「適温」状態が続く米国の雇用統計(2018年2月)雇用の増勢は加速したが、賃金上昇は緩やか

「適温」状態が続く米国の雇用統計(2018年2月)

 

【ポイント1】雇用者数は31万人増

幅広い業種にわたって雇用が増加

 

■2018年2月の非農業部門雇用者数は前月比31.3万人の増加となり、市場予想(ブルームバーグ集計)の同20.5万人増を上回りました。3カ月移動平均で測った雇用の増加速度は24.2万人と、ここへきて再び勢いが増しています。

■例年に比べ温暖な天候による建設業の雇用の押し上げ等、一時的な要因はありましたが、それらを考慮に入れても、雇用の基調はしっかりしていると評価できます。

 

 

 

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【ポイント2】失業率は前月と同じ4.1%

賃金の伸びは緩やか

 

■他方、失業率は前月比横這いの4.1%でした。景気拡大の長期化に伴い労働供給(労働力人口)は増えていますが、それを吸収できるだけの労働需要(求人)が創出されています。

■賃金上昇率は、市場予想の前月比0.2%を下回る同0.1%にとどまりました。前年同月比では2.6%となり、1月のそれぞれ0.3%増、2.8%増から鈍化しました。1月の賃金上昇率の加速は、やはり天候要因による一時的なものと考えられます。

 

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【今後の展開】賃金・物価が安定しているため、利上げの速度は緩慢と見られる

 

■3月20日~21日に開催が予定されている次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利上げが決定される見込みです。景気の拡大が続いていることから、その後も利上げは継続される見通しですが、賃金・物価が緩やかな上昇にとどまっているため、利上げ速度は緩慢と予想されます。

■3月8日の米国市場では、株価が上昇、国債価格は下落(利回りは上昇)しました。雇用が大幅に増加したにもかかわらず、賃金上昇率が前月に比べ鈍化したことから、「景気拡大と低金利が両立する良い投資環境が続く」との見方が強まったと考えられます。
 

 

(2018年 3月 12日)

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