FCE Holdings<9564> RPAソフトウェアとeラーニングシステムの拡販で成長を目指す

2022/11/01

学校、企業向けの教育研修事業とRPAソフトウェア提供のDX推進事業を展開
RPAソフトウェアとeラーニングシステムの拡販で成長を目指す

業種: サービス業
アナリスト: 鎌田 良彦

◆ 教育研修事業とRPAソフトウェアを提供するDX推進事業を展開
FCE Holdings(以下、同社)グループは同社と子会社5社で構成され、学校、学習塾を顧客とする教育事業と企業向けの研修、コンサルティング事業からなる教育研修事業と、PC上の作業を自動化するRPA注1ソフトウェアRobo-Pat DXを企業向けに提供するDX推進事業を行っている。

同社グループの事業セグメントは、教育研修事業とDX推進事業の2セグメントであるが、売上高はこれら2事業セグメントと出版事業のその他の3つに分類される(図表1)。21/9期の売上高構成比は教育研修事業が53.5%、DX推進事業が40.3%、その他が6.2%であった。近年はDX推進事業の構成比が上昇している。

同社ではセグメント別売上高のほかに、サービス別売上高を開示しており、このマトリクスから子会社別の事業内容と21/9期の売上高を示した(図表2)。

教育研修事業のうち、学校や学習塾を対象とした教育事業はFCEエデュケーションが、企業向けの研修事業はFCEトレーニング・カンパニーが、外食フランチャイズ支援事業はダイニングエッジインターナショナルがそれぞれ行っている。21/9期の売上高は、FCEエデュケーションが1,460百万円、 FCEトレーニング・カンパニーが381百万円であったことから、教育研修事業の売上構成比は教育事業が77%強、研修事業が20%強と推定される。

◆ 教育研修事業
①7つの習慣J事業
フランクリン・コヴィー著の自己啓発のためのビジネス書「7つの習慣」をベースに、日本の学生を対象とした「7つの習慣J®」授業プログラムを開発し、学校法人(私立中学・高校、専門学校、大学)及び学習塾に授業プログラム、テキスト等を販売している。「7つの習慣」は、3つの私的成功の習慣で個人の自立を目指し、3つの公的成功の習慣で他者との相互依存を目指し、7つめの再新再生の習慣でそれらの習慣を継続するための自己を磨くという内容になっているが、「7つの習慣J®」は「なりたい自分」の実現に必要な考え方や習慣を身につけ、主体性を育むプログラムとなっている。「7つの習慣J®オンライン」事業ではプログラムをオンラインで提供している。

②学習塾支援事業
NOVAホールディングス(東京都品川区)と業務提携し、個別指導塾「ITTO個別指導学院」のフランチャイズ運営支援を行っている。

③インターナショナルスクール事業
東京インターナショナルスクール勝どき校を運営し、キンダーガーテン(未就学児を対象とした認可外保育)、アフタースクール(学童保育)、LTE(Learning Through English、週1回の通学)を提供している。

④フォーサイト手帳事業
フォーサイト手帳は、「7つの習慣」の考え方に基づき、中高生が日々の目標・計画、実行、振り返りを行うことにより、自立力を高めるための手帳である。補助教材として公立学校を含む学校に販売している。

⑤企業向け研修、コンサルティング事業
企業向け研修、コンサルティング事業では、FCEトレーニング・カンパニーの社員が講師やトレーナー、コンサルタントとして企業向けに主に以下のサービスを提供している。

「7つの習慣研修®Business Ownership」は、フランクリン・コヴィー・ジャパン(東京都千代田区)より「7つの習慣®」のライセンス提供を受け、「7つの習慣®」をビジネス向けに開発した研修プログラムである。2日間の研修プログラムで、これまでに2,600社以上が履修している。「xDrive」は、会議型コンサルティングとして、トレーナーが会議を主導し組織にPDCAサイクル注2を定着させる実践型現場トレーニングである。「Axis」は、組織の目指す姿を実現するための評価制度構築とその制度を推進する人材育成を行うものである。

⑥Find!アクティブラーナー事業
「Find!アクティブラーナー」は、教員を始め、子どもの教育に関わる教育関係者・保護者等、アクティブラーナー(能動的学習者)の育成に関わる人たちを対象にした総合情報サイトである。同サイトを導入する学校からサイト利用料を得ている。

⑦Smart Boarding事業
Smart Boardingは企業の社員教育研修用のクラウド型eラーニングシステムである。eラーニングのコンテンツは汎用的なビジネススキルに関するものが中心で、顧客が制作した社内研修用の動画のアップロードや、Zoomを使用して、eラーニングで学んだ内容を確認するライブ形式の研修も利用できる。

1社当たりの月額利用料金は足元で5万円/月程度となっており、導入社数は、19/9期末99社、20/9期末188社、21/9期末348社と順調に拡大してきた。

⑧外食フランチャイズ支援事業
多店舗展開を行うフランチャイズ本部企業と提携し、加盟店募集や店舗展開支援を行い、業務委託料を得ている。

◆ DX推進事業
DX推進事業は、子会社のFCEプロセス&テクノロジーが、中堅中小企業や大企業の部門向けにRPAソフトウェアのRob-Pat DXを提供している。Rob-Pat DXは顧客のPCにソフトウェアをインストールするデスクトップ型のRPAで、「プログラミング知識を持たない人でもつくれるRPA」をコンセプトに、現場のユーザーが運用できる直感的な操作性、ロボットの業務対象アプリケーションを問わない融通性等の特徴を持つ。また、ソフトウェアの導入のみでは成果はでないとの考えから、月額利用料金の中で導入期における人材育成や組織構築の支援を行っている。22年6月末の導入社数は950社である。

月額利用料金は、ロボットの作成・修正ができるフル機能版が12万円、作成したロボットが業務処理のみを行う実行専用版が4万円となっている。足元の1社当たり月額利用料金は16万円で、フル機能版1台、実行専用版1台の組み合わせで利用するケースが多い。

Rob-Pat DXは、PKSHA Technology(3993東証スタンダード)の子会社であるアシリレラのRPA技術を使用しており、アシリレラに売上高の約30%をライセンス料として支払っている。販売は直販の他、約30%は販売代理店経由で行っており、販売代理店には売上高の約30%を販売手数料として支払っている。

◆ その他
子会社のFCEパブリッシングが、「キングベアー出版」の名称で、「完訳 7つの習慣」等のビジネス書の出版を行っている。また、個人向けに自分と対話する「自己対話力」を高めるための「7つの習慣セルフコーチングプログラム」を提供している。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。