(9423)フォーバル・リアルストレート 成長性、生産性向上の取組に注目

2020/11/26

 

 

 

吉田 浩司 社長

株式会社フォーバル・リアルストレート(9423)

 

 

企業情報

市場

東証JASDAQ

業種

情報・通信

代表取締役社長

吉田 浩司

所在地

東京都千代田区神田神保町3-23-2 錦明ビル

決算月

3月

HP

https://www.realstraight.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

104円

23,689,800株

2,463百万円

19.3%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

1.60円

1.5%

2.73円

38.1倍

14.15円

7.3倍

*株価は11/16終値。発行済株式数、DPS、EPSは21年3月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2017年3月(実)

1,146

45

46

73

3.15

1.00

2018年3月(実)

1,281

56

56

68

2.93

1.20

2019年3月(実)

1,517

68

68

100

4.29

1.40

2020年3月(実)

1,752

78

78

61

2.61

1.60

2021年3月(予)

85

85

64

2.73

1.60

*単位:円、百万円。予想は会社予想。売上高の予想は未定。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下、純利益については同様)。

 

フォーバル・リアルストレートの2021年3月期第2四半期決算概要等についてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年3月期第2四半期決算概要
3.2021年3月期業績予想
4.主な取り組み
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 21年3月期第2四半期の売上高は前年同期比2.4%増の8億58百万円。引き続き顧客企業の移転時における、不動産物件の仲介から内装工事、各種インフラの整備やオフィス機器・什器の手配までをトータルにサポートするソリューション事業を中心に事業活動を進めた。売上の内訳は、不動産仲介等の売上高が同24.2%増の1億7百万円、内装工事及びそれに付随するサービスに関する売上高が同0.1%減の7億50百万円。利益面では、粗利率が同2.5%ポイント上昇し粗利額は同7.4%増加。人件費中心に販管費も同5.0%増加したがこれを吸収し、営業利益は同36.0%増の45百万円となった。商談機会が妨げられるといった新型コロナウイルスの影響は特に顕在化していない。

     

  • 通期業績予想に変更は無い。21年3月期の営業利益、経常利益ともに前期比8.4%増の85百万円の予想。7期連続の増益を見込んでいる。新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、今後の動向が不透明であり、算定が極めて困難であることから、織り込んでいないが、テレワーク導入に伴うICT機器やセキュリティの導入、既存オフィス面積の必要性についての検討など、同社事業機会増加に繋がる面もあり、現時点ではマイナスの影響は少ないと見ている。配当は、前期と同じく1.60円/株を予定している。予想配当性向は58.6%。

     

  • 新型コロナウイルスについては、同社の事業特性からは足元で大きな影響は無いようだ。引き続き短期的には四半期毎の進捗を、中期的にはここ数年で大きく伸張してきた内装工事及びそれに付随するサービスの成長性をさらに高めるための施策や、不動産仲介における生産性向上のための取り組みなどを注目していきたい。

     

1.会社概要

【1-1 事業内容】

「私たちはつねに経営視点でオフィスの成長ストーリーを描き実現するための方法をご提案することでお客様の成長に伴走していきます。」という考えの下、企業のオフィス移転をトータルにサポート。
不動産仲介(物件探し)から、内装・レイアウト設計、ネットワーク環境やOA 環境構築、オフィス機器・什器の手配、引越手配、更には旧オフィスの退去計画までを一貫してサポートしている。

 

(同社資料より)

 

【1-2 事業セグメント】

セグメントはソリューション事業の単一セグメント。
売上高は不動産仲介等の売上高および内装工事及びそれに付随するサービスに関する売上高の2つで構成されている。

 

 

【1-3 ビジネスモデルと強み】

・不動産情報をドアノックツールとしてオフィス移転需要を掘り起こし、その際に発生するコンサルティングを含めた、内装工事、OA・ネットワーク機器の更新、各種サービスの取次、更には旧オフィスの原状回復等の需要を取り込んでいく。

 

・通常、不動産仲介を行った顧客とは仲介時限りの取引関係となってしまうのに対し、OA・ネットワーク機器の新規導入や定期的な更新の提案などを行う同社は、仲介後もそうした顧客基盤をベースにストック型収益を上げることが可能である。また、そうした顧客接点を通じて顧客企業の増床・移転ニーズを他社に先駆けて吸い上げることもできる。

 

・需要の掘り起こしはWeb サイトを中心に、電話によるアウトバンドの営業も展開。引き合いがあれば、営業担当者にIT コンサルタントが同行して、不動産仲介物件だけでなく、オフィス移転後のIT コンサル、内装、各種サービスの取次、引っ越し、退去後の原状回復等の提案を行う。

 

・オフィスの移転には、通常、不動産会社、運送会社、内装工事会社、更には旧オフィスを管理する不動産会社(退去に伴う敷金の返金等で問題が生じる事が少なくない)等、多くの関係先と関わる必要があるが、同社と契約すれば、窓口を一本化でき、仮にトラブルが発生したとしても、同社が責任をもって対応する。

 

