(3937)株式会社Ubicomホールディングス メディカル事業の収益性向上継続

2022/06/23

 

 

 

 

青木 正之 社長

株式会社Ubicomホールディングス(3937)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

情報・通信

代表取締役CEO

青木 正之

所在地

東京都文京区小石川2-23-11 常光ビル9階

決算月

3月末日

HP

https://www.ubicom-hd.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

2,647円

11,834,000株

31,324百万円

24.6%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

未定

78.52円

33.7倍

322.44円

8.2倍

*株価は6/1終値。各数値は22年3月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2019年3月(実)

3,555

564

591

368

32.57

5.00

2020年3月(実)

4,038

707

715

533

46.17

5.00

2021年3月(実)

4,198

919

877

623

53.25

7.00

2022年3月(実)

4,726

1,033

1,055

832

70.38

9.00

2023年3月(予)

5,446

1,254

1,271

925

78.52

未定

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。「収益認識に関する会計基準等」を22年3月期第1四半期期首から適用している。

 

株式会社Ubicomホールディングスの2022年3月期決算概要などをお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2022年3月期決算概要
3.2023年3月期業績予想
4.中期ビジョン実現に向けた取り組み
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 22年3月期の売上高は前期比12.6%増の47億26百万円。グローバル事業は主要ピラー顧客からの売上とソリューションの受注獲得が引き続き堅調。メディカル事業も主力商品Mightyシリーズのパッケージ販売が順調。営業利益は同12.4%増の10億33百万円。増収も戦略的投資などで粗利率は1.0ポイント低下したが、売上総利益は同9.9%増加。販管費が同7.4%の増加にとどまり、2ケタの増益。戦略的投資は例年の通常投資に上乗せし、第1四半期から第3四半期に前倒しで実行した。下期から回収フェーズに入り、売り上げ増加に結び付いている。経常利益は同20.3%増の10億55百万円。予想に対し売上高、営業利益、経常利益は未達も、各段階利益は過去最高を更新した。
  • 23年3月期の売上高は前期比15.2%増の54億46百万円、営業利益は同21.4%増の12億54百万円、経常利益は同20.5%増の12億71百万円の予想。営業利益、経常利益は今期も過去最高を更新する見込み。引き続き「戦略的投資」を進めるが、これを吸収したうえで2桁の増益を目指す。配当は現時点では未定としているが、今期も利益水準に応じて適切な株主還元を実施する考えだ。
  • 23年3月期は、利益バランスをチェックしつつ、第2成長フェーズの推進に向けた基盤強化施策を遂行する。主要なポイントは「『Go Global 戦略』に資するエキスパート・リソースの充実化」「フィリピンエンジニアの採用育成の強化」「メディカル投資戦略の強化」「M&Aの実行」の4点。
  • メディカル事業の収益性向上が続いている。直販・アップセル・クロスセルの拡大、価格改定により第4四半期単体の営業利益率は約6割(59.6%)に達した。Mighty Checker、Mighty QUBEに加え、保険ナレッジプラットフォームが本格稼働すれば更なる向上が期待できよう。
  • 一方、コロナ禍の影響も残る中、収益率の低い受託案件を絞り込んだこともあり、第1四半期から第4四半期まで四半期ベース売上高は横ばいで、通期売上高は微増収にとどまった。他方、Mightyシリーズを中心とした継続売上比率は約90%を占めるまでに拡大しており、21年3月期のような上昇トレンドに再び向かうか注視していきたい。
  • グローバル事業においては、24年3月期のピラー顧客20社以上確立という目標に対する進捗を注目していきたい。

1.会社概要

人材不足、医療逼迫等の社会課題の解決に資するITソリューションを創造する、唯一無二のビジネスイノベーションカンパニー。医療、金融/公共、自動車、製造業およびロボティクス等の領域を戦略市場と位置付け、広範なITソリューション・サービスを提供。
フィリピンの開発拠点を中心に約1,000名のエンジニアを有し、ソフトウェア開発からAI等の先進ソリューション開発を通じて、国内のIT人材不足の解決やDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するグローバル事業と、医療機関向け経営支援ITソリューションのリーディングカンパニーとして、レセプト点検、医療安全支援、クラウドサービス等の医療最適化ソリューションを手掛けるメディカル事業の二本柱で展開。スクラップ&ビルドによる事業の再構築を経て、高収益ビジネスモデルを確立。さらには、リーディングカンパニーや成長企業との戦略的提携やM&Aを通じて事業成長の加速を図るWin-Winインベストメントモデルの推進と、プラットフォームビジネス等の既存事業とは異なる軸足の新規事業の早期確立を目指す。

 

【1-1沿革】

元より起業意欲が旺盛であった青木 正之氏は、2005年3月に株式会社ワールドの新規事業子会社である株式会社WCLの代表取締役社長就任後、国内外で様々な新規事業のシーズを探していると、訪問したフィリピンで多くの若く優秀なエンジニアが活気に満ちて仕事をしていることを知る。折から日本企業において社内業務のIT化が進行する中、フィリピンでシステム開発を行うことで幅広いシステムソリューションを高いコストパフォーマンスかつグローバルに提供すれば需要を確実に取り込みことができると考え事業化を決意。2005年12月に株式会社AWS(現:株式会社Ubicomホールディングス)を設立した。
ICT化の進展というフォローの風に加え、優秀なトップエンジニアを多数擁するフィリピン開発拠点の競争優位性を武器に顧客開拓が順調に進み業容は拡大。2012年に医療レセプトシステム最大手の(株)エーアイエスを子会社化。2016年6月、東証マザーズに上場。2017年7月に(株)Ubicomホールディングスに社名変更後、同年12月には東証1部に市場変更した。2022年4月、市場再編に伴い東証プライム市場に移行した。

 

【1-2 経営理念・ビジョン】

「人」×「技術」で革新的なITソリューションを創造する唯一無二のビジネスイノベーションカンパニーとして以下3つの経営理念を掲げている。

 

1.Unique beyond comparison

時代の先を見据え、社会課題の解決に資するITソリューションを創造する、唯一無二のビジネスイノベーションカンパニーであり続けます。

2.Go Global

Ubicomグループのビジネススキームを、米国およびアジア各国を中心にグローバルに展開していきます。

3.Win-Win

お客様、協業先、そして全てのステークホルダーの皆様との相互発展を通じて、Ubicomグループの「仲間」を増やしてまいります。

 

