『日銀短観』は10年ぶりの高水準

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『日銀短観』とは、日銀が金融政策運営の参考にするため、3カ月ごとに約1万社の企業に行う「全国企業短期経済観測調査」のことです。市場では大企業・製造業の現状の景況感(業況判断DI)と3カ月先の景況感(先行きDI)が最も注目されます。日銀が2日に発表した9月の『日銀短観』では、現状の景況感が製造業中心に改善していることが示され、2007年9月以来、10年ぶりの高水準となりました。

【ポイント1】大企業・製造業の景況感は4期連続改善

市場予想を大幅に上回る

■9月の『日銀短観』は、大企業・製造業の業況判断DIが前回の6月調査から5ポイント上昇の22と、市場予想(ブルームバーグ集計、18)を大幅に上回り、4四半期連続で改善しました。業況判断DIは10年ぶりの高水準です。製造業は中堅、中小企業とも上昇し、企業規模を問わず改善しました。輸出が持ち直し、緩やかな増産傾向が続くなか、ドル円レートが想定レートより円安水準で推移したことやユーロ円レートが大幅な円安となったことが背景と見られます。

■大企業・製造業の17年度の想定為替レートは1ドル=109.29円と、前回からやや円安水準となりました。

 

【ポイント2】非製造業は横ばい

長雨の影響で消費が低迷

■一方、大企業・非製造業の業況判断DIは23と、前回から横ばいでした。中堅、中小企業についても前回比+1と、概ね横ばいでした。長雨など夏場の悪天候の影響で、小売、宿泊・飲食サービスなど消費関連の業種が下落し、個人消費が低迷したことから内需が足踏みとなりました。

■設備投資計画は、全規模・全産業ベースで4.6%と、ほぼ平年並みのペースでした。設備投資は緩やかな回復が見込まれます。

 

 

 

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【今後の展開】景気拡大と増益期待が株価を支えよう

■9月の『日銀短観』は、天候要因等から非製造業がやや足踏みとなりましたが、製造業が大きく改善し、総じてみると、景気が緩やかな拡大基調にあることが確認されました。

■約2年ぶりの高値圏にある日経平均株価は、『日銀短観』を受け前日比小反発しました。景況感が改善したことに加え、企業の想定為替レートが1ドル=109.29円となり、足元の為替水準が続けば、企業収益の押し上げにつながることが、株式市場のサポート材料となったと見られます。北朝鮮情勢や総選挙などの不透明要因はあるものの、景気拡大の持続と企業収益の増益期待が今後も株式市場を支えそうです。

 

 

 

(2017年 10月 03日)

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