に紹介され、各業者から解体費用の見積もりが提示される。顧客は提示された見積もりを比較検討し、解体業者を選定できる仕組みとなっている(図表3)。顧客が「解体の窓口」を利用する際の手数料は無料で、解体業者は成約時に成約金額の10%をマージン(手数料)として同社に支払っている。1件当たりの成約金額は構築物のあるエリア、構造や規模などによりバラつきがあるものの、23/2期では平均156万円程度となっている。

顧客に紹介する解体業者については、同社が事前に解体工事業の登録や建設業許可の有無、行政処分歴などを確認したうえで選定しており、23年9月時点で全国約1,500社が紹介可能となっている。これまでに見積もりを依頼した顧客数累計については20,000人を超えている(23年9月時点)。

また、「解体の窓口」の運営により蓄積した不動産情報や建て替え情報を、提携する不動産仲介/売買会社や住宅会社、不用品回収会社などに紹介し、成約時に手数料を得ている。23年9月時点の提携不動産会社は約700社となっている。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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