「技術」「人材」「知財」「先見性」「パートナーシップ」の5つのコアアセットを基にビジネスイノベーションを創出し、少子高齢化、医療逼迫、IT人材の枯渇、DXといった課題を解決することを自社の社会的な責務・存在意義であると考えている。

 

(同社WEBSITEより)

 

【1-3 事業内容】

1-3-1 概要
20年以上の実績を誇る組込みソフトウェア開発、アプリケーション開発、テスト、品質保証のサービスに加え、国際化や少子高齢化など社会構造の変化や、医療生命科学・ロボット・人工頭脳の分野における技術革新を新規ビジネス創出のチャンスと捉え、戦略市場と位置付ける「医療」「金融/公共」「自動車」「製造/ロボティクス」分野において、「AI:人工知能」、「Analytics:分析」、「Automation/RPA:ソフトウェアテスト等の実行・管理の自動化」領域を中心とした同社独自のコアソリューションを開発し、多くの顧客企業に提供している。

 

1-3-2 同社を取り巻く事業環境
人材不足解決支援や医療最適化支援等の社会課題の解決に資するITソリューションの提供による成長を追求する同社を取り巻く事業環境は以下の通り。グローバル事業、メディカル事業(事業内容詳細は後述)ともにフォローの風が吹いている。

 

(同社資料より)

 

(1)国を挙げたデジタル化推進、深刻化するIT人材不足
政府がデジタル化に向けた旗振りを本格化するなか、経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年3月発表)によれば、付加価値の創出や革新的な効率化を通じて生産性向上等に寄与できるIT人材の確保が重要となっている一方で、少子高齢化が進む中、人材確保が難しくなっており、IT 需要の伸びを「低位」「中位」「高位」とケース分けした際、「高位」の場合、2025年に58.4万人、2030年に78.7万人の国内IT人材が不足すると試算している。

 

(2)膨張を続ける国民医療費とレセプト審査の厳格化、医療経営の逼迫、医療従事者の働き方改革
2018年度の概算医療費(労災・全額自費等の費用を含まない。医療機関などを受診し傷病の治療に要した費用全体の推計値である国民医療費の約98%に相当)は42.6兆円と過去最高を記録した。
高齢化の進展に伴い医療費は増大傾向にあることから各健康保険の財政状況は悪化が続いており、保険料負担軽減に向け、国はレセプト審査の厳格化等による医療費適正化政策を進めている。

 

(レセプトとは?)
現在の保険診療制度の下では、医療機関が受け取る診療報酬のうち、患者が支払う医療費は最大3割で、7割以上は健康保険組合、共済組合、市区町村などが負担する。
患者が受けた診療について、医療機関がこれら公的機関に保険負担分の支払いを請求するための医療診療の明細書をレセプトと呼び、レセプトを発行するレセプト業務は医療機関の収益の大部分を支える大切な業務である。
提出されたレセプトは、審査支払機関で厳重な確認作業が行われ、レセプトの記載内容に誤りがあると、審査支払機関からレセプトを差し戻されたり(返戻)、診療報酬点数を減点されたりすることがある。返戻された場合には、レセプトを精査・修正して、再提出しなければならず、適切なレセプトを提出することは効率的な医療機関経営を行うにあたり極めて重要な作業である。2009年には、医療機関は原則としてオンラインによるレセプトの請求が義務付けられるようになった。

 

(医師等の働き方改革)
日本は超高齢社会の進行とともに医療ニーズの急速な拡大、多様化、高度化が進む一方で、医師の不足や偏在、長時間労働等の業務負荷の問題が顕在化している。
深刻化の一途を辿る医師への負担を軽減し、医療現場における働き方改革を推し進めるべく、2024年4月より医師の時間外労働に対する罰則付き上限規制が施行される。その為、医療機関においては医師等の業務の効率化・最適化への取り組みが待ったなしの状況である。

 

コロナ禍を受けて医療提供体制の逼迫や病院経営の悪化が重大な社会問題として表面化するなか、審査支払機関におけるレセプト審査の厳格化や医療従事者の働き方改革の動きも重なり、レセプトチェックの等の業務効率化による収益改善、医療の安全と質の確保、働き方改革への対応は医療機関経営における重要課題となっている。

 

 

(3)急成長が見込まれる医療クラウド市場
2010年2月に一部改正された、厚生労働省通知「「診療録等の保存を行う場所について」により、民間企業が保有するデータセンターへの医療情報の外部保存が認められ、民間企業にとって医療クラウドサービスを提供しやすい環境が整った。
アプリケーションプラットフォーム、サーバがネットワーク内に存在するクラウドサービスは、医療分野においては、電子カルテ、医療用画像管理システム、地域医療連携システム、在宅療養支援サービス、遠隔画像診断サービス、治験向けサービス、調剤薬局向けサービスなど、様々なサービスにおいて活用されると言われている。

 

特に、今日の医療機関におけるデータ量の急速な増大、およびネットワーク活用の広まりの中にあって、クラウドサービスには「他施設との連携が容易」、「自前で保守管理をする手間がない」、「価格が安い」、などのメリットがあることに加え、2011年3月の東日本大震災の際に被災地の多くの紙カルテが失われた事態を受け、災害対策という面からも医療クラウドへの期待が高まっている。更に今回の新型コロナウイルス感染拡大に伴う医療現場逼迫は、オンライン診療や電子カルテの必要性を強く認識させることとなった。
個人情報保護の観点から安全性の問題を指摘する声もあるものの、規制と緩和のバランスの中で、社会的課題解決に向けたソリューションとして今後大きく発展していくものと思われる。

 

1-3-3 注力する事業領域
新しい時代を切り拓く「3A」分野を戦略的な技術領域と位置付け、これらをベースとした事業拡大に注力している。

分野

現状及び今後

AI 大手監査法人系グローバルコンサルティンググループにおけるAIチャットボット領域の実用段階や、製造業の顧客における製品外観検査装置へのAI導入支援の採用を経て、今後の更なる横展開を見据え、先端人材の育成を強化しAI関連ビジネスの拡大を目指している。

音声AI、チャットボット(自動会話プログラム)に係る開発を終え、横串的展開を推進。

Analytics 日本におけるNo.1レセプト点検ソフトのMightyシリーズや分析ツールの開発フェーズを終え、データの質・量の向上を図り、医療関連の分析を行うエンジンをつくり、今後は新たなマネタイズモデル実現に向けたフェーズへ移行。

