70ドル台に乗せた原油価格(2018年5月)需給バランスが改善、地政学リスクがあと押し

70ドル台に乗せた原油価格(2018年5月)需給バランスが改善、地政学リスクがあと押し

【ポイント1】上昇する原油価格

1バレル当たり70ドル近傍で推移

■原油価格はWTIで見て、2018年2月初旬の1バレル当たり59ドル台を当面の底に、5月7日の同70.7ドルまで上昇しました。その後も、概ね70ドルを上回った水準で推移しています。
 

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【ポイント2】好転する世界の原油需給

景気拡大と協調減産が寄与

■原油価格が再び上昇基調に転換したのは、需給の改善によるところが大きいと考えられます。

■石油輸出国機構(OPEC)によると、17年は原油需要が世界全体で日量9,720万バレル、前年比1.7%増となる一方、供給はOPECおよび非OPEC産油国による協調減産が功を奏して同9,657万バレル、同0.8%増にとどまりました。この結果、需給バランスは、需要超過に転換したもようです。

■続く18年の世界の原油需要は日量9,885万バレル、前年比1.7%増が見込まれています。非OPEC諸国の予想生産量が同6,611万バレルですから、OPECの生産量が18年1~3月期実績の同3,209万バレル程度を維持すれば、18年の原油需給は引き締まる見通しです。
 

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【今後の展開】原油価格は現状程度の水準で高止まりしよう

■中東地域での地政学リスクの高まりも、原油価格の上昇につながっています。5月8日にはトランプ米大統領が、イラン核合意からの離脱、核合意に基づいて解除していたイランに対する経済制裁の再開を表明しました。90日~180日の猶予期間を経て、対イラン経済制裁が発動されると、日量100万バレル程度の原油供給減に陥る公算があります。

■ただし、日量100万バレル程度の落ち込みであれば、他の産油国の増産で吸収可能と考えられます。しかも、今回は欧州連合(EU)が、対イラン制裁に加わらない見通しです。これらを踏まえると、原油価格が急騰することはなく、当面、現状の水準近傍で高止まると予想されます。 

(2018年 5月16日)

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