来週の金融市場見通し(2023年4月10日~2023年4月14日)

■来週の見通し

3月のADP全米雇用報告や米新規失業保険申請件数が、米国の労働需給の軟化を示したことに加え、米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況指数も市場予想を下回り、米国が早期に景気後退入りするとの見方が出てきています。市場では年後半にも米連邦準備理事会(FRB)が利下げに転じるとの思わくがくすぶります。来週は、米雇用統計を受けた市場の反応に加え、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3月開催)、3月の米消費者物価指数、また米主要銀行の決算なども確認したいところです。

◆株価 :緩やかな上昇基調か

日本株は、緩やかな上昇基調が予想されます。米国の金融不安が和らいでいることに加え、国内景気の持ち直しや米国の早期利上げ停止に対する期待が、株価を押し上げる見通しです。とはいえ、米国の景気減速や日銀の政策修正をめぐる思わくのほか、それらによるドル安・円高の動きが、日本株の上値を抑える場面もありそうです。また、米国などで多数発表される経済指標に対して内外の株価が敏感に反応する可能性もあり、注意が必要です。

◆長期金利 :新総裁下での金融政策にらみ

日銀が近い将来、長期金利をゼロ%±0.5%程度に誘導するイールドカーブ・コントロール(YCC)の撤廃など、政策を修正するとの思わくがくすぶる中、10年国債入札が低調だったことも手伝い、長期金利は大きく上昇する動きになりました。9日に植田氏が日銀総裁に就任します。長期金利はまだ0.4%台ですが、4月の金融政策決定会合で政策修正をするとの見方が強まると、日銀が許容する上限の0.5%を試す可能性もありそうです。

◆為替下値模索

ドル円は、下値余地を徐々に模索する展開が見込まれます。足元、米国の金融不安は和らいでいるものの、複数の米重要経済指標が、米景気が減速しつつあることを示唆しています。それを受け、米長期金利は低下しており、ドル円もじりじりと下値を模索しそうです。3月の米雇用統計の結果次第で変動性が高まる可能性はありますが、日銀の4月の政策決定会合に向けた金融政策修正期待もあり、ドル円の上昇余地は限定的と見込まれます。

◆Jリート :底堅い

米利上げの長期化観測が後退し、投資家心理が上向く中、東証REIT指数は1,800ポイント台を回復し、2月以来の高値まで上昇しました。ただ、その後は利益確定売りに押され、上げ幅を縮小しました。3月の東京都心のオフィス空室率は3か月ぶりに上昇しましたが、影響は限定的でした。利回り面での妙味や割安感からの買いなどから底堅いものの、新総裁下での日銀の金融政策を確認しようと、様子見姿勢が強まることも想定されます。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(3月) 4月10日(月)午後3時発表

景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、2月に前月差3.5ポイント上昇の52.0となりました。家計動向関連は飲食関連を中心に上昇し、企業動向関連については製造業、非製造業とも上昇しました。

3月の現状判断指数は、小幅な上昇が見込まれます。家計動向関連では、新型コロナウイルスの影響緩和が飲食関連やサービス関連の景況感を押し上げた模様です。一方、企業動向関連については、原材料コスト高や海外景気の減速懸念を背景に小幅な景況感改善となりそうです。

米消費者物価指数(3月) 4月12日(水)午後9時30分発表

2月の米消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比6.0%の上昇となり、また、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIは同5.5%の上昇となりました。両指数とも依然高水準ながら前月から伸びが鈍化しました。

米労働市場は、やや減速の兆しがみられるものの、サービス分野を中心に消費者の底堅い需要が今後も見込まれそうです。3月は、総合指数では、インフレ鈍化の傾向は継続し、前年比5.2%程度の伸びが想定される一方、コアは底堅く推移するとみられ、同5.6%程度の伸びを想定しています。

 

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