その他、工場や船舶会社などに向けた予知保全のソリューションを提供。

Automation/RPA ソフトウェア自動化のエンジンを確立しており、ロボティックス(ロボット工学)・RPA(ロボットによる業務自動化)を推進。

大手ロボティクス、FAメーカーにリーチしたマーケットの拡大を目指している。

 

1-3-4 セグメント
報告セグメントは、ITソリューション・サービスを金融/公共、医療、自動車、製造/ロボティクス等の幅広い市場に向けて提供するグローバル事業と、レセプト点検ソフトをはじめとする医療機関向け経営改善ソリューション等を手掛けるメディカル事業の2つ。

 

 

(同社WEBSITEより)

 

(1)グローバル事業
◎概要
フィリピンの100%子会社であるAdvanced World Systems, Inc.およびAdvanced World Solutions, Inc.を主要開発拠点に、金融/公共、医療、自動車、製造/ロボティクスを重点対象業種として、組込みソフトウェア開発、業務アプリケーション開発、保守、テスティング等を行っている。
さらには同社が戦略的技術領域と定義する「3A」(「AI:人工知能」、「Analytics:分析」、「Automation/RPA:自動化」)技術を活用し独自のコアソリューションを展開しているが、その高度なソリューション開発力の源泉が、約1,000名のトップクラスのエンジニアを擁するフィリピン開発拠点であり、強力な競争優位性を生み出している。(詳細は【1-4 特徴と強み】を参照)

 

◎顧客
顧客企業は金融、公共、医療、自動車、製造、サービス業等と多岐にわたる。
前述のように日本ではIT人材不足が深刻化していることに加え、開発・運用にかかるコスト削減ニーズが根強いが、約1,000名の日本語、英語に堪能なIT人材を擁する同社はこうしたニーズを着実に取り込んでいる。
加えて多数の国内大手顧客との長年に亘る豊富な開発実績は同社に対する信頼・評価を一段と高めている。

 

(2)メディカル事業
◎概要
100%子会社である株式会社エーアイエスが、医療従事者の働き方改革、医療機関の収益改善、医療の安全と質の向上に資する、医療機関向けソリューションパッケージの開発・販売、クラウドサービス、データ分析ソリューション、開発支援、コンサルティングを手掛けている。
医療現場の業務効率を改善し経営品質を高める「Mightyシリーズ」製品は、その豊富かつ有用な機能が高く評価され、「働き方改革」という追い風もあり、2022年3月末時点では、病院(20床以上)の約42%(3,434施設)、クリニック(19床以下)の約14%(15,041施設)、合計18,475施設が導入するトップシェア製品である。

 

◎主力製品・サービス
①レセプト点検ソフト「Mighty Checker®」
レセプト点検の効率化と精度向上が求められる中、1999年にレセプト点検ソフト「Mighty Checker®」を他社に先駆けてリリースした同社は、その有用性が高く評価されレセプト点検ソフトのリーディング企業としてのポジションを確立。2019年3月期にはレセプト点検にAIを導入した次世代レセプトチェックシステム「Mighty Checker® EX」をリリースし、その地位を揺ぎ無いものとしている。

 

主として以下のような機能により医療機関のレセプト業務を強力にバックアップしている。

製品名

特長

Mighty Checker® EX ・2018年秋にリリースしたMighty Checkerシリーズの最上位製品

・従来製品「Mighty Checker PRO」において好評の機能やユーザビリティを更に進化させ、レセプト点検にAIを導入した次世代レセプトチェックシステム

Mighty Checker® PRO Analyze ・医科レセプト点検ソフトウェアの上級システム

・点検結果を分析し、効率的な点検業務を提案

・査定・返戻対策に加え、レセプト点検結果を活用した、より効率的な点検結果の活用が可能

・査定返戻データ取り込みによりスムーズなデータベース修正を実現し、査定返戻の抑止を強化

Mighty Checker® PRO Advance ・医科レセプト点検ソフトウェアの普及型システム

・病名・医薬品・医療行為の適応症を点検

・査定・返戻対策の点検(突合点検・縦覧点検・算定日チェック等)

・算定支援機能による点検(指導料等で算定できる可能性がある項目をチェック)

Mighty Checker® Cloud ・クラウド型レセプト点検サービスで、クラウド型電子カルテとの連携が可能

・院内システムのクラウド化対応の他、運用と導入のしやすさから業務効率化、リモートワーク、端末を選ばないBYOD対応、BCP対策にも

・今後、クラウド型電子カルテへの組込みを強化

 

②オーダリングチェックソフト「Mighty QUBE® PRO」
Mighty Checker®のデータベースを活用し、疾患と診療行為・投薬の適応性、投与量・日数等を処方オーダー時にリアルタイムで点検し、不適応のものや、病名が漏れているケースへエラーを出すシステム。医療指示の誤入力・誤操作を防ぐことで、医療事故(ヒヤリ・ハット)や査定(減額)を防止し、医師が最も重要な診療行為に集中できるよう支援する。医療安全・質の向上と業務効率化の両立を追求することで、病院の財務・経営面の改善をサポートするとともに、病院と患者の両方に利益をもたらす点が高く評価され、多くの医療機関での導入が進んでいる。

 

◎導入事例
医事課職員6名の病院における導入事例を挙げると、導入後1カ月で診療分レセプト月間作業時間が半減したことに加え、算定支援機能により売上高が増収となった。
今後、職員が操作に慣れるに従い作業時間が更に短縮し、過去データの蓄積とAI検知により点検精度は更に向上していくことが見込まれるという。

 

③「備えの医療クラウドSonaM(そなえむ)」
医療機関のBCP対策と医療データ保全を、国内屈指の高度なセキュリティ基盤で支えるクラウドサービス。

 

新型コロナウイルスの感染拡大を機に、オンライン診療の必要性がクローズアップされるなど診療方法の多様化が進むとともに、医療デジタル化・クラウド化におけるセキュリティの必要性が高まっている。
また、災害時における役割が一段と大きい医療機関においては、院内の医療データの安心安全な保管先と保管方法の確保が急務となっている。

 

こうした環境下で逼迫した医療提供体制を支援することを目的に開発された「SonaM(そなえむ)」は、レセプトデータ、カルテ、検査画像などの医療データをセキュアクラウドにより保全するもの。
医療データをクラウドで扱うためには、厚労省、経産省、総務省の3省が提唱する3つの医療情報セキュリティガイドラインの総称である「3省3ガイドライン」に準拠することが必要だが、NTT東日本の高度なクラウドセキュリティ基盤を採用することによって万全の態勢を整えている。
また事業規模の異なる医療機関毎の多様なニーズに対応できるよう、複数の段階的な利用プランを用意している。