・不動産仲介の際に、引っ越し業者の紹介や取り次ぎをする不動産会社はあるが、内装工事やオフィス移転に際して更新する情報機器等に関するコンサルから手配・セッティングまで対応できる不動産会社はほとんどない。

 

・これまでは一人の営業社員が「不動産仲介」および「内装設計・OA機器販売等」の両方を担当していたが、2019年3月期より担当をそれぞれに分けることとした。
顧客にとっては窓口が一つの方が利便性は高いという面はあるものの、効率的な成約件数増を図るとともに顧客との関係を深化させるためには担当制を導入し、それぞれの業務に特化することが適切であると判断した。

 

【1-4 ROE分析】

 

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

20/3期

ROE(%)

38.3

51.9

33.8

38.0

19.3

 売上高当期純利益率(%)

3.53

6.43

5.36

6.62

3.49

 総資産回転率(回)

3.32

3.14

2.76

2.66

2.59

 レバレッジ(倍)

3.27

2.57

2.29

2.16

2.14

 

20/3期のROEは低下したが、法人税等調整額35百万円の計上により売上高当期純利益率が低下したため。基礎的な収益性には大きな変化はなく、引き続き高水準のROEが期待される。

 

2.2021年3月期第2四半期決算概要

(1)連結業績

 

20/3期 2Q

構成比

21/3期 2Q

構成比

前期比

売上高

837

100.0%

858

100.0%

+2.4%

売上総利益

429

51.3%

461

53.8%

+7.4%

販管費

395

47.3%

415

48.4%

+5.0%

営業利益

33

4.0%

45

5.4%

+36.0%

経常利益

33

4.0%

45

5.4%

+36.0%

当期純利益

16

2.0%

42

4.9%

+152.8%

*単位:百万円。

 

増収増益
(事業環境)
大手不動産会社の調べによると、東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷区)のオフィスビル市場においては、2020年9月末時点の平均空室率は3.43%と、前年同月比1.79%上昇。一方、東京都心5区の2020年9月末時点における平均賃料は22.733円/坪と前年同月比で878円(4.02%)上昇した。

 

(業績概要)
売上高は前年同期比2.4%増の8億58百万円。引き続き顧客企業の移転時における、不動産物件の仲介から内装工事、各種インフラの整備やオフィス機器・什器の手配までをトータルにサポートするソリューション事業を中心に事業活動を進めた。
売上の内訳は、不動産仲介等の売上高が同24.2%増の1億7百万円、内装工事及びそれに付随するサービスに関する売上高が同0.1%減の7億50百万円。
利益面では、粗利率が同2.5%ポイント増加し粗利額は同7.4%増加。人件費中心に販管費も同5.0%増加したがこれを吸収し、営業利益は同36.0%増の45百万円となった。
商談機会が妨げられるといった新型コロナウイルスの影響は特に顕在化していない。

 

(2)売上高の内訳

 

20/3期 2Q

21/3期 2Q

前期比

不動産仲介等

86

107

+24.2%

内装工事及び付随サービス

751

750

-0.1%

*単位:百万円

 

◎不動産仲介
件数は前年同期並みも、大型物件の成約があった。
同社では数年前より人員増を積極的に進めてきたが、比較的経験年数の少ないスタッフが小型物件を、経験豊富なスタッフが中大型物件を手掛ける営業戦略を推進している。スタッフの経験も蓄積され内容は一層良化しているということだ。

 

近年「居抜き」物件の取り扱いが増加しているという。
オフィスを移転する際、通常は借主にはオフィスを入居前の状態に戻す義務(原状回復義務)があり、借主の費用負担でパーテーションなどの造作等を撤去し、壁面、床、天井の汚れ等を改修しなければならない。
ところが、「居抜き」であれば、退去テナントは、内装をそのままの状態で退去可能なため、汚れなどの修復程度で済み、通常必要な原状回復費を削減できる。また、退去後にすぐに次のテナントが入居する場合、場合によっては契約期間の短縮を図ることができる。
さらに、入居テナントにおいては、新たに内装を施工する必要がないため、入居時の初期費用を削減することができるほか、契約後すぐに業務を開始することができるため、内装施工期間中の賃料等を削減できる。
また、オーナーにおいても、内装付きオフィスとして競合物件と異なる訴求ができ、原状回復前に入居テナントの見学を促すことができるため、早期に入居テナントの募集をすることができ、
このように、関係者それぞれにメリットをもたらし、「無駄な廃棄をしない」というエコの観点からも「居抜き」は近年注目をされている。
同社では「Value Office」という「居抜き」専門サイトを運営し、こうした需要の取り込みを進めている。

 

 

◎内装工事やOA機器・什器の販売
件数、単価とも前年並みだったが、新型コロナウイルスの影響から、リモートワークに対応したセキュリティを中心とした機器の導入などが増加している。

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

◎主要BS

 

20年3月

20年9月

 

20年3月

20年9月

流動資産

642

670

流動負債

319

308

現預金

382

487

仕入債務

161

138

売上債権

240

153

負債合計

319

308

固定資産

57

45

純資産

380

406

投資その他の資産

48

36

利益剰余金

252

256

資産

700

715

負債純資産

700

715

*単位:百万円

 

