ギフティ<4449> 個人ユーザー向けの「giftee」、法人向けの「giftee for Business」を運営

2019/09/25

飲食店などで商品と交換できる電子チケット「eギフト」の生成・流通・販売を行う
個人ユーザー向けの「giftee」、法人向けの「giftee for Business」を運営

業種: 情報・通信業
アナリスト: 佐々木 加奈

◆ eギフトを販売する「giftee」などを運営
ギフティ(以下、同社)は、個人ユーザーがWeb上でeギフトを購入して送付できる「giftee」サービス、法人がキャンペーン等でeギフトを利用できる「giftee for Business」サービス、eギフト発行企業(飲食店や小売店など)がeギフトの生成、流通、販売、決済、実績管理を行うことができる「eGift System」を提供するサービス、「Welcome! STAMP」により地域通貨の電子化ソリューションを提供する地域通貨サービスの4つのサービスを行っている(図表1)。eギフトとは、飲食店や小売店舗などにおいて、商品やサービスと交換することができる電子チケットである。

同社は、10年8月に設立され、11年3月に「giftee」の提供を開始した。連結子会社は、東南アジアでの事業展開のために18年9月に設立したGIFTEE MALAYSIA SDN.BHD.の1社のみで、eギフトプラットフォーム事業の単一セグメントである。

売上高は1)gifteeサービス、2)giftee for Businessサービス、3)eGift Systemサービス、4)地域通貨サービス他に区分されており、19/12期第2四半期累計期間(以下、上期)の売上構成比はgifteeサービス12.4%、giftee for Businessサービス62.1%、eGift Systemサービス21.8%、地域通貨サービス他3.7%となっている(図表2)。

同社の売上高の10%以上を占める企業は、18/12期がローソン(2651東証一部)、KDDI(9433東証一部)、スターバックスコーヒージャパンで、それぞれ売上高の14.2%、11.9%、10.5%を占めている。19/12期上期はKDDIが10.9%、ローソンが10.4%を占めている。

1)gifteeサービス
gifteeサービスは、個人ユーザーがギフトを贈りたい人に対し、「giftee」のアプリ又はWebブラウザ上でeギフトを選択し、クレジットカードやキャリア決済注1等を利用して購入し、メールやSNSで送ることができるサービスである。贈られた人は、受け取ったギフト画面を店頭で提示して商品を受け取ることができる。

gifteeサービスで取り扱う商品は、コーヒーやドーナッツ、アイスクリームといった数百円程度の価格帯が中心で、平均価格は約600円である。100円から商品を揃えているため、贈り先に負担を感じさせず気軽に日頃の感謝の気持ちを伝えることができ、メールやSNSで送付するために送料負担が生じないといったメリットがある。「giftee」は11年3月のサービス開始以来、順調に会員数を伸ばしており、19年6月末時点の累計会員数は125万人となっている(図表3)。

2)giftee for Businessサービス
giftee for Businessサービスは、企業がキャンペーン等で自社のユーザーにギフトを送る際に利用可能なサービスである。従来は、ギフト商品として様々な品物や金券、ギフトカードなどが用いられていたため、送る側には在庫管理や包装の手間、郵送代金などのコストがかかっていた。企業は「giftee for Business」を活用することで、こうしたコストを削減することが可能となり、生命保険会社における新規加入キャンペーンの粗品、電力会社におけるポイント交換の景品など、多様な業種に利用が拡がっている(図表4)。

3)eGift Systemサービス
同社がSaaS注2提供する「eGift System」を利用し、飲食店や小売店などがeギフトの生成・流通・販売・決済・実績管理を行うことができるサービスである。「eGift System」を導入した飲食店や小売店などは、自社のホームページやスマートフォンアプリでeギフトを販売できることに加え、「giftee」や「giftee for Business」、その他のeギフト提供会社に対してeギフトを販売することが可能となる。

「eGift System」で生成されたeギフトの決済方法として、スマートフォン画面にバーコードを表示させて店頭のバーコードリーダーで読み取る方法と、電子スタンプ注3を利用する方法がある。バーコードリーダーで読み取るには、店頭及び本部の販売管理システムに改修を加える必要があるが、電子スタンプを利用する場合にはシステム改修が不要で、導入側のコストが抑えられる。店頭で決済されたeギフトはリアルタイムで消込注4を行い、二重利用を防止している。

4)地域通貨サービス他
同社が提供する電子スタンプを活用した地域通貨ソリューション「Welcome! STAMP」は、従来は紙やカードで発行されていた特定の地域のみで使用可能な通貨や商品券を、スマートフォンを用いて流通させるサービスである。16年10月には長崎県五島列島で発行されている地域通貨「しまとく通貨」、17年9月には東京都の11の離島で使用できる「しまぽ通貨」の電子化を行っている。

◆ 収益構造
gifteeサービスにおける同社の売上高は、eギフト発行会社から受領するeギフトの販売手数料である。giftee for Businessサービスでは、「giftee for Business」の利用企業から受領するeギフトの発行手数料と、eギフト発行企業から受領する販売手数料が同社の売上高となる。eGift Systemサービスでは、システム導入企業から月額一定のシステム利用料とeギフトの発行金額に応じた利用料を受領している。地域通貨サービス他では、「Welcome! STAMP」を導入した地域通貨の発行主体からシステム利用料を受領している。

同社の主な売上原価は、開発や保守を行うエンジニアの労務費や外注費である。販売費及び一般管理費(以下、販管費)の主なものは、人件費、採用費、サーバー費用である。

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