INCLUSIVE<7078> 収益化を支援する事業を中心に行う

2020/01/07

メディア企業や事業会社のインターネットサービスの拡大と収益化を支援する事業
を中心に行う

業種: サービス業
アナリスト: 佐々木 加奈

◆ デジタルコミュニケーション事業の単一セグメント
INCLUSIVE(インクルーシブ、以下、同社)は、インターネットサービスの運営・収益化事業を行うため07年4月に設立された。設立時はターゲッティングの社名で、16年3月に現社名となった。

「必要なヒト(ユーザー)に、必要なコト(情報)を。」を企業ビジョンとして、メディア企業や事業会社のインターネットサービスの拡大と収益化を総合的に支援する事業を行っている。連結子会社は、Data Tailor、パシフィック・コミュニケーションズ、グルコース、達傑汀有限公司の4社である。デジタルコミュニケーション事業の単一セグメントで、提供するサービスごとに1)メディアマネジメントサービス、2)広告運用サービス、3)プロモーション企画・PRサービス、4)エンジニアリングサービスに分類されている(図表1)。

1)メディアマネジメントサービス
主に出版社やテレビ局などのメディア企業に対し、ウェブ上に展開するコンテンツの企画・制作支援や、インターネットサービスの拡大のためのコンサルティングなどを行っている。メディア企業以外の事業会社に対しては、コンテンツの企画・制作支援やコンサルティングに加え、同社グループが運営・支援するインターネットサービス上への広告掲載を行うことによるプロモーション支援も行っている。

19年9月末時点で24社、35のメディアの運営・支援を行っており(図表2)、支援先はマガジンハウス(東京都中央区)や徳間書店(東京都品川区)などの出版社、中部日本放送(9402名証一部)などのテレビ局、その他事業会社などである。

2)広告運用サービス
広告配信可能な媒体を多数束ねて広告を配信するアドネットワークや広告の運用支援及びSNS等の広告配信プラットフォームに合わせたコンテンツマーケティングを行っている。コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって価値のある有益なコンテンツでウェブサイトに誘導してファン化し、問い合わせや商品購入につなげるマーケティング施策のことである。

同社は、Contentmatic注1、ContentX注2やPacific SSP注3といった独自の広告配信ネットワークを広告主に提供し、他社との差別化を図っている。また、事業会社の目的に沿った運用型広告注4の企画・提案・実施や、オウンドメディア注5の企画・運用も行っている。

3)プロモーション企画・PRサービス
クライアント向けプロモーション企画の立案・実施や、戦略PRサービスの提供を行っている。プロモーション企画では、企画からコンテンツ制作、運用まで、PRサービスでは、クライアントの消費者に対するコミュニケーション設計から、各種イベントの企画運営までを一気通貫で提供している。

4)エンジニアリングサービス
アプリケーションやインターネットサービスの開発を行っている。17年5月に子会社化したグルコースは、最新技術ニーズに対応できるエンジニアリングチームを保持しており、ディープラーニング(深層学習)を活用したAI(人工知能)アルゴリズムやIoT注6領域等のアプリやウェブサービスの開発にも対応が可能である。

◆ 収益構造
メディアマネジメントサービスの売上高は、媒体社からの受け取るメディアコンサルティングフィー(月額固定)及びインターネットサービスの広告収益に応じたレベニューシェア注7である。

広告運用サービスの売上高は、事業会社か受け取るアドネットワークの運用収益や、オウンドメディア及びSNSの運用業務委託収益である。プロモーション企画・PRサービスの売上高は、事業会社から受け取る広告・PR代理手数料及びコンサルティングフィーである。エンジニアリングサービスの売上高は、事業会社及び媒体社から受け取るアプリやサービスの受託開発収益及び保守・メンテナンス料金である(図表3)。

同社の主な売上原価は、メディアマネジメントサービスにおける人件費、ライターに対する業務委託費、広告運用サービスにおける広告配信費である。販売費及び一般管理費(以下、販管費)の主なものは人件費である。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。