 

Mightyシリーズに次ぐ新たな高収益サブスクリプションモデルであり、Mightyシリーズとのクロスセルや、直接取引の拡大によるユーザー単価向上を目指している。

 

④保険ナレッジプラットフォーム
保険業界向けDXソリューションとして、保険請求(支払審査)手続きの効率化、保険金受給(支払)までの日数短縮、簡易請求の普及等の支援を行う。基本機能である医療情報検索システムに加え、2021年11月には、医療系書類のOCRによる読取精度の向上に特化したDXメニュー「ゆらぎ補正」を発表した。

 

(概要・特長)
これまで保険会社では、顧客からの保険金請求に対する審査業務において、診療行為、医薬品、傷病名、先進医療、法改正など、散在した情報を網羅するために多大な労力が必要であった。
同社の18,000を超える医療機関ユーザーへの提供実績に裏打ちされた独自の医療データベースを利用した保険ナレッジプラットフォームを活用することで煩雑な審査業務を大幅に効率化することができる。

 

保険加入者が退院した後、保険会社や病院との書類手続きを経て給付金を受給するまでに現在は2-4週間、保険会社も支払審査から支払いまで約2-3週間かかっている。

 

「保険ナレッジプラットフォーム」はまずフェーズ1では、保険会社の上記必要期間を最短で1日程度に短縮する。
次のフェーズ2では、保険加入者の手続きが数分で完了することになる。

 

(マネタイズ構想)
Mightyシリーズを超える高単価・高収益サブスクリプションモデルを目指している。
収益は、基本初期費用、基本接続使用料、オプション初期費用、オプション接続使用量から構成されるが、同社では多様なニーズに対応して複数のオプションを開発し、この積み上げにより高収益を実現する考えだ。

 

(同プラットフォームの強み)
1.知財
20年以上に亘って18,000を超える医療機関ユーザーへの提供実績に裏打ちされた独自の医療データベースを活用し、保険審査向け診療や医薬品コードや先進医療情報などを独自に搭載している。
また、AI開発の知見も寄与している。

 

2.ビジネスモデル
高単価、月額制でかつクラウドベースの次世代型サービスモデルである。
また開発次年度から維持コストのみで横展開が可能であり、潜在的な将来価値は巨額である。
加えて、ITを活用することで、保険請求手続きの負荷軽減、保険金受給までの日数短縮を実現するとともに、保険会社の事務負荷の大幅軽減を目指す「生命保険エコシステム構想」への参画により市場浸透の加速が期待できる。
また、サービスのブラッシュに向け同社のフィリピン開発リソースを活用できる点も大きなメリットである。

 

3.市場性
同社では業界初のブルーオーシャン市場への参入であると考えている。
1社あたり年間数百~数千万円の利用料で潜在的には約100社の顧客・市場を有している。

 

(今後の展開)
メディカル事業における新たなサブスクリプション型メニューの一つとして、保険業界全体への保険ナレッジプラットフォームの横展開を図るとともに、保険業界向けソリューションの更なる進化に向けて、AI(人工知能)等の先進技術を搭載した新メニューの開発と実装を目指す。更には、昨今の感染症対策を背景とした「対面サービス」から「非対面サービス」への転換ニーズを追い風に、保険業を含む金融サービス全体のDX化およびAI化に伴う開発需要の取り込みに注力する。

 

また、2020年11月には、「保険ナレッジプラットフォーム」の横展開として、「生命保険エコシステム構想」に参画することとなった。

 

生命保険エコシステム構想は、ITを活用することで、保険請求手続きの負荷軽減、保険金受給までの日数短縮を実現するとともに、保険会社の事務負荷の大幅軽減を目指すもの。
非定型AI-OCRの技術を持ち保険販売事業、ソリューション事業、システム事業を手掛ける株式会社アイリックコーポレーション(東証1部、7325)とソフトウェア販売や技術サポートを手がける株式会社アシストが中核となっている。
この構想の展開・拡大に向け「保険ナレッジプラットフォーム」における保険金支払業務自動化技術が高く評価され、構想強化企業第1号として参画することとなった。
「保険ナレッジプラットフォーム」の好調な引き合いを背景に、ユーザー目線の機能の拡充と訴求力の強化に向けて、基本機能である保険金支払審査業務向け「医療情報検索エンジン」に加え、複数のオプション実装を準備している。
Ubicomにとって新しい取り組みである保険業界向けサブスクリプション型プラットフォームの提供を、新たなコア事業の一つとして育成するために、保険会社とその顧客の相互メリットや協業先企業とのシナジーの創出、技術革新およびビジネスモデルの確立を図る。
また、21年3月期第3四半期より、「保険ナレッジプラットフォーム」を含む保険業界向け先進ソリューション開発及びDX推進の一層の強化に向けて、同社グループが有する約1,000名のグローバルIT人材の活用を拡大する。
加えてAI等の先端領域に特化した次世代技術者育成の為の人材開発投資を進め、将来を見据えた企業価値の更なる向上に取り組む考えだ。

 

【1-4 Ubicomの特徴と強み】

1-4-1 フィリピンの開発拠点を中心に、約1,000名のエンジニアを育成・活用
沿革でも触れたように、青木社長が現地視察を重ねた中で開発拠点として最適と判断したフィリピンは、同社競争優位性の源泉であると同時に今後の成長戦略を牽引する極めて重要な役割を担っている。
前身を含め25年以上に亘る開発実績を有するフィリピン開発拠点の主な特徴は以下のとおりである。

 

①グローバル開発の最適地「フィリピン」
フィリピンは若年層中心に長期的な人口増加が続く人口ボーナス期に入っていることなどから平均して年6%近い経済成長を続けており、特に若年層は活力にあふれ、上昇志向が強まっている。
加えて英語が公用語であるためグローバルで活躍できる素地が整っていること、ITリテラシーが高いこと、ASEANの中心に位置しアクセスも良好であることなどから、グローバルベースでのIT開発拠点として最適である。

 

②超一流の人材を採用
フィリピンの開発拠点を中心に、約1,000名という多くのエンジニアが在籍しているが、「量:人数」のみでなく「質:優秀さ」においても他に例を見ないレベルの高さを誇っている。
長年の実績に裏打ちされ、フィリピン開発拠点に対するエンジニア志望者の評価は高く、入社希望者は例年数千名に上るが、採用されるのはわずか約4%と極めて狭き門となっており、まさに超一流の人材を獲得することができている。

