すららネット<3998>投資先行の19年12月期から20年12月期の利益回復に期待

2020/01/16

対話型ICT学習教材「すらら」の開発・提供を行う社会課題解決型“EdTech”企業
投資先行の19年12月期から20年12月期の利益回復に期待

業種: 情報・通信業
アナリスト: 藤野敬太

1.会社概要
・すららネット(以下、同社)は、小学校低学年から高校生を対象としたICT学習(eラーニング)教材「すらら」の開発・提供を主要事業としている。

2.財務面の分析
・「すらら」のID数の積み上がりに連動して、12/12期以降、年平均27.9%のペースで売上高が増加した。経常利益も、13/12期に黒字転換して以降、増収により年平均43.0%のペースで拡大してきた。
・ICTを活用して教育サービスを提供する上場企業との財務指標の比較では、安全性で同社の優位性が目立っている。19/12期は先行投資により減益計画のため、収益性と成長性については参考程度に捉えている。

3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、「すらら」そのもの(組織資本)にある。常に新機能追加やバージョンアップが続けられ、eラーニングのコンテンツ及びサービスのノウハウが蓄積されてきた。さらに、代表取締役社長の前職で得た知見と合わさり、「すらら」は学習塾を中心に顧客資産を積み上げていった。現在は、顧客増が品質・サービスの強化につながり、それが再度顧客増につながるという好循環が描けるようになっている。

4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、コンテンツ不足への対応、知名度の向上、BtoCマーケットの開拓、海外マーケットの開拓が挙げられる。
・同社は、「すらら」導入の校舎数と、「すらら」学習者を示すID数の増加を事業戦略の根幹に据えている。学習塾マーケットでは既存の中堅規模の学習塾へのアプローチ強化を、BtoCマーケットでは発達障がい者向けの強化を、海外では既進出の国での「すらら」の普及に注力する意向である。

5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、社会課題解決型の事業でかつ固定費率の高い事業でありながら収益化を実現できている点を評価している。今後注力するBtoCマーケットや海外での事業も社会課題解決型であるため、成長余地は大きいが、収益化に想定以上に時間を要する可能性がある点には留意しておきたい。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。