『ブラジル大統領選挙』は極右と左派の決選投票へ

『ブラジル大統領選挙』は極右と左派の決選投票へ

現職のテメル大統領の任期満了に伴う『ブラジル大統領選挙』が10月7日に行われました。投開票の結果、当選に必要な過半数を獲得する候補者がいなかったため、上位の2人が28日の決選投票に進出することになりました。事前の世論調査の予想通り、極右で元軍人のボルソナロ下院議員と左派のアダジ元サンパウロ市長による左右候補の決選投票が決まりました。市場はボルソナロ氏のリードを好感しました。

【ポイント1】ボルソナロ氏がトップ、アダジ氏が2位

ボルソナロ氏は世論調査を大きく上回る得票率

■『ブラジル大統領選挙』が10月7日に実施され、即日開票されました。選挙には13人の候補が立候補しました。選挙管理当局の発表によると、得票率は極右のボルソナロ氏が46%で1位、左派のアダジ氏が29%で2位となり、左右候補が28日の決選投票に進むことが決定しました。ボルソナロ氏の得票率は事前の世論調査を大きく上回りました。

■「ブラジルのトランプ氏」といわれる極右のボルソナロ氏は、国民が銃を所持することや女性などへの差別発言を繰り返す一方、汚職疑惑がないことや、貧困層への援助停止、治安改善などを訴えたことが、中間層や富裕層中心に既存政党に失望した有権者の支持を集めたとみられます。

■左派候補である労働党のアダジ氏は、汚職で収監されているルラ元大統領の後継候補です。出馬を断念したルラ氏の人気にあやかり、低所得層の支援拡大を訴えています。

【ポイント2】市場はボルソナロ氏に好意的

アダジ氏の勝利を警戒

■市場は、ボルソナロ氏に好意的です。ボルソナロ氏は政権を獲得した後の財務相として、財政収支の赤字削減や国営企業の民営化などによる構造改革を主張する経済学者のパウロ・ゲジス氏を指名しており、小さな政府を目指しているとみられるからです。

■一方、市場はアダジ氏の勝利を警戒しています。同氏は支持層の低所得世帯に配慮し、年金改革など財政支出の抑制には積極的でないため、財政規律が緩む恐れが強いからです。

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【今後の展開】決選投票に向け3位以下の候補者の票取り込みが焦点

■『ブラジル大統領選挙』の結果を受けた8日の市場では、ボルソナロ氏が事前の予想を超えて得票率を伸ばしたことが好感されました。為替市場では、ブラジルレアルが対米ドルで上昇しました。また、株式市場では、主要株価指数のボベスパが大幅高となりました。

■最新の世論調査では、決選投票においてボルソナロ氏の優勢が伝えられています。今後は決選投票に向けて、両陣営が3位以下の候補者の票をいかに取り込むかが焦点となります。

(2018年10月10日)

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