 

③独自の教育・研修プログラムによる戦力化
超一流の人材を採用しても、それだけではトップクラスのエンジニア集団を構築することはできない。
戦力となる真のトップエンジニアに育て上げるための研修・教育制度こそが、他社が容易にキャッチアップすることのできない強力な差別化要因の一つである。

 

同社グループは2003年4月、フィリピンに自社研修センター「ACTION」を設立し運営を開始した。
「ACTION」における研修プログラムは同社が自社開発したもので、IT基礎概念、先進技術、対人ソフトスキル、日本語の4カテゴリーで構成され、PhilNITS(フィリピン国家情報技術者試験)と日本語検定4級の合格を目標に研修を実施する。
研修終了後、研修生はボードメンバーに対して成果を発表し面接評価を経て初めてプロジェクトへの参加がアサインされる。優秀な学生であっても実際に仕事を任されるまでの道のりはけっして楽なものではないが、こうしたハードルを乗り越えたプログラム卒業者は高度な技術力と日本語環境における業務遂行能力を有することから日本のIT市場において圧倒的な優位性を発揮しており、同社成長の強力なエンジンとなっている。
また、同社ではチャレンジングで最先端を行くプロジェクトが常に多数稼動しているため、やる気に溢れた優秀な人材に活躍の場を与えており、この点も同社グループが就職先としてフィリピンにおいて大きな人気を得ている要因の一つでもある。

 

④ソリューション開発力の更なる高度化・強化
既に他社を凌駕する高いソリューション開発力を有する同社だが、そのアドバンテージを更に強固なものとすべく2017年に設立したのが「先端技術開発センター」である。
同センターでは約数十名の先端技術者がAIやビッグデータ分析に特化しており、そのネイティブな英語力を活かし世界的なトップ研究者に繋がることで最先端技術にアクセスできる体制を構築している。
これにより短期間かつ低コストで顧客ニーズにマッチした高付加価値プロトタイプ(試作品)を作成し、日本の大手顧客に直接提供することが可能となったため、同社の提案力は飛躍的に向上している。

 

⑤外部から高評価を獲得
高いハードルを越えてプロジェクトに参画することができたトップエンジニア達の活躍は外部から高く評価され数々の受賞歴に結びついている。
*2020年、フィリピン子会社がフィリピン貿易産業省等よりソフトウェア開発サービス輸出優秀賞を受賞。
*2020年、エンジニア2名がアジア版情報処理技術者試験のトップ合格者の中でも特に優秀なアジアトップガン人材に選出。
*2017年、「国際ICTアワード」においてフィリピン子会社がフィリピン全土NO.1のベストソフトウェアカンパニーを受賞。
*自社研修プログラム「ACTION」がフィリピンeサービスアワードにおいて企業プログラム部門賞等を6年連続で受賞。

 

1-4-2 強固な顧客基盤
グローバル事業、メディカル事業ともに圧倒的な競争優位性を武器に強固な顧客基盤を構築している。
成長戦略における、サブスクリプションモデルによるストック型ビジネスの拡大、Win-Winインベストメントモデルにおける成長企業と顧客企業のマッチングなどにおいてもこの強固な顧客資産は大きな役割を果たすものと思われる。

 

1-4-3 グループ内外を問わない仲間意識、オーナーシップが根付いた企業風土
青木社長は海外を含めた従業員およびその家族を「仲間」と位置付け、全員が笑顔を絶やさず常に明るく前向きに、現状に満足することなく1人1人がオーナーシップを持って時代を先取りすることによって飛躍する企業グループであることも同社グループの強みの一つであると考えている。

 

このフラットな関係性を重視する仲間意識は、グループ内だけではなく、グループ外に対しても向けられている。
同社の重要な成長戦略の一つである「Win-Winインベストメントモデル」はリーディングカンパニーや成長企業との協業・戦略的提携を推進し、既存事業の成長の加速と新規事業の創出を図るものだが、企業規模の違いや株主と出資先といった関係を超え、ともに成長を目指す「仲間」であるとの意識を根底に置いていることが、提携先企業に向けたモチベーションの一段の向上に繋がると期待できる。この点は一般的なVCやCVCとの大きな違いであろう。

 

【1-5 ROE分析】

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

20/3期

21/3期

22/3期

ROE(%)

12.2

17.7

24.7

27.3

24.2

24.6

 売上高当期純利益率(%)

-0.16

3.76

6.63

10.37

13.21

14.86

17.61

 総資産回転率(回)

1.46

1.44

1.36

1.27

1.17

1.02

0.94

 レバレッジ(倍)

2.62

2.25

1.96

1.87

1.76

1.60

1.49

*総資産回転率及びレバレッジは期首・期末平均を使用。有価証券報告書・決算短信を元に(株)インベストメントブリッジが計算。

 

総資産回転率、レバレッジは低下傾向にあるが、マージン改善が続いている。今期の予想売上高当期純利益率は17.0%。
引き続き高水準のROEを維持するであろう。

 

【1-6 株主還元】

同社は株主への利益還元を経営の最重要課題の一つとして認識しつつも、これまでは将来の事業展開と経営体質の強化のための内部留保の拡充を優先してきたが、昨今の受注の拡大及び堅調な業績の進捗に加えストック型の高収益モデルの基盤を確立したことを踏まえ、19年3月期、初めて5.00円/株の配当を実施。前21/3期は前期比2円増配の7.00円/株とした。配当性向は13.1%。
今後はサブスクリプション事業モデルへの転換による安定的なキャッシュ・フローの創出をベースに、業績の成長と戦略的投資のバランスを取りながら、将来的には配当性向30%以上を目指して株主還元策の拡充にも注力する考えだ。

【1-7 ESGに関する取り組み】

「技術」「人材」「知財」「先見性」「パートナーシップ」の5つのコアアセットを基にビジネスイノベーションを創出し、少子高齢化、医療逼迫、IT人材の枯渇、DXといった課題を解決することを社会的な責務・存在意義であると考えている同社のESGに関する取り組みは以下の通り。

 

グローバル事業 *顧客DX(AI/分析/自動化/クラウド等の先進技術支援を通じたお客様の業務改革)

*国内企業のグローバル化支援を通じた日本のグローバル競争力向上

メディカル事業 *保険業界向け新事業に代表される非競争領域のプラットフォーム化による三方良しの推進

*医師の働き方改革/医療ヘルスケアDX(医療安全と質の向上、医療機関の収益/業務改善、ペーパーレス/クラウド化、遠隔診療等の医療の多様化支援)

