10月のアジア・オセアニアリートは豪、シンガポールが堅調 良好な業績動向などを背景に底堅く推移

10月のアジア・オセアニアリートは豪、シンガポールが堅調

【ポイント1】2市場が上昇

香港はデモの混乱が続き続落

■10月末時点のアジア・オセアニアのリート市場は、現地通貨ベースでオーストラリアが前月比+1.3%、シンガポールが同+1.1%と上昇しました。一方、香港は▲0.4%と下落しました。デモの長期化による混乱の不動産市場への影響が懸念され、続落しました。

■円ベースの騰落率では、10月中旬の米中貿易協議で部分的な暫定合意に達したことから、リスク選好の動きが高まり円安が進行したため、豪ドル、シンガポールドルはプラスに寄与しました。オーストラリアは同+3.5%、シンガポールは同+2.7%上昇しました。香港は同▲0.4%となりました。

【ポイント2】利回り格差はやや縮小

■アジア・オセアニアリートの配当利回りと長期金利の利回り格差は、10月に長期金利が上昇したことから前月比でやや縮小しましたが、依然として2%~3%半ば程度の利回り格差を維持しています。

■世界的な低金利環境は、相対的に利回りの高いリート市場にとって引き続き支援材料となりそうです。

【今後の展開】良好な業績動向などから底堅い推移が続く

■アジア・オセアニアリート市場は、良好な業績動向やディフェンシブ性が相対的に着目されて底堅い推移が続くと見られます。シンガポールは、世界的な利回り商品への根強い需要に加えて、銘柄により資本調達を伴った外部成長が好感されやすい展開が予想されます。オーストラリアは、低金利環境が支援材料となり安定的に推移すると見られます。物流やオフィス市況は好調で、関連セクターのリート業績見通しは底堅い推移が見込まれます。また、低迷してきた住宅市況には底入れの兆しが見られます。香港は、リート価格の調整が一段落しつつあり、米国の利下げを支えに横ばい圏での推移が予想されます。香港最大手のリートでは、デモの影響を比較的受けにくいテナントが多いことから堅調な決算が予想され、中期的には緩やかな上昇基調に戻ることが期待されます。

(2019年11月11日)

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