中国株式市場の動向(2018年7月)15年のチャイナショックの再来は避けられよう

中国株式市場の動向(2018年7月)15年のチャイナショックの再来は避けられよう

 

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【ポイント1】6月の中国株は大幅安

米中貿易摩擦懸念や人民元安を嫌気

■6月の中国株式市場は、米中貿易摩擦激化への警戒感に加え、経済指標が総じて市場予想を下回る低調な内容で景気減速観測が高まったことも嫌気され、大幅に下落しました。米利上げが実施され新興国からの資金流出圧力がかかるなか、人民元が対米ドルで大きく下落したことも市場心理を冷やしました。MSCIチャイナ指数の月間の下落率は5.6%となりました。

 
【ポイント2】6月の人民元は急落
中国人民銀行総裁コメントにより下落に一旦歯止め

■人民元は、米国が利上げを実施した6月13日の6.39元/米ドルから、7月2日には6.66元/米ドルまで一方向で下落し、約11カ月ぶりの安値をつけました。米国との貿易摩擦激化に伴う輸出減で中国景気が減速するとの観測から、中国当局が人民元安を容認するとの思惑が強まったことが背景です。

■7月3日に、中国人民銀行の易総裁は人民元相場を合理的かつ均衡の取れた水準で安定させるとの方針を表明しました。易総裁が人民元についてコメントを発表するのは今回が初めてであり、元安傾向に対して、牽制球を投げたと解釈することができそうです。これを契機に人民元はひとまず下落に歯止めがかかりました。

 
【今後の展開】15年のチャイナショックの再来は避けられよう

■米中貿易摩擦の激化や米ドル高・元安が相場の重石となり、当面中国株式市場は上値の重い展開が続くと思われます。しかしながら、底堅い経済や産業の高度化の進展などプラス要因は変わらず、MSCIチャイナの予想株価収益率(12カ月先予想利益ベース、ブルームバーグ集計)は11.7倍と、2006年以降の平均値(11.7倍)に並び、割高感はありません。足元の人民元が下げ止まっていることもあり、中国が人民元を切り下げ世界の株式市場が調整した15年のチャイナショックの再来はないとみられます。
 

(2018年 7月10日)

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