グループ全体 *レジリエンス経営(テレワークを含む事業継続体制の強化)

*SDGsに資する社会的インパクトの高い企業との戦略的提携

*アジアの若い人材の教育と活躍の場の提供

*人材と管理職の多様性への取り組み

*従業員へのインセンティブ施策強化

 

2.2022年3月期決算概要

(1)業績概要

21/3期

構成比

22/3期

構成比

前期比

予想比

売上高

4,198

100.0%

4,726

100.0%

+12.6%

-4.8%

売上総利益

1,822

43.4%

2,003

42.4%

+9.9%

販管費

903

21.5%

970

20.5%

+7.4%

営業利益

919

21.9%

1,033

21.9%

+12.4%

-4.2%

経常利益

877

20.9%

1,055

22.3%

+20.3%

-4.4%

当期純利益

623

14.9%

832

17.6%

+33.4%

+2.6%

*単位:百万円。

 

増収増益。利益は過去最高を更新。
売上高は前期比12.6%増の47億26百万円。グローバル事業は主要ピラー顧客からの売上とソリューションの受注獲得が引き続き堅調。メディカル事業も主力商品Mightyシリーズのパッケージ販売が順調。
営業利益は同12.4%増の10億33百万円。増収も戦略的投資などで粗利率は1.0ポイント低下したが、売上総利益は同9.9%増加。販管費が同7.4%の増加にとどまり、2ケタの増益。
戦略的投資は例年の通常投資に上乗せし、第1四半期から第3四半期に前倒しで実行した。下期から回収フェーズに入り、売り上げ増加に結び付いている。
経常利益は同20.3%増の10億55百万円。
予想に対し売上高、営業利益、経常利益は未達も、各段階利益は過去最高を更新した。

 

(2)セグメント別動向

21/3期

構成比

22/3期

構成比

前期比

グローバル事業

2,761

65.8%

3,241

68.6%

+17.4%

メディカル事業

1,435

34.2%

1,484

31.4%

+3.4%

連結売上高

4,198

100.0%

4,726

100.0%

+12.6%

グローバル事業

492

17.8%

495

15.3%

+0.6%

メディカル事業

734

51.1%

846

57.0%

+15.4%

調整額

-308

-309

連結営業利益

919

21.9%

1,033

21.9%

+12.4%

*単位:百万円。売上髙は外部顧客への売上高。営業利益の構成比は売上高利益率。21/3期は「その他」を含めない数値。連結売上高、連結営業利益は、連結財務諸表計上額。

 

(グローバル事業)
増収増益。

 

主要ピラー顧客からの売上とソリューションの受注獲得が継続している。DX人材の育成とサブピラー化に向けた取り組みの強化を通じて更なる高収益モデルを進めるべく、第3四半期より新卒採用(約70名)及び新卒研修ACTIONを再開した。

 

公共関連企業をはじめとした、アライアンス型のラボ開発モデルを更に強化する為、国内における「Ubicom開発パートナーシップ」を推進した。エンタープライズ事業部において、日本における上流経験や積極的な人材投資を継続し、IBM以外のプロジェクトの深耕を促進した。また、若手を中心とした先端技術案件に加え、同社の日本人PMによる、金融領域の老朽化したレガシーシステムの更改・運用・保守案件も今後更なる拡大を見込んでいる。

 

中国における上期のオフィス拡張や人的投資の発現、人員大幅拡充とレノボ以外の新規グローバルピラー候補顧客の獲得により、売上損益が計画比5割以上増加した。

 

コロナ禍におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)化をチャンスと捉え、更なる事業拡大に向け、新規受注が見込まれる海外拠点を含めた戦略的投資を継続実施した。大手不動産テック等、新規獲得顧客に加え、ピラー化見込み顧客が順調に増加している。

 

(メディカル事業)
増収増益。

 

新商品のMighty Checker EXが寄与するなど、Mightyシリーズのパッケージ販売に係るストック(医療機関導入数)は順調に拡大している。コロナ禍の影響による医療機関への訪問自粛等の影響が縮小し、新規ユーザー数は回復基調にある。

 

収益率の低い受託案件を絞り込む一方、実現した高収益サブスクモデルの確立と価格政策の実行、ソリューションの重ね売り等により、セグメント利益が大幅に改善し、営業利益率は57.0%に上昇。2022年3月期第4四半期(1‐3月)の売上高営業利益率は59.6%と6割に迫る。

 

本格ローンチした次世代レセプトチェックシステム「Mighty Checker EX」やOEM供給を開始した「Mighty Checker Cloud」の引き合いが好調で、医療グループ内病院における導入含め、堅調に推移した。

 

新型コロナウイルス感染症対策としてWEBを活用した営業・サポートへの移行により、更なるダイレクトアカウント(直接販売)獲得が進んだ。

 

保険会社向け新ソリューション「保険ナレッジプラットフォーム」の収益化と複数の保険会社との実証実験を継続し、受注および横展開を推進した。Mightyシリーズに次ぐ将来の「新たなサブスク型の収益源」の確保に向け、知財戦略を含めた積極的な投資を継続した。

 

(3)財政状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

21/3末

22/3末

増減

21/3末

22/3末

増減

流動資産

3,793

4,509

+716

流動負債

1,239

1,464

+224

 現預金

2,808

3,377

+569

 短期借入金

100

100

+0

 売上債権

655

927

+271

 前受金・契約負債

682

691

+9

固定資産

647

1,114

+467

固定負債

258

347

+88

 有形固定資産

60

53

-7

負債

1,498

1,811

+313

 無形固定資産

81

260

+179

純資産

2,942

3,812

+870

 投資その他の資産

504

800

+295

 利益剰余金

1,518

2,270

+751

資産合計

4,440

5,624

+1,183

負債・純資産合計

4,440

5,624

+1,183

単位:百万円。

 

現預金、売上債権の増加等で資産合計は前年末に比べ11億83百万円増加の56億24百万円となった。
負債合計は同3億13百万円増加の18億11百万円。
利益剰余金の増加で純資産は同8億70百万円増加の38億12百万円。
この結果、自己資本比率は前期末から1.5ポイント上昇し67.8%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

21/3期

22/3期

増減

営業CF

921

874

-47

投資CF

-60

-202

-142

フリーCF

861

671

-189

財務CF

-76

-151

-75

現金同等物残高

2,773

3,342

+569

*単位:百万円。

 

営業CF、フリーCFのプラス幅は縮小。
キャッシュポジションは上昇した。

 

