毎年すべきこと?すべきでないこと?

2026/01/16

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◆3年連続の国政選挙へ。高頻度選挙に功罪

高市首相が通常国会の冒頭で衆議院を解散し、2月8日にも選挙を実施すると報じられています。

報道どおりなら、3年連続の国政選挙実施となります(2024年(衆)、25年(参)、26年(衆)※見込み)。1994年以降の33年間のうち、22年で国政選挙が行われる計算です。実に3年に2回の高頻度です(補欠・再選挙は除外)。G7(主要7カ国)のうち米国は2年に1回、他諸国では3年に1回以下です(2024年1月6日日本経済新聞等)。選挙頻度の高さは、民意がこまめに国政に届いたり、政権のアカウンタビリティ(責任)を確保できたりする点がメリットと言えるでしょう。

他方、弊害もあります。政治家はどうしても次の選挙を見据えて動きます。そのため、高頻度で選挙が行われると、国民受けしづらい、時間がかかる様な構造的政策は後回しになってしまう傾向があります。これが、財政・社会保障制度改革や労働市場改革の遅れにつながり、「失われた30年」をもたらした一因になった可能性があると言われています。足元の為替市場で円安傾向が継続したり、債券市場で日本の国債利回りが上昇傾向にあることは、こうした改革の遅れが繰り返されることを警戒している面もありそうです。

◆特例公債法の成立に暗雲

また、早期解散は、特例公債法の先行きにも不透明感をもたらしています。日本の予算は赤字国債なしでは編成・執行できません。例えば、2026年度予算案では、歳入総額約122兆円のうち、赤字国債が約23兆円(18.7%)を占めます。しかし、赤字国債は財政法で原則的に発行が禁じられているため、例外を認める法律が必要となります。これが特例公債法です。この法律は予算そのものではなく予算関連法案のため、「衆議院の優越」は無く、衆参両院での可決が必要です。それゆえ、過去には「ねじれ国会」の局面を中心に、この法律を巡って財政運営が揺れた例がありました。今回も同様の事態が警戒されています(詳しくは2025年9月11日の「投資のヒント『特例公債法の混乱再び?』」をご覧ください)

2026年度の同法について、当初は賛成する約束を首相と結んでいた国民民主党(参議院で25議席)が、解散報道を受けて、「首相が約束を破るなら、こちらも約束を守る合理的理由はなくなる。賛成を確約できなくなる」と方針撤回の意向を表明しました。現在の参議院での議席は自民党が100、維新が19で、過半数125に6議席足りません(1月13日時点)。自民・維新の連立与党は、今回の衆議院選挙で過半数を確保できる可能性はありますが、参議院ではなお少数与党のままであり、法案成立を巡る不安はむしろ強まる可能性があります。

◆複数年か毎年改定か

特例公債法は、成立の有無と共に、期間も1つの焦点です。同法は2011年度までは毎年制定されていましたが、それ以降は安定的な執行の必要性等を考慮して複数年度化しています。2012年度に4年間、16年度と21年度にはそれぞれ5年間の同法が成立しました。

新たに成立が必要な2026年度(以降)の同法について、立憲民主党の安住幹事長は昨年12月に「(複数年度化により)積極財政、放漫財政になる。日本の財政を破綻させないために、5年に1回だけでいいのかを党内で議論したい」と述べました。国民民主党の玉木代表もマーケットの信任に触れ、「金利の上昇や債券市場の懸念があれば、1年ごとにチェックする体制に戻すことも含めて建設的な議論をしていきたい」と発言しました。

足元の債券・為替市場で財政運営に対する不安が強いなか、1年ごとに立法府のチェックを受ける形に戻すことが一定の安心材料にはなりそうです。一方で、毎年の「政治カード」に化すことで混乱を招くリスクも考えられます。

選挙と財政法制の両面で、毎年すべきこととすべきでないことを見極め、安定とチェックのバランスをどう取るかが問われています。

(シニアストラテジスト 稲留 克俊)

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