来週の金融市場見通し(2021年3月15日~2021年3月19日)

■来週の見通し

米国では1.9兆ドル規模の追加経済対策法案が成立しました。新型コロナウイルスのワクチン接種も急ピッチで進んでおり、追加経済対策とともに、米経済を押し上げそうです。来週は、日米で金融政策の決定会合が開かれます。日銀金融政策決定会合では、上場投資信託(ETF)等の購入弾力化、長期金利の変動幅の明示や拡大などが検討されるとみられます。米連邦公開市場委員会(FOMC)では、最近の長期金利の上昇について何らかの見解が示されるか、また政策金利見通しに変化があるかが注目されます。

◆株価 :緩やかな上昇か

日本株は、緩やかな上昇が予想されます。追加経済対策による米景気の拡大観測などが、株価を支える見通しです。ただ、内外の長期金利上昇に対する警戒などが、株価の重しとなる場面もありそうです。なお、来週の日銀金融政策決定会合では、金融緩和策の点検結果が公表されます。上場投資信託(ETF)の買入れ方針などが注目されるものの、市場に配慮した方針変更にとどまる可能性が高いため、当面の株価への影響は限られそうです。

◆長期金利 :日銀にらみ

日銀の雨宮副総裁が長期金利の変動幅拡大に肯定的な姿勢を示したことを受け、長期金利は一時0.135%まで上昇しましたが、米長期金利の上昇が一服したことや、20年国債入札が無難な結果になったことから、0.10%前後まで低下する動きになりました。来週の日銀金融政策決定会合では、長期金利の変動幅の拡大などが検討されるとみられます。拡大された場合には、日銀が容認する上限を試す動きになる可能性もあり、注意が必要です。

◆為替 :方向感乏しい

ドル円は、米長期金利の動向に左右されやすい状況が続きそうです。来週はFOMCや日銀金融政策決定会合が控えており、小動きが予想されます。米国の追加経済対策が成立したことから市場はリスク選好優勢となっており、リスク回避通貨であるドルと円は、ともに売られやすい状況です。したがってドル円は、高止まりしている米長期金利を背景に堅調地合いながらも、108円台を中心にやや方向感の乏しい展開が見込まれます。

◆Jリート :金利上昇には注意

週前半は売り優勢も、米長期金利の上昇一服を受け、投資家心理が上向き、週央以降は持ち直しました。2月の東京都心のオフィス空室率は上昇したものの、影響は限定的でした。利回り面での魅力に加え、コロナ後の景気回復に投資家の関心が移っている可能性がありそうです。来週は、日銀がJリートの購入弾力化を決定する可能性がありますが、影響は限定的とみられます。ただ、長期金利上昇を容認する可能性があり、注意が必要です。

来週の注目点

日銀金融政策決定会合 3月18日(木)・19日(金)

今回の金融政策決定会合では、金融緩和策の「点検」の結果が注目されます。

日銀は2013年に「異次元緩和」を開始したものの、2%のインフレ目標は達成されず、足元、インフレ率はマイナスとなっています(2月の消費者物価指数は3月19日発表)。そうした中、日銀は「点検」で、インフレ目標の妥当性を改めて確認するとともに、持続的な政策運営に向けた政策調整を議論する見込みです。具体的には、国債や上場投資信託(ETF)の買入れ方針などに関し、変更が行われる可能性があります。とはいえ、金融市場の混乱を避けるべく、今回は政策の微調整にとどまりそうです。

米小売売上高(2月) 3月16日(火)午後9時30分発表

1月の米小売売上高は前月比5.3%増となり、7か月ぶりの大幅増となりました。米国各地で新型コロナ感染拡大に伴う行動制限が徐々に緩和され始めているうえ、昨年12月に実施された追加経済対策に盛り込まれていた個人への直接給付や失業保険上乗せ給付が家計の需要回復に寄与したものとみられます。

米国の新型コロナ感染者の減少に加え、ワクチン接種に進展がみられること、また、新たな大規模追加経済対策が成立したことから、今後も、個人消費は徐々に回復していくと想定されます。ただ、2月の同指標は1月の反動から前月比0.3%減程度が見込まれます。

 

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