3.2023年3月期業績予想

(1)業績予想

22/3期

構成比

23/3期(予)

構成比

前期比

売上高

4,726

100.0%

5,446

100.0%

+15.2%

営業利益

1,033

21.9%

1,254

23.0%

+21.4%

経常利益

1,055

22.3%

1,271

23.3%

+20.5%

当期純利益

832

17.6%

925

17.0%

+11.2%

*単位:百万円。予想は会社側予想。

 

増収増益。利益は連続して過去最高を更新。
売上高は前期比15.2%増の54億46百万円、営業利益は同21.4%増の12億54百万円、経常利益は同20.5%増の12億71百万円の予想。営業利益、経常利益は今期も過去最高を更新する見込み。
引き続き「戦略的投資」を進めるが、これを吸収したうえで2桁の増益を目指す。
配当は現時点では未定としているが、今期も利益水準に応じて適切な株主還元を実施する考えだ。

 

(2)重点施策

利益バランスをチェックしつつ、第2成長フェーズの推進に向けた基盤強化施策を遂行する。
主要なポイントは以下の4点。

 

1.『Go Global 戦略』に資するエキスパート・リソースの充実化
次世代ビジネスを牽引する若手エキスパート人材の強化を図る。

 

2.フィリピンエンジニアの採用育成の強化
新卒者を中心に約200名以上を採用する予定である。
デジタル先進国企業とのアライアンスを通じたAI教育を実施する。

 

3.メディカル投資戦略の強化
クラウド/DX/働き方改革に係る医療機関向け新ソリューションを開発する。
フィリピンにおけるメディカルエンジニア育成をさらに推進する。

 

4.M&Aの実行

 

4.中期ビジョン実現に向けた取り組み

(1)各事業動向

①グローバル事業
◎グローバル事業の目指す方向性
同社では、日本のソフトウェア開発の潜在市場は約10兆円、そのうち現在のオフショア利用率は2%程度に過ぎず、今後10%までは上昇する余地があると見ている、
また、グローバル潜在市場規模は国内市場規模の約10倍以上は存在すると見ている。
一方で、DX人材は2030年には54.5万人不足するとも言われている。

 

そうした需要を取り込むため、技術力・語学力・グローバル開発力を備えたオフショアでDXに取り組むことができる人材育成のための教育投資に注力する。
アジアの若い人材にとってより魅力的なキャリアを提供することで同社への求心力を向上させる。
また、日本のみでなく、より巨大市場である欧米も視野に入れている。

 

23年3月期は、この巨大市場開拓に向け、グローバルなM&Aや戦略的なアライアンスを推進するほか、グローバル出資先との業務提携を実施する。出資先の先端人材やPMとの技術提携を突破口とする考えだ。
また、高単価ビジネスモデルの確立にも取り組む。

 

英語と日本語ができるエンジニアを有することで自社の競争優位性が更に向上。「英語」×「ジャパンクオリティ」は、同社しか提供できない高付加価値であると考えている。

 

◎顧客のピラー化
同社では継続的に取引のある各業界のマーケットリーダーで数億円規模の売上実績のある顧客をピラー顧客(主柱となる顧客)と定義している。
新規顧客に関しては当初は顧客先に1-5名が出向してオンサイトで開発に当たるが、売上額が拡大するにつれエンジニア配属数を増やし、オフショアへの切り出しを始め、オフショア中心の開発体制に移行。最終的には50名以上が継続的な開発を行うビッグピラー顧客とすることを目指している。
この段階に進む過程で、規模のメリット、業界の知見集積による開発生産性の向上、テスト自動化等の自社ソリューションの展開により、収益性の増加が見込まれる。
22年3月期は12社の新規ピラー候補顧客を獲得した。24年3月期には既存ピラー顧客7社(顧客別売上高数億円規模)に加え20社以上のピラー顧客の確立を目指している。

 

◎ピラー化と高単価ビジネスモデルを加速化
国内外のアライアンス先、M&A先、業務提携先との共創により、ピラー化と高単価ビジネスモデルを加速させる。
日本においては、アライアンスにより上流工程アーキテクトによる技術参画やリーダー育成を支援し、オフショア開発の単価を向上につなげる。
加えて、M&Aやアライアンスにより、開発力の増強、グローバル市場への参入、高単価ビジネスへの移行加速を図る。

 

◎先端人材育成によるAI関連ビジネスの拡大
コロナ禍以降、ワークスタイルの変革に伴う需要増によりPCメーカー関連のビジネスが急成長している。顧客のうち、PCメーカーを中心とする顧客売上高はコロナ禍前は約2割であったが、前期は約4割に上昇した。
今後もこうした需要を取り込みつつ、先端人材を育成し、AI領域の受注拡大に注力する。

 

 

②メディカル事業
◎メディカル事業の目指す方向性
「事業内容」の項で触れたように、日本の医療逼迫は深刻な状況となっている。その改善に向けて医療機関の経営を多面的にサポートする。

 

(Mighty Checker、Mighty QUBEによる医療機関経営改善の強化)
約200床の中規模病院を想定したMighty Checker導入によるレセプト作業時間削減効果は、約60%。コスト削減効果は55%。
また、ドクター向けMighty QUBEは、外来医師の労働時間を約28時間短縮(月/医師当たり)し、過度なストレスを軽減している。また、残業代など関連コストの削減や病名漏れなどでの査定削減による増収も合わせ、年間約7,000万円の収益改善効果がある。加えて、電子カルテ入力支援による入力ミスの防止、患者に集中できるような診療外業務の効率化支援など、医療の安全と質向上にも貢献する。
このように「人材不足解消」「医師等の働き方改革」「残業削減」を実現し、医療機関経営改善に大きく貢献する。
(注:上記は約200床の中規模病院を想定し、同社の設定した条件下での検証結果)

 

(保険ナレッジプラットフォーム)
保険会社数社に対しマーケティング及びプロトタイプの提供と実証実験を行っており、本格ローンチ(リカーリング開始)に向けて着実に前進している。
21年11月には、保険会社における保険給付金支払業務の一部自動化に向けた新たなDXメニューである「ゆらぎ補正」の提供を開始。業務利用も始まっている。

 

