「貿易赤字」削減の鍵は対中貿易(米国)

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米国の「貿易赤字」の状況は、米商務省が発表する貿易統計で把握することができます。その上位相手国は中国、日本、ドイツ、メキシコなどとなっており、この上位4カ国で約7割を占めています。日本を見ると、米国の対日貿易赤字の約7割が自動車産業によるものとなっていることから、トランプ大統領は日本の自動車企業をけん制する発言をしていますが、不公正貿易の是正のためには対中貿易の動向が鍵を握ると見られます。

【ポイント1】2016年通年では7,343億ドルの「貿易赤字」

中国が約半分を占め、続く日本、ドイツ、メキシコの4カ国で7割超を占める

■米商務省が発表した貿易統計によると、2016年通年の貿易収支は7,343億ドルの「貿易赤字」となりました。「貿易赤字」は前年と比べて1.5%減少しました。輸出総額はドル高の影響により減少しました。また、昨年は年初に原油安が進行したことから、輸入総額も減少しました。

■「貿易赤字」ランキングを国別に見ると、1位は中国の3,470億米ドルと全体の47.3%を占めています。続いて、2位は日本の689億米ドル、3位はドイツの649億米ドル、4位はメキシコの632億米ドルとなっており、上位4カ国で「貿易赤字」全体の7割超を占めています。

【ポイント2】対日では自動車が約7割

対中では通信機器や事務機器が上位

■米国の対日「貿易赤字」の内訳を見てみると、1位は自動車で476億米ドルと全体の69.1%を占めており、2位は電気機器、3位は一般機械と、約1%にとどまります。

■一方、「貿易赤字」相手国1位の中国の内訳を見ると、1位は通信機器で797億米ドル、2位は事務機器で627億米ドルと、対日の自動車の額を上回っています。

 

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【今後の展開】「貿易赤字」削減の鍵は対中貿易

■トランプ大統領は不公正貿易の是正を掲げており、「貿易赤字」が大きい日本や中国をけん制する発言が聞かれます。しかし、対日貿易赤字の多くを占める自動車産業では、日本企業は米国内で多くの投資や雇用を行っており、今後についても米国内での大型の投資や雇用の拡大計画を発表しています。例えば、トヨタ自動車(※)は今年1月、今後5年間に米国で100億ドル(約1兆1,300億円)を投資すると表明しました。一方、米国の「貿易赤字」のおよそ半分は対中貿易によるものであり、米国の「貿易赤字」全体の削減には、対日貿易よりも対中貿易の方が今後重要な意味を持つと考えられます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

(2017年 2月21日)

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