米国株式市場の見通し 情報技術セクターの動向と今後の見通し

米国株式市場の見通し 情報技術セクターの動向と今後の見通し

 

【ポイント1】S&P500種指数は上値が重い

 

情報技術セクターが調整

 

■6月の米国株式市場は、S&P500種指数やNYダウが前月末比でそれぞれ+0.5%、+1.6%と3カ月連続でプラスでした。しかし、月の半ばから上値の重い展開となりました。一方、NASDAQ総合指数は同▲0.9%と8カ月ぶりの下落となりました。

■S&P500種指数は6月19日に2,453.46と史上最高値を更新した後、上値の重い展開が続いています。株価収益率(株価÷1株当たり予想利益)も低下し、7月7日現在17.5倍となりました。

■S&P500種指数の主なセクターを見ると、17年に入ってからエネルギーセクターが原油価格の下落等の影響から低下基調が続いています。一方、時価総額で同指数の20%程度を占める情報技術セクターと15%程度を占める金融セクターがけん引役となって堅調に推移しています。今回足元で株価が小幅に調整していますが、これは情報技術セクターの調整が背景となっています。ここまで堅調に推移してきたことで利益確定売りが増加しました。

■他方、金融セクターが足元堅調に推移しています。6月に欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行(BOE)の総裁が金融政策の正常化に言及したことで欧州債の利回りが上昇し、つれて米国債の利回りも上昇しました。こうした点に加え、米国では銀行が米連邦準備制度理事会(FRB)による健全性審査(ストレステスト)を無事通過したことで業績や財務面での安心感が広がったことも、金融セクターにプラスに作用していると見られます。

 

 

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【ポイント2】情報技術セクターの業績は好調

 

■情報技術セクターの下落は、やや行き過ぎた株価水準の調整と考えられます。調整を経た7月7日の情報技術セクターの株価収益率は17.3倍とS&P500種を若干下回る水準まで低下しました。

■しかし、1株当たり予想利益は低下していません。情報技術セクターの予想増益率は堅調に推移しています。S&P500種の17年の増益率は前年比+10.9%(FactSet)と予想されていますが、情報技術セクターも同+11.0%と堅調です。企業業績の見通しが悪化しているわけではありません。

■企業業績予想の改善度合いを見るリビジョン・インデックスは、足元で44ポイントと引き続き高水準で推移しています。

 

 

 

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【今後の展開】情報技術セクターの業績好調は長期化の可能性

 

■米国市場では、これから4-6月期の決算発表が始まりますが、情報技術セクターの決算に注目が集まりそうです。

■情報技術セクターは、半導体の需要を背景としたサイクルにより業績と株価が左右されると考えられています。こうしたサイクルは主にスマートフォンやパソコン、テレビといった消費者向け製品によってもたらされます。今回のサイクルは、人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)など企業の需要が新たに加わっていると見られ、従来のサイクルとは異なると考えられます。新分野への投資によって企業活動の効率化が進むと見られることから、サイクルが全体的により長期化することで、情報技術セクターの業績好調が続く可能性があります。

 

(2017年 7月10日)

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