◎メディカル領域のニッチNo.1プラットフォーム
医師の働き方改革と医療体制/経営の両立を支援する「Mightyシリーズ」の目標市場規模は100億円、保険業界のDX化を進める「保険ナレッジプラットフォーム」の同市場規模は40億円と同社では試算している。
「Mightyシリーズ」を呼び水に、「保険ナレッジプラットフォーム」で横展開を進め、さらなる横展開として、今後は国内外における新たな医療プラットフォームの構築を検討・準備中である。
「医療機関」に特化したDXソリューションのマーケットリーダーとしてのポジションを呼び水に、メディカル領域のニッチNo.1プラットフォームを目指す考えだ。

 

また、メディカル領域には、ドクターのみでなく、事務長、医事課、院長、代理店など様々なキープレーヤー及びそれぞれのコミュニティが存在する。
このコミュニティを対象とした潜在市場規模は3,000億円と同社では試算しており、巨大市場を顕在化させ、ニューマーケットを創出するために新プラットフォームに加え、新ソリューションの構築を進めていく。
営業チームのコンサル化、メディカルエンジニア育成、ダイレクトカスタマーサポート強化、新たな知財や情報提供プラットフォーム展開などが新市場創出に必要なアクションである。

 

◎M&A戦略の推進
これまで同事業でのM&Aにおいて「意識改革の実行」「利益率の改善」「グループ内におけるタスクフォースの成功」というステップを踏んで売上・利益の拡大、利益率の向上を実現させてきた同社は、PMI(経営統合)ノウハウを活かし、プラットフォーマー戦略に資する新たなM&Aの実現を目指している。

 

 

③グループ全体
戦略
フィリピン拠点を活用したメディカルエンジニアの育成および次世代型メディカルエンジンの開発を強化し、SaaS/リカーリングモデルの積み上げを図る。
また、メディカル領域をはじめとするM&A先やグローバルパートナーとのアライアンス体制の早期構築を目指している。

 

(2)成長ビジョン

既存事業とM&Aのシナジーを最大化し、新たなリカーリング/SaaSモデルの積み上げを推進。
各事業で掲げている成長ビジョンの実現に向け戦略的投資を実行し、「ニッチNo.1プラットフォーマー戦略」を推進する。

 

(同社資料より)

 

5.今後の注目点

メディカル事業の収益性向上が続いている。直販・クロスセルの拡大、価格改定により第3四半期の営業利益率は60%を超えた。Mighty Checker、Mighty QUBEに加え、保険ナレッジプラットフォームが本格稼働すれば更なる向上が期待できよう。
一方、コロナ禍の影響も残る中、収益率の低い案件を絞り込んだこともあり、第1四半期から第4四半期まで四半期ベース売上高は横ばいで、通期売上高は微増収にとどまった。21年3月期のような上昇トレンドに再び向かうか注視していきたい。
グローバル事業においては、24年3月期のピラー顧客20社以上確立という目標に対する進捗を注目していきたい。

 

(同社資料を基にインベストメントブリッジが作成)

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役設置会社
取締役 5名、うち社外2名(うち独立役員2名)
監査役 3名、うち社外2名(うち独立役員2名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2021年12月27日

 

*基本的な考え方
当社は、「唯一無二のビジネスイノベーションカンパニーであり続けること」「グローバル展開」「Win-Winモデルの推進による相互発展」を経営理念としております。この経営理念のもと、更なる企業価値の向上及びグローバルな競争力を維持していくためには、コーポレート・ガバナンスの充実と強化が重要課題であると認識しております。具体的には、「より効率的かつ健全に事業活動を行うことにより、企業の収益力を高め、株主の利益を最大化することを目標とする」との基本的認識とコンプライアンスの重要性をコーポレート・ガバナンスの基本的な考え方として、株主、従業員、取引先、地域社会等のあらゆるステークホルダーに対して社会的責任を果たし、持続的成長と発展を遂げていくことが重要であるとの認識にたち、コーポレート・ガバナンスの強化に努めております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
2021年6月の改定後のコード(プライム市場向けの原則を除く)に基づき記載しております。

原則

実施しない理由

【補充原則2-4① 中核人材の登用等における多様性の確保】 当社においては、性別・国籍を問わず経験・能力等に基づいた中途採用により事業拡大を行っております。そのため、「女性」「外国人」「中途採用者」に特化した管理職への登用に関する施策・目標設定は行っておりません。また、女性役員及び外国人役員はおりませんが、性別、国籍によらず、人格、見識、経営能力ともに優れた人材の登用を推進しております。なお、現在、国外の子会社の取締役として1名の女性役員(外国籍)が活躍しており、今後も多様な人材の登用に努めてまいります。

さらなる多様性の確保に向けた人材育成方針や社内環境整備方針を含め、中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略を検討することとしております。

【補充原則3-1③ サステナビリティについての取組み】 当社は、サステナビリティについての取組みを当社ウェブサイト(https://www.ubicom-hd.com/ja/sustainability.html)で閲覧できるよう開示を行っておりますが、人的資本や知的財産への投資等の開示については検討することといたします。
【補充原則4-2② サステナビリティを巡る取組み(基本方針の策定)】 当社は、サステナビリティを巡る取組みについての基本方針(ESGの基本方針)を当社ウェブサイト(https://www.ubicom-hd.com/ja/sustainability.html)で閲覧できるよう開示を行っております。

今後、取締役会においては、人的資本・知的財産への投資をはじめとする経営資源の配分や事業ポートフォリオに関する戦略について、中期経営計画及び単年度経営計画の策定の際に取締役会で実効性を含めて審議を行い、監督することを検討してまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
2021年6月の改定後のコード(プライム市場向けの原則を除く)に基づき記載しております。

原則

開示内容

原則1-4【政策保有株式】 当社は、当社グループの中長期的な企業価値向上に資すると判断される場合、株式を政策保有します。当該株式の保有は、業務提携・協業などによる取引関係の維持・強化等、保有目的の合理性が確保されているなどの条件を満たす範囲で行うことを方針としております。また、株式に係る議決権の行使については、議案が当社保有方針と適合するかを勘案したうえで議決権の行使を行うこととしております。

なお、本報告書提出日現在、政策保有株式については、保有しておりません。

原則5-1【株主との建設的な対話に関する方針】 株主からの対話の申込みに対して、積極的に対応しております。

当社のIR活動は、戦略企画本部を担当部署とするIR体制を整備しており、投資家からの電話取材やスモールミーティング等のIR取材を積極的に受け付けております。

更に、代表取締役自らが出席する決算説明会の開催及び決算説明の動画の配信を、年2回以上実施しております。

その他、当社の情報開示およびインサイダー情報の管理については、当社のディスクロージャーポリシー(https://www.ubicom-hd.com/ja/ir/policy.html)に従って実施しております。

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