今年のマーケットを振り返る5 為替市場 円は主要通貨に対し円安基調、対新興国通貨はまちまち

2021/12/28

今年のマーケットを振り返る5 為替市場

円は主要通貨に対し円安基調、対新興国通貨はまちまち

【ポイント1】2021年の円相場は主要通貨に対し円安基調

■2021年の円の対米ドル相場は、もみ合う期間はあったものの、概ね円安基調となりました。昨年末に1ドル=103.25円だった円相場は、足元で114円台で推移しています。円は年初から弱含み、米長期金利が上昇したことから、3月には110円台を付けるなど、一方向で円安が進行しました。その後9月下旬までは108円~110円台のもみ合いが続きましたが、10月以降は、米国の物価上昇による米利上げ観測の高まりや原油高などを背景にした日本の貿易収支悪化観測から円が一段と売られ、11月下旬には約4年ぶりに115円台を付けるなど、レンジを切り下げました。

■円の対ユーロ相場は、米ドルに比べ小幅な円安にとどまりました。昨年末に1ユーロ=126.18円だった円相場は、足元で129円台となりました。欧州景気の回復期待の高まりを背景に、5月下旬までは一方向に円安が進みましたが、その後は欧州での新型コロナウイルスの感染再拡大などからユーロの上値が重くなりました。

【ポイント2】円は対新興国通貨ではまちまちの動き

■円は主な新興国通貨に対しては、まちまちの動きとなりました。中国・人民元は相対的に高い経済成長率を背景に対円で上昇基調を辿り、ほぼ一方向の円安が進行しました。インド・ルピーは、インドの景気回復期待などから緩やかな円安が進行しました。ブラジル・レアルは年前半、ブラジルの利上げや資源高を背景に堅調に推移しましたが、インフレや財政悪化の懸念から反落し、年初来では対円でほぼ横ばいとなりました。トルコ・リラは、脆弱なファンダメンタルズから軟調に推移するなか、トルコ中央銀行の金融政策への信用失墜から10月以降急落し、大幅な円高となりました。足元はトルコ政府の異例の通貨防衛策で急反発しました。

(2021年12月28日)

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