3%近傍で推移する米国の『長期金利』

3%近傍で推移する米国の『長期金利』

『長期金利』とは、満期までの期間が1年以上の金利のことです。米国や日本の場合、『長期金利』の指標として用いられるのは、新発10年国債、つまり国が新規に発行する償還期間10年の国債の利回りです。『長期金利』は、個人向けの住宅ローン金利や、銀行が企業に資金を貸し付ける際の金利に大きな影響を及ぼします。米国の『長期金利』は、世界的な資金の流れに及ぼす影響も大きく、注目されています。

【ポイント1】『長期金利』が3%台乗せ

3%台乗せは、およそ4年5カ月振り

■米国の債券市場では、『長期金利』(10年国債利回り)が、2018年4月24日に3.00%をつけました。『長期金利』の3%台乗せは、13年末以来およそ4年5カ月振りのことになります。その後も概ね3%前後の水準で推移しています。
【ポイント2】インフレ期待の高まり等が『長期金利』を押し上げ

新興国市場への影響は限定的

■『長期金利』の上昇は、米国の景気・雇用が順調な拡大を続けていること、それに伴い利上げが継続されていること、インフレ期待(消費者や企業が、将来、物価が上昇するだろうと予想すること)が高まってきたこと等によるものです。

■『長期金利』の上昇を受けて、新興国市場の一部では動揺が見られます。これは経常収支の赤字幅が大きく、インフレ率が高い一部の国・地域が中心で、新興国全体の通貨や資産が大きく売られる状況ではないと考えられます。

 

180529MK

 

【今後の展開】緩やかな利上げを継続する見通し

■米国の『長期金利』は、今後も上昇基調を辿ると予想されます。トランプ政権による減税や財政支出の増額といった拡張的な財政政策に支えられて、米国の景気が拡大を続けると予想されるなか、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利の引き上げを進める見通しだからです。

■ただし、賃金の伸びが抑制されていることもあり、物価が大幅に上昇する可能性は低いと見られます。このため、FRBは緩やかな速度で利上げを実施すると予想され、『長期金利』の上昇も緩慢なものになる見通しです。従って、新興国市場への影響は、引き続き限定的なものにとどまりそうです。

 

(2018年 5月29日)

印刷用PDFはこちら↓

3%近傍で推移する米国の『長期金利』

関連マーケットレポート

2018年 5月25日 『FOMC議事要旨』、緩やかな利上げを継続へ

2018年 5月 9日 インフレ加速?米国の『個人消費デフレーター』

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会