来週の金融市場見通し(2021年8月2日~2021年8月6日)
■来週の見通し
米連邦公開市場委員会(FOMC)では、最大雇用と物価安定の目標に向けて経済は進展しているものの、目標達成についてまだ距離があるとの認識が示され、米国債などを買い入れる量的緩和の縮小(テーパリング)の早期開始への警戒感が和らいでいます。他方、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、国内では東京都への緊急事態宣言が延長されるとともに、対象地域が拡大されます。来週は、コロナの動向に加え、佳境を迎える国内企業の4-6月期の決算発表、米雇用統計なども確認したいところです。
◆株価 :小幅な反発か
日本株は、小幅な反発が予想されます。日米の企業業績への期待などが、株価を支援する見通しです。米国の金融引締め観測の後退も、投資家心理を支えそうです。また、緊急事態宣言が発令されているものの、外出自粛や営業制限の動きは限定的です。そうした中、本格化した国内の企業決算で良好な結果が相次いだ場合、一段の株価上昇も見込まれます。ただ、変異ウイルスの世界的な感染拡大が、株価の上値を抑える場面もありそうです。
◆長期金利 :一段の上昇は限定的か
週初は、新型コロナの感染再拡大が世界景気の回復を鈍化させるとの見方から、安全資産とされる国債が買われ、長期金利は再び0.005%まで低下しました。ただ、その後は低下し過ぎとの見方などから、0.02%前後まで上昇する動きになりました。米国のテーパリング早期開始への警戒は後退していますが、新型コロナの感染再拡大や緊急事態宣言の延長は長期金利の上昇を抑えそうです。10年国債入札も確認したいところです。
◆為替 :上値重い
FOMCの結果は市場の想定の範囲内であり、米長期金利やドル円相場に大きな影響はありませんでした。世界的な新型コロナ変異株の感染拡大の景気への悪影響や米中関係の悪化などへの懸念を背景に、来週も市場ではリスク回避の円買いの動きがやや優勢となりそうです。また、米長期金利の上昇は限定的とみられることから、ドル円の上値は重いと想定され、日米株価が大きく調整した場合は、108円台に下落する可能性もありそうです。
◆Jリート :底堅い
東証REIT指数が、2,150ポイントを下回ると値ごろ感からの買いや相対的に高い利回りに着目した買いなどが入る一方、上回ると利益確定売りに上値を抑えられる動きになりました。米長期金利は19日で一旦底打ちした格好ですが、1.2%台にとどまっています。国内の長期金利も0.0%に近い水準で推移しており、Jリートの利回り面での投資妙味は引き続き下支え材料です。新型コロナの感染拡大は重しながら、底堅い動きが続きそうです。
■来週の注目点
家計調査(6月) 8月6日(金)午前8時30分発表
家計調査によると、実質消費支出(二人以上の世帯)は5月に前年比11.6%増と、前月の同13.0%増に続き、大幅な増加を示しました。特に外食、宿泊、自動車購入などに関し、支出増が顕著となりました。
6月の実質消費支出は、小幅な増加が見込まれます。新型コロナウイルスの感染は続いているものの、外出自粛の動きは限定的となっていることなどが、消費を下支えする見込みです。ただ、前年同月の消費は一旦、持ち直しの動きを示したことから、それと比較した今年6月の消費は、小幅な伸びにとどまりそうです。
米雇用統計(7月) 8月6日(金)午後9時30分発表
6月の米雇用統計において、非農業部門雇用者数は前月比85万人増となり、市場予想を上回りました。一方、失業率は5.9%と市場予想を上回り、前月より悪化しました。失業率上昇は、景気回復に伴い、職探しをする人や自主的に離職する人が増えたことが要因とみられます。
新型コロナ変異株の感染拡大は依然懸念されるものの、ワクチン接種の進展や事業活動の制限措置解除を背景に、労働市場の回復の流れは継続するものとみられます。7月の非農業部門雇用者数は前月比93万人増程度、失業率は5.6%程度を想定しています。
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