東京通信<7359> 広告代理事業を主力事業とするインターネット上のマーケティング会社

2021/01/15

スマートフォン向け無料ゲームアプリの企画・開発・運用を行うアプリ事業と広告代
理事業を主力事業とするインターネット上のマーケティング会社

業種: サービス業
アナリスト: 鎌田 良彦

◆スマホ向け無料ゲームが主軸のインターネット上のマーケティング会社
東京通信(以下、同社)グループは、同社と連結子会社7社及び持分法適用会社1社からなり、インターネット上のマーケティング会社として、アプリ事業と、広告代理事業を主要事業としている。

同社グループのセグメントは、アプリ事業、広告代理事業、その他の3つに分類されている(図表1)。

◆ アプリ事業
アプリ事業では、スマートフォン向けの無料ゲームアプリを企画・開発・運用し、ゲームユーザーがゲーム内に表示される広告をクリックした場合等に広告収入を得ている。ゲームアプリは、カジュアルゲームとハイパーカジュアルゲームに分類され、カジュアルゲームは国内と海外に展開し、ハイパーカジュアルゲームは海外展開を主軸としている。

カジュアルゲームとは、隙間時間等を利用して短時間でのプレイが可能な簡単なゲームであり、国内向けカジュアルゲームをプレイするには日本語や日本の文化を理解している必要がある。ヒットゲームとしては、「ナゾトキの時間」、「3分間ミステリー」等がある。海外カジュアルゲームは、国内で一定の成果を上げたゲームアプリを現地向けにローカライズしたもので、主に中国向けに展開している。国内カジュアルゲームの運用・管理は子会社のMASKが担当し、海外カジュアルゲームの運用・管理は子会社のBabangidaが担当している。

ハイパーカジュアルゲームは、カジュアルゲームよりもゲームデザインがよりシンプルで、海外向けを中心としており、ユーザーの年齢、性別、国籍等を問わずに誰もが遊べる内容と操作性になっている。海外ハイパーカジュアルゲームは、19年5月から本格的な取り組みを始め、米国を中心に展開している。ヒットゲームとしては、「Push Battle!」、「Find Proof(彼氏が浮気してるっぽい)」、「Save them all」等がある。海外へのゲームアプリの配信は、AppStoreやGooglePlay等のプラットフォームで配信先を指定することで可能になる。海外ハイパーカジュアルゲームの運営・管理は子会社のftyが担当している。

ゲームアプリのユーザーは、AppStoreやGooglePlay等のプラットフォームや、同社が広告を出稿した他社のゲーム内の広告経由でゲームアプリをダウンロードしてプレイをする。同社のゲームアプリ内の広告枠は、アドネットワーク注1事業者を含む広告代理店に販売され、同社が他社のゲーム等に出稿する広告もアドネットワーク事業者等経由で出稿される。

◆ 広告代理事業
広告代理事業では、フジ・メディア・ホールディングス(4676東証一部)子会社のフジテレビジョンが運営するVOD注2サービスであるFODの、新規会員獲得のためのアフィリエイト広告注3(成果報酬型広告)代理店業務を主に行っている。

同事業では、子会社のテクノロジーパートナーが、アフィリエイト広告の媒体者であるアフィリエイターを管理するASP注4と広告主のフジテレビジョンの間のリレーション業務を行っている。具体的には、不正取引の防止や、複数のASP経由の広告成果を重複なく管理するワンタグサービス注5の提供等を行っている。また、子会社のスマートプロダクトはASP業務を行っている。

◆ その他
その他では投資事業、ソリューションセールス事業、新規事業開発等を行っている。

投資事業では、持分法適用会社のBASE Partners Fund 1号投資事業有限責任組合を通じてインターネット関連企業への投資を行っている。投資対象は起業前、起業直後、または市場確保前といった早期の投資ステージにある企業で、1社当たりの投資額は、2,000~5,000万円となっている。上記ファンドは、同社及び子会社の東京通信キャピタルが無限責任組合員となっている子会社のbasepartners有限責任事業組合と外部有限責任事業組合の2社で運営しており、basepartners有限責任事業組合は運用資産の管理を、外部有限責任事業組合は投資先企業の発掘を担当している。

ソリューションセールス事業では、従来業務とは異なる新規事業としてOA機器の販売代理を行っている。

◆ 主要販売先
主要販売先は、広告代理事業での広告主であるフジテレビジョン以外の会社は、アプリ事業でのアドネットワーク事業者となっている(図表2)。

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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