売上債権の減少等で資産合計は前期末比15百万円増加の7億15百万円。仕入債務の減少等で負債合計は同10百万円減の3億8百万円。
利益剰余金の増加で純資産は同26百万円増の4億6百万円。
この結果自己資本比率は前期末より4.6ポイント上昇し52.0%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

20/3期 2Q

21/3期 2Q

増減

営業CF

-52

119

+171

投資CF

-1

0

+0

フリーCF

-53

118

+171

財務CF

-32

-13

+19

現金・現金同等物

304

487

+183

*単位:百万円

 

税金等調整前四半期純利益の増加等で営業CFおよびフリーCFはプラスに転換。
キャッシュポジションは上昇した。

 

3.2021年3月期業績予想

(1)連結業績予想

 

20/3期

21/3期(予)

前期比

売上高

1,752

営業利益

78

85

+8.4%

経常利益

78

85

+8.4%

当期純利益

61

64

+4.7%

*単位:百万円

 

業績予想に変更無し。7期連続の増益を予想。
業績予想に変更は無い。営業利益、経常利益ともに前期比8.4%増の85百万円の予想。7期連続の増益を見込んでいる。
配当は、前期と同じく1.60円/株を予定している。予想配当性向は58.6%。

 

 

(2)新型コロナウイルスの影響について

新型コロナウイルスの影響については不透明な部分もあるが、現時点では大きな影響はないと、同社では考えている。

 

◎内装工事及びそれに付随するサービス
テレワークを導入する企業が増加する中、最新のICT機器やセキュリティを始めとした仕組みの導入、一人用テレビ会議スペースやアクリルパネルの設置など感染防止を目的とした設備の充実、ソーシャルディスタンスを確保したオフィスレイアウトなど、既存ニーズの顕在化やこれまでになかったニーズの誕生など、同社にとってはビジネスチャンスが拡大している。

 

◎不動産仲介
テレワークの進展で既存オフィス面積の必要性について検討する企業も増えており、そうした動きは取扱案件の増加につながると思われる。
一方で、オフィス面積の縮小は成約単価の低下に繋がる可能性もあるため、生産性の向上に務めていく必要があると考えている。

 

4.主な取り組み

持続的に売上、利益を拡大させるために引く続き以下のような取り組みを進めていく。

 

①人員の増強
同社では着実な売上増のためには不動産仲介を担当する営業社員の増強が必要と考え、年間6名程度を目途に新卒社員の採用を続けている。状況に応じて中途採用も行っているが、現在のところ新卒採用は順調に進んでいる。
現時点で2021年4月に新卒社員6名の入社が内定している。

前述のように、経験の浅い社員は小型物件、経験豊富な社員は中大型物件を手掛けることとした結果、成約件数は着実に増加しており、営業社員増強がこの成果に繋がっている。
また内装に係る設計部門においても内製化を進めている。外注は時間もコストもかかるため、フレキシブルかつスピーディーな対応のために良い人材がいれば採用を行っていく考えだ。
新型コロナウイルスの影響により不透明ではあるが、着実に人員増強を進めていくことを基本方針としている。

 

②WEBを中心とした集客強化・確実な顧客化
不動産仲介を伸長させるには集客数の増大およびその後の確実な顧客化が必要だが、この点でも様々な取り組みを進めている。

 

Web サイトを中心としたインバウンドにおいては掲載情報量に加え、近年は情報の質の高さも集客の重要な要素となっているため、写真や説明文章の制作については専門のカメラマンやライターを採用するケースを増やしている。
360度カメラを用いてWebサイト来訪者の関心を高めるといった工夫も行っている。

 

また、集客した見込み先の顧客化確率をアップさせるため、問い合わせ対応や物件情報の収集・整理を担う営業推進部を設置した。役割分担を明確化し、成約率向上を図る。

 

③人材育成
最も重要な経営資源の一つ、人材の育成について積極的な投資を行っている。
前期は新たに宅地建物取引士2名、一級建築士1名が誕生した。資格手当、受験料の会社負担などのバックアップを行っている。

 

5.今後の注目点

新型コロナウイルスについては、同社の事業特性からは足元で大きな影響は無いようだ。引き続き短期的には四半期毎の進捗を、中期的にはここ数年で大きく伸張してきた内装工事及びそれに付随するサービスの成長性をさらに高めるための施策や、不動産仲介における生産性向上のための取り組みなどを注目していきたい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

4名、うち社外0名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2020年6月30日

 

基本的な考え方
当社は、経営の透明性及び健全性の確保、向上に努めることは、企業の当然の責務であると認識しております。企業価値の向上と競争力強化のためには、常に組織の見直し及び職務権限の明確化を図り、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するよう取り組んでおります。また、意思決定の迅速化のために、取締役会の機能充実を図るとともに、監査役及び監査役会による監視、内部統制の体制についても強化しております。

 

<実施しない原則とその理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。

株式会社インベストメントブリッジ
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