キューブ<7112> 国内の路面店や商業施設への出店や海外卸・ECの拡大による成長を目指す

2022/10/13

高価格帯のゴルフウェア・ゴルフ用品ブランド「MARK&LONA」の企画・販売を展開
国内の路面店や商業施設への出店や海外卸・ECの拡大による成長を目指す

業種: 小売業
アナリスト: 阪東 広太郎

◆ ゴルフウェア・ゴルフ用品の企画・販売を主として展開
キューブ(以下、同社)は、主力ブランドである「MARK&LONA」を始めとしたゴルフ関連の衣料品及び雑貨等の企画ならびにそれらの小売・卸売事業を行っている。

同社は、「MARK&LONA」及び「HORN GARMENT」、「gravis golf」の3ブランドを展開している。22/12期第2四半期累計期間(以下、上期)の売上高の約9割を「MARK&LONA」が占めている。

◆ MARK&LONA
同社はドクロ柄をモチーフとするなど、ゴルフアパレルとは思えない斬新なデザインでありながらも、上質な素材と高い機能性を持つゴルフウェア(トップスやニット、シャツ、ボトムス、アウター等)や雑貨等(ゴルフバッグやシューズ等)を主要商品とした「MARK&LONA」の企画・販売を08年3月より行っている。22/12期上期における商品カテゴリ別の売上構成は、ゴルフウェアが約6割、雑貨等が約4割である。

「MARK&LONA」は「GENERAL」、「CODE」、「ALARM」、「RICH&FAMOUS」の4つのコレクションを展開している。「RICH&FAMOUS」はレディースだけだが、他の3コレクションはメンズ、レディースの両方のラインアップがある。22/12期上期における売上構成比は、「GENERAL」が約80%、「CODE」が約15%、「ALARM」が約5%である。「RICH&FAMOUS」は不定期に企画・販売をしており、22/12期上期には新商品を販売していない。

「GENERAL」は「MARK&LONA」の主力ラインであり、保守的なスタイルが常識だったゴルフウェアの世界に、独特なデザイン感覚を持ち込み、Luxuryというコンセプトを構築してきた。

「CODE」はEfficient(効率)をコンセプトとしたコレクションであり、ドレスコードの厳しいゴルフコースやクラブハウスでも着用可能であり、「GENERAL」と比較してハイエンドかつフォーマルなラインである。

「ALARM」はFusion(融合)をコンセプトとしたコレクションである。ポケモンやディスニーといった著名キャラクターやブランドとのコラボレーションによる個性的なデザインが特徴である。

「RICH&FAMOUS」は、ファッションやスポーツ好き、自由奔放な女性をテーマにしている。90年代カルチャーにインスパイアされたレトロポップなコレクションを展開している。

「MARK&LONA」の顧客構成は、男性が約7割、女性が約3割であり、30代後半から50代中盤までが大半を占めている。「CODE」は他のコレクションと比較してフォーマルなこともあり、60代までが主な顧客となる。同社によると、「MARK&LONA」はトップスとボトムスを合せて購入すると6万円程度と高価格のため、年収の高い層が主な顧客である。

◆ その他のブランド
同社は、「MARK&LONA」に加えて、「HORN GARMENT」と「gravis golf」の2ブランドの企画・販売を行っている。

「HORN GARMENT」は、SURF、GOLF、VINTAGEなどのカリフォルニアのライフスタイルをコンセプトに06年9月にスタートした。22/12期上期においてはゴルフウェアの売上構成比が高い。「HORN GARMENT」のゴルフウェアの価格は「MARK&LONA」よりも若干低いこともあり、「HORN GARMENT」の主な購入者の年齢は「MARK&LONA」より幅広く、30代前半から50代後半である。

「gravis golf」は、他社より同社がライセンス提供を受けて、21/12期より展開している。21/12期に同社は「gravis golf」のゴルフシューズを販売し、売行きが良かったため、商品ラインナップを拡充し、22年春夏シーズンに初めてのコレクションを展開した。

◆ 販売チャネル
同社は衣料品等の企画販売事業の単一セグメントだが、販路別に、国内リテール、国内EC、海外EC、海外卸、国内卸、その他の6つの事業区分を持つ。22/12 期上期における売上構成比は、国内リテール24.6%、国内 EC17.7%、海外EC2.1%、海外卸44.2%、国内卸11.1%、その他0.2%である (図表1)。

国内リテールでは、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡で合計9 店舗の直営店舗を展開している。出店先はギンザシックス(東京都中央区)、表参道ヒルズ(東京都渋谷区)、松坂屋名古屋店(名古屋市中区)、大丸心斎橋店(大阪市中央区) 、大丸札幌店( 札幌市中央区) 等である。同社は、「MARK&LONA」の主要ターゲットである富裕層が買い物を行う場所であり、「MARK&LONA」の個性を表現できる国内主要都市の商業施設・百貨店等に出店している。直営店舗には百貨店との消化仕入契約注1 による店舗も含まれ、手数料を差し引き後のネット売上を売上高として計上している。

国内EC では、同社直営EC サイトである「MARK&LONA 公式オンラインストア」に加えて、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN 」においてもMARK&LONA ショップを運営している。「MARK&LONA 公式オンラインストア」が国内EC 売上高の大半を占めている。同社は、ブランドイメージのコントロールのしやすさ等から、「MARK&LONA公式オンラインストア」での販売に注力している。

海外EC では、全世界の顧客が購買可能な同社直営EC サイトである「MARK&LONA World Market」を20 年10 月より展開している。

国内卸では、日本全国の代理店を経由して、高価格帯のアパレル製品を扱うセレクトショップ等に「MARK&LONA」を始めとした同社商品を卸売している。22/12 期上期末時点の国内における「MARK&LONA」の取扱店舗数は約100 店舗である。

海外卸では、韓国、米国、イタリアの3カ国で事業を展開している。韓国が22/12期上期の海外卸売上高の9割以上を占めている。同社は14年8月に韓国JC FAMILYと「MARK&LONA」の韓国独占販売及び使用許諾契約を締結し、海外卸事業を開始した。同社は韓国の主要都市における路面店や百貨店で代理店を通じて店舗を展開している。22/12期上期末時点における韓国における「MARK&LONA」の販売店舗は43店舗である。また、JC FAMILYは同社のブランドのライセンスを付与され、韓国においてライセンス商品の企画・生産・販売も行っている。

同社は22年3月にイタリアと米国で卸先と商品取引基本契約を締結し、卸先を通じラグジュアリーブランドを扱う高級ブティックの店舗やECで同社ブランド製品を展開している。

同社の売上高に占める海外卸の売上構成比は、20/12期の29.7%から22/12期上期の44.2%へと14.5%ポイント上昇した。他の事業区分においても売上高は拡大傾向にあるが、特に海外卸では、韓国において富裕層を中心に「MARK&LONA」の認知度が高まり、売上高の成長率が高い。

◆ 組織体制
22年7月末時点で60名の同社の従業員の配置は、企画・デザイン・生産が20人、営業・マーケティング・EC運営が20名、店舗が14名、コーポレートが6名である。同社は、同社製品をマスダ(名古屋市中区)や三共生興アパレルファッション(東京都中央区)、ロンヨンジャパン(大阪府吹田市)等のアパレルOEM事業者から仕入れている。

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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