「百貨店売上高」に見る消費の変化(日本)

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日本百貨店協会は、「全国百貨店売上高」を毎月20日前後に発表しています。全国主要10都市別、主要10都市を除く地域別に、商品別の売上高が発表されており、それぞれの消費動向が分かります。商品別の好不調から消費者志向を見ることができるほか、近年増加する外国人旅行者による消費動向なども知ることができます。

【ポイント1】2016年は36年ぶりに年間売上高が6兆円割れ

12月は外国人旅行者動向は好調だったものの、国内市場は減少

■2016年12月の「全国百貨店売上高」は前年同月比▲1.7%(店舗数調整後、以下同じ)と10カ月連続で減少しました。12月は、為替が円安傾向となったことから外国人旅行者による売上高が同+8.3%と9カ月ぶりに前年を上回りましたが、全体の約97%を占める国内市場は同▲2.0%と減少しました。商品別では、増勢が続く化粧品や、株高の効果が見え始めた美術・宝飾・貴金属などの回復を背景に、雑貨が5カ月ぶりに前年を上回りました。しかし、全体の約26%を占める衣料品が同▲3.3%と依然として振るわず、半数以上の店舗で入店客数が減少し、売上総額は減少しました。

■2016年の年間売上高は、前年比▲2.9%の5兆9,780億円と、2年連続で前年を割り込み、1980年以来36年ぶりに6兆円を割り込みました。また外国人旅行者動向では、売上高は同▲5.3%と減少しましたが、購買客数は同+18.5%と、訪日客数の増加により堅調に拡大しています。

【ポイント2】主力の衣料品で苦戦

外国人は「爆買い」から日用品消費へシフト

■百貨店の主力商品である衣料品は、昨年の天候不順などに加え、近年のネット通販の拡大やアウトレットでの購入が増加しています。このため、百貨店は苦戦を強いられています。

■購買客数が拡大傾向にある外国人旅行者は、これまで高額品を中心に「爆買い」が見られましたが、昨年は年央にかけての円高が影響したほか、リピーターの増加などにより、その消費が日用品にシフトしていることなどから、単価が減少しています。

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【今後の展開】節約志向の中に見られる、“ご褒美消費”や“コト消費”の流れ

■「百貨店売上高」が減少傾向にある中、消費動向には変化が見られてきています。例えば、年末商戦では贈答品を自宅に購入するケースが見られたり、すでに特設会場ができ始めたバレンタイン商戦では早速自分用に高級チョコを購入する女性が見られる等、節約志向の中でもイベント毎の“ご褒美消費”も堅調なようです。また各社とも良好だった初売りでは、体験レッスンなどの体験型の福袋が人気となるなど、“コト消費”も注目されています。今後はこうしたモノ消費から“コト消費”への流れが続きそうです。

(2017年 1月26日)

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