2つの懸念材料を抱えるユーロ圏経済(2018年8月)米国の保護主義とイタリア財政不安の状況に注目

2つの懸念材料を抱えるユーロ圏経済(2018年8月)

【ポイント1】景気は堅調さを維持
景況感の低下傾向に下げ止まり感

■2018年4-6月期のユーロ圏の実質GDP成長率は前期比+0.4%と、前期から横ばいでした。ユーロ圏の成長ペースは緩やかではあるものの、潜在成長率(前年比+1%台前半)を上回る状況が続いています。

■ユーロ圏のマークイット購買担当者景気指数(PMI)は、今年に入ってからは緩やかな低下傾向となっています。ただし、足元では下げ止まり感があり、最新の8月は、製造業は54.6、サービス業は54.4と、好不況の分岐点である50を大きく上回っています。

 

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【ポイント2】イタリアの財政悪化懸念
19年予算は財政拡張的となる見込み

■ユーロ圏全体の景気が堅調な一方、懸念されるのはイタリアです。イタリアでは、6月上旬に五つ星運動と同盟によるポピュリズムの連立政権が誕生しました。同政権は、選挙で掲げた大幅な財政拡張を含む2019年予算を、9月に議会に説明し、10月中旬には欧州連合(EU)に予算計画案を提出する見通しとなっています。

■副首相を務めるディマイオ、サルビーニの両党首は、経済改革を実現するためには、財政赤字をGDP比で3%以下にするというEUの財政ルールを超過する可能性を排除していません。このためイタリア国債利回りは上昇基調(債券価格は下落)となっています。

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【今後の展開】米国の保護主義の高まりやイタリアの政治不安の影響に注目

■ユーロ圏景気は、雇用の拡大や賃金の増加を背景に、個人消費の増加基調が続くものの、米国の保護主義による輸出などへの影響が懸念され、製造業の景況感は下振れしやすくなっています。加えて、イタリア政府が財政拡張を進めていくと、イタリア国債利回りに上昇圧力がかかり、同国債を大量に保有する銀行の損失懸念が高まることになります。当面は、イタリアの財政と米国の保護主義の状況に注目です。

 

(2018年